蕎麦

January 05, 2013

興福寺あたりを散策して、それから昼食を「玄」にて

【猿沢の池】
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 奈良を代表する風景はいろいろとあるけれど、猿沢の池から見る興福寺の五重塔も、誰が見ても「ここは奈良」という、いい風景だと思う。

【興福寺】
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 興福寺内を散策。
 興福寺は国宝の宝庫みたいなところで、この五重塔も当然国宝。
 奈良市ではどこからでも目立つ、古都にふさわしいランドマークである。

【阿修羅像】
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 興福寺では、国宝館も当然訪れるべき場所である。
 乾漆八部衆立像(阿修羅像が特に有名)、乾漆十大弟子立像など、その造形の完成度、技術の素晴らしさ、深い精神性、いつ見ても感銘を受ける。
 日本の彫像における芸術は、奈良時代に既にこの途方もない高みに達しているのであって、日本の文化の底力を改めて認識できる。…ただし、このへんあたりがピークになっているのも、またなにか納得いかないものもあるが。

【名人発見】
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 興福寺あたりは、道路が複雑に走っており、だんだんと狭くなって、袋小路に近いようなつくりの道もある。
 ある道は、「軽自動車しか通れません」との表示が掛けられていたのだが、その道にVWビートルが入って来た。
 地元の人が駐車場に入るのかな、くらいに思っていたら、そのビートルはだんだんと狭まり、最終的には車の幅とほぼ同じ幅になる道を、悠々と抜けていった。
 …世の中には名人がいるものだなあ、と感心。

【玄】
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 蕎麦好きの人なら、誰でも知っている奈良の「玄」。
 玄の蕎麦を食うためだけでも奈良に行く価値はある、とも称される老舗店である。
 その「玄」は、このように古民家風の建物の店であり、たいへん趣がある。

【蕎麦】
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 蕎麦は、せいろと田舎があり、両方を頼んだ。
 極細といってよい細さの麺であり、見た目美しく、丁寧さ、繊細さを感じるものである。
 食べてみれば、まったく繊細そのものの蕎麦であり、蕎麦の味、香りとも、儚ささえ感じるような、…そして儚さを感じたのち、さらに箸が蕎麦に伸び、一挙に一枚を平らげてしまう、じつに美味な蕎麦であった。
 この繊細な蕎麦には、塩のほうが良くあうと思い、ほとんどは塩で食べることになった。
 そして、〆の蕎麦湯は、これはトロトロの濃厚なものであり、その対比もたいへん面白い。

 いやはや、満足いたしました。
 たしかにこの蕎麦店は、奈良を訪れたときは外してはならぬ名店である。

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June 11, 2011

大雨のなかのミヤマキリシマ@九重

 6月はミヤマキリシマの季節であるが、6月になると、せっかくの週末は雨が降ることが続いている。
 11日土曜日も朝から雷を伴う大雨が降っており、これはとても山など登れそうもなさそうだ。
 しかし、とりあえず宿は由布院に取っているので、山には向かわねばならない。

【蕎麦や漱石】
Soseki

【蕎麦:玄舞】
Soba

 ゆったりと阿蘇に着き、昼食は「蕎麦や漱石」で蕎麦を食う。
 漱石の名物、「玄舞」を注文。蕎麦の風味と旨みを前面に出した、直球勝負の蕎麦である。
 この手の蕎麦は、いわゆる「純文学系」の蕎麦であり、店主のお勧め通り、塩でのみ食うのが一番魅力を感じられると思う。

【長者原】
Chojabaru

 蕎麦で腹を満たしたのちは、やまなみハイウエイに入り、大雨と強風のなか車を進めていき、長者原へ着く。
 6月の週末といえば、牧ノ戸や長者原の駐車場は午前9時くらいで満車となり、車は道路に溢れている、というのがいつものパターンであるが、本日はこの荒天で、駐車場は閑散としてる。こんな6月の長者原を見るのは初めての経験だ。

