自転車旅行

January 31, 2012

広島編(4):広島市→宮浜温泉 石亭 27.7km

【朝食】
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 シティホテル系のバイキングスタイルの朝食は、たくさんの種類の美味しそうなものが並んでいて、それらでワインなりビールなりを飲むとじつに優雅な午前を過ごせるなあとよく思うが、じっさいにそれをすると一日が使い物にならなくなってしまうので、自転車走行のカロリー分のみを食べることにする。
 今日は隣の廿日市市までの30km弱程度の短距離なので、朝食(+昼食ぶん)はこれくらいにしておこう。

【ドービニーの庭@ひろしま美術館】
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 ホテルの近くに、ひろしま美術館がある。この美術館にはゴッホの晩年の傑作「ドービニーの庭」がある。この絵は数奇な来歴をたどり、日本に今あるのが奇跡のような絵なのであって、広島の宝といってもよいものである。
 この絵に描かれている建物、植物、木々、人、庭、その全てが、この世に存在することの喜びに満ちあふれた、ゴッホ特有の生命が輝く、生命讃歌のような絵である。
 ただしこの絵の完成後2週間してゴッホが自殺したのも、作品に複雑な陰を与えている。

 この絵には色々と謎があり、その一番の謎に「消えた黒猫」がある。
 ゴッホの手紙からは、この絵には、絵の精神の核となる黒猫が、絵の左下に描かれていたはずだが、現存の絵にはその姿はない。
 「黒猫はどこに行ったのか?」の謎を、ひろしま美術館は徹底して科学分析を行い、その謎をほぼ解明しており、その詳細な資料が美術館に置かれてある。

 そのネタバレはここではしないけど、絵が好きで、ミステリも好きな人にはたまらないストーリーであり、そういう人は広島市を訪れたとき、ぜひともこの美術館にもよりましょう。

【原爆ドーム】
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 絵をみたあと、宮浜温泉に向けて出発。途中に、世界遺産の原爆ドームがあった。
 人が人に対していかに残虐になれるのかを今に伝える、この貴重な遺産は、現在修復中であった。

【石亭@宮浜温泉】
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 料理が美味しいことで有名であり、一度訪れてみたかった「石亭」に到着。
 この旅館、国道から少し離れた小高いところにあり、そこまでの道が10%を超える急傾斜であり、立ちこぎしないと登れなかった。着いてから「自転車で来るには大変な宿ですねえ」と言ったところ、「すみません、でも自転車で来る人は滅多にいません」と答えられた。まあ、そうでしょうね。

 石亭はその名庭で有名でもあるが、たしかに背景の瀬戸内海と宮島とよく調和した見事な庭である。惜しむらくは、冬ゆえ樹が枯れているが、これはこれで風情がある。

【夕食@石亭】 
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 さて、お目当ての夕食。
 ・・・量と種類が半端じゃねえな。
 そしてお造り、八寸、椀物、焼物、その全てが美味く、それらを全部食べて、それからの〆の名物料理穴子飯までしっかり食う。

 〆の穴子の炊き込み御飯は穴子で満ちていて、穴子+穴子の味をたっぷり吸った御飯とで、まさに穴子!飯である。
 腹いっぱいになって、満足至極。

【夜の庭】
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 庭は夜はライトアップされていて、枯れかけた紅葉の木がそれに映え、美しい。
 庭を眺めたのち就寝。

 ・・・と真夜中に目が覚めた。
 障子を隔てた隣の部屋になにやら気配がする。ごそごそと不規則なリズムでなにかが歩いているようで、もしや幽霊?とか思ったが、足のある幽霊も変だし、幽霊なら人に危害も与えないだろうと、そのまま寝ることにしたが、やっぱり気になって寝られない。そういう不気味なものがこっちの部屋に突然入って来るようなことがあるといやなので、その正体を調べるために起きて、障子を開けてみた。
 しかし何もいない。それで明かりをつけてよくよく観察すると、エアコンの振動にあわせて、机の置物が妙なリズムで音を出していたことが判明。
 ほんとに幽霊だったら、一生使える話のネタにはなったのだが、いわゆる枯尾花というやつであった。
 原因を取り除き、それから改めてぐっすりと眠った。

