旅館

May 04, 2019

美女塚山荘@豆酘

【美女塚山荘】

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 対馬の霊峰白嶽登山をおえたのち、本日の宿「美女塚山荘」へ。
 対馬は人口が厳原に集中しており、それ以外はどこも辺鄙なとこばかりで、この山荘もまた他に何もないような辺鄙なところにあったけど、宿そのものはきちんと手入れのなされた真っ当な建物であった。

 この山荘の名、「美女塚」は、近くに「美女塚」があることに由来する。「美女塚」には悲しい伝説がある。詳細は省くが、かつてこの地、豆酘に住んでいた鶴王御前なる美女が、そのあまりの美貌ゆえに悲惨な目にあい、自ら命を断つときに、「美女に生まれたばかりに私はひどい目にあった。こんな悲しい目に他の人があわないように、これから豆酘には美人が生まれないようになれ」と豆酘の地に呪いをかけた。それ以来、豆酘には美女が生まれなくなってしまった、とかいう幸か不幸かよくわからん結末を持つ伝説が残っている。もっとも他説によれば神はその願いを聞き入れず、その後も豆酘は安定した美女産生地であり続けたともいう。

 まあ、そんな何が何やらよく分からん伝説の地に立つ宿であり、そのせいか宿は主人のキャラが立っていて、面白い宿であった。

【美女塚茶屋】

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 食事はこの茶屋で取る。
 以前は食事処としても営業していたようだが、現在は宿泊者専用となっている。

【夕食】

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 対馬に来て分かったけど、対馬は全島リアス式海岸の非常に入り組んだ地形をしており、それは魚の宝庫、そして良港を持つことを意味する。さらには対馬にはすぐ近くの海に寒流、暖流が流れており、日本有数の良漁場である。
 それゆえ、美味しい魚が豊富にとれ、新鮮で質の良い魚が食い放題、といった感じであった。この宿も山の中にはあるけれど、近くに良港がいくつもあり、魚尽くしであった。
 そして食事中、話好きの主人が、客のあいだを回ってずっと喋り続けており、対馬のいろいろな話が聞けて楽しかった。

【豆酘観光】

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 美女塚山荘では早朝に近くの名所を車で案内してくれるサービスがある。私もそれに参加。
 対馬の岬をまわり、霊峰竜良山から流れる川の有難い水を頂き、そして神秘的な多久頭魂神社を訪れたりと、盛りだくさんのツアーであった。こういうことがないと、一生訪れることもないような地を巡ることができ、この宿に泊まる人は、参加必至のミニツアーであった。

 

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March 11, 2019

春の国東半島

 3月半ば、雪にしろ、花にしろ中途半端な時期であり、それでは古仏や寺を目当てに国東半島を散策してみることにしよう。

【両子寺】
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 国東半島は火山である両子山を中央に配する険しい地形の半島であり、それゆえ奈良時代から修験者の修業の場として開かれていた。そこにはたくさんの磨崖仏や寺院があり、歴史の刻みこまれた地である。そしてそれらのもので一番有名なのが両子寺の山門。この仁王像は芸術性高く、石段を背景に格調が高い。

【仁王像2】
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 先の山門を進み、次の石段ではまた仁王像がある。こちらは、少々くだけた表現の、庶民的な仁王像である。

【狛犬】
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 石段は続き、逞しい狛犬に挨拶して登って行く。

【道】
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 奥の院を過ぎると道は山道となる。

【針の耳】
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 百体の観音像を祀っている岩壁の隙間、針の耳をくぐってそれから下り道を行く。

【熊野磨崖仏石段】
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 両子寺の次は、これも国東半島の名所「熊野磨崖仏」へ。

【鬼の石段】
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 磨崖仏までは、鬼が一夜で築いたという伝説のある、乱積みの石段を登って行く。

【熊野磨崖仏】
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 階段の途中で、磨崖仏のある岩壁へ。
 この磨崖仏は不動明王を彫っているのだが、普通のものと違って柔和な顔立ちが特徴。
 そしてその隣には大日如来像も彫られている。

【清明石】
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 磨崖仏と奥社のお参りを済ませて、返りはパワースポットに寄ってみる。安倍清明由来の地だそうで、ここは見晴らしがよく、たしかに何かの「気」はありそう。

【海喜荘】
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 両子寺と熊野磨崖仏参拝ののちは、国東半島の東端にある、料理旅館「海喜荘」へ。
 このあたりは寂れた漁港町という雰囲気のところだけど、この旅館はオーバースペック気味に立派な建物である。おそらくこの地は、かつて栄えたことがあったと思われる。

