白トリュフの会をベルエポックで
秋の味覚の代表的なもののうちの一つは白トリュフ。
この珍味、以前と比べて値段が高騰してしまい、地方のレストランでは秋にレギュラーに味わえる、というものでなくなってしまったのだが、今回幹事のW氏がレストランに強引に取り寄せてもらい、白トリュフの会開催となった。
イタリアのウンブリア州産の白トリュフ。白トリュフは掘り出されてからは、どんどんと香りの劣化が進むので、素早く空輸し、そして素早く食うことになる。
それにしても、ガラス容器を開けた瞬間、広いレストラン全体を満たすかのような強烈な香り。まさに、香りの王様である。
トリュフはその後ずらずらと出て来るので、まずは幕開けの前菜。
佐々木シェフの力量を示す、美しく華やかな一皿。
日南赤鴨の柔らか角煮。これに、薄く白トリュフの一片を載せて。
宮崎産山崎牛のエスカロープ。それに松茸を添えて。
山崎牛は先日、神戸牛の品評会で農林水産大臣賞を受賞したことで話題になり、それでそれを記念して宮崎に逆輸入して、今回の料理に登場。
これは和風仕立てで、松茸を使っているため、さすがに白トリュフは使用されていない。
串間産の平目のポワレ。それに白トリュフと卵黄にトリュフを加えたもの。
平目の火の入れ方は相変わらず抜群。ただし白トリュフと平目は相性は良いとはいえず、かえってトリュフとよく合う卵黄のほうが主役になっていた。
オマール海老とポルチーニ茸のラビオリ。
オマール海老がとにかくいい素材で香り、味、歯ごたえ、どれも見事。
蝦夷鹿のロースト、赤ワインソーズ。
これに白トリュフをたっぷりと載せて。
白トリュフの豊潤な香りは素晴らしいもので、こうして画像を見るだけで、香りが画面から漂ってきそうである。
そして、今回のコース料理はシェフ渾身のものであり、素材も調理も抜群の精鋭ぞろい。それで、これに白トリュフを加えると、最強の料理になるかといえば、それがそうともならないのが料理というものの面白いところで、なんだかいずれも「屋上屋を架す」という感じであって、もうちょっとシンプルな白トリュフ料理を食いたかったなあ、というのがじつの感想。
それは他の参加者も似たような感想であったようで、「トリュフが余っているならまた後日、パスタかリゾットで食べたい」との声があがり、私は木曜なら宮崎市に来れそうなので、そのあたりでまたお願いしますと言っておいた。
……その後、火曜日にメッセンジャーがポンと鳴り開いてみると、「木曜日まで香りが持たないとのことで、本日リゾットで食べました。美味しゅうございました」とのメールが、白トリュフのリゾットの画像添付つきで届いていた。
なんてこったい。
しかし、これほんと美味しそうだなあ。来年は是非とも、このリゾットをメニューに入れてもらうことにしよっと。
今回の白トリュフの会でのワイン。
どれも良かったけど、特に96年のシャンベルタン グランクリュが圧巻。
こういうのを飲むと、ワイン好きがたいていブルゴーニュマニアに行きついてしまう理由がよく分かる。