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January 30, 2012

広島編(3):尾道市→広島市 88.7km

【リーガロイヤル】
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 尾道からは幹線道路の国道2号線をひたすら走って広島市に到着。
 広島市ではリーガロイヤルに泊。城側の部屋だったので、広島城を見下ろせ、これはとてもいい眺めである。
 そして部屋も広くて、ゆったりした気分で過ごせる。
 リーガロイヤルって、施設のレベルの高さのわりには値段はそんなに高くなく、CPのいいホテルだなと常々思っている。

【吉鮨】
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 広島市は食の都でもある。美味しい店が多くある。
 さて、なにを食うかなと思ったら、まずは「吉鮨」が思い浮かび、それから先に進まない。
 それで電話をかけると、あっさりと予約がとれた。中国地方を代表する寿司の名店のわりには、予約のとりやすい店なのである。

 ツマミは、煮蛸、ナマコ酒煮平、目、子鰯、子持ち昆布、穴子、鱈白子焼き、などなど。
 握りは、瀬戸内海の魚をうまくとりまぜての鮨であり、いつもながらの高い位置での安定した美味さ。じつに見事である。

 店主と、自転車で巡った各地の寿司店のことなど雑談しながら、それらのなかでもトップレベルの鮨を食いながらの楽しい時間を満喫した。

【広島の夜景】
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 ホテルに戻って、広島の夜景を堪能。
 広島市は観光都市でもあり、見るべき場所は多いけど、大部分は私は既に訪れており、そのなかで今まで訪れたことのなかった宮浜温泉(厳密には広島市ではないが)に明日行くこととした。

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January 29, 2012

広島編(2)鞆の浦→尾道 31.8km

【朝食@鴎風亭】
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 鞆の浦での朝食は、洋風のこってりしたもの。いかにもホテルの朝食といった感じである。
 本日の目的地は尾道なので距離は短く、それで午前午後とゆったりと鞆の浦を散策してみた。

【一夜干し】
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 漁師町でもある靹の浦は一夜干しが名物で、浜辺に、カマス、カレイ、サヨリ等がたくさん干されている。なかでも、サヨリがキラキラと光り、たいへんきれいである。
 食べても美味しいのだろうけど、見るだけでも名物になりうるものだ。

【仙酔島】
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 鞆の浦は、近くにユニークな地質を持つ仙酔島という島があり、鞆の浦から「平成いろは丸」という船ですぐに渡ることができる。船の名前はもちろん、坂本龍馬が所有していた船に由来。この地で沈没してしまった、という少々縁起の悪い船なのだが、まあ気にしないでおこう。

【トンネル】
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 鞆の浦からは海沿いの道を行き、途中の小高い峠を越えるさいにトンネルがある。
 このトンネル「崖の上のポニョ」に出て来るトンネルのモデルのものらしい。
 映画でのこのトンネルの役割は、一種の異次元空間への入り口であったわけだが、この古いトンネルは言われてみれば、たしかにそういう雰囲気がある。

 もっとも自転車乗りにとっては、トンネルそのものがモンスター的存在であり、長く暗いトンネルでは、ここ無事生きて出られるか?などと(特に交通量の多いとこでは)、よく思うわけで、…トンネル恐いなあ。

【尾道】
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 鞆の浦からは2時間ほど走って尾道到着。
 尾道は中国地方屈指の観光名所であり、私も何度も泊まったことがあることから、今回はpassしてもいいのだろうけど、訪れたい店があったので、尾道泊とした。その店は、串揚店「一口」。尾道の新鮮な海産物を抜群の技術で揚げる店として、名が響いている。

【一口】
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 この店は予約不可なので、確実に料理を食べたいなら、開店前に並ぶ必要がある。
 5時半開店なので、5時から寒いなか並びました。
 なお、とても人気があるというわけでもないらしく、待っていたのは私だけであった。

【一口の串揚げ】
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 さて30分待って一番の客として入り、そこで食べた一口の串揚げは、
 ・・・いやはや、美味しかったです。メニューがずらりと壁に載っているのだけど、どれも大変美味しかったので、ほぼ全部制覇しました。20本以上は食いました。
 タコ、トリガイ、イワシ、キス、カキ、アナゴ一本、ニシ、イカ、エビ、牛、トンカツ、クジラ(素揚げと串揚げ)、コバシラ、レンコン、シシトウ、アサリ、などなど。