【料理】
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 料理は国東で獲れた新鮮な魚介類を使ったもの。城下カレイに、平目、車海老、アオリイカ。どれも国東が海の宝庫の地であることを示す良いものばかりである。

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November 24, 2018

旅館:洋々閣@唐津市

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 唐津の老舗旅館「洋々閣」は、唐津という小さな地方都市にしては、規格外の文化遺産的価値を感じさせる旅館であり、訪れた人は一様におどろくわけであるが、それは唐津が以前には海上貿易の要所として、また背後に有する炭田の積出し港としておおいに栄えた過去を持つことに由来し、その栄えた時代に遊郭として建てられた由緒ある建物だということに依る。
 さらには唐津は先の大戦で空襲の対象にならなかったという幸運もあり、それで洋々閣をはじめとする歴史的建築物が数多く残されている。
 今回唐津を訪れたからには、やはり洋々閣に泊まってみようということで、宿泊。

【部屋】
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 落ち着きある和室からは、洋々閣の自慢の庭が見渡せ、その眺めはたいへん風情がある。

【食事】
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 唐津は海の宝庫玄界灘に面しているゆえ、とても質のよい海産物が豊富に用意できる。それらを使った、海の幸の数々。
 立派な料亭なみの、レベルの高い料理である。
 そして食事処からは、ライトアップされた庭を見ることができ、これも幻想的に美しい。

【庭】
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 翌朝に洋々閣の名園を散歩。
 樹齢200年を超える老松は、全てで100本を超えるという。それは常に専門家によって手を入れられ、日本画のような世界を形成しており、風格ある建物とともに、洋々閣全体としての美術品となっているようだ。

 建物、部屋、庭、料理、全てが高レベルであり、この旅館に泊まるためだけでも唐津を訪れる価値がある、そういう名旅館である。

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November 23, 2018

のんびり古湯温泉

 佐賀県の山間にある、小さな温泉街、古湯温泉。
 今年夏に泊まったとき、よい雰囲気の温泉地と思ったけど、今年のあまりの猛暑に温泉街を散策することなく宿から退散したので、秋になり、紅葉巡りを兼ね、その続編として訪れてみることにした。

【扇屋】
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 古湯温泉が古い歴史を持つ温泉であるけど、そのなか、やはり古い歴史を持つ創業130年になる老舗旅館の扇屋に宿泊。和歌の巨匠斉藤茂吉が懇意にしていたそうである。

【夕食】
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 扇屋の料理は、鯉料理が有名だそうだが、今は旬ではないので他の郷土料理をメインに。鯉のあらい、モクズガニ、こんにゃく刺身、山女甘露煮等、地元の食材を使った、素朴な、味わいある、料理の数々。
 そして佐賀は日本酒の蔵元の多い地なので、それらを使った利き酒セットもある。

【風呂:公式ページより】
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 古湯温泉は、人肌程度のぬるい湯で知られている。泉質は弱アルカリ性なので、そのぬるさもあいまって、柔らかな肌触りのよい湯だ。

【古湯温泉散策】
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 古湯温泉街は温泉街は石畳の道路沿いに、いくつもの温泉宿が立ち並ぶ、こじんまりしたつくりである。
 すぐ傍を山女が泳ぐような清流である嘉瀬川が流れ、まわりには色づいている雑木林の山が囲み、山間の自然豊かな景色が広がる。
 川で目立つ水車小屋は、現役であって、今も蕎麦粉を挽いているそうだ。

 のどかな雰囲気のなか、やわらかな湯の温泉宿で、のんびりと日を過ごすのは、極上の時間が流れるのを感じとれる。

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August 12, 2018

ONCURI@古湯温泉

 天山登山でたっぷり汗をかいたのち、その山麓にある古湯温泉へ。

【oncuri】
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 古湯温泉は、緑多き山のなか、嘉瀬川と貝野川の合流部にある、古くから知られた温泉地である。
 本日は温泉街の入口に位置するoncuriという宿に宿泊。もともとは老舗旅館の「吉花亭」という目立つ宿だったのだけど、経営母体が変わり、リニューアルして名前も変えたそうだ。

