旅館

August 12, 2018

ONCURI@古湯温泉

 天山登山でたっぷり汗をかいたのち、その山麓にある古湯温泉へ。

【oncuri】
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 古湯温泉は、緑多き山のなか、嘉瀬川と貝野川の合流部にある、古くから知られた温泉地である。
 本日は温泉街の入口に位置するoncuriという宿に宿泊。もともとは老舗旅館の「吉花亭」という目立つ宿だったのだけど、経営母体が変わり、リニューアルして名前も変えたそうだ。

【oncuri】
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 部屋は半露天付きの離れにしたけど、なにやら変な部屋であり、「離れ」という概念を吹っ切ったものであった。部屋の半分以上の面積を風呂が占め、残りの部分に無理やりベッドを押し込み、さらに残った僅かなスペースにその他もろもろがある、というもの。
 なんでこういう変な、というかユニークなつくりにしたのだろうと尋ねたら、宿のリニューアルの際に、もともと家族風呂だったところを宿泊部屋に改造したため、そうなったとのことであった。
 なるほど、貸切家族風呂の脱衣場の部分を寝室にしたら、こういう妙な部屋になるなと納得。
 とういうわけで、ここの離れは、風呂に入るか、寝るかする以外なにもできない部屋なのであるが、他の温泉宿でも、私はそれ以外しないので、まったく無問題ではあった。
 そして肝心の温泉は、弱アルカリの柔らかい湯で、それがぬるめの温度であり、登山で筋肉の疲れた身にはまったく気持ちのよいものであり、大満足であった。

【夕食】
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 夕食は和会席。その和会席料理、あきらかに料理長は洋の人であり、洋の技術でむりやり(?)和食をつくったという感じ。宿として料理長の特性を生かして洋を看板にすればよさそうに思えるけど、こういう温泉宿は和のほうが需要が多いだろうからそうなったのか。
 造りは、平目、ヒラス、マグロを山葵醤油や、藻塩、レモン塩でいただくというもの。
 鮎料理は、燻製仕立てになっており、鮎の香りはかなり上書きされたものになっている。ブイヤベースは普通にブイヤベースだと思うけど、使っている素材が鱸、サザエ、つみれ、冬瓜等の和のものをつかっているのが趣向らしい。肉料理は、伊万里牛、光瀬鶏、さくらポークの低温調理。アランパッサール流とはかなり違った独特の低温調理法。

 こういった大箱の温泉宿は、最大公約数的料理、つまりは刺身、焼き魚、天麩羅、茶碗蒸し、牛肉網焼きなんてものになりがちだけど、ここでは、かなり挑戦的、アゲレッシブな料理が出てきて、面白かった。

【花火】
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 Oncuriは夜のイベントとして、宿の前で花火を打ち上げてくれる。
 ちょうど食事の時間だったので、酒を飲みながら、優雅に花火を楽しむことができた。

【嘉瀬川ダム】
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 翌日、oncuriは古湯温泉の入り口にあり、私は古湯温泉街そのものをまったく見ていないので、温泉街を散策しようと思っていたけど、外に出たとたんあまりの暑さに、この暑さのなかぶらぶら歩く気はまったくなくなり、それで古湯温泉の上流部にある嘉瀬川ダムをドライブで見物だけして、それから帰宅した。
 古湯温泉については、また季節のよい時に来て、そのとき散策することにしよう。

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July 14, 2018

7月の俵屋

 祇園祭の山鉾を見に夏の京都を訪れたが、暑さは覚悟はしていたものの、想定以上に暑く、四条通りにいくつも立ち並ぶ山鉾のいくつかを見たのみで、それ以上の見物はあまりの暑さに断念して、本日の宿である俵屋に逃げ込む。
 俵屋は午後2時がチェックインなので、早めのチェックインが可能であり、たいへん助かった。

【俵屋旅館 桂の間】
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 暑い京都の街で焦がされ、青菜に塩、蛞蝓に塩の状態で部屋に入ったが、すでに空調のよく利いた部屋はたいへん快適であり、ここでビールなどを飲んでいると、干からびた青菜、あるいは蛞蝓の身がだんだんと水気ある元の人間に戻るのであった。