 特に海鮮系は微妙な味付け具合と、絶妙な揚げかたで、逸品としかいいようのない揚げ料理となっていた。いわゆる「串揚げ」とは一線以上画した別の範疇の料理。
 尾道はラーメンと海産物が有名なので、尾道を訪れたときは、ラーメン店か料亭に寄っていたが、これからは尾道に来たときは「一口」に限ると思った次第。

 一口の店主は大阪の寿司屋で勤めたのち、尾道で50年くらい前に自分の店を開店。
 寿司屋で始めると設備投資が大変なので串揚げ屋にしたとのこと。修行した寿司店は、握りばかりというわけでもなく、揚げ物もするので、その時覚えた技術と、それからの独自の工夫でこの店のスタイルを築き上げたそうである。

【浅蜊の唐揚げ】
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 一口のスペシャリテの一つである、浅蜊の唐揚げ。
 これは危険なほどビールが大量に飲めてしまう、酒盗ならぬビール盗的料理。ひたすらぐいぐいとビールが飲めた。

 もっとも、隣の席の常連客は、「自分は呑み助なんだけど、この店では料理が美味すぎ、酒を飲むとせっかくの料理を食う量が減ってしまうから」と言って、その言葉通りウーロン茶一杯で大量に串揚げを食べていた。
 見習いたい態度に思えるけど、修行不足の私にはとても無理だな。

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January 28, 2012

広島編(1)倉敷→鞆の浦 58.6km

【国道2号線】
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 倉敷市からは靹の浦を目指し、国道2号線を走っているのだが、朝からずっと福山雅治の曲「Hello」が頭のなかでエンドレスに鳴っている。
 もちろん道路にずっとある「福山」の標識のせいなんだが、この景気のよい音楽が妙にペダルを回すリズムとあっており、余計にスピードが出てしまう。
 まあ、福山を抜けるまでの辛抱か。

【参考:Hello】

【鞆の浦港】
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 靹の浦港に到着。
 鞆の浦は、瀬戸内海の海の交通の要所であり、万葉集の昔から歌に詠まれるほどの重要な港であり、この一帯は古くから栄えていた港町である。
 たしかに江戸時代からの建物が、港の周りには多く、風情ある景色をつくっている。

【鞆の浦 常夜燈】
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 これは鞆の浦港のシンボルである、常夜燈。
 建てられたのは安政六年という、由緒あるものである。

【鞆の浦港】
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 鞆町には、小高いところに歴史民俗資料館があり、ここは資料が豊富であり、鞆の浦の歴史がよく分かる。
 そして、ここからは鞆の浦港を一望することができる。

【ささやき橋】
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 歴史ふるき町靹の浦には、いくつも名所があり、その一つがこの「ささやき橋」。
 神話時代の恋人の会瀬に由来する、由緒ある橋なんだが、…なんとも小さな橋である。
 全長にして、せいぜい1mくらい。
 「こりゃ、ささやき橋じゃなくて、ささやか橋だな」と、観光客が橋を見て言ったが、うまいこと言うと思った。

【鴎風亭】
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 本日は靹の浦のホテル「鴎風亭」に宿泊。
 高級感ただよう居心地のよい部屋である。瀬戸内海を眺めながら、のんびりと過ごす。

【夕食】
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 夕食はホテルのレストランにて。
 メニューは創作系の会席で、かなり洋のテイストの入ったものであった。
 二食付きで一泊35000円という宿泊料だったので、料理の値段はどんなに頑張っても5000円クラスと思い、料理にはあんまり期待していなかったが、技を多彩に使い、飽きない料理がずっと出てきた。
 部屋や接客のレベルも高く、CPはたいへん良いと思われ、予約の難しい人気ホテルという理由もよく分かった。

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January 27, 2012

岡山編(6) 鷲羽山→倉敷市 33.8km

【ぶっかけうどん】
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 「うどん県」香川から瀬戸内海を渡って岡山に来ると、名物のうどんは讃岐うどんから他のものに変わる。
ホテルに貼ってあった案内をみると、倉敷名物「ぶっかけうどん」だそうだ。
 所変われば名物も変わる。それはそれでよいのだが、値段がなんと600円!
 香川で一玉100円の世界にすっかりなれていたので、海を渡ると、こんなに値段が違うことに驚いてしまう。香川でこんな値段でうどんが出されるようになったら、動乱が起きますぜ、まじに。

【鷲羽スカイライン】
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 鷲羽山からは、岡山の観光名所倉敷市へと向かう。
 海沿いに行くとあんまり面白くなさそうなので、山越えのスカイラインを選択したが、これがけっこうハードな道であり、かなりの高さを登ることになった。
 おかげで眺めはいい道であった。