 本日はずっと大雨だったのだが、長者原に着いたときは、小雨となっていた。

 …となると、つい山に登りたくなる。
 長者原から九重を見ると、写真にも写っているように、指山だけは雲の下にある。
 指山くらいなら、こんな悪天候でも登っていいだろうと思ってしまい、雨具装着し、カメラだけ持って登ってしまった。

【指山】
Mt_yubi

【指山のミヤマキリシマ】
Miyamakirisima

 九重の山々のうち、登山の容易さではトップクラスの指山であるが、この天候では容易ならざる山となっていた。
 指山って、じつは傾斜が強く、その傾斜の部分は泥道となっていて、滑る、滑る。登るも降りるのも、大変な山と化していた。

 雨まみれ、泥まみれ、そういう苦労を費やして登った指山も、お目当てのミヤマキリシマは花のつきが悪く、ここまで花のつきの悪いミヤマキリシマを見たのも久しぶりだ。
 今年のミヤマキリシマは、外れの年みたい。

 こんな気候では、当然ながら他には登山者もいなく、いったい私は何をやってるんだろうと思わざるをえない、そういう登山であった。


 …本当は雨のなかの登山だって、それなりの面白さはある。
 しかし、それはあくまでもきちんとした装備があってのことで、今回はなんの装備もなく、それで全然楽しくなかった。

 ただ登ってしまっただけの、反省しきりの登山であった。

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October 11, 2010

高速道路の食事処

 尾道から延岡にどうやって帰るかだが、しまなみ海道で四国に行って、それから愛媛の八幡浜からフェリーで臼杵に渡るのが、時間はかかるが楽しそうである。
 しかしそれはフェリー代が一万円近くかかるのがネックとなる。今は休日の高速道路が1000円で使い放題なので、どうにもフェリー代が割高に思え、結局はいちばん安易な、往路と同様の高速道路使用にて戻ることにした。
 こういう感じでフェリーを使わない人がそうとう増えているのは容易に想像でき、この休日1000円の高速料金というのも、他業圧迫ではあるよなあ。車使う人には便利じゃあるんだけど、いつまでもは続けられない制度であろう。

 尾道ICから山陽自動車道を下っていく。
 どこかのSAで飯を食いたいのだが、まずは王司PAで「昭ちゃんコロッケ」を購入。

【昭ちゃんコロッケ@山口王司PA】
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【昭ちゃんコロッケ】
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 高速道のSAの売店はどこでもコロッケを売っているけど、この王司PAの昭ちゃんコロッケは、それらの普通のコロッケとは少々異なっている。昭ちゃんコロッケはジャガイモに独自の味付けをしており、ジャガイモ自体の味より、「味つきジャガイモ」の味のほうが前面に出てくる、…要するに「味付きコロッケ」である。それの何がよいかというと、冷めてもおいしいんですよね。普通は冷えたコロッケなんてうまくもなんともないけど、この昭ちゃんコロッケは、冷えてもしっかりした味があるので、いいビールのツマミになる。
 もちろん熱いときもおいしく、今回もさっそく熱々のものを食べた。

【黒豚ソバ@大分別府SA】
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 昭ちゃんコロッケで小腹を満たしたのち、昼飯は別府湾SAで、不生庵の「黒豚ソバ」にする。不生庵は無量塔プロデュースの蕎麦屋で由布院にあるけど、この店はその(たぶん)支店である。
 高速道路で食べるソバとしてはかなりレベルの高いものであり、とくにこの黒豚ソバは、とろとろに煮込まれた黒豚と、その脂の混じったソバ出汁のマッチングがよく、かなりの逸品である。これをツマミに酒が飲めないのは残念だが、ノンアルコールビールで我慢しましょう。

【県道122号線から見る海岸線】
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 佐伯ICで高速道を降りたのちは国道388号線で帰るつもりだったけれど、蒲江で道なりに進むうち県道122号線に紛れ込んでしまった。
 この道は、かなりハードであった。道が狭く離合も困難な曲路がずっと続くのに、大きな道路の工事を併設してやっているようで、トラックの交通が多く、運転に緊張を強いられた。
 古江あたりで国道388号線に出た時は、ほんとにほっとした。

