香港

March 09, 2018

潮福蒸気石鍋@尖沙咀

 香港食べ歩きツアーは、「確実に美味しいものが食べられる定番の店」と「珍しい料理を求めての新規開拓店」の組み合わせで構成されている。
 今回の新規開拓店の第一は、尖沙咀の「潮福蒸気石鍋店」。

 料理は海鮮蒸し+雑炊であって、いかなるものかの説明が少々しいのであるが、写真を使って説明。

【素材】
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 蒸しものは、これらの海鮮ものから選ぶ。タラバガニやロブスターのような高級海鮮もあり、貝類、魚類、種類はさまざまである。

【薬味】
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 蒸し上げられた素材は、好みの薬味で味をつけて食べる。
 四川の名物火鍋料理と同じような方式である。

【石鍋】
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 これがこの料理の肝要なところである。
 蒸し鍋に水のみを張るのでなく、米やホタテなどを入れて加熱する。ここから蒸気を出すと同時に、上で蒸された素材のエッセンスが下に零れ落ちて来ることから、それらば混ざり、複雑にして濃厚な味の雑炊がのちに誕生する仕組みである。

【蒸したもの】
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 浅蜊、ホタテ、ハタ、海老、鶏肉、野菜、等々が蒸されて、各人の好みのたれをつけて食される。
 ただ蒸すものはおもに海鮮のものなので、もとより塩味がついており、素材がいいものを使っているので、タレなしで十分に美味しかった。

【雑炊】
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 海鮮蒸しを存分に食べたところで、〆はこの雑炊。
 各素材の良いところがミックスされた豊穣な味の雑炊であり、みごとに〆ることができた。
 日本ではみかけないユニークな料理であり、おもしろい食体験をあじわえた。

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ラフマニノフピアノ協奏曲第3番@ ピアノ:マツーエフ

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 近頃毎年訪れている、春の香港芸術祭。
 今回のメインの目的は、マツーエフのピアノ演奏によるラフマニノフ協奏曲。
 超絶的なテクニックの持ち主で有名なマツーエフの得意とする曲であり、期待大である。

 舞台にマツーエフが現れると、熊なような立派な体格であり、まずそれに驚かされる。
 そして演奏が始まると、いきなり音量がでかい。まるでピアノに何か仕掛けがあるかのごとく、通常のピアニストの音をはるかに越える音が鳴り響き、鍵盤の端から端までの全領域から豪快な音が立ち上がり、音楽は迫力満点で進んでいく。
 まるで、シベリアの原野を、重たい客車を引きずりながら、ありったけの石炭を燃やしながら疾走する、巨大機関車のようなイメージが浮かんでくる。
 この曲の特性として、ピアノは始終鳴りまくっているのであるが、マツーエフは常に全開で音を鳴らし、そこには繊細さや玄妙さといった芸術性にはなきに等しいが、しかしこの曲にはそんなもの無用とばかりに、楽譜が持っているパワーを、限界まで、いや限界を超えてまで解放し、やりたい放題で、輝ききらめく音をホール中に駆け巡らす。そのテンションは、エンディングに向けて、加速、増幅していき、最後は観客をぶん殴るかのごとき、和音の巨大な柱が群れをなしてステージから飛んできて、観客は圧倒されて、幕となる。しばしの沈黙ののち、観客からは大歓声、それから大拍手。

 いやはや、凄いものを見せてもらい、聴かせてもらった。
 まさに名人芸、ヴィルティオーソとはこの人のことを言うのだと思った。

 CDで聴くだけでは分からない、生のコンサートの真の魅力を久々に経験できた。

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香港100万ドルの夜景

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 香港といえば、その美しさから「100万ドルの夜景」と称される、香港一帯を見下ろすヴィクトリア・ピークからの夜の眺めが、一番の名物である。
 しかし近年は中国大陸からの大気汚染物質により、空気がよどんでいるために、夜景はその美しさを減じてしまって、100万ドルは、今では「50万ドル」あるいは「10万ドル」なみにデフレを起こしてしまっていた。
 私も4年前に初めて香港を訪れた時に、初日真っ先に観に行ったのが夜のヴィクトリア・ピークであったが、残念ながら天気は晴れなのに、あたりはガスに覆われ、靄った空気を通してのぼんやりした香港の夜の眺めは、たいして興あるものではなかった。

