中華料理

March 16, 2019

台湾料理:麗白@小倉

 小倉の台湾料理店「麗白」で夕食。
 ここは台北の老舗料理店「欣葉」で料理長を務めていた人が小倉に開いた店で、欣葉直系の本格的台湾料理が食べられるということで、人気の高い店である。

【前菜】
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 鴨燻製、蒸しトコブシ海鮮ソース、切干し大根のオムレツ、カラスミ揚げ、茹で海老、季節野菜、等々。見た目美しく、また味もそれぞれ特徴つよい。

【スッポンの薬膳スープ】
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 この料理は、麗白のスペシャリテ。薬膳というだけあって複雑で繊細なスパイスの使い方をしていて、旨味の奥に広がる余韻が特徴のスープ。スッポンはコラーゲンたっぷり。ショウガや芋、ブタ等の食感もよい。

【牛ヒレと季節野菜の炒め物】
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 野菜も牛もしっかりと火が通っていて、それによって更に素材の旨みを引き立てている。

【フカヒレと上海蟹味噌あんかけ】
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 上海蟹味噌の濃厚な味がとろとろの餡に溶け、それがフカヒレの染み込み、強い旨味の極致のような、力強い料理。

【大エビのチリソースとホタテ貝柱のマンゴーマヨ】
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 ぷりぷりの食感の海老に、弾力あるホタテ、それにマンゴマヨの味がぶつかり、華やかな食感と旨さを楽しめる。

 どの料理も、台湾料理ならではのスパイス、甘味、酸味がよく利いたものだったけど、そのバランスがとてもよいので、全体としては優しい味付けとなっており、箸がどんどん進む、まことに美味しい料理であった。
 九州ではこの手の高級系台湾料理はけっこう珍しい部類になると思うけど、この実力、貴重な存在であろう。

 

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March 03, 2019

飲茶:陸羽茶室@中環

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 香港最終日の朝は、定番の「陸羽茶室」で点心をいただく。
 香港で飲茶といえば、真っ先にこの店の名前が挙げられる飲茶の名店。「飲茶」というものの本質が詰められたような料理の数々をいただく。
 昔から連綿と受け継がれてきた素朴なものばかりだけど、それは伝統によって確立されたものであり、どの料理もそれぞれの個性をもって美味い。 この店はもう6回目だけど、家庭料理的に、飽きることのない味で、香港に来るたびにやはり食べたくなる料理である。
 ただし、餃子にしろ焼売にしろ、一品一品が大きいので、朝食としてはヘビーであり、この朝食を食うと昼食、夕食はいらねえやという気になるので、昼に香港を発つ最終日がいいです。

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March 02, 2019

四川料理:渝川菜館@湾仔

 広東料理、潮州料理と上品系の料理が続いたので、次の料理は湾仔の有名な四川料理店「渝川菜館」へ。  
 この店の料理は本格的四川料理だけあって、とにかくスパイシー。唐辛子は何種類も使いわけており、さらには山椒もふんだんに使っていて、メリハリの利いた辛さと旨味を楽しめた。
【四川凉麺、焼椒手撕茄】  
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 見た目に辛い焼きナス料理は見た目通り辛い。麺料理は四川の冷麺仕立て。これにもしっかりとスパイスが利いている。
【江津酸菜魚】
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 これは四川の名物料理で、魚を四川の漬物と、唐辛子、花椒で煮たもの。 たぶん日本では食べられないたぐいの料理で、種々のスパイスが複雑に絡み合っていて、刺戟的な味になっている。
【重慶辣子雞】
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 唐辛子と鶏を一緒に揚げたもの。とてもビールにあう料理。
【蒜泥青瓜】
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 胡瓜の浅漬けみたいな料理。辛さの口休めになると思いきや、これもピリリと辛い。
【農家回鍋肉】
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 香港風ホイコーロー。
 けっこう辛い料理のはずだが、このへんになると口が痺れて来て、よく分からなくなっていた。
【泡椒魚】
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 鰻の炒めもの。日本の鰻はもっぱら蒲焼や白焼だけど、香港では鰻はブツ切りにして油で炒めるのが主流みたい。身に弾力があって独特の歯ごたえ。
【麻婆豆腐】
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 四川料理といえば、やっぱり麻婆豆腐。本場の麻婆豆腐はやはり辛い。
 四川料理といえば、「辛い」のが特徴だけど、この店はたくさんの「辛いスパイス、辛い素材」を複雑に組み合わせての料理だったので、凡百の「辛いだけの四川料理」と違って、それぞれの料理に個性があり、美味しかった。
 ただ、なにはともあれ、どれも辛いので、あらかじめ心して食べるべし。