【俵屋二階の庭の景色】
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 本日の部屋は「桂」であり、二階の部屋である。
 俵屋は庭の見事さで有名であり、一階の部屋からは、その極めて精緻に造っている、水墨画のような庭をダイレクトに見られるのであるが、二階からはまた別の魅力を味わえる。
 庭に植えられた数々の樹々は、二階の高さで枝を存分に伸ばし、そこで木の葉が風景を埋め尽くしている。そして 夏は圧倒的な生気を持つ緑の葉に満ちていて、それらは、日の向きにより風情を変えていく。
 完璧なまでに磨き上げられた硝子窓は曇りひとつなく、この窓枠のなかに、樹々の緑は風景画のようにはまり、それが時とともに表情を変えて行く、生きた絵画というものを部屋のなかからじっくりと眺める。
 俵屋ならではの、贅沢な時間が楽しめる。

【夕食】
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 造りは、アコウ、マグロのヅケ、鱧湯引き。
 アコウの造りの包丁の入れは俵屋独自の繊細なもの。そして夏の京都名物の鱧は、やはり歯ごたえも味も見事。

 これも夏の名物、琵琶湖の鮎の笹焼きは、鮎の香りがこうばしく、頭からかじって味わう内臓のほろ苦さと、それに独特の香りが素晴らしい。

 さらに、これも夏の京都名物、鱧鍋。
 本来なら夏に鍋など食べる気にもならないのだが、この手のあっさりとした、しかしコクのある料理はまったく別である。

 俵屋にはけっこうな数を来ているけど、7月に訪れるのは初めてであり、そしてこれらの料理は初めて食べるものが多く、どれも感心して食べられた。

【朝食】
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 俵屋の朝食はワンパターンであるけど、焼き魚、湯豆腐、香のもの、山椒じゃこ、等々全てが美味しい。朝から幸せになれる朝食である。

 俵屋、ひさしぶりに泊まったけど、やはりとてもレベルの高い宿だと思う。
 個人的には、日本一の宿だと思っている。

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March 03, 2018

旅館:たから湯@西人吉

 山間の温泉地人吉の、明治創業の老舗旅館「たから湯」。
 もとは豊富な温泉をいかしての湯治宿だったのだが、今のオーナーが、温泉に加え宿泊そのものが旅の目的となるような魅力的な宿にしようという思いでリフォームを行い、それからは人吉では異質の、独自の個性を持つ宿となっている。

【庭】
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 旅館はなかに入ると、大まかな造りは古民家のようであるが、調度品はどれでも一流の洋風のものであり、その対比がおもしろい。
 そして部屋に案内され、庭を見ると、紅梅が満開であった。

【部屋】
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 和と洋の調和が、この宿のコンセプトらしい。
 部屋は二部屋からなり、和室と洋室である。
 洋室のほうは、ソファ、椅子、それにベッドの質がすばらしい。

【大浴場】
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 現代風な趣が強いロビー、部屋とはことなり、大浴場は昔からのものが保存されており、湯治の雰囲気を残したままのレトロなものである。
 源泉掛け流しの湯は、とてもきもちがよい。

【夕食】
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 「たから湯」の夕食は、ダイニングにて。このスペースもまたテーブル、椅子、すべて一流のものが揃えられており、美しい空間であった。
 そして食事は、球磨川流れる山深き地人吉、という場所からは、ジビエや山菜などをふんだんに使うようなものを予想していたら、まったくちがって本格的な会席料理であった。
 まず前菜から、その繊細で丁寧な仕事に印象を受ける。
 椀物は蛤真丈で、蛤の濃厚な味がうまく描出されている。
 造りは赤貝とサヨリで、山のなかで食べるようなものでもないのだが、とても良い素材である。焼物は鰆で、炊きものは甘鯛であり、これもまた同様にいい素材であり、そして調理もそれを生かす技術の高いものである。