 その後香港をいくど訪れても、空気のよどみは変わらず、そのうちこの100万ドルの夜景に関して興味を失っていたのだが、……今回香港を訪れたところ、終日空は澄んでおり、いつもたちこめていたスモッグのごときものは消散していた。

 これは、香港訪問5回目にして初めて100万ドルの夜景を見るチャンスだと、夜にヴィクトリア・ピークを訪れてみた。 
 そしてそこから観る、香港の夜景。 
 じつに素晴らしいものであった。

 海に陸の建物の明かりが映える、港町はどこも夜景が名物となるけど、香港の場合は、その光源である陸の建物群が複雑であり、それでここに独特の趣を与えている。
 海に近き商業地区にある現代的ビルディング群は、LEDならではの鮮やかな明かりを放ち、かつスタリリッシュであるけど、そこから離れた居住地区の高層ビル群は、数十年も前に建てられたものであり、落ちついた人の生活を示すようなあたたかな橙色の明かりを灯し、これらの長い歴史が混ざった混淆の夜景が、香港というカオスな都市の魅力を一目みれば納得させる説得力をもっていた。

 5回訪れて初めて経験することのできた、香港随一の名物「100万ドルの夜景」。
 ようやく、その名前の通りの景色を観ることができた。

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February 29, 2016

不思議物件:ペニンシュラのミニバー@香港

 香港を3度目に訪れた今回、有名ホテル、ペニンシュラに泊まることができたわけだが、いろいろと戸惑うことがあった。
 フロントがチープだとか、セキュリティボックスの場所が分かりにくいとか、バスタオルをかけるところがないとか、その他いろいろだけど、にもかかわらず、ペニンシュラ自体は、「分かりやすいホテル」を目指していることも良く分かった。
 その代表が、部屋にいくつも置かれているタブレット。
 このタブレットにより、部屋の証明、温度調節、カーテンの開け閉めが、人差し指一本で出来るので、それこそ寝ていたままで、部屋の全ての機器を制御できるのは、けっこう愉快なことであった。

 ところが、ここで本題に戻るのだが、一つ困ったのがミニバーの利用法。

【ミニバーいろいろ】
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 ペニンシュラの大きなデスクは、一番下が冷蔵庫であり、その上には酒のツマミ、ワインなどが置かれている。
 普通のホテルでは、その近くにプライスリストがあり、まずそれぞれの値段が分かり、そして使ったものはチェックを入れ、チェックアウトの際にフロントで清算というのが、ルーチンである。
 しかし当ホテルには、その伝票がなかった。
 5ツ星クラスのホテルで、そういう伝票がない場合は、冷蔵庫内の飲み物はフリーというのが常道である。それで、ここもそうなのかなあ?とも思ったのだが、それにしては、なかに入っている品々が過剰で豪勢過ぎる。どう考えても、全品フリーということはあり得ない。(スィートとかなら、あり得るだろうけど、この部屋はそんな高級ルームではない。)

 というわけで、一生懸命プライスリストを探したが、見つからなかったので、フロントに電話。

 「ミニバーを使いたいが、プライスリストがない。どこにあるのですか?」と尋ねたら、ベッドの枕もとにリストがあるとのこと。改めて探すと、そのリストは見つかることには見つかったが、それはルームサービスの食事とかのリストで、部屋の外のドアノブにかけるやつである。
 もう一度フロントに聞くと、要は枕もとにあるタブレットにリストがあるとのことで、いろいろと使い方を習って、ルームサービスの項をクリックして、そして上に並んでいるリストを左にスクロールすると、ミニバーのプライスリストが現れて来ることが判明。
 ・・・面倒であった。

【タブレット(日本語表示あり)】
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 って、これってたいへん分かりにくいと思うのだけど。
 私が分かりにくいと思うくらいだから、けっこうな数の人も分かりにくいと思うんだが。特に年配の人なんかは。

 というわけで、ペニンシュラ香港に泊まった人が、「ペニンシュラ・香港・ミニバー」で検索して、その使い方の役に立てたら、というわけで、情報提供。

 もっとも、私はミニバーの値段見て、「高え」と思っただけで、結局は酒を飲むのはホテルのBarに行ってしまい、これは実際に使ったわけではない。それでこれ以上の情報提供はできない。
 あの形式からして、タブレットのメニューリストのものをクリックして、さらに出て来る項をクリックすると、そこでチェックまで出来るような気もするのだが、やっていないのでそこまでは不明。