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広東料理:龍景軒@香港中環

 広東料理に関して、香港随一の格を誇る「龍景軒」。
 毎年の香港ツアーで必ず一度は寄ることになっている、中華料理ツアー本命の名店である。
 香港在住のメンバーがこの店の常連客(一時期は毎日通っていたという)であり、龍景軒の旬の味にとても詳しいので、その人にメニューを考えてもらい、お勧めのコースを組んでもらった。今回は15名という人数だったので、いつもの個室は使えず、二つのテーブルを使っての宴。

【点心】
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 昼の料理なので、まずは点心シリーズ。
 ぷりぷりの食感の蝦蒸し餃子、焼豚腸粉と小籠包は普通の店のものと違ってとても上品な味。そしていかにもこの店らしい高級感漂う黒トリュフと蟹肉の春巻。

【前菜】
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 これは特別注文の子豚の丸焼き。あらかじめ予約しておかないと出てこない。
 丸焼きと言っても全部の部分を食べるのではなく、パリッと焼いた皮のところを脂と一緒に食べる、北京ダック方式。初めて経験する料理だったけど、食感、香り、脂の旨み、見事なものであった。

【肉料理】
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 肉料理は子鳩のクリスピー焼と蛙のジンジャーソース炒め。
 とにかく素材が良く、それを引きたせる調理もまた素晴らしい。

【スープ1】
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 これは松茸と茸のスープ。松茸も中華料理に使うのだけど、日本の使い方とは違って松茸は香りを支配していず、いろいろな茸の香りと合わさって、複雑な香りの料理となっていて面白い。

【スープ2】
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 豆苗、ピータン、塩玉子の上湯煮。いろいろと個性の強い具の入った上湯煮。もとの上湯が優雅な味で、それでこれらの具材の味もまたうまく引き出されている。

【スープ3】
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 茸と筍のチキンスープ。
 このスープは常連氏一のお勧めで、たしかに鶏の出汁が尋常でなく濃厚で美味。

【魚介】
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 海鮮を使った料理は、ホタテの卵白茶碗蒸し紹興酒ソースとエビのニンニクと豆豉チリ炒め。この店の特徴である、「極上の素材と、極上の調理」を徹底的に味わえる。

【煲仔飯】
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 〆はいつもは麺か炒飯だけど、龍景軒にボージャイファンが出せるということなので、どんなものか興味をもった一行によるリクエストにて、それを予約注文。
 この牛肉炒めのボージャイファン、じつに繊細で上品な料理であるが、それゆえワイルドな火の料理のはずのボージャイファンの特徴はまったく出ていず、この料理のみ皆の不評を買っていた。まあ、龍景軒らしい料理であることは事実であった。

【デザート】
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 デザートは定番でありこの店のスペシャリテであるマンゴーサゴクリームに、杏仁ミルク。じつに美味。

 それにしても、こうやって改めて並べてみると、けっこうな数の料理を食べたものである。そして、これは昼食なのに3時間半かけて食べたため、可能であった。
 中華料理は、香港の店ではさっさと出て来て、さっさと食べることが多いけど、この店はさすがに別の時間が流れており、他の客達も同じように、優雅にして緩やかな時間を過ごしていた。