 見てわかるように華やかな演出を行った料理の数々であるが、それを盛る器がまたどれも質の高いものばかりであった。

 全体として、一流の和食店に引けをとらない、旅館の枠を超えたような、見事な料理であったと思う。

【朝食】
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 朝食は、夕食とは変わって、地元の野菜や、名物を使った、田舎風の素朴なもの。
 これもまた美味しいものであり、この宿では、二通りの料理に味わいかたをできる。


 宿のつくりも、温泉も、接客も、そして料理もどれも高レベルのものであった。
 だいぶと前に、旅慣れた人から、人吉の「たから湯」はいいよと教えられ、ずっと気にはなっていたが、いざ訪れてみると、たしかに素晴らしい宿であった。
 そして、人吉といえば、やはり鮎が食の名物なので、いつか鮎の時期にまた来たいと思った。

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January 21, 2018

春陽館@小浜温泉

 雲仙で登山したあと、小浜温泉へと行き、ここで一泊。
 昨年も小浜温泉で一泊したけど、その時温泉街を散策したさい、「春陽館」という宿がその個性ある姿で一際目立っていた。まるで映画の「千と千尋の神隠し」の温泉宿のような、趣ある宿だったので、ここに泊まりたいと思ったので、今回はそこで宿泊。

【春陽館】
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 私はけっこう温泉宿には詳しいが、こういった高層かつ複雑に手の入った木造の古い宿ってなかなか珍しい。昔は多くあったのだろうけど、なにしろ手入れの大変な建物なので、時が経るうちに、それらは姿を消していってしまった。そして何より、現在の建築法ではこのような三階建ての大型木造建築物は建造の許可を得るのが困難なので、今では文化遺産的価値を持つ。


【部屋】
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 旅館、外からの観た目はいかにもレトロであるが、部屋は定期的リフォームが行われているようで、清潔で整理の行き届いた、真っ当な和室であった。

【夕日】
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 小浜温泉は、西側に橘湾が広がっているので、条件が良ければ美しい夕日を観ることができる。
 本日は空気が靄っていたので、あまり風情はないけど、それでも橘湾に沈む夕日を観ることができた。

【温泉】
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 小浜温泉はすぐ近くに活火山があるので、湯量もまた豊富である。
 部屋風呂も当然源泉掛け流しだ。

【夕食】
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 夕食は、もっぱら橘湾からあがってくる海の幸をふんだんに用いたもの。
 趣ある宿で、地元の味をおおいに楽しみましょう。

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November 11, 2017

割烹旅館 海喜荘@国東

【海喜荘】
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 耶馬溪競秀峰登山ののち、翌日は国東半島の低山に登ろうと思い、土曜日の宿は国東の「海喜荘」に。
 ここは大正創業の歴史ある老舗割烹旅館で、当時の建物がそのまま残されており、風情がある。

【豊後灘】
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 宿は、海から少し離れて高台にあり、それゆえ豊後灘を見下ろすことができる。
 夜中には、海行く漁船の明かりが見え、朝には日の出を見ることができた。
 
 宿からの眺めを楽しみ、それから夕食へ。

【造り】
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 国東は、海の幸に恵まれた地なので、地の新鮮なもの三昧。
 河豚は天然もので、獲れたてのものを寝かさす捌くもので、弾力豊かで、そして身の甘さがたまらない。

【焼き蟹】
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 国東は渡り蟹がじつは名物であり、身のぎっしりつまったものを、焼き蟹で出す。香り高く、そして旨味も十分な見事な渡り蟹。

【椀物】
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 椀物は、鱧と松茸の、和料理本道のもの。
 この宿は、新鮮なものばかり、というわけでなく、しっかりと手の入れたものも得意である。

【煮物】
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 地魚の煮物は、出汁も煮具合もよろしい。

【豊後牛焼き】
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 国東は、魚ばかりでなく、豊後牛もまた名物。
 シンプルに焼いた、豊後牛。

【鉄鍋】
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 河豚は、鍋でも供される。
 ともに入れる具材もまたいいものを使っている。

【雑炊】
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 〆は河豚雑炊で。
 豊かな香りと味を楽しみましょう。