 ただこの道は海岸線沿いのときも多く、そのときは景色がよくて、自転車で走るのならけっこう気持ちのいい道ではないかとも思った。

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September 14, 2010

蕎麦:しみずの鴨せいろ

Soba

 蕎麦はつゆのみで、山葵や葱も加えずに食べるのが一番美味いとは思っているけど、酒の肴にする場合は、それではシンプルすぎるように感じられるときもある。
 蕎麦屋に行って、ちょいと気合を入れて酒を飲もうかと思ったとき、「鴨せいろ」などのほうが肴としてよかったりもする。とくに「しみず」の鴨せいろは。

 鴨そのものの味もよいが、鴨の豊かな脂が溶け込んだ、少々辛めのつけ汁が絶品である。その汁をたっぷり吸った葱も、鴨葱とはこのことかいうくらいに相性がよい。
 これに端正な姿の蕎麦をちょいちょいとつけながら、蕎麦を食い、酒を飲む。蕎麦食い、酒飲みの幸せな時間である。
 蕎麦を食い終わったあとのつけ汁を蕎麦湯に溶いて飲むと、これもまた絶品なのであった。

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June 26, 2010

福岡おいしい二泊三日

 「極楽おいしい二泊三日」に触発されたというわけでもないのだが、福岡に所用で出るので、二泊三日の日程を組み、いつもより食事に寄る店を増やすことにした。
 とはいえ、福岡はずいぶんと長く通っているところなので、気にいった店は限られており、結局はいつもと似たような店ばかりなのを訪れたのではある。

 (1日目夜)安春計@薬院
 
 初夏の食い物というと、私は安春計の名物「鮎の一夜干し炙り」をまず思いうかべる。
 鮎は本来は「濃い目の魚」であり、メインを張れる食材であるけど、ワタをとって爽やかな味と香りに仕立てあげたこの一夜干しは、鮨の前の肴として、抜群に合う逸品である。

【鮎の一夜干し炙り】
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 肴は、造り3種(マコガレイ、シャコ、中トロ)、鯛の白子、モロキュウ、蒸しアワビなど。それから鮨となる。

【鮪】
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 鮨はどれも美味いが、特に鮪が秀逸。
 築地から仕入れた本マグロ。右から赤身に、中トロ、大トロ。

【穴子】
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 〆の穴子は背と腹で握られている。
 ふんわり、ふわふわととろける食感は見事なものである。

 安春計の鮨は、私にとっては鮨のスタンダードであって、鮨を食いたくなったときはまずは「安春計の鮨を食いたい」と思う。そしてじっさいに食べれば、満足満足。

(2日目昼) 蕎喰 いまとみ@中央区高砂

 「おいしい二泊三日」は「朝・昼・夜」と食べるのが基本であるけど、夜にガッツリ食うとやはり朝は腹は空いていなく、無理に食べると昼が辛くなりそうなので、今回はいずれも朝食は抜き。
 昼は高砂の「蕎喰 いまとみ」で蕎麦を。

【手挽き蕎麦】
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 この店は酒肴も豊富であるが、昼なのでそれも頼むと飲み過ぎることになるので、ここはぐっと我慢して、蕎麦のみで酒を飲む。
 ごわごわ、ぼつぼつとした朴訥たる食感の蕎麦ではあり、のどごしはあまりよくないが、じっくり熟成された蕎麦の味の広がりとふくらみは大したもの。蕎麦とは、本来はこういうものなのだろうなあという思いがする。
 福岡の蕎麦では、ここが私の一番の好みだ。

【柳橋連合市場】
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 「いまとみ」は、福岡の魚の台所「柳橋連合市場」に近いので寄ってみた。
 美味しそうな魚が、たくさんの種類と、たくさんの量並べられていて、見ていて楽しい。
 ほんとに良いものは早朝に買われてしまっているそうだが、それでもこの品揃えはたいしたものだ。