【oncuri】
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 部屋は半露天付きの離れにしたけど、なにやら変な部屋であり、「離れ」という概念を吹っ切ったものであった。部屋の半分以上の面積を風呂が占め、残りの部分に無理やりベッドを押し込み、さらに残った僅かなスペースにその他もろもろがある、というもの。
 なんでこういう変な、というかユニークなつくりにしたのだろうと尋ねたら、宿のリニューアルの際に、もともと家族風呂だったところを宿泊部屋に改造したため、そうなったとのことであった。
 なるほど、貸切家族風呂の脱衣場の部分を寝室にしたら、こういう妙な部屋になるなと納得。
 とういうわけで、ここの離れは、風呂に入るか、寝るかする以外なにもできない部屋なのであるが、他の温泉宿でも、私はそれ以外しないので、まったく無問題ではあった。
 そして肝心の温泉は、弱アルカリの柔らかい湯で、それがぬるめの温度であり、登山で筋肉の疲れた身にはまったく気持ちのよいものであり、大満足であった。

【夕食】
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 夕食は和会席。その和会席料理、あきらかに料理長は洋の人であり、洋の技術でむりやり(?)和食をつくったという感じ。宿として料理長の特性を生かして洋を看板にすればよさそうに思えるけど、こういう温泉宿は和のほうが需要が多いだろうからそうなったのか。
 造りは、平目、ヒラス、マグロを山葵醤油や、藻塩、レモン塩でいただくというもの。
 鮎料理は、燻製仕立てになっており、鮎の香りはかなり上書きされたものになっている。ブイヤベースは普通にブイヤベースだと思うけど、使っている素材が鱸、サザエ、つみれ、冬瓜等の和のものをつかっているのが趣向らしい。肉料理は、伊万里牛、光瀬鶏、さくらポークの低温調理。アランパッサール流とはかなり違った独特の低温調理法。

 こういった大箱の温泉宿は、最大公約数的料理、つまりは刺身、焼き魚、天麩羅、茶碗蒸し、牛肉網焼きなんてものになりがちだけど、ここでは、かなり挑戦的、アゲレッシブな料理が出てきて、面白かった。

【花火】
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 Oncuriは夜のイベントとして、宿の前で花火を打ち上げてくれる。
 ちょうど食事の時間だったので、酒を飲みながら、優雅に花火を楽しむことができた。

【嘉瀬川ダム】
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 翌日、oncuriは古湯温泉の入り口にあり、私は古湯温泉街そのものをまったく見ていないので、温泉街を散策しようと思っていたけど、外に出たとたんあまりの暑さに、この暑さのなかぶらぶら歩く気はまったくなくなり、それで古湯温泉の上流部にある嘉瀬川ダムをドライブで見物だけして、それから帰宅した。
 古湯温泉については、また季節のよい時に来て、そのとき散策することにしよう。

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July 14, 2018

7月の俵屋

 祇園祭の山鉾を見に夏の京都を訪れたが、暑さは覚悟はしていたものの、想定以上に暑く、四条通りにいくつも立ち並ぶ山鉾のいくつかを見たのみで、それ以上の見物はあまりの暑さに断念して、本日の宿である俵屋に逃げ込む。
 俵屋は午後2時がチェックインなので、早めのチェックインが可能であり、たいへん助かった。

【俵屋旅館 桂の間】
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 暑い京都の街で焦がされ、青菜に塩、蛞蝓に塩の状態で部屋に入ったが、すでに空調のよく利いた部屋はたいへん快適であり、ここでビールなどを飲んでいると、干からびた青菜、あるいは蛞蝓の身がだんだんと水気ある元の人間に戻るのであった。

【俵屋二階の庭の景色】
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 本日の部屋は「桂」であり、二階の部屋である。
 俵屋は庭の見事さで有名であり、一階の部屋からは、その極めて精緻に造っている、水墨画のような庭をダイレクトに見られるのであるが、二階からはまた別の魅力を味わえる。
 庭に植えられた数々の樹々は、二階の高さで枝を存分に伸ばし、そこで木の葉が風景を埋め尽くしている。そして 夏は圧倒的な生気を持つ緑の葉に満ちていて、それらは、日の向きにより風情を変えていく。
 完璧なまでに磨き上げられた硝子窓は曇りひとつなく、この窓枠のなかに、樹々の緑は風景画のようにはまり、それが時とともに表情を変えて行く、生きた絵画というものを部屋のなかからじっくりと眺める。
 俵屋ならではの、贅沢な時間が楽しめる。

【夕食】
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 造りは、アコウ、マグロのヅケ、鱧湯引き。
 アコウの造りの包丁の入れは俵屋独自の繊細なもの。そして夏の京都名物の鱧は、やはり歯ごたえも味も見事。