【倉敷市へ】
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 スカイラインを通り、山を下って平坦な道を通り、倉敷市へと向かう。

【倉敷市】
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 倉敷市は町並みの保存が素晴らしく、街全体として保存していることは素晴らしい。
 他の観光地だと、眺めよい街並みは、通りに面したところだけということが多いが、倉敷は小さな路に入って行っても、古き家々が残っている。

【倉敷市】
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 倉敷市は、その町並みが美しい。
 しかしながら、その美しさゆえ、観光客がたくさんいるため、やや情緒不足ではある。
 けれども、その風情ある町の面積が広いので、ひょいと小さな通りに入ったとき、エアポケットにはまったように、人訪れること少なき静かな通りを見たりもする。
 この白い漆喰の蔵の並ぶ通りは、ユトリロの絵のようでもある

【菊寿司】
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 夕食は、宿近くにあった「菊寿司」という寿司店にて。
 岡山名物といえば、ママカリであろうが、これを肴に一杯かたむける。

【シャコの握り】
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 この店の名物寿司はシャコの握りとのことでそれを頼んでみる。
 そして出て来たものは、生シャコの握りであった。しかも頭つきである。
 たぶんこの店でしか出ないようなspecial menuであった。
 …シャコは普通に茹でたほうが美味いとは思うのだが、しかしやはり地方の寿司店では、地方の食材と地方の手技を組み合わせた鮨を食ってみたいものであり、その意味ではこの鮨は頼んで正解であったと思う。

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January 26, 2012

岡山編(5) 丸亀→高松→鷲羽 59.4km

【国道11号線】
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 本日はほぼ一周した四国を脱出する日である。
 丸亀からは高松港まで瀬戸内海に沿って国道11号線を走った。四国では、香川県に入ると、うどん店が一挙に増える。そして国道11号線は幹線道路であるため、この道路に並ぶ店はドライブインなみに大箱で、だから看板も大きい。
 国道走ると、「うどん」「うどん」「うどん」「うどん」…いつまで行っても「うどん」の看板ばかりであり、さすが「うどん県」と感心してしまう。

 そのうち、ちょっと変わったうどん店の看板を見つけた。
 「ふとん」、である。
 ふとん? うどんでなく? …あ、そうか、太いうどんの店なのか、とか思い、やがてその店の横を通り過ぎたのだが、そこで「寝具」の品名が店の壁に書いているのを見て、「あ、ふとんって、ふとんのことなんだあ」と何だかわけの分らん感想をもってしまった。あまりにうどん店ばかりだと、文字の感覚がおかしくなってしまう。

【竹清のうどん】
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 高松港に行く前に、栗林公園近くのうどん店二軒に行ってみた。
 四国に上陸したとき、最初に讃岐うどん店をいくつか訪れたが、この二軒「竹清」と「さか枝」とで、香川では計9軒まわることが出来た。
 つるつる、もちもちの、歯ごたえある代表的讃岐うどんである。

【さか枝】
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 竹清と並び、有名うどん店の「さか枝」。
 このように平日でも、昼飯時には行列ができるのが、香川の讃岐うどん店の特徴である。ただし、店の回転が速いので、どんどんと客がはけていくのもまた、こういった店の特徴でもある。

 ところで、香川は讃岐うどんの本場であり、多くの観光客もそれを目的に訪れるわけだが、香川の讃岐うどんそのものに関しては、香川の独壇場というものでもない。今は、他県でも1、2軒は本格的な讃岐うどん店があり、うどんの味や質に関しては、それらの店は十分追い付いていると思う。
 しかし、他県の讃岐うどんと香川のそれが、圧倒的に違うのは値段である。
 他県と香川では倍どころか三倍以上も値段が違う。なにしろ、香川ではうどん一杯が100円程度だからだ。
 それでどうやって利益を出しているかといえば、独自のセルフ方式による人件費節約、トッピングでの利益、および薄利多売、等によるものだろうけど、ここまでCPが良いなら県民食になるのも当然といえる。