 この宿は、国東という食材豊かな地の利を生かして、地のものにこだわった料理を出す、「地方の料理宿」のお手本のような宿であった。
 どの食材も良かったけど、たとえば河豚とか、渡り蟹では、それにこだわったフルコース料理も頼めるそうである。
 私は渡り蟹目当てに、よく佐賀の竹崎に行っていたが、この宿の渡り蟹のレベルの高さを知り、次はこちらに渡り蟹目当てに来ようかなと思ってしまった。

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October 28, 2017

霧島登山@台風接近中

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 10月、九州の山はせっかくの紅葉シーズンなのであるが、週末に天候が悪化するということが続き、そして最後の週は先週に引き続き台風が接近中ということである。
 先週は台風21号を甘く見ていて、登山口から撤退ということになった。
 それで今回はその反省を生かして、きちんと台風22号の勢力と進路を調べてみる。前回の超弩級の大きさであった台風21号とは違い、今回のはコンパクトであり、強風圏もそんなに大きくない。そして九州に最接近するのは土曜の夜であり、翌日の午後には遠くへ過ぎ去っている。ならば、土曜日の昼のうちにさっさと登ってしまえば、台風の影響はさほど受けないことになる。

 ということで、土曜日に紅葉目当てで登山に行くことにした。

 先週は九重に行ったので、今回は霧島に行こう。
 まずは金曜日に鹿児島市に泊まり、「鮨匠のむら」で美味しい料理を食って、モチベーションを高める。それから翌日霧島に行こう。
 霧島は新燃岳の噴火のせいで、韓国岳周囲が立ち入り禁止となっている。しかし、紅葉の名所である、えびのの池巡りコースは規制域に入っていないので、池巡りとそれから白鳥山にでも登り、軽く汗をかいて、その後霧島温泉郷の温泉宿で一泊するという、お気楽プランを立てた。このコースなら、もし風が強くとも、おもに林のなかの道なので、問題はないだろう。

 けれども、えびの高原に着いたら、池方面への道路が通行禁止になっていた。ならば遊歩道を使えばいいと思い、念のため駐車場の係りの人に聞いてみたら、なんと遊歩道も立ち入り禁止とのこと。それでは、池まで行くすべがない。
 それで計画を変更する。
 霧島で、立ち入り規制がされていないのは高千穂峰だけである。そこに向かうしかない。また、神社周囲の林はたぶん紅葉を楽しめるであろうと予測した。

【高千穂河原】
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 えびの高原からの直通道路は新燃岳のせいで通行止めとなっていたので、大回りして高千穂河原へ。
 雨は小雨程度の降り方だが、けっこう風が強い。

【登山道】
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 期待していた紅葉であるが、赤く染まる前に、前回の台風と今回の強風で、葉は散ってしまっていた。

【登山道】
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 やがて登山道は、林間を抜け、溶岩でつくられた岩稜帯に出る。さすがにここからは風が強くなる。

【登山道】
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 一面ガスが立ち込めているので、視界のわるいなか、このペンキマークを確認しながら登ることになる。

【登山道】
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 高度が1300mを超えると、さすがに風は強度を増し、ときおり吹く突風に幾度もよろめき、そのときはまったく行動できなくなった。吹きっさらしなのに加え、前に風の滑り台のような高千穂峰があるため、予想していた以上の風の強さである。
 姿勢を低く保ち、常に岩に手をかけながら、用心して登って行く。

【御鉢へ】
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 御鉢への傾斜を上り詰めると、ようやく御鉢の高さにたどりつく。高度は1500mくらい。御鉢に上がると、傾斜はほとんどなくなり、水平の道をしばし歩くことになるが、そういう地形のせいで、風はさらに強さを増した。
 台風ははるか彼方で、鹿児島は強風域に入っていないはずなのだが、標高の高いところはもはや強風域の支配下にある雰囲気であった。