(二日目夜)サーラカリーナ@浄水通り

 夜はサーラカリーナーでディナー。ほんとにいつも同じ店ばかり行ってるなあ。
 パスタは三種類。
 夏ポルチニ茸と夏トリュフのパスタ。イワシと香草のパスタ。タコとトマトソースの生パスタ。
 いずれもとても美味。こういう美味いパスタを食べると、パスタとは鮨同様にバランスの料理というのがよく分かる。一番いい茹で加減で、一番いい温度で茹でられたパスタが、これも一番いい加減で調理されたソースと具材と合わせられると、調和に満ちた極上の一品となります。
 オーナーシェフの今井氏は、キッチンで陣頭指揮をとって料理をされているけれど、その今井シェフの料理はいつ食っても感服の一言。

【夏ポルチニ茸と夏トリュフのパスタ】
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【ラム料理】
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 メインの肉料理は、オーストラリア産の子羊。
 特殊なハーブを餌に与えられたラムは、分かる人にはそのハーブの香りも分かるそうだが、…よく分からんかった。しかし、このラムの繊細にして複雑な味は素人でもわかる見事なもの。そして、その味を最大限に生かす味付けもまた見事。

 ドルチェにアイスワインで〆。
 やはりサーラカリーナの料理は素晴らしい。

(3日目昼)某洋食店

 昼は「近松」にしようと思ったけど、満席にて予約がとれず残念。
 それでは「貴庄」かセントラーザの「やま中」にしようかとも思ったけど、たまには新規店開拓でもしようかと思いなおす。
 近頃開店した某洋食店がずいぶんと評判が良く気になっていたので、これを機会とそこのランチを予約した。

【前菜】
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 前菜はこんな感じ。
 まあまあ、美味しかった。

 店のスタッフの応対も、シェフもマダムの応対もたいへん良く、店の空間の現代的な演出も粋であり、店全体の雰囲気は良かったと思う。人気店という理由もわかる。
 ただ魚・肉のメイン料理は、なんとなくぼんやりしたまとまりのないものに感じられ、肝心の料理に魅力をイマイチ感じられなかった。
 開店仕立てということで、まだ味が落ち着いていないのか。それともランチに力を入れていない店なのか。

 一食損したとまでは思わぬものの、新規店開拓にはどうしてもハズレがある。
 こういうアタリハズレを繰り返していき、そうして「二泊三日おいしい旅」の達人になれるということか。…なる気もないのではあるが。

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November 29, 2009

新蕎麦@しみず

【しみず】
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 宮崎市に映画を観に出かけたついで、昼飯に蕎麦を食べたくなったので、しみずに行ってみる。
 すると店の前には「新蕎麦」の表示が。

 私は蕎麦は好きだけど、自慢じゃないが、新蕎麦と普通の時期の蕎麦の食べ比べをして、分かる自信はない。蕎麦って、年中いつも美味しいものと思っているし、じっさいにそうだ。
 それでも、新米,新子等々、「新」のつくものはそれはそれで有難いことであり、「新蕎麦」の表示をみて、これはラッキーなどと思いつつ、店に入り冷酒と生粉打ち蕎麦を頼む。

【蕎麦】
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 蕎麦はいつものごとく、端正な形に切られ、美しい。そしていつもよりも艶々として見えたのは、新蕎麦効果か、それとも気のせいか。
 高い技術で作られたしみずの蕎麦は、見るだけで背筋がシャキっと伸びるくらいに、しっかりとした姿であり、そして食べれば丁度よい長さで、丁度よい硬さ。咽越しの食感も、咽をくぐるときに広がる蕎麦の香りも、じつによい。
 見てよし、食べてよし、香りよし、蕎麦を食べる楽しさをあらためて教えてくれる、すばらしい蕎麦である。