 これも夏の名物、琵琶湖の鮎の笹焼きは、鮎の香りがこうばしく、頭からかじって味わう内臓のほろ苦さと、それに独特の香りが素晴らしい。

 さらに、これも夏の京都名物、鱧鍋。
 本来なら夏に鍋など食べる気にもならないのだが、この手のあっさりとした、しかしコクのある料理はまったく別である。

 俵屋にはけっこうな数を来ているけど、7月に訪れるのは初めてであり、そしてこれらの料理は初めて食べるものが多く、どれも感心して食べられた。

【朝食】
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 俵屋の朝食はワンパターンであるけど、焼き魚、湯豆腐、香のもの、山椒じゃこ、等々全てが美味しい。朝から幸せになれる朝食である。

 俵屋、ひさしぶりに泊まったけど、やはりとてもレベルの高い宿だと思う。
 個人的には、日本一の宿だと思っている。

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March 03, 2018

旅館:たから湯@西人吉

 山間の温泉地人吉の、明治創業の老舗旅館「たから湯」。
 もとは豊富な温泉をいかしての湯治宿だったのだが、今のオーナーが、温泉に加え宿泊そのものが旅の目的となるような魅力的な宿にしようという思いでリフォームを行い、それからは人吉では異質の、独自の個性を持つ宿となっている。

【庭】
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 旅館はなかに入ると、大まかな造りは古民家のようであるが、調度品はどれでも一流の洋風のものであり、その対比がおもしろい。
 そして部屋に案内され、庭を見ると、紅梅が満開であった。

【部屋】
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 和と洋の調和が、この宿のコンセプトらしい。
 部屋は二部屋からなり、和室と洋室である。
 洋室のほうは、ソファ、椅子、それにベッドの質がすばらしい。

【大浴場】
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 現代風な趣が強いロビー、部屋とはことなり、大浴場は昔からのものが保存されており、湯治の雰囲気を残したままのレトロなものである。
 源泉掛け流しの湯は、とてもきもちがよい。

【夕食】
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 「たから湯」の夕食は、ダイニングにて。このスペースもまたテーブル、椅子、すべて一流のものが揃えられており、美しい空間であった。
 そして食事は、球磨川流れる山深き地人吉、という場所からは、ジビエや山菜などをふんだんに使うようなものを予想していたら、まったくちがって本格的な会席料理であった。
 まず前菜から、その繊細で丁寧な仕事に印象を受ける。
 椀物は蛤真丈で、蛤の濃厚な味がうまく描出されている。
 造りは赤貝とサヨリで、山のなかで食べるようなものでもないのだが、とても良い素材である。焼物は鰆で、炊きものは甘鯛であり、これもまた同様にいい素材であり、そして調理もそれを生かす技術の高いものである。

 見てわかるように華やかな演出を行った料理の数々であるが、それを盛る器がまたどれも質の高いものばかりであった。

 全体として、一流の和食店に引けをとらない、旅館の枠を超えたような、見事な料理であったと思う。

【朝食】
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 朝食は、夕食とは変わって、地元の野菜や、名物を使った、田舎風の素朴なもの。
 これもまた美味しいものであり、この宿では、二通りの料理に味わいかたをできる。


 宿のつくりも、温泉も、接客も、そして料理もどれも高レベルのものであった。
 だいぶと前に、旅慣れた人から、人吉の「たから湯」はいいよと教えられ、ずっと気にはなっていたが、いざ訪れてみると、たしかに素晴らしい宿であった。
 そして、人吉といえば、やはり鮎が食の名物なので、いつか鮎の時期にまた来たいと思った。

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January 21, 2018

春陽館@小浜温泉

 雲仙で登山したあと、小浜温泉へと行き、ここで一泊。
 昨年も小浜温泉で一泊したけど、その時温泉街を散策したさい、「春陽館」という宿がその個性ある姿で一際目立っていた。まるで映画の「千と千尋の神隠し」の温泉宿のような、趣ある宿だったので、ここに泊まりたいと思ったので、今回はそこで宿泊。

【春陽館】
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 私はけっこう温泉宿には詳しいが、こういった高層かつ複雑に手の入った木造の古い宿ってなかなか珍しい。昔は多くあったのだろうけど、なにしろ手入れの大変な建物なので、時が経るうちに、それらは姿を消していってしまった。そして何より、現在の建築法ではこのような三階建ての大型木造建築物は建造の許可を得るのが困難なので、今では文化遺産的価値を持つ。


