地鶏

January 04, 2014

地鶏:焼肉さかえ@宮崎県門川町

 雪の大崩山、中ワク塚までの往復なので、さほど疲れるはずはないのだが、予想外に雪が重く、進む足一歩一歩が負担が重く、下山した頃には今までにない疲れをずっしり感じた。
 車に乗って、いったん「美人の湯」に寄り、支配人に大崩山の現況などを報告し、それから温泉に入り筋肉の凝りをほぐす。

 こう疲労のたまった身には、元気のつける食事をして、体力を回復せねばならない。

 それで、門川町の名物店「焼肉さかえ」で、良質の蛋白質の補給と、それに生ビールで水分の補給をしに行った。

 ここで、少し宮崎の地鶏の説明を。
 宮崎名物といえば東国原知事のときに話題にもなった「地鶏の炭火焼」であるが、宮崎で地鶏といえば普通は卵を産まなくなった親鳥のことを指す。すなわち一般的に用いられる、名古屋コーチンとか比内鶏のような、特殊な育て方をした「地鶏」ではない。
 もちろん親鳥もしっかりした食材であり、特にそのコリコリした歯ごたえは魅力的である。宮崎では、この親鳥に、旨みと香りを添加すべく、ラードなど油をかけながら盛大に炭火で焼くことにより独自の料理に昇華させている。
 これはこれで立派な郷土料理だ。

 ただし、鶏の飼育に技術を蓄積した宮崎には、当然本格的な地鶏も飼育されていて、たとえば「地鶏頭(じとっこ)」は、全国的なブランド鶏である。この地鶏頭以外にも、美味しい地鶏はいろいろとあり、その一つに門川町の「天下鶏」がある。

【天下鶏】
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 「焼肉さかえ」は「天下鶏」が名物であるが、この天下鶏は「さかえ」が自分たちで育てた地鶏なのである。すなわち、飼育、製造工程、料理まで全て関わっているという、本格的な地鶏料理店なのである。

【地鶏焼き】
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 この店、地鶏が名物といっても、焼肉店だけあって、牛、豚等も当然出る。それらは、評価が高く、それを目的に来る客も多い。
 そういった肉やホルモンは、客各自が自分らの好みで焼くことになるが、この店が育てた「天下鶏」は、店の料理人が自ら、いい具合に焼いてくれる。

【地鶏焼き】
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 そうしてほどよい加減に焼けた地鶏。
 いわゆる宮崎の地鶏の炭火焼と違って、焦げさせるようなことはしない。
 刺身でも食べられる鮮度ゆえ、半生くらいが最も美味しく食べられる。

 宮崎に来たなら、個性豊かな「地鶏の炭火焼」もいいと思うけど、こういうじっくりと育て、旨みの凝集した、それこそ宮崎の自然の豊かさを感じるような地鶏焼きも是非体験してもらいたいものだ。

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 「焼肉さかえ」のHP

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August 16, 2010

居酒屋:四季食彩くらや@延岡

 宮崎は全国有数の鶏肉の産生量を誇る県であり、そして地鶏料理で有名なことから、地鶏もさぞかし多く育てているように思われがちだが、そうでもない。
 ホンモノの地鶏の生産は、全鶏肉のうち0.5%に満たない数字であり、「地鶏」が出てくる料理屋はじつは数少ない。宮崎で「地鶏」と称して出てくる地鶏料理はたいていは「ブロイラーの黒焼き」であり、ま、あれはあれで趣があって美味かったりもするが、ホンモノの地鶏料理とは、かなり方向性の違う料理である。

 宮崎の地鶏は「みやざき地頭鶏」が一番有名であるが、ほかにも地頭鶏同様の美味さを誇る地鶏があって、その一つが美郷町宇納間地方で育てられている「うなま山地鶏」。
 ほどよい弾力の肉に、ぎっしりと凝集されたような鶏の味がつまっており、噛めば、鶏自体の濃厚な美味さを愉しめる、そういう美味い鶏である。

【うなま山地鶏焼き】
Unama

 延岡市では「四季食彩くらや」がこのうなま山地鶏を出しており、延岡での美味い地鶏料理屋をきかれたときは、この店を私はまず勧めている。
 「くらや」は、うなま山地鶏を使っていることから分かるように、素材にこだわりのある店であり、魚も県北近海のものをよく仕入れており、旬の美味い魚をいつ行っても味わうことができる。

【鱧焼霜造り】
Hamo

 関西の料理と思われがちな鱧であるが、鱧は九州でよく獲れる魚であり、日向湾でも泳いでいる。
 その鱧料理。鱧は調理が面倒な魚であるが、なかなかきっちりとした骨切りであり、食感もよろしい。

 料理は美味く、酒の品揃えも豊富であり、いい居酒屋である。

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 四季食彩くらや:延岡市中央通2-2-3

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January 13, 2009

地鶏@地頭鶏gen(都城駅前)

 宮崎名物地鶏焼きは、じつは鶏の種類、味付け、焼き方などによって千差万別の、それぞれがまったく違う料理となっており、とても「宮崎名物地鶏焼き」と、ひとくくりにして分類できるような料理ではない。
 それゆえ、他県の人が宮崎を訪れたさい、「美味い地鶏焼きを出す店を案内してくれ」と言われても、あまりに種類が多種に分かれるため、その人の好みがどういうものか分からないかぎり、自信をもって案内などできない。だから、そういう案内の要求があると私は困惑してしまう。

 とはいえ、都城市には、面白い地鶏焼きの店が多いことも事実であり、都城に来たときは一度は訪れるべきと思う。問題は、それがその人に当たりであるか、外れであるかなんだな。

 今後も地鶏屋の案内は請われるであろうが、私自身、都城の地鶏焼きについては、頭で整理があんまりついていない。それゆえ、地鶏屋案内をするにあたっての、自分にとっての一助として、整理を兼ねて、当blogでときおり都城の地鶏屋を紹介してみたいと思う。

 まずは、「地頭鶏gen」。先日訪れた店なので、blog用に写真を撮りました。

【地鶏腿塩焼き】
Wild_chicken

 他県(あるいは宮崎県)の人は、地鶏を「固いもの」と思い込んでいることが多いけど、本来の宮崎地鶏、とりわけ地頭鶏(じとっこ)は歯ごたえはあれど、空港土産あるいはコンビニで売っている真空パックの鶏炭火焼のようなコリコリした固さはない。(あれはあれで美味いけど)。地鶏は、歯で噛んで、弾力を感じたのちぷっつんと肉の中に歯が入り、そこからジューシーな鶏の肉汁が染み出て広がる、そういう食感を持つ。それだけで、鶏肉の美味さが感じられる食材なのだ。だから、巷間伝わる、炭火でガンガン真っ黒に焼いて、焼け焦げの匂いと味を加える「宮崎地鶏炭火焼」の料理法は、地頭鶏に対しては論外である。そんなことをしては養鶏業者が泣くか、あるいは怒る。地鶏は、単純に塩を振りかけ、ミディアム~レアで焼くのが、一番美味く食べる調理法となる。この店は、ミディアムだけど、レアでも美味しそう。

 じつのところ、地頭鶏を出している店は、地鶏の本場都城でも少なく、この店は希少価値があります。世間がイメージする地鶏の炭火焼とは異なる料理ですが、純粋に鶏肉の美味さを味わいたい人にはお勧めの店です。

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