 なにはともあれ、異国の地で、慣れない状況に直面すると、いろいろと面倒なのであった。

【ペニンシュラBar】
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 ペニュンシュラは、新館の高層階のBarでカクテルなどを飲んだ。
 Barの雰囲気は良かったけど、感心しなかったのが、眺望。
 香港は、夜景が大事なのだけど、せっかくの展望がブラインドが一部邪魔して、ひじょうに味気ない。
 これじゃあ、ホテルの一室から夜景を眺めながら一杯やるほうが、よほど情緒があると思える。
 あのミニバーの充実具合は、このへんに原因があるのではとも勘ぐってしまった。

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ホテル:ザ ペニンシュラ香港

 香港を訪れるのも今回が3回目である。
 香港はいろいろと世界的に有名なものがあり、そのなかでも心惹かれるのが、「ペニンシュラ」。
 世界で有名なホテルを選べと言えば、上位5つには必ず入る名ホテルである。
 そういうわけで、話のネタに一度は泊まりたかったのであるが、過去2回とも満室であり、さすがは人気ホテル、泊まりようもなかった。
 しかし今回は日程が早めに決まったことから、ネットをみると空きがあり、予約がを取ることができた。
 で、泊まったペニンシュラ。
 いろいろと突っ込みどころがあるのだが、いいホテルであった。

【ホテル正面】
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 ホテルには噴水があり、そして有名なロールスロイスがとまっている。
 あらかじめ希望を伝えておけば、これで空港まで送迎してくれるのだ。

【ロビー】
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 ホテルのドアは、古典的に、誰かが来るとドアマンが開ける形式。
 そしてドアの奥には広大で、かつクラシカル、ゴージャスな空間が広がっており、「これぞ、ペニンシュラ」という世界がいきなり出現である。

【フロント】
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 でも、フロントに来ると、ん?? という気分になる。
 外資系のホテルって、フロントは極めて機能的で、職員もキビキビと働いているのだけど、ペニンシュラは、見ためぜんぜん機能的ではない。なにも近代機器のないようなフロントに、乏しい数の人員が所在なげにいるだけで、なんだか頼りない。
 まあ、私がチェックイン・チェックアウトした時は、私一人しかいなかったので、なんということもなく業務は行われたのだが、客が多いときにはどうするんだろう?と危惧するような感じ。

 とはいえ、超一流のホテルがそこに抜かりはあるわけもなく、煩雑時には、奥からスタッフが次から次へとわらわら出て来るんでしょうね。

【廊下】
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 エレベーターから下りて、廊下に出ると、これが厚い絨毯と、それから価値高そうな磁器が置かれた、美術館のような廊下。

【部屋】
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 予約した部屋は古いほうの本館の海側。
 歴史ある部屋なので「古色蒼然」という雰囲気を期待していたのだが、そこは相当にリフォームが為されていたようで、普通の近代ホテルであった。いや、普通というより、かなり近代的。
 まずは超大型テレビが特徴的で、その下には高性能そうなオーディオ、ビデオセットが並べられている。
 大きなデスクの引き出しには、ファックス装置があり、この部屋にこもっての仕事も可能そうである。
 またネスプレッソのコーヒーメーカーもあり、これで淹れるコーヒーはすこぶる美味である。

【眺め】
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 香港に泊まったからには、部屋からはあの「100万ドルの夜景」が広がる香港湾を見ながら過ごしたい。
 ただし、香港には高層ビルがたくさん建っているため、それが見える条件の部屋ってけっこう少ない。
 ペニンシュラは、目の前に低い文化センターしかないので、海側の部屋なら必ず香港湾が見られる、条件のよい立地にある。

 そういうわけで、ペニンシュラは、その部屋自体で完結した世界を持ち、ここでゆったり寝そべりながら、音楽を聞いたり、DVDを見たり、風景を眺めたりして、充実した時間を過ごす、それが正しい使いかたに思える。

 しかしながら私の香港の日々は、コンサートと食事にばかり明け暮れ、このホテルをほとんど寝るためだけにしか使えなかった。
 どーせペニンシュラに泊まるのなら、一日くらいは、じっくりとホテルそのものの魅力を楽しむ日をつくるべきだったのであろう。なにしろペニンシュラはこの素晴らしい部屋以外にも、スパ、ジム、プール、音楽室等々がゲストのために用意されており、それらが無料で使えるわけだからして。