【高松港】
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 昼食で、しっかり本場の讃岐うどんを食ったのち、高松港に到着。
 ここからフェリーに乗って、岡山宇野港へと出発である。
 私は四国を時計回りにほぼ一周したわけだが、自転車で走ると、四国が一つの大きな山であることがよく分かった。
 そして四国は全体的に景色の変化に富んでいて、またお遍路さんのおかげで道の整備もよくされており、自転車での旅に向いたところであった。
 次回訪れるときは、ツーリングバイクでなく、ロードバイクで走ってみたいものだ。

【児島へ】
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 四国フェリーで、小雨のなか岡山県の児島へと。
 この児島は瀬戸大橋を介して、ほぼ丸亀市の正面にある。
 今朝丸亀市を出発したわけだから、高松を経由したことで、ルートラボの地図をみてもよく分かるように相当大回りしたことになる。
 それというのも、瀬戸大橋、鳴門大橋のせいで、香川県から岡山県に渡るフェリーが高松港→児島港にしかなくなったしまったため、こういう大回りをせねばならなくなったわけである。
 以前は四国中国間には数多くのフェリーが就航していたのだが、本州四国連絡橋のせいで、自転車乗りにとってはずいぶんと不便になってしまった。
 そして、自転車のことを抜きにしても、この連絡橋が地元民を本当に便利にしているのかどうか、けっこう疑問に感じるところがある。

【鷲羽山から】
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 児島からは鷲羽山に登ってみた。
 ここは瀬戸大橋の絶好のビューポイントである。瀬戸大橋は、優美さと機能美をあわせ持つ、橋の傑作である。 日本の技術の高さを象徴する建造物であろう。

 …しかし、交通量少なすぎ。
 この橋の造った手間と費用を考えると、哀しくなるほどに少ない交通量である。

【ホテルから】
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 本日は、その鷲羽山のふもとにあるホテルで一泊。
 建築物としては比類なき、瀬戸大橋を眺めながらくつろぐことにしよう。

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January 25, 2012

愛媛編(4) 松山市→今治市→新居浜市 85.8km

【松山市】
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 松山市、ホテルの高いところで朝食。
 近頃、外は寒さを増していき、とくに朝の冷え込みは厳しく、自転車で走るのが億劫になる。自転車にとって寒さは大敵なのである。
 そして、地球温暖化がいわれているのに、本年度は記録的に寒い冬となり、自転車旅行の身としてはついていなかった。

【海岸線】
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 松山市からはいったん海岸線に出て、それからはずっと海に沿っての走行。
 この季節、風は西から吹くのであり、ひさしぶりに追い風のなかの走行であり楽であった。

【海岸風景】
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 今治市に出て、大井浜では洋上に変な形の巨大な建造物が浮かんでいた。沖に小さく見えているのがそれである。すぐ近くに新來島ドックがあるから、そこでの建造中の巨大船というのが正解なんだろうけど、なんでドックの中でなく洋上で造っているのであろう? 不思議だ。

 今治市からはしまなみ海道を使えば、自転車で本州の尾道に抜けることができる。しまなみ海道は自転車乗りにとっても人気の道なので、そこを通りたくもあるが、四国一周にはまだ200kmほど残っているので、今治市は通りぬけることにして、さらに東へと向かう。

【リーガロイヤルホテル】
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 午後からはついに小雪が舞いだした。とりあえず、今日は新居浜市に宿を取ることにする。宿を検索すると「リーガロイヤル」がある。このホテルって、政令都市クラスのところくらいでしか見ないホテルなので、「何故新居浜にリーガロイヤルが?」と不思議に思い、本物かどうか実際に見てみようとネット予約。
 着いてみれば、「なんちゃってリーガロイヤル」でなく、本物のリーガロイヤルであった。

 ここでサプライズ。
 予約は当然シングルなのであったが、ネットの手違いでじつは既にシングルは満室だったそうだ。ところが、空きのある部屋がスゥイートしかなく、私にスゥイートが用意されていた。これに関しては私の落ち度でないため、料金はシングルのまま。
 をいをい、という感じだが一応得をしたわけだ。しかし独り身には無駄に広い。バス・トイレも笑ってしまうくらいゴージャスである。

 ちなみに、「何故新居浜市にリーガロイヤルが?」の解答だが、サービスの人もよく聞かれるそうだ。
 答えとしては、まず第一に、新居浜はみなが思っているほど田舎ではなく、けっこう栄えている都市であること。そして第二は、新居浜市は大企業住友の城下町なのであり、リーガロイヤルは住友の関連企業なので、それゆえここに建てられたとのこと。