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March 01, 2019

潮州料理:創発@九龍城

 かつての魔窟、現在もあやしい雰囲気を残している街、九龍城にある潮州料理の名店。尖沙咀でタクシーの運転手に店の名前を告げると、あっさりと店まで行けたので、地元でもけっこう有名な店と思われる。
 有名店であれど、店の外観と中は、もっぱら地元民の使う中華大衆食堂という感じであり、知らないとまず訪れない店ではある。

【創発】
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 店の前には、潮州料理のシンボルである生鮮魚介類の水槽。
 客はこれらの素材を選んで、料理してもらうことが可能である。

【店内】
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 店内入ってすぐには、このように料理が並べられている。これらは温めるだけで、すぐにテーブルに運んでくることができる。

【店内】
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 店内にはこのようにずらりとメニューが書かれてある。
 中華料理の特徴として、これらは一品だけで4~6人前はあるので、本場の中華料理を食べに行くときは、人数をそろえて行く必要がある。そうでないと、一皿だけで満腹、ということになってしまう。

【鶏のスープ】
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 いろいろなメニューを頼んだけど、最初に出て来たスープでみな感嘆。
 鶏の出汁は濃厚なのに、くどくなく、旨さだけを取り出したような感じのもので、この店の料理の技術の高さがよくわかった。
 なかの具材の、茸、野菜、それにフカヒレも上質なもの。

【料理】
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 頼んだ料理をずらずらと。
 巨大蝦蛄の唐揚げは、蝦蛄そのもの自体が見事。鶏肉は無駄な味付けを抑え、鶏の味そのもので勝負している。鵞鳥の肝はまったく臭みやえぐみがなく、とても上品な味に仕上げている。貝と野菜のスープ、豚肉ローストも素材の味重視の立派なもの。
 どれも美味であったが、ただ料理によっては日本人にとっては塩味が強めなものがあり、その手のものが苦手な人にはちょっと困るかも。

 この店は前評判通り、潮州料理の名店であって、まだまだ注文できていないメニューがたくさんあることから、ぜひともまた来てみたい。

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February 28, 2019

香港 音楽と食の旅

 毎年春に香港で開かれる芸術祭で当代一流のアーティスト達の演奏を楽しみ、かつ香港特有の多彩な中華料理も満喫しようという、恒例の音楽と食の旅に、今年も行ってきた。

 初日、香港に夕方到着。
 演奏会は午後8時からで、夕食はその後10時からというゆっくりプランなので、ホテルでのんびり寛いでそれから出かけようと思っていたら、スマホのグループメールに「演奏の前にホール近くの料理店で小腹を満たしてからコンサートに行きましょう。皆そろっています」とのお知らせが。
 それで、せっかくなのでその料理店へと。

【華苑 潮州閣】
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 この店は予約とかはしていなかったのだけど、ネイザンロード界隈を歩いていて、よさげな雰囲気の店なので入ってみたとのこと。
 私が着いたときにはだいぶ料理が来ていて、みなわいわいと楽しく騒いでいた。
 潮州料理の店のようで、素材をシンプルに味付けした料理の数々。一通り食べたのちの〆は、炒飯に焼そば。
 美味しかったけど、「小腹を満たす」なんて量ではなかったな。ビールもさんざん飲んだし。

【NHK交響楽団】
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 食事を済ませたのち、すぐ近くの文化センターホールに行き、NHK交響楽団による演奏を観賞。
 プログラムは、(1)武満 徹/ハウ・スロー・ザ・ウィンド (2)ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調 (3)プロコフィエフ/交響曲 第6番という何やら玄人好みの構成。指揮はN響首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィ氏。

 香港に来てまでN響を聞かなくとも、という気がしないでもないが、この芸術祭は各国の一流オーケストラが来ているので、それらと日本のオーケストラの聴き比べが出来て、ためになった。