【石鹸】
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 というわけで、ホテルに泊まっての真に残った思い出は、「とても寝心地のよいベッドで、気持ちよく眠れた」くらいしかないのだが、それでもずっと残るペニンシュラの思い出をひとつ持って帰って来た。
 これはゲスト一人一人に贈られるペニンシュラの石鹸と石鹸箱である。
 まるで宝石箱のような石鹸箱は、ペニンシュラ全体の雰囲気をよく表現していて、これを見ると、またペニンシュラに泊まりたくなってしまう。

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陸羽茶室@香港中環

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 香港滞在最終日の朝食は、香港島に渡って「陸羽茶室」で。
 この店、歴史ある、飲茶の有名店である。
 80年におよぶ歴史を持ち、その一階は特に重厚な造りであり、たいへん趣があるのであるが、基本的には常連さん専用のスペースとなっている。
 まあ、出て来る料理は1階でも2階でも3階でも一緒なので、料理そのものはどこでも楽しめるのだが、この一階の一種浮世離れした雰囲気で食べる飲茶は、やはり是非にとも経験したいものである。

 我々は幸運なことに、この店に40年間ほぼ毎日通っているという超常連氏が予約を取ってくれたおかげで、この店の一階、しかも個室を使うことができた。
 ここでの幹事氏は現地在住の香港の方であり、その人にまかせれば、その季節の旬が外れなく次々と出て来る。
 その点心をほおばりながら、現地の人と楽しく歓談し、「飲茶」の楽しみを存分にあじわえた。

 ところで、今回は少し変更点があった。
 飲茶とは、とうぜんお茶を楽しみながらの食事なのであるが、今回のツアー初参加の一女性がうわばみであり、こんな美味しい点心は酒なしでは勿体ない、と主張し、結局朝から紹興酒をがんがんと飲むことになった。
 みんな、こういう飲茶店に紹興酒とか用意されているのかなあと思っていたのだが、試しに注文するとちゃんとありました。

 というわけで、朝から酒を飲みながらの飲茶という、少々反則的な宴となったのであった。

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February 28, 2016

広東料理: 龍景軒@香港中韓

 香港文化センターでのオペラ鑑賞が終わったのちは、船で香港島に渡り、そしてフォーシーズンホテルの広東料理の名店「龍景軒」へ。
 この店は我々の香港ツアーの、メインの定番店となっている。龍景軒は、一度でもその料理を経験すると、普通に考えて世界中の中華料理の最高峰の店と思われるゆえ、香港を訪ねたときには外せないのだ。
 ただしそういう考えを持っている人は大変多いので、龍景軒は予約を取るのも困難な店になっている。ところが、我々には強い味方がいて、現地滞在のとある人が、龍景軒の料理にほれ込み、毎日のように通っている常連さんとなったので、その人を通せば予約は取りやすくなっており、今回はその常連氏経由で、予約がGetできた。

 その常連氏が、通いつめていて、気に入った料理をリストアップし、そのリストを造って我々に送ってくれた。それに従って、龍景軒のディナーが始まる。

【突出し】
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 突出し、といっていいのかどうかは知らないけど、とにかく最初に出て来る料理。
 イカのフリットであり、そのへんの居酒屋でも出て来るような一品であるが、揚げたてであり、適度な香辛料が加えられ、ホコホコほかほかの食感と食味がたまらない。
 これを一口、口に入れただけで、「ああ、この店は素晴らしい」と分かる、そういうスタート料理である。

 そして、これからの料理は、常連氏のお勧めに従っての料理。

【潮蓮静焼鵝】
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 出て来たときは、北京ダック? と思ったが、これは鵞鳥を焼いたもの。
 皮はパリパリ、中の身はほっこりジューシーであり、素材の良さと、焼きの技術が一体化して、素晴らしい料理となっている。
 「素材と技術」。このどれもが傑出しているのが、龍景軒の料理である。

【沙薑浸乳鴿】
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 いわゆるジビエ料理になるのであろうか?
 鳩を柔らかく煮て、特徴あるソースを和えた料理は、鳩の個性がよく出ている。
 鳩って、ふだん食べる食材ではないのだが、食べれば独特の香りと食味があり、これはもっともっと知られてよい食材だと思う。