【御鉢】
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 御鉢に出たのちは、しばし御鉢の縁を進むことになる。
 しかし御鉢の縁の登山道は、「馬の背」と称される、両側が崖の狭い道であり、そして東側は鋭く深い噴火口である。もし暴風域なみの強風が突然吹いて、それに煽られて滑落したら、まず命はない。
 さすがにこれ以上進むのは危険すぎたので、ここで撤退することにした。
 中高年登山は安全第一なのである。だいたいこんな日に高千穂峰の山頂まで登らねばならない理由はなにもないのだし。

 下山は体重が下方向にかかるせいか、意外と風にあおられずに、無事に下山。
 当たり前のことながら、誰一人とも会うことない登山であった。そういう場合、「静かな登山を楽しめた」というのが常套句となるのであるが、今回ばかりは、風が常に轟々と唸り、ときおり砂礫が火口を流れる不気味な音が響く、騒がしい登山であった。

【霧島ホテル】
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 本日の宿、霧島ホテルへと到着。登山で、普通の汗と、それに冷や汗をかいたので、このホテルの名物の特大庭園風呂で、ゆったりとくつろごう。

【硫黄谷庭園大浴場:ホテル公式ページより】
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 霧島は、川が温泉と化し、温泉の滝もあるという、莫大な湯量を持つ地なので、このように巨大な掛け流しの温泉浴場を築くことができる。
 何度来ても、この大浴場には圧倒される。

【夕食】
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 夕食は広大な食事処で。
 台風の近づいている本日、客は少ないだろうと思ったら、人はいっぱいであった。
 駐車場の車のナンバー見ると、あんまり遠方の人はいないようであったし、南九州人はさすがに台風に慣れている。

【外の眺め@翌朝】
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 夜には鹿児島に台風最接近ということで、外は嵐のごとき状況であったが、窓さえ閉めておけば、部屋のなかはまったく平穏無事で過ごす。
 そして翌朝には、台風は離れ、風は強いものの、雨はあがり、晴れ間も見えた。
 だいたい予想どおりの天気の変化であり、安心して帰れることになる。

【高千穂峰】
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 帰路での霧島神話の里公園から見る高千穂峰。
 昨日と違って、山頂まで見ることができる。この姿を見て、今日登りかえしてみようかなとちらりとは考えたが、どう考えても気象条件は今日のほうが悪く、吹き返しの風が昨日よりもずっと強く吹いているに決まっているので、そういうことはしないことにした。


 紅葉の季節の10月は、どの週末も天気が悪く、まったく九州の山の紅葉が楽しめなかった。平成29年の10月は、悪い意味で記憶に残る月であった。


Takachihomine

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October 08, 2017

オーベルジュゆらぎ@新居浜市別子山

【オーベルジュゆらぎ】
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 四国は、島そのものが山、という地形なので、海岸沿いにある都市から山のほうへ車を走らせると、たいていは30分くらいで閑散な山奥のなかに到達することができる。
 人里離れた静かな山麓にある「オーベルジュゆらぎ」もその地形の利を生かして、新居浜市から車で30分ほどの位置にある、自然豊かな料理宿だ。

 季節により、咲き乱れる花々や、一面の紅葉を楽しめるし、近くには観光名所である「別子銅山跡」もあり、様々な楽しみ方ができる宿である。

 今回は登山を終え、松山自動車道から目指した。カーナビに従い、「いよ西条IC」から下りて県道47号線を走ったが、それは「最短距離を選ぶ」というカーナビの特性によって選ばれた道であり、900mの高さの峠を越えるくねくねの山道を走らされ、ひどい目にあってしまった。こういう道を通る前に、まじめに地図を見て検討すれば、少々遠回りであるが「新居浜IC」から県道9号線を行ったほうがはるかに楽なのは一目瞭然なのであり、帰りは当然それを使った。

【藤のドーム】
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 宿を訪ねると、まず目に入るのが、直径45mの巨大なドーム型の藤棚。
 これ、藤の花の時期はドーム全体が紫色に染まり、壮観だろうなあ。