【ファミレスにて】
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 ホテルのスウィートは冷蔵庫のなかのものはアルコール類を含め、全て飲み放題となっていた。
 これはルームサービス頼んで、ビールを全部飲んでみるのも手だが、私はそれほど図々しくもないので、ホテル近くのファミレスへと夕食に行った。
 ビールのツマミにオニオンフライを頼んだが、…やっぱり、一人には多すぎるなあ。一人身にはファミレスは使いにくい。

【外の風景】
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 夜になっても雪は降り続く。
 電飾で輝く樹々と白い雪は、いい取り合わせで、きれいなのであるが、寒いのには困る。この寒波が一過性のもので、今年は暖冬だったらいいのになあと思ったけど、結局今年は記録的な寒い冬となり、この後寒さは増す一方となったのであった。

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香川編(4) 新居浜市→四国中央市→丸亀市 77.0km

【朝食】
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 リーガロイヤルで、バイキング形式で優雅な朝食を。
 …って、あんまり写真では優雅には見えないが、シティホテルの朝食らしい良質なベーコン、ハムに、それにパンであり、美味なり。

【新居浜市】
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 ホテルから眺める新居浜市の風景。
 四国有数の工業都市である新居浜市は、工場群の高い煙突から威勢よく煙が立ち上っている。

【国道13号線】
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 新居浜市からは東に向かい、瀬戸内海に沿っての走行。
 愛媛の東部は山が海まで迫っている地形であり、いくつも坂を越えてのきつい道である。
 そしていちばんの大物の坂を越えると、そこからは四国中央市だ。

【四国中央市】
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 峠から、四国中央市を一望できる。
 「中央」という名前がつくだけあって、ここはほぼ四国の中央地点。そうなると、瀬戸内海も奥のほうである。それゆえ海の色も、今治までのマリンブルーと異なる、グリーンがかった色になる。
 栄養分が多そうな海であり、魚もたくさん獲れそうだ。

【国道11号線】
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 四国中央市を越えると、また道は海にせまった山を縫うような形になり、そこを走って行く。そうして、小さめの峠を越えると讃岐平野が広がり、本日の目的地丸亀市である。

【讃岐富士】
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 島一つが巨大な山となっているような四国で、唯一の広大な平地が讃岐平野。
 だから四国で香川県だけが、妙に平っぺたい印象を受ける。
 この讃岐平野に、ヘソのようにでんと据えられているのが讃岐富士(飯野山)。円錐型の形のいい山である。

【丸亀城】
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 地方都市の名所には、必ずといって「城」あるいは「城跡」というものがあり、私もこの旅行でけっこうな数を訪れた。それらは特殊なもの以外はどれも同じような形で、さすがにもう飽きてきた。丸亀城も、まあ普通の城である。

【城壁から】
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 さきほど、城にはもう飽きたと書いたが、そこからの眺めは別である。
 城は、その地方で一番偉い人が住んでいただけあって、抜群のロケーションに建てられるのが原則なので、眺めは良いことが多い。
 そして、丸亀城の眺めは、それらのものなかでもトップクラスに良いと思う。
 海沿いの平地の高台にあるため360度の広大な眺めが楽しめる。瀬戸内海、瀬戸大橋、讃岐富士、讃岐平野、四国山地、などなどがぐるりと一望できる。
 丸亀市に来たら、この城は必ず訪れるべき。

【丸亀市商店街】
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 本日宿泊の丸亀市での風景。
 駅前商店街はいずこも過疎化が問題になっているが、丸亀市の丸亀駅前の商店街はまたすさまじい寂れ方であった。
 午後7時半の時点で開いている店が理髪店一軒のみ。商店街の通りは、本格的シャッター通りとなっている。

 丸亀市といえば高松市と並ぶ香川の雄である。それがこんな有り様とは…
 (高松の商店街はそこそこ栄えていたけど)

 地元の人の話によれば、丸亀市の商店街は元々寂れていたけど、近郊に大型商業施設ができて、それが決定打になってしまい、ここまで閑散としてしまったとのこと。
 イオン、ゆめタウン等々、全国津々浦々で生じている現象ではあるが、ここまで極端なものは初めて見た。