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June 28, 2009

宮崎の蕎麦

【延岡・田舎家の蕎麦】
Nobeoka

 延岡駅前に田舎屋という蕎麦屋があって、そこで蕎麦を食ったところ、蕎麦の香りが良く、蕎麦の旨みも十分で、良質の蕎麦粉を使い、しっかりした技術を持った料理人が蕎麦を打っている、とてもいい店だと思った。
 なんで延岡にこんな店が…とか、思わぬこともなかったが、延岡って意外と和食系の店のレベルが高く、たぶん旭化成の人たちが種々の店を鍛えて育てあげたんだろうなあと勝手に思っている。

 どこにリンクがあるというわけでない超マイナーな私のブログでも、記事がネットに乗ってしまえば検索エンジンがひっかけるので、ネットで延岡の美味い店を探したい人の一助に、ぼちぼち、「延岡の美味い店」をUPしていこうかなあと思いつつ、…でも今回は延岡の蕎麦屋の話に加えて、宮崎市の蕎麦屋の話。。

 蕎麦好きの私としては、宮崎では蕎麦処しみずが一番の好みであり、宮崎市に行くとついつい食いたくなってしまい、今回も行ってみた。

【しみずの生粉打ち蕎麦(店が暗いのでピンボケ気味)】
Simizu

 この店は街中の蕎麦屋のくせして、酒のアテが少ないのが難だな。蕎麦豆腐がすぐに品切れになったのは仕方ないとして、板ワサとか、…いや板ワサがあれば十分なんだが、蕎麦豆腐がないと他につまみたくなるものはなかった。
 まあ、蕎麦も素晴らしい酒の肴なので、蕎麦を肴に昼間から酒を飲む。
 う~ん。やっぱり美味い。
 しみずの生粉打ち蕎麦は香りも食感もよい。食感とは、つまりつやつやにして滑らかな、なんというか、蕎麦粉が「こんな瑞々しい蕎麦にしてくれありがとう」と礼を言いたくなるような、麺の艶やかさの造形の感触なのであり、しみずはまさに蕎麦が礼を言うような蕎麦であり、いつも見事なものと思う。でも、この食感に関しては、蕎麦の香りを重視した挽きかたとをすると、レベルが落ちてしまう。
 蕎麦って、この香り、旨み、食感のバランスがすごく難しい料理だと思う。

 しみずの蕎麦はそこのバランスが、いわゆる洗練された方向に進んだ、上品な蕎麦と思われ、私は好みだ。

 延岡の田舎屋の蕎麦は、このバランスが、蕎麦粉の旨さをより重視するように私には感じられ、「田舎屋」という名前が宣言するように、蕎麦粉自体の旨さをしっかりと伝える、いわゆる田舎蕎麦系の蕎麦に思えた。

 蕎麦は、奥が深い。
 宮崎にいるからには、美味い蕎麦を食おうと思ったら、気分にまかせて「田舎屋」と「しみず」を訪れることにしよう。
 ところで宮崎の麺といえば、うどん・ラーメンが主体のようだが、宮崎は蕎麦の産地に近き地であり、他にも美味い蕎麦屋はあって当然だし、噂も聞くので、おりをみて、訪ね歩きたいと思う。

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March 05, 2009

山の中の蕎麦屋@かわぐち(霧島町)蕎麦会席

 私は山のなかで蕎麦屋を見つけると、ついつい訪れてしまうのだが、よく考えると街の中でも美味しそうな蕎麦屋を見つけると訪れてしまうので、ようは私は蕎麦が好きなのである。
 ところで山の中の蕎麦屋と、街の中の蕎麦屋には、明確な(たまに例外もあるけど)違いが一つある。街中の蕎麦屋は、酒のアテが、板ワサなり豆腐なり鴨肉なり卵焼きなり天麩羅なり、豊富に置いているのに比べ、山の中の蕎麦屋はそのたぐいのものを置いていることが少ない。これは山の中の蕎麦屋を訪れる者が車で来ることが多いことや、従業員が少ないことからそのてのものに手がまわらない、とかの理由によるものと思われる。
 私は蕎麦屋の素朴なアテで酒を飲むのは好きなのだが、山中の蕎麦屋ではそれが楽しめず少々残念に思っていた。