【上湯】
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 このスープは常連氏が先に連絡していないと出てこない特別料理。
 この店の鍋系統の料理のベースとなるスープが、ただそのまま出された。
 で、これを食すと、なるほど、足し算の美学が現れて来る。
 京都とかの鋭い出汁に比べ、このスープはとにかく香りも味も豊潤である。
 だから上湯を使った料理は、このスープに負けぬ、強い味と香りの具財がこれに合わされていくわけだ。

【皇湯鶏絲羹】
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 こういう椀物料理が、じつは一番店の実力が分かる。
 濃厚にして、豊かな味のスープに、鶏肉、キクラゲ、野菜、茸があわさり、賑やかなハーモニーを奏でる、豪華にして洗練された料理。
 香港に来て良かったなあ、と嬉しくなります。

【黒松露蟹肉春巻】
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 中華料理は、料理の名前を見ても、どういう料理かよく分かりにくいのであうが、この料理は簡明。蟹肉と黒トリュフの春巻きである。
 蟹肉はぎっしりと詰め込まれており、蟹の香りが豊か。それにアクセントを加えるように、ひっそりと黒トリュフが香りを添え、なんとも贅沢な香りの料理となっている。

【有機黑蒜爆大千蝦球】
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 海老と無臭ニンニクの豆鼓炒め。いわゆる海老チリである。
 見た目は雑多だが、それぞれの素材がうまく引き立っており、なにを、どこを食べても美味しい。

【鮑汁一品魚肚煲】
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 先の「上湯のみスープ」で、この店の出汁の実力は分かったが、さらにそれに足し算を加えて、スープをもっと豊かにしたのがこの料理。
 魚の浮き袋に、鮑、海老、帆立まで加えているのだから、どれほど美味くなるのが、書いただけでも、見ただけでも分かる料理。で、食えばノックアウト。
 今回のコースの、これが最高峰。たぶん。

【秘製扣迷你元蹄】
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 豚の膝の煮込み。
 元の豚の味がよく分からぬまでに、濃厚なスープで煮られ、とろとろになっており、それを食せば官能的な食感が得られます。
 その味、見た目はこってり系統だけど、じつは洗練された味わいの料理。

【銀芽炒素菜】
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 いわゆる野菜炒め、というかモヤシ炒め。
 それぞれの素材に独自の火入れが為され、どれも食感が異なり、食べていてとても楽しい野菜料理。

【デザート】
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 デザートは、この店の代表作の「マンゴー サゴクリーム」は外せません。


 それやこれやで、龍景軒の旬の名料理をたらふく食べたディナー。
 もう大満足。
 この店に来るためだけでも、香港を訪れる価値はある。
 ミシュラン三つ星の定義がぴったり当てはまる名店である。

 じつは今回は、常連氏とまた会えることを期待していのであるが、よんどころない事情で常連氏は来れなくなり、それが残念であった。
 この店の予約をしていただき、そしてこのような素晴らしいコースを用意していただいたことを、あらためて心より感謝。
 来年は是非とも、龍景軒で。

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オペラ: シモン・ボッカネグラ@ヴェルディ作曲

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 今回訪れた香港音楽祭でのメインの目的。
 席に着くと、最前列である。
 「オペラはなるだけ前の席で見るべきである」との幹事氏の主義により、毎年この音楽祭のオペラは最前列である。予約時には、おおざっぱな座席指定しかできないはずなのだが、そこは幹事氏の交渉力でなんとかなっている。でも、国際電話で、英語を使って、そういうけっこうややこしそうな交渉をやるって、どう考えても大変なことである。そのことに感心すると同時に、感謝することしきり。まあ、幹事氏はそういう系の仕事のプロなんだが、やっぱりプロってたいしたものだ。

 オペラは、中世期のイタリアの都市国家ジェノバを舞台にした、政争劇+家庭劇。
 主人公のシモン・ボッカネグラは、海賊の親分にして、ジェノバ共和国の初代総督、悲恋の当事者であり、生き別れの娘の庇護者、といろいろな役割を持っていて、それらの役割に個性的な人物がからみ、複雑な筋となっている。
 ヴェルディのオペラは、だいたい脚本がしっかりしているが、このオペラもそうであり、劇の部分だけ観ていても面白い。そして曲もヴェルディの円熟期のものだけあって、どの場面でもそれにふさわしい音楽が流れていた。