【骨付鶏@一鶴】
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 丸亀市は香川県にあり、高松市の近くであることから、讃岐うどんが名物と思われるだろうけど、「骨付鶏」が第一の名物。全国へ広めるべく、町起こしの材料ともなっている。
 その骨付鶏、名前は聞けど、食べたことがないので地元の老舗店「一鶴」に行ってみた。
 そして出て来た骨付鶏。これって、要するに骨付きの鶏腿肉で、それ自体は珍しいものでもないのだが、過剰に味付けを行い、独自の鶏料理になっている。人によっては、塩ょっぱすぎる、ニンニクの香りが邪魔だ、とか思う人もいるかもしれないが、このジャンキーなテイストとパリっと焼いた腿肉は、ビールのツマミとしてはたいへんよく合っている。それで、ビールをぐいぐいと飲みながら、丸亀名物を堪能するのであった。

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January 24, 2012

愛媛編(3) 八幡浜市→松山市 69.3km

 四国は暖かいところと勝手に思っていたが、1月になり寒い日が続いており、今朝から小雪が降っている。
 雪の降るなかを自転車で走るのは辛いのだが、走らねば進まない。きっちりと防寒対策をして出発。

【八幡浜市】
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 八幡浜市は天然の良港であり、周囲を山に囲まれた地形になっているので、ここを出るためには山を越えねばならない。
 ただし、四国は北と南では地形が異なっており、愛媛~香川は高知と比べて地形がなだらかなので、山越えもそんなに厳しくはない。

【山越えの道】
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 八幡浜市からは378号線を道なりに走行。
 愛媛ではこのような海沿いの斜面のところは蜜柑畑となっているのが約束事である。

【トトロ】
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 走行中、海岸線で見かけた微笑ましいオブジェ。
 地元の小学生がつくってみたものらしく、造りは雑なところがあるが、それがかえっていい味を出している。
 ディズニーとかは著作権にやたらうるさいようだが、ジブリはそういうものには鷹揚なようで、ジブリキャラクター、なかんづくトトロは全国各地、いろんなところに出没している。

【378号線】
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 山を越えれば、378号線は基本的にはフラットルート。
 この区間では風は南西から吹いていて追い風である。たいへん楽をさせてもらった。

【ふたみシーサイト公園】
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 走行中、海岸の見晴らしのよい公園があったので、ここで休憩。
 園内には小さなモアイ像もある。
 観光地でよく見かけるモアイ像の群は普通はみんな同じ方向を見て並んでいるけど、ここのは各々が微妙に向きを変えており、妙な不均衡さがあって面白い。

【松山市】
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 海沿いのフラットな道を走り、松山市の手前で小さな山を越えて、松山市へ到着。
 小高い丘に松山城が見える。
 松山市といえば道後温泉であるが、寒い中行って帰るのも面倒くさく、そしてホテル内の大浴場は奥道後温泉の湯を引いているとのことで、ここで温泉を楽しみ、冷え切った身体をあたためた。

 松山市での夕食は、「寿司すみもと」にした。
 この自転車旅行は、「全国有名寿司店食べ歩き(走り)」というテーマもあり、各県訪れるたびに有名どころは大体探訪したのだが、四国では全国レベルで名の知れた寿司店って「すみもと」くらいしかなく、今回が四国に来て初めてそのテーマの実行となる。

【寿司 すみもと】
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 店主は東京で鮨の修行をして、そしてツマミ系統は大坂で修行して、腕をみがいた。
 そして、地元で美味い寿司屋をやるぞとの意気込みで帰ってきた職人。
 ツマミ、寿司とも微妙なツッコミどころはあるのだが、そのへんについて聞いてみると(6時から7時半までは貸し切り状態だったもので)、それぞれに独自の工夫があることを知り、なかなか面白かった。
 私が現在自転車で全国の寿司店を巡っている途中で、どこそこの寿司店に寄りましたとかの話をすると、あそこの店主は私の兄弟子だったのですがどうでしたかとかの突っ込みもあり、この世界は狭いなあと改めて実感。

 食事の内容は、ツマミは、太刀魚南蛮漬け、蒸し鮑、鮑肝、子持ち昆布、造り(鯛、平目、鯵)。握りは平目こぶ締め、鯛、コハダ、赤身ヅケ、中トロ、大トロ、車海老、鯖こぶ締め、ウニ、椎茸(名物)、煮ハマ、キスこぶ締め、穴子、厚焼き卵、赤貝とかんぴょう巻きで〆。
 ひさしぶりに真っ当で本格的な鮨を食べられ、満足いたしました。