【ディナー】
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 ディナーは地元の素材を使った、けっこう本格的なフランス料理のコース。
 特に派手さや新鮮さはないけれど、スタンダードで、落ち着いて味わえる、丁寧につくられたきちんとした料理の数々。
 そして、フロントの係の人が、ディナーのときは給仕担当になったりと、いかにもオーベルジュ的な家庭っぽさもまたいいと思う。

【赤石山系】
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 ここらへんの標高では、紅葉の時期にはまだ早かったけど、それでも周囲の遊歩道を散策すると、自然豊かな風景を楽しめた。
 そのなかでひときわ目立つのは、ギザギザの稜線を青空に刻んでいる赤石山系。
 標高は1700mを越えており、山の多い四国ではこういう立派な山がそこかしこにあるようであった。
 いつかこの山も縦走してみたいと思った。・・・来るのは大変なんだけど。

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September 23, 2017

重盤岩@津奈木町 & 湯の児温泉@水俣市

 熊本から鹿児島方面に国道3号線を走っていると、途中の津奈木町で国道沿いに見える奇岩「重盤岩」。前から気になっていたのだが、熊本に用事ができたついでに行ってみることにした。

【重盤岩】
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 津奈木町は、九州中央部に横たわる巨大な山塊である九州脊梁山地の、西の海側の端に位置するので、もっぱら山ばかりという地形であるが、その山々のなかで重盤岩のみは、山というより岩の塊という姿であり、とても個性的である。

【つなぎ美術館】
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 津奈木町はアートの町でもあり、町なかにいろいろな美術のオブジェが飾られている。それらを散策しながら楽しめるのも、この町の魅力だ。

【重盤岩眼鏡橋】
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 重盤岩のふもとには、これも熊本名物のアーチ状石橋がある。
 オブジェの奥に見える橋である。
 江戸時代に、熊本には高度な技術のある石工集団がいたので、熊本では各所にこのような美しい橋が造られている。そしてそれらは頑丈だったので今にいたるまで残っている。

【モノレール】
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 重盤岩には、80mほどの高さを登る。
 つなぎ美術館から、モノレールが出ているので、それを使うと楽に登ることができる。

【重盤岩】
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 重盤岩は、下から見ると、岩峰が一個突き出ている、単純な岩山に見えるけど、登ってみると、四方八方に登山道を伸ばした複雑な形をした岩山であった。
 それぞれの道をたどり、そこからの風景を楽しみながら、じっくりと散策した。

【湯の児温泉】
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 重盤岩を散策したのちは、近くにある湯の児温泉に移動。
 歴史あるこの温泉は、小さな湾に、いくつもの温泉宿がある風情ある姿である。

【温泉】
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 今回泊まった宿は、「昇陽館」。
 全室オーシャンビューという、眺めのよい宿である。
 ただし、ここからはどうやっても沈む太陽しか見えないはずなので、この宿の名前には納得がいかなかった。

【湯の児温泉】
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 この宿は、湯の児の豊富な湯をいかして、いろいろな種類の温泉があり、どれも良かった。

【夕食】
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 夕食は温泉宿スタイル。
 刺身、煮物、椀物、焼き物、それらを一挙に持ってきて、あとはセルフサービスというもの。
 こういうのは好きではないが、でもある意味でくつろげるので嫌いではない。海産物のレベルもなかなかのものであった。

 今回、急に思い立って旅行を決め、そこでたまたま空いていた宿を予約したけど、値段のわりにはいい宿だったと思う。特に眺め、温泉は、標準以上のレベルであった。

【湯の児島】
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 湯の児の湾に浮かぶ3つの島。
 最初の橋は、「飛び込み禁止」とか書いているけど、おらんだろそんな人、とか心で突っこんでしまう。

 一番目の島は、小高いところに登り、そこの神社にお参りして、それから次の島へと行く。
 その途中に、「願掛け亀」という大きな亀の石像があり、そこでお賽銭を供えましょう。福々しい亀なので、なにか御利益ありそう。
 この島々は、これ以外にもたくさんの亀の像が設置されているけど、それには理由がある。一つには昔、大きな亀が訪れたという伝説があること。そして、もう一つは第3の島を見晴らすところに、亀に似た岩があること。伝説はともかく、この岩を見ると、その位置と姿が絶妙なので、ここがいかにも「亀の島」という気にさせられる。