 アバドの指揮も、元気のよい、リズム良く、伸びやかな音が鳴っていて、イタリアオペラにふさわしい演奏であった。

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飲茶:龍皇酒家@銅鑼湾

 香港滞在2日目のランチは銅羅湾の「龍皇酒家」にて。
 ここは我々のツアーの定番の店であり、香港に来たら必ず寄る店である。
 料理の特徴は、とにかく種類が多くて、そしてそのいずれもが高水準の美味さであることだ。さらには、素材、技術の高さに比べ、値段もリーゾナブルであり、最後の会計のときに、「え、この値段でいいの?」と誰もが思ってしまう、すばらしいCPの良さもまた魅力である。

 この店では、最初にメニューの伝票があり、それにチェックして、それから料理が運ばれてくる形式。どれもこれも美味しそうな料理であるが、なにしろ種類が多く、そして満腹になる量が限られている以上、無制限には味わえないのが残念。

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 ずらずらと料理の写真を並べたけど、とにかくどの料理も美味しい。

 そして、この店は地元民がもっぱら使う店であり、今回訪れた他の三つ星レストランとは雰囲気がまったく異なっており、「美味いものを楽しく食おう」という意気込みの人ばかりが集う店であって、それゆえ、美味いものを食うぞ~との活気が店全体に満ちていて、たいへん心地よい。
 まあ、だから人気も高く、予約を取るのが大変な店になっているのが少々困ったものなのであるが。

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February 27, 2016

ガラコンサート:ロベルト・アバド指揮 トリノ王立歌劇場管弦楽団

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 今回の香港音楽祭のメインは、トリノトリノ王立歌劇場管弦楽団を率いてのアバドのヴェルディのオペラ「シモン・ボッカネグラ」。
 その前日にガラコンサートが開かれた。
 演目は前半がヴェルディの歌劇からの抜粋。後半はヴァグナーの楽劇からの抜粋であった。

 この指揮者、ナマを聞くのは初めてであったが、たいへんリズミカルで、ノリのよい、快調な、それこそ「いかにもイタリア」という演奏をする。そのスタイルがヴェルディの曲によくあっていて、前半のプログラムはたいへん楽しめた。
 ただし、後半のヴァグナーをそのノリのままでいったら、どうにも違和感ありまくりになってしまうのではないかとも思った。プログラムは、「さまよえるオランダ人序曲と水夫の合唱」「パルシファル 聖金曜日の音楽」「タンホイザー序曲 巡礼の合唱」の3曲である。

 後半はオランダ人序曲から始まった。そして、演奏スタイルは前半同様であった。
 軽く、優しく、快調なテンポで、あの呪われた船長の物語が語られていく。うーむ、と最初のうちは当惑したが、だんだんと面白く感じられてきた。あの北の海を描写した、荒れ狂う波濤のうねりが押し寄せて来る情景が、アバドが棒を振ると、まるで南国の、波は高いけど、透明で、光に満ちた美しい海の情景になり、そこを走る船は、スポーティな快遊艇である。聞いてて心地よく感じられ、これはこれでありと思えた。タンホイザー序曲も同様であり、そこにドイツ式の金管群の暗い咆哮はなく、リズミカルな若者たちの元気溌剌な行進曲のような、元とはベツモノになっていた。
 そうして、一番の問題になると思われたパルシファル、これがじつはたいへん良かった。
 パルシファルは、「音楽家が、音楽の枠を超えて、宗教をも創造した」という、音楽史上の特異な曲であり、そこにはヴァグナー教祖による、独特の宗教観が濃厚に詰め込まれている。だからこの曲を演奏する場合は、どうしてもヴァグナー教の宗教儀式みたいになりがちなのだが、アバド流の演奏では、そういう宗教的背景はいっさい取り払われ、音楽がナマの姿で光のもとにさらされて、じつに明快に演奏される。まるで室内楽のように、一つ一つの楽器の音が明瞭に鳴らされ、そしてスムーズに流れて行く。そうなるとですね、これが美しいのである。パルシファルってこんなに旋律が美しく、楽器も美しく鳴る曲って、初めて知った。聖金曜日のテーマを奏でる管楽器のリレーのところは、ただただひたすらに美しく、私は、感動いたしました。
 まあ、あとでの皆での雑談のとき、クラシカルなヴァグナー好みの人の意見は、「やっぱり、あれはダメ」とのことであったが。


 アバドは指揮姿も優雅であり、まるで踊るかのように全身を使って指揮をしており、こういう指揮だからこそ、ああいう流れのよい音楽が作れるのかと思い、聞いても良し、眺めても良しの、素晴らしい指揮者であった。

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