 さて、霧島周辺には蕎麦屋が数軒あるけど、どこも事情は同様で、酒のアテは少なく、酒を飲む雰囲気の店ではない。しかしながら、霧島の蕎麦屋「古式手打ち かわぐち」が、店の開店記念日の週は、一週間の期間限定で酒のアテを豊富に出す蕎麦会席を出すということを、2月に訪れたときに聞いた。
 人里離れた山の中の蕎麦屋で、酒肴を頂きながら酒を飲むのは、オツなものであろう。「かわぐち」の蕎麦は好みであるし、話のネタにもなることだし、行ってみることにした。

 蕎麦会席のメニューを、メニュー表より書き写す。

 <蕎麦会席>
 湯葉豆腐
 茸と蕎麦米の梅肉和え
 雲丹の蕎麦米時雨
 イクラの蕎麦米時雨
 蕎麦いなり
 里芋団子
 蕎麦の天麩羅
 蕎麦雑炊
 古式手打ちそば
 香の物
 デザート

 会席料理は、蕎麦の実をいろいろな調理法で用いた、さまざまな料理が出てきます。
 酒は「越の誉」の樽酒。店主が熟成の度合いによって、瓶に移しています。

 写真をいくつか。

【湯葉豆腐】
Yuba

 どこが湯葉なんだ、という突っ込みをいれたくなるような分厚い湯葉。大豆の香りが豊かで、もちもちした食感もたいへんよい。しかしこういう湯葉って、どうやって作るんだろう。

【山菜のごま和え 蕎麦雑炊】
Wild_plants

 こちらも香り豊かないい山菜を使っている。味はうまくアクを抜いていて、ほどよい上品さ。甘さ抑え目のゴマ和えとよく調和している。蕎麦雑炊は、すっきりとした鰹の出汁が印象的。

【蕎麦稲荷 蕎麦寿司】
Soba_inari

 良質な蕎麦を使っていると、こういう料理もできるなんだなあというもの。蕎麦の弾力ある食感を楽しめる。

【手打ち蕎麦】
Soba

 蕎麦は相変わらず、整った切り口で、出来上がりの形が美しい。喉越しの感触も良好。

 山の中の和料理にしては、予想以上にレベル高かったなあ。普段でも、こういう料理を出してよ、とか言いたくなるが、かかる手間ひまを考えると期間限定がやっとなんでしょうな。
 「かわぐち」は、家庭的な雰囲気のある店です。その料理は、まじめに、細心に作られており、でも、妙な緊張感なしに、やさしさ、おおらかさを感じさせてくれます。田舎の家を訪れたとき、そこで採れた材料を用いて、心をこめて、丁寧に料理をつくって歓待する、そういう雰囲気の満ちた会席料理であった。

……………………………………………………
霧島蕎麦処かわぐち 鹿児島姶良郡霧島町田口2638-47 TEL 0995-57-4321


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December 29, 2008

蕎麦@蕎麦処しみず

 この店は月曜日は定休日のはずだけど、蕎麦屋にとって最も稼ぎ時の年末、たぶん開いてるであろうと来店。もちろん開店してました。ただし昼のみ。あとの時間はひたすら年越し蕎麦を打ってるのであろう。

Soba_noodle

 あいもかわらず生粉打せいろを注文。
 いつもながら端正に切られ、姿整った蕎麦である。しっかりした弾力もありながら、つやつやした食感であり、喉越しもいい。十割蕎麦でここまでの食感を出せる技術はすごい。個人的には宮崎市ナンバーワンの蕎麦屋と思っている。

 少々早いながらも、十分に美味い年越し蕎麦が食べられました。

 蕎麦を食ったのち、自転車屋に行って新しい自転車を注文。来月20日くらいに届くそうだ。
 その後はイオンまで映画を観に。駅でちょうどバスが出てしまったので、歩いていったら30分ほどの距離であった。

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