【福田農園】
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 湯の児温泉近くには、スペインの文化を伝える「福田農園」がある。
 定期的にフラメンコなどもやっているそうだ。
 今回はそれを見る時間もなかったので、美味しいとの評判のパンをたくさん購入して、それから帰宅した。


 今回、突発的に重盤岩を訪れたけど、植生を見ると、紅葉が多く植えられており、これは10月末から11月にくるとさぞ美しい景色を眺められるだろうなと思った。

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September 17, 2017

綾界隈@台風18号到来の宮崎

【9月17日天気図】
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 9月になって涼しくなり、山のシーズン到来というわけで、連休は山登りと温泉で楽しもうと思っていたのだが、そこへ連休を狙ったかのように、大型の台風18号が、進路が不安定なまま九州に向かってきて、予定がまったく立たなくなったので大人しく前半はインドアで過ごしていた。
 そして16日の夜には、台風の進路がはっきりし、17日の午前中に鹿児島上陸ということで予測が立てやすくなった。
 その日は綾町の温泉宿「酒泉の杜 綾陽亭」に予約を入れていた。当たり前のことながら、旅館というものは、当日にキャンセルをするとキャンセル料を取られるのだが、このときは数日前に宿からあり、「台風の場合はキャンセル料はとりませんので、キャンセルされる場合は早めにご連絡お願いします」との電話があり、なかなか出来た宿と思った。
 当日になり、天気図をみて計画をねる。
 まず宮崎では台風は午後に直撃ということになる。そして雨については、前線との関係で県北はひどいことになりそうだが、宮崎市から綾町へのルートはさほどの雨は降らなさそうである。
 それで、午前中にとっとと綾に移動して、台風本番は施設内で迎えるというプランを立てた。「酒泉の杜」は、温泉、ワイナリー、レストラン等のあるリゾート施設なので、チャックインまで充分に時間をつぶせるであろう。

 ということで、いつもより遥かに車の数の少ない10号線を車で走り、11時頃に綾に到着。
 ところが、時間をつぶすはすの予定の酒泉の杜、本日は台風のせいで全施設営業中止となっていた。・・・よく考えれば当たり前なのだが、その可能性についてはすっかり失念していた。反省。

【酒泉の杜】
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 施設の臨時休業とととも、イベントも中止のお知らせ。

【綾陽亭 客室】
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 というわけで、酒泉の杜をぶらぶらして時間を過ごすという計画があっさりと没になったのだが、宿のほうが特例で12時からチェックインさせてくれた。有難きかな。
 広々として、品のよい、快適な部屋である。
 この部屋のソファに寝っ転がり、午後からは嵐の様相になってきた外を眺めながら、読書や音楽で、ゆったりと時を過ごした。

【部屋風呂】
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 部屋風呂も檜の立派なものである。

【大浴場】
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 酒泉の杜の大浴場は、本日は宿泊者専用である。
 得した気分になった。

【夕方】
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 海上にいたころはゆっくりと進んでいた台風ではあったが、九州に上陸してからは速度を上げ、あっというまに当地を過ぎ去り、夕方には晴れ間も見えた。
 連休中の、迷惑千万の邪魔虫であった台風のとりあえずの通過であった。
 ちなみに、飛行機も飛ばす、JRも全区間運休というこの日、宿のキャンセルは2組だけだったそうだ。どうやって遠くから来れたのだろう?と思ってしまうが、台風に慣れた日本人は、旅のやりかたもそれぞれの工夫をもっているようだ。

【夕食】
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 夕食は、宮崎の地元のものをふんだんに使ったもの。
 綾町取れの野菜、茸、日向鶏、地頭鶏、宮崎牛、日向灘の魚、天然鮎、宮崎産の鰻等々、〆はやはり宮崎名物レタス巻き。
 この宿は県外の観光客が訪れることが多いので、そういう人たちにとって満足度の高い料理であろう。もちろん県内の者にとっても、十分に美味しい料理の数々である。