【部屋】
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 旅館、外からの観た目はいかにもレトロであるが、部屋は定期的リフォームが行われているようで、清潔で整理の行き届いた、真っ当な和室であった。

【夕日】
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 小浜温泉は、西側に橘湾が広がっているので、条件が良ければ美しい夕日を観ることができる。
 本日は空気が靄っていたので、あまり風情はないけど、それでも橘湾に沈む夕日を観ることができた。

【温泉】
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 小浜温泉はすぐ近くに活火山があるので、湯量もまた豊富である。
 部屋風呂も当然源泉掛け流しだ。

【夕食】
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 夕食は、もっぱら橘湾からあがってくる海の幸をふんだんに用いたもの。
 趣ある宿で、地元の味をおおいに楽しみましょう。

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November 11, 2017

割烹旅館 海喜荘@国東

【海喜荘】
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 耶馬溪競秀峰登山ののち、翌日は国東半島の低山に登ろうと思い、土曜日の宿は国東の「海喜荘」に。
 ここは大正創業の歴史ある老舗割烹旅館で、当時の建物がそのまま残されており、風情がある。

【豊後灘】
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 宿は、海から少し離れて高台にあり、それゆえ豊後灘を見下ろすことができる。
 夜中には、海行く漁船の明かりが見え、朝には日の出を見ることができた。
 
 宿からの眺めを楽しみ、それから夕食へ。

【造り】
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 国東は、海の幸に恵まれた地なので、地の新鮮なもの三昧。
 河豚は天然もので、獲れたてのものを寝かさす捌くもので、弾力豊かで、そして身の甘さがたまらない。

【焼き蟹】
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 国東は渡り蟹がじつは名物であり、身のぎっしりつまったものを、焼き蟹で出す。香り高く、そして旨味も十分な見事な渡り蟹。

【椀物】
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 椀物は、鱧と松茸の、和料理本道のもの。
 この宿は、新鮮なものばかり、というわけでなく、しっかりと手の入れたものも得意である。

【煮物】
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 地魚の煮物は、出汁も煮具合もよろしい。

【豊後牛焼き】
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 国東は、魚ばかりでなく、豊後牛もまた名物。
 シンプルに焼いた、豊後牛。

【鉄鍋】
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 河豚は、鍋でも供される。
 ともに入れる具材もまたいいものを使っている。

【雑炊】
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 〆は河豚雑炊で。
 豊かな香りと味を楽しみましょう。

 この宿は、国東という食材豊かな地の利を生かして、地のものにこだわった料理を出す、「地方の料理宿」のお手本のような宿であった。
 どの食材も良かったけど、たとえば河豚とか、渡り蟹では、それにこだわったフルコース料理も頼めるそうである。
 私は渡り蟹目当てに、よく佐賀の竹崎に行っていたが、この宿の渡り蟹のレベルの高さを知り、次はこちらに渡り蟹目当てに来ようかなと思ってしまった。

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October 28, 2017

霧島登山@台風接近中

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 10月、九州の山はせっかくの紅葉シーズンなのであるが、週末に天候が悪化するということが続き、そして最後の週は先週に引き続き台風が接近中ということである。
 先週は台風21号を甘く見ていて、登山口から撤退ということになった。
 それで今回はその反省を生かして、きちんと台風22号の勢力と進路を調べてみる。前回の超弩級の大きさであった台風21号とは違い、今回のはコンパクトであり、強風圏もそんなに大きくない。そして九州に最接近するのは土曜の夜であり、翌日の午後には遠くへ過ぎ去っている。ならば、土曜日の昼のうちにさっさと登ってしまえば、台風の影響はさほど受けないことになる。

 ということで、土曜日に紅葉目当てで登山に行くことにした。

 先週は九重に行ったので、今回は霧島に行こう。
 まずは金曜日に鹿児島市に泊まり、「鮨匠のむら」で美味しい料理を食って、モチベーションを高める。それから翌日霧島に行こう。
 霧島は新燃岳の噴火のせいで、韓国岳周囲が立ち入り禁止となっている。しかし、紅葉の名所である、えびのの池巡りコースは規制域に入っていないので、池巡りとそれから白鳥山にでも登り、軽く汗をかいて、その後霧島温泉郷の温泉宿で一泊するという、お気楽プランを立てた。このコースなら、もし風が強くとも、おもに林のなかの道なので、問題はないだろう。