 曲のなかでは、ラヴェルが一番良かった。曲そのものが親しみやすいし、ピアノを弾いたツゥオ・チャン氏も大変なテクニシャンで、快適なリズム・メロディに溢れたこの曲の魅力を存分に引き出していたと思う。
 武満徹の音楽については、こういうのは「音楽的教養」の勉強みたいなものなんだろうなとか思いながら聞き、プロコフィエフと共に、こんな音符が好き勝手に飛び交うような難しい音楽を正確に弾ききるN響の技量に感心した。さらには聞きながら、音楽って本来はエンターテイメントそのもののはずなのに、どうしてクラシック音楽の歴史は、その本質と離れる方向に進んでしまったのだろうとかいろいろ考えた。

【潮福蒸気石鍋】
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 演奏会のあとは、尖沙咀の料理店「潮福蒸気石鍋」。
 この店の料理は、「中華料理」の本道とは少し外れたところにあり、潮州料理を東南アジアの料理器具を用いてアレンジしたもの。
 テーブルの上に載せてある陣笠帽みたいなのがそれで、この下に素材を置いて、蒸気で蒸すという、ある意味シンプルな料理であるが、この器具の構造に何やら秘訣があるらしく、通常の蒸し料理よりも香りや味の凝集度が増している。

【素材】
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 こういうふうに生きている新鮮な具材を展示して、それらをチョイスして調理してもらうのが潮州料理の特徴である。

【料理】
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 この店では様々な素材を蒸したあと、それらから滴り落ちたエキスによるお粥で〆るという流れになっているので、まずは鍋底に米と具を敷く。

【料理】
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 貝、魚、海老、鶏肉、野菜、糸瓜等々が、高圧蒸気で一気に調理され、次々に出てくる。

【お粥】
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 そして、全部の素材が蒸されたあと、それらの全てのエキスを吸い込んだお粥がいつの間にか鍋底に出来ている。
 これがやはりとても見事な味。

 日本にはない珍しい料理であり、普通に美味しいので、香港に来た際はぜひ経験すべき店だと思う。

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March 09, 2018

潮福蒸気石鍋@尖沙咀

 香港食べ歩きツアーは、「確実に美味しいものが食べられる定番の店」と「珍しい料理を求めての新規開拓店」の組み合わせで構成されている。
 今回の新規開拓店の第一は、尖沙咀の「潮福蒸気石鍋店」。

 料理は海鮮蒸し+雑炊であって、いかなるものかの説明が少々しいのであるが、写真を使って説明。

【素材】
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 蒸しものは、これらの海鮮ものから選ぶ。タラバガニやロブスターのような高級海鮮もあり、貝類、魚類、種類はさまざまである。

【薬味】
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 蒸し上げられた素材は、好みの薬味で味をつけて食べる。
 四川の名物火鍋料理と同じような方式である。

【石鍋】
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 これがこの料理の肝要なところである。
 蒸し鍋に水のみを張るのでなく、米やホタテなどを入れて加熱する。ここから蒸気を出すと同時に、上で蒸された素材のエッセンスが下に零れ落ちて来ることから、それらば混ざり、複雑にして濃厚な味の雑炊がのちに誕生する仕組みである。

【蒸したもの】
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 浅蜊、ホタテ、ハタ、海老、鶏肉、野菜、等々が蒸されて、各人の好みのたれをつけて食される。
 ただ蒸すものはおもに海鮮のものなので、もとより塩味がついており、素材がいいものを使っているので、タレなしで十分に美味しかった。

【雑炊】
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 海鮮蒸しを存分に食べたところで、〆はこの雑炊。
 各素材の良いところがミックスされた豊穣な味の雑炊であり、みごとに〆ることができた。
 日本ではみかけないユニークな料理であり、おもしろい食体験をあじわえた。