【照葉大吊橋】
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 翌日は台風一過の晴天である。
 それで綾の観光地を散策。
 まずは、一番の名所「綾の大吊橋」。
 原生林の峡谷にかけられた、世界最大規模の長さを高さを持つ、大吊橋。
 足元は一部が網状になっていて、歩いていると高度感抜群である。

【花時計】
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 直径26mという大きな花時計。
 花の時期はとてもきれいなのであるが、少々時期外れであった。

【綾城】
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 綾の町を見下ろす場所にある、ユニークな造形の城。
 ここからの眺めはじつに素晴らしい。


 台風直撃の連休、それなりに充実した休日を過ごすことができた。

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September 03, 2017

「天空の船」&レストラン「Festa del mare」@上天草松島

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 念珠岳から下りて、車で30分ほどの位置にある、本日の宿「天空の船」へと向かう。
 この宿は天草のリゾートホテルであり、天草松島の絶景を高台から望みながら、露天風呂に入られるというのが売りの宿であり、残暑の天草登山で汗をたくさんかいた身には、絶好の場にあるホテルといえる。

 そして部屋から見たホテルの本館の姿。
 たしかに、岬の突端から空へと漕ぎ出す、客船のように見え、「天空の船」が見事なネーミングということが分かった。

【露天風呂】
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 オーシャンビューの部屋のテラスのなかにある、掛け流しの露天風呂。
 リクライニングソファもあり、ここでゆったり時を過ごし、日がな、太陽の動きとともに変わる松島の風景を眺めたりすれば、贅沢な時を過ごせるだろうなと思った。

【夕暮れ】
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 天草の海は西に面しているので、サンセットビューが売り物である。
 本日は、大気が澄んでおり、そこまできれいな夕焼けにはならなかったが、それでも沈む夕日に、刻々と色と姿を変えていく、雲や海の姿がとても印象的であった。

【天空の船@夜】
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 ホテル本館は、夜になると、内部かの明かりが自らを美しく照らし、まるで豪華客船のように見え、このホテルの真の姿は夜にあると思った。

 風呂と夕焼けを満喫したあとは、ホテルにあるレストランで夕食。

【前菜】
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 天草の食材を使った盛り合わせ。
 海老の包み揚げ。天草の名物の天草大王のササミのマリネ。甲イカの昆布〆。
 野菜のバーニャカウダ。

【前菜(オプション)】
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 今が旬の天草赤雲丹。甘くて旨い。
 これはオプションメニュー。

【前菜】
5

 アワビと天草野菜のガスパチョ。香草添え。

【前菜】
6

 トウモロコシのクロカンテ。クルマエビの唐辛子風味。

【パスタ】
71

 天草産魚介類とトマトで和えたサルディニア風フレゴパスタ。

【魚料理】
8

 有明町産さざえと鮮魚のソティ・新ごぼうのソース。
 鮮魚はイシガキダイ。

【肉料理】
9

 阿蘇赤牛の網焼きもろみと、赤ワインソースと夏野菜添え。


 「リゾートホテル」なるものは、サービスが多角的であり、種々のことに手を出さないといけないので、そのどれもが平均的になりがちで、食事も「とりあえず最大公約数的に満足できるようなもの」が出てきがちなのだが、このディナーを食べてちょっと驚いた。
 本格的なイタリア料理である。
 もちろん素材は地元のものを主に使っているけど、組み立て、調理法は、じつに真っ当なイタリア料理であり、都市部の専門店で十分に通用するレベルのものである。
 こういう地方の観光地で、しかも多数の客を相手にする観光ホテルで、このような本格的かつ真摯なイタリアンを食べられて、イタリア料理好きの私としてはとても感心した。さらに、ワイン揃えも立派なものであり、それもまた驚きであった。

 海産物、野菜の豊富な天草は、それを利用した美味しい店が多いけれど、基本的には新鮮な素材勝負な店が主体であり、そのなかでこのように、素材をうまく生かして、イタリア料理に昇華できる腕を持つシェフのいるレストランがあることは、天草にとって、じつに良いことだと思った。

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