晴れた日には、パリを歩こう
今回のフランス旅行はモン・サン=ミッシェル ツアーとレストランの予約だけしており、その他はなにをする予定もいれていなかった。
天気が良ければパリ市内を散策。雨ならば美術館にこもる、というその場対応でいこうと思っていたが、パリ滞在中はずっと好天、それも好天すぎるほど好天だったため、結局はひたすらパリを散策するということになった。
パリ市内でもひときわ目立つ金色のドーム教会。
フランスの最大のスターであるナポレオン1世の墓でもある。
名所アンヴァリッドからセーヌ川を渡って、次なる名所グランパレへ行くとき渡る橋。
アールヌーヴォ調の街燈や金ピカの彫刻で飾られた、セーヌ川にかかる多くの橋のなかで最もきらびやかな橋である。
エッフェル塔は、パリを歩いていて、建物が切れたところではかならずその姿を見ることができる。いい目印だ。
パリの中心地、コンコルド広場。噴水とオベリスクで有名
ここはフランス革命の無慈悲さ、残虐さを象徴する陰惨な場所であったが、長き年月がたち、いまではそれを伝える縁(よすが)ももない、平穏な観光名所となっている。
コリント式円柱の立ち並ぶ威風堂々たる建物、まるでローマ時代の神殿のようだが、じつはカソリック教会である。
なかに入ると、たしかに教会であった。
この教会は、立派なパイプオルガンを持ち、音楽好きにはかのフォーレのレクイエムが初演されたことで有名。しかし、この荘厳な内装と、あの静謐、清澄な音楽とはちょっと取りあわせが悪い気がした。
三色旗が街路に沿って並ぶは、シャンゼリゼ通り。
本日歩くと通りに沿って観覧席があり、そしてゴミも散らかっていた。なぜかというとパリ最大のお祭り「パリ祭」が一昨日開かれ、その後片付けがまだ終わっていなかったのである。
シャンゼリゼ通りは凱旋門へとつながっている。
ここまで来たら、凱旋門に登ってパリ市街をながめよう。
パリというのは近代で大改造された都市であって、このように凱旋門を中心として、放射状に道路が築かれ、それを基盤として建物が立てられている。
パリ全体を眺めるのに適した場所がいくつかあるが、モンマルトルの丘からの眺めがまたいい。
地下鉄駅からおりてすぐの坂道を登っていって、それからパリを眺めよう。
ルーブル美術館はなかの収蔵品はもちろん素晴らしいが、建物そのものも立派な美術品。
なかに入ると、一日たっても終わらないので、今日は外を見るだけ。
ルーブルからシテ島に行く途中に、有名な橋ポンヌフがある。「新しい橋」という意味だけど、じつは古い。
フランスのみならず、ヨーロッパのゴシック建設を代表するノートルダム大聖堂。
正面から見るツインタワーがまず威厳がある。
有名な観光地であるので、観光客も多く、照りつける日のもと大行列がならんでいる。
ノートルダム大聖堂は建物も素晴らしいが、巨大なステンドグラスもまた素晴らしい。
この幻想的にまで美しいガラスの色は、今の技術では再現できないそうだ。
シテ島を南方向に歩いて、リュクサンブール公園へ。
「花の都」パリらしい、花に満ちた華やかな公園だ。
建物を眺めるだけでなく、買い物もまたパリの魅力。
パリ一のデパート、ギャラリー ラファイエットは品揃えがたいへん豊富である。
美しい店内でそれらの品物を見ながら歩こう。
パリ、今回市内を歩いてみてのまず感じた印象、というか違和感は、夏休みシーズンというのに日本人が少ないなあというものであった。
その私の感想は正しく、あとでパリ在住の日本人ガイドさんから聞いたことでは、一昨年のパリの多発テロで、日本人のパリ観光客は激減し、いまだ回復していないそうだ。一方でアメリカ、中国等の国の観光客の数は回復しているのに。
それでパリの日本人ガイドさんたちにとって、それは死活問題でもあるので、たいへん嘆いていた。ガイドさんたちに言わせると、「日本って、台風、地震、津波、洪水等々、フランス・パリよりはるかに危険な国なのに、なぜパリに来るのを躊躇するのかわからない」とのこと。理屈はそうなのだが、人間は理屈よりも感情で行動するから、それはどうもこうもならんでしょう。
まあなにはともあれ、パリに今回来られた人たちで、パリを良いところと思った人は、SNS,ブログ、口コミ、とにかくなんでもいいからパリを宣伝してくださいと、ガイドさんに要望された。
・・・パリは憧れの都市といわれるわりには、道にはゴミやタバコが散らかり放題だし、趣ありそうな建物はじつは古びて小汚いし、交通機関のプリペイドカードは使い勝手が悪いし、列車の運行・案内はいいかげんだし、職業的スリ団、詐欺団は市内を跋扈しているし、オフィシャルは不親切、ぶっきらぼうだし、公衆トイレ環境は劣悪だし、飲食店の閉店時間は早いし、いざじっさいに訪れてみると、世界有数の観光都市としてはいかがなものか、と思わせることが多い。
しかしながらそういうのを全部含めて、清濁あわせのむ、独自の都市パリの個性を形成しているともいえ、やはり魅力あふれる都市であるのは間違いない。なにより私のように飽きっぽい者でさえ、3回も訪れているくらいだから。
そういうわけで、ガイド氏たちの要望にこたえて、パリの写真日記をUPした次第。
ただし、もし次訪れるとしたら、夏はぜったいにやめようと思った。
パリは緯度が日本でいえば北海道と同じようなものなので、夏でも涼しいと勝手に思い込んでいたら、東京なみに暑かった。それなのに、あちらの人たちは暑さに強いのか、タクシーも、ホテルもエアコンなしは当たり前であり、ずいぶんと体力を消耗させられた。
夏にヨーロッパに行くなら、北欧か、スイスだなあ、という感想が今回のパリ行で得た最大の教訓であった。