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February 29, 2016

陸羽茶室@香港中環

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 香港滞在最終日の朝食は、香港島に渡って「陸羽茶室」で。
 この店、歴史ある、飲茶の有名店である。
 80年におよぶ歴史を持ち、その一階は特に重厚な造りであり、たいへん趣があるのであるが、基本的には常連さん専用のスペースとなっている。
 まあ、出て来る料理は1階でも2階でも3階でも一緒なので、料理そのものはどこでも楽しめるのだが、この一階の一種浮世離れした雰囲気で食べる飲茶は、やはり是非にとも経験したいものである。

 我々は幸運なことに、この店に40年間ほぼ毎日通っているという超常連氏が予約を取ってくれたおかげで、この店の一階、しかも個室を使うことができた。
 ここでの幹事氏は現地在住の香港の方であり、その人にまかせれば、その季節の旬が外れなく次々と出て来る。
 その点心をほおばりながら、現地の人と楽しく歓談し、「飲茶」の楽しみを存分にあじわえた。

 ところで、今回は少し変更点があった。
 飲茶とは、とうぜんお茶を楽しみながらの食事なのであるが、今回のツアー初参加の一女性がうわばみであり、こんな美味しい点心は酒なしでは勿体ない、と主張し、結局朝から紹興酒をがんがんと飲むことになった。
 みんな、こういう飲茶店に紹興酒とか用意されているのかなあと思っていたのだが、試しに注文するとちゃんとありました。

 というわけで、朝から酒を飲みながらの飲茶という、少々反則的な宴となったのであった。

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February 28, 2016

広東料理: 龍景軒@香港中韓

 香港文化センターでのオペラ鑑賞が終わったのちは、船で香港島に渡り、そしてフォーシーズンホテルの広東料理の名店「龍景軒」へ。
 この店は我々の香港ツアーの、メインの定番店となっている。龍景軒は、一度でもその料理を経験すると、普通に考えて世界中の中華料理の最高峰の店と思われるゆえ、香港を訪ねたときには外せないのだ。
 ただしそういう考えを持っている人は大変多いので、龍景軒は予約を取るのも困難な店になっている。ところが、我々には強い味方がいて、現地滞在のとある人が、龍景軒の料理にほれ込み、毎日のように通っている常連さんとなったので、その人を通せば予約は取りやすくなっており、今回はその常連氏経由で、予約がGetできた。

 その常連氏が、通いつめていて、気に入った料理をリストアップし、そのリストを造って我々に送ってくれた。それに従って、龍景軒のディナーが始まる。

【突出し】
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 突出し、といっていいのかどうかは知らないけど、とにかく最初に出て来る料理。
 イカのフリットであり、そのへんの居酒屋でも出て来るような一品であるが、揚げたてであり、適度な香辛料が加えられ、ホコホコほかほかの食感と食味がたまらない。
 これを一口、口に入れただけで、「ああ、この店は素晴らしい」と分かる、そういうスタート料理である。

 そして、これからの料理は、常連氏のお勧めに従っての料理。

【潮蓮静焼鵝】
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 出て来たときは、北京ダック? と思ったが、これは鵞鳥を焼いたもの。
 皮はパリパリ、中の身はほっこりジューシーであり、素材の良さと、焼きの技術が一体化して、素晴らしい料理となっている。
 「素材と技術」。このどれもが傑出しているのが、龍景軒の料理である。

【沙薑浸乳鴿】
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 いわゆるジビエ料理になるのであろうか?
 鳩を柔らかく煮て、特徴あるソースを和えた料理は、鳩の個性がよく出ている。
 鳩って、ふだん食べる食材ではないのだが、食べれば独特の香りと食味があり、これはもっともっと知られてよい食材だと思う。

【上湯】
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 このスープは常連氏が先に連絡していないと出てこない特別料理。
 この店の鍋系統の料理のベースとなるスープが、ただそのまま出された。
 で、これを食すと、なるほど、足し算の美学が現れて来る。
 京都とかの鋭い出汁に比べ、このスープはとにかく香りも味も豊潤である。
 だから上湯を使った料理は、このスープに負けぬ、強い味と香りの具財がこれに合わされていくわけだ。