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January 23, 2012

愛媛編(2) 宇和島→八幡浜 52.3km

 宇和島は旧城下町。いちばん見晴らしのよい所に宇和島城があるので、行ってみた。

【宇和島城】
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 宇和島藩は7万石の中程度の藩であったが、幕末に伊達宗城という名君が現われ藩政を執ったため、幕末において重要な役割を果たしている。宇和島藩は幕末の時点で近代化を独自に進め、蒸気船をも自力で造っているのだからたいしたものである。
 こんな小さな城の藩が、そこまでの技術力を持っていたというところに、今に伝わる日本の技術力の底力を感じる。

【天守閣から】
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 日本全国、城の数は多かれど、明治維新のときの廃城令により多くの城が廃され、江戸時代のものがそのまま残っている城は珍しい。
 宇和島城は、その残ったものの一つで、重要文化財である。
 高台にある城で眺めは良く、宇和島市を一望できるが、…吹きっさらしなので寒い寒い。

【ほづみ亭】
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 宇和島に来たら、「ほづみ亭」で鯛飯は食うべきであるとのadviceをFace Bookで受けていたので、昼食は「ほづみ亭」で取ることにした。

【鯛飯】
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 宇和島の郷土料理店「ほづみ亭」の名物は、郷土食の「鯛飯」である。
 鯛飯というものは、普通は鯛の炊き込み御飯のことなんだろうけど、宇和島では海鮮丼のようなものになる。
 写真の通り、鯛の刺身がヅケ汁に入っており、それに卵をかき混ぜて、熱々の御飯にかけて食べるというもの。
 新鮮な鯛のツルツルした滑らかな食感がよろしい。いい鯛がふんだんに手に入る宇和島ならではの美味しい名物料理であった。

【国道56号線】
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 宇和島からは八幡浜を目指し、国道56号線を道なりに走り、途中で376号線に入り海岸線沿いに走った。

【国道378号線】
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 国内有数の蜜柑の産地である愛媛では、当然蜜柑が大規模に栽培されている。
 蜜柑は潮風を受けたほうが品質が良くなるため、海岸線に出ると、蜜柑畑ばかりとなる。

【県道45号宇和島名浜線】
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 このまま海岸線沿いに走行するつもりであったが、この道路は非常にくねくねしており、予想以上に距離がありそうである。この道を使うと、八幡浜に着く頃には日が暮れる可能性があったため、山を一つ越えてのショートコースカットに変更した。

 その山越えの部分が県道45号宇和名浜線なのであるが、…この道路、巨大な蜜柑畑の一部のような道路で、蜜柑畑を支える城壁のような形になっていた。

 蜜柑は潮風をたっぷり浴びて育ったものが高品質となるため、どういうところが最も栽培に適しているかというと、海に面した急斜面となる。そういうところでは、一本一本にきちんと潮風が当たるため、蜜柑の糖度が増すのだ。
 ただ、それには段々形式に強固に整備された急斜面を構築する必要があり、その構築物の一部として高い基礎を持つ道路が九十九折りに走り、蜜柑畑のなかに「万里の長城」とでもいうべき、威風堂々たる姿になっている。

 写真では、その本質的な姿をまったく伝えられていないが、これは是非とも実物を見るべき光景。
今回の自転車旅行で、じつはこの「蜜柑畑の万里の長城」が、日本全国中最も私に印象深かった光景である。

【八幡浜市】
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 300mほどの高さを登り、それからはだんだんと下って行くようなルートで、八幡浜市に到着。八幡浜市は、四国で一番の水産物の水揚げを誇る漁業の町である。

【ちゃんぽん@ロンドン】
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 八幡浜市の食の名物はなにかといえば、チャンポンである。八幡浜市はチャンポンの町としてよく宣伝されており、ホテルのフロントにも、町なかに数多くあるチャンポン店の案内図があった。
 それらのなかで一番の有名店であり、老舗店でもある「ロンドン」に行って、チャンポンを食べてみた。(ロンドンって、チャンポン専門店かと思っていたら、定食屋であったのは意外であったけど)
 そのチャンポン、八幡浜市は漁業の町なので、海鮮物たっぷりのチャンポンを予想していたら、豚肉と野菜たっぷりのチャンポンであった。出汁はあっさりした鶏ガラ出汁であり、大量の野菜とあいまい、優しい感じの料理であった。これもチャンポンで有名な長崎市のチャンポンとは、またずいぶんと違うものであった。

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