 けれども、えびの高原に着いたら、池方面への道路が通行禁止になっていた。ならば遊歩道を使えばいいと思い、念のため駐車場の係りの人に聞いてみたら、なんと遊歩道も立ち入り禁止とのこと。それでは、池まで行くすべがない。
 それで計画を変更する。
 霧島で、立ち入り規制がされていないのは高千穂峰だけである。そこに向かうしかない。また、神社周囲の林はたぶん紅葉を楽しめるであろうと予測した。

【高千穂河原】
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 えびの高原からの直通道路は新燃岳のせいで通行止めとなっていたので、大回りして高千穂河原へ。
 雨は小雨程度の降り方だが、けっこう風が強い。

【登山道】
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 期待していた紅葉であるが、赤く染まる前に、前回の台風と今回の強風で、葉は散ってしまっていた。

【登山道】
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 やがて登山道は、林間を抜け、溶岩でつくられた岩稜帯に出る。さすがにここからは風が強くなる。

【登山道】
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 一面ガスが立ち込めているので、視界のわるいなか、このペンキマークを確認しながら登ることになる。

【登山道】
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 高度が1300mを超えると、さすがに風は強度を増し、ときおり吹く突風に幾度もよろめき、そのときはまったく行動できなくなった。吹きっさらしなのに加え、前に風の滑り台のような高千穂峰があるため、予想していた以上の風の強さである。
 姿勢を低く保ち、常に岩に手をかけながら、用心して登って行く。

【御鉢へ】
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 御鉢への傾斜を上り詰めると、ようやく御鉢の高さにたどりつく。高度は1500mくらい。御鉢に上がると、傾斜はほとんどなくなり、水平の道をしばし歩くことになるが、そういう地形のせいで、風はさらに強さを増した。
 台風ははるか彼方で、鹿児島は強風域に入っていないはずなのだが、標高の高いところはもはや強風域の支配下にある雰囲気であった。

【御鉢】
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 御鉢に出たのちは、しばし御鉢の縁を進むことになる。
 しかし御鉢の縁の登山道は、「馬の背」と称される、両側が崖の狭い道であり、そして東側は鋭く深い噴火口である。もし暴風域なみの強風が突然吹いて、それに煽られて滑落したら、まず命はない。
 さすがにこれ以上進むのは危険すぎたので、ここで撤退することにした。
 中高年登山は安全第一なのである。だいたいこんな日に高千穂峰の山頂まで登らねばならない理由はなにもないのだし。

 下山は体重が下方向にかかるせいか、意外と風にあおられずに、無事に下山。
 当たり前のことながら、誰一人とも会うことない登山であった。そういう場合、「静かな登山を楽しめた」というのが常套句となるのであるが、今回ばかりは、風が常に轟々と唸り、ときおり砂礫が火口を流れる不気味な音が響く、騒がしい登山であった。

【霧島ホテル】
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 本日の宿、霧島ホテルへと到着。登山で、普通の汗と、それに冷や汗をかいたので、このホテルの名物の特大庭園風呂で、ゆったりとくつろごう。

【硫黄谷庭園大浴場:ホテル公式ページより】
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 霧島は、川が温泉と化し、温泉の滝もあるという、莫大な湯量を持つ地なので、このように巨大な掛け流しの温泉浴場を築くことができる。
 何度来ても、この大浴場には圧倒される。

【夕食】
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 夕食は広大な食事処で。
 台風の近づいている本日、客は少ないだろうと思ったら、人はいっぱいであった。
 駐車場の車のナンバー見ると、あんまり遠方の人はいないようであったし、南九州人はさすがに台風に慣れている。

【外の眺め@翌朝】
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 夜には鹿児島に台風最接近ということで、外は嵐のごとき状況であったが、窓さえ閉めておけば、部屋のなかはまったく平穏無事で過ごす。
 そして翌朝には、台風は離れ、風は強いものの、雨はあがり、晴れ間も見えた。
 だいたい予想どおりの天気の変化であり、安心して帰れることになる。

【高千穂峰】
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 帰路での霧島神話の里公園から見る高千穂峰。
 昨日と違って、山頂まで見ることができる。この姿を見て、今日登りかえしてみようかなとちらりとは考えたが、どう考えても気象条件は今日のほうが悪く、吹き返しの風が昨日よりもずっと強く吹いているに決まっているので、そういうことはしないことにした。


 紅葉の季節の10月は、どの週末も天気が悪く、まったく九州の山の紅葉が楽しめなかった。平成29年の10月は、悪い意味で記憶に残る月であった。


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