【皇湯鶏絲羹】
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 こういう椀物料理が、じつは一番店の実力が分かる。
 濃厚にして、豊かな味のスープに、鶏肉、キクラゲ、野菜、茸があわさり、賑やかなハーモニーを奏でる、豪華にして洗練された料理。
 香港に来て良かったなあ、と嬉しくなります。

【黒松露蟹肉春巻】
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 中華料理は、料理の名前を見ても、どういう料理かよく分かりにくいのであうが、この料理は簡明。蟹肉と黒トリュフの春巻きである。
 蟹肉はぎっしりと詰め込まれており、蟹の香りが豊か。それにアクセントを加えるように、ひっそりと黒トリュフが香りを添え、なんとも贅沢な香りの料理となっている。

【有機黑蒜爆大千蝦球】
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 海老と無臭ニンニクの豆鼓炒め。いわゆる海老チリである。
 見た目は雑多だが、それぞれの素材がうまく引き立っており、なにを、どこを食べても美味しい。

【鮑汁一品魚肚煲】
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 先の「上湯のみスープ」で、この店の出汁の実力は分かったが、さらにそれに足し算を加えて、スープをもっと豊かにしたのがこの料理。
 魚の浮き袋に、鮑、海老、帆立まで加えているのだから、どれほど美味くなるのが、書いただけでも、見ただけでも分かる料理。で、食えばノックアウト。
 今回のコースの、これが最高峰。たぶん。

【秘製扣迷你元蹄】
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 豚の膝の煮込み。
 元の豚の味がよく分からぬまでに、濃厚なスープで煮られ、とろとろになっており、それを食せば官能的な食感が得られます。
 その味、見た目はこってり系統だけど、じつは洗練された味わいの料理。

【銀芽炒素菜】
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 いわゆる野菜炒め、というかモヤシ炒め。
 それぞれの素材に独自の火入れが為され、どれも食感が異なり、食べていてとても楽しい野菜料理。

【デザート】
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 デザートは、この店の代表作の「マンゴー サゴクリーム」は外せません。


 それやこれやで、龍景軒の旬の名料理をたらふく食べたディナー。
 もう大満足。
 この店に来るためだけでも、香港を訪れる価値はある。
 ミシュラン三つ星の定義がぴったり当てはまる名店である。

 じつは今回は、常連氏とまた会えることを期待していのであるが、よんどころない事情で常連氏は来れなくなり、それが残念であった。
 この店の予約をしていただき、そしてこのような素晴らしいコースを用意していただいたことを、あらためて心より感謝。
 来年は是非とも、龍景軒で。

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飲茶:龍皇酒家@銅鑼湾

 香港滞在2日目のランチは銅羅湾の「龍皇酒家」にて。
 ここは我々のツアーの定番の店であり、香港に来たら必ず寄る店である。
 料理の特徴は、とにかく種類が多くて、そしてそのいずれもが高水準の美味さであることだ。さらには、素材、技術の高さに比べ、値段もリーゾナブルであり、最後の会計のときに、「え、この値段でいいの?」と誰もが思ってしまう、すばらしいCPの良さもまた魅力である。

 この店では、最初にメニューの伝票があり、それにチェックして、それから料理が運ばれてくる形式。どれもこれも美味しそうな料理であるが、なにしろ種類が多く、そして満腹になる量が限られている以上、無制限には味わえないのが残念。

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 ずらずらと料理の写真を並べたけど、とにかくどの料理も美味しい。

 そして、この店は地元民がもっぱら使う店であり、今回訪れた他の三つ星レストランとは雰囲気がまったく異なっており、「美味いものを楽しく食おう」という意気込みの人ばかりが集う店であって、それゆえ、美味いものを食うぞ~との活気が店全体に満ちていて、たいへん心地よい。
 まあ、だから人気も高く、予約を取るのが大変な店になっているのが少々困ったものなのであるが。

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