寿司

October 30, 2009

食事:宮崎観光ホテル~光洋

 以前フェニックスリゾートのホテルに研修会に出かけ、その続きの懇親会にて料理の出来栄えにあまり感心はしなかったのだが、宮崎市ではそのたぐいは宮崎観光ホテルが一番レベルが高いと聞き、ならば宮崎観光ホテルで研修会があったなら、それにはぜひとも参加してみようと思った。
 …お前は研修会にいったい何を求めているのかと問われると、答えに困ってしまうが。

 その宮崎観光ホテルで研修会が開かれるとのことで、それではと行くことにした。
 研修会の中身は、中央で腕を磨いていた人を講師に迎えての現在の最先端の技術についてのもので、すごいものであった。宮崎でも数年経てば導入されるのであろうか?

 それが終わったのちは、本日目当ての懇親会のビュッフェ。(おいおい)

【テーブル上の料理】
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 テーブルに並べられた料理はこんな感じ。たしかにフェニックスのホテルよりも、品数とも増えていたし、素材もよかった。

【ローストビーフ】
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 ローストビーフも切り分けて出てくる。こういうのがあると、ポイントが高くなる。

 全体として、まあまあのレベルのものであったと思う。自分からわざわざ食う気はしないが、こういう会でなら十分満足できるもの。
 じつのところホテルのビュッフェは、東京大学が主催した帝国ホテルのものにたまげたことが一回あるきりで、あんな美味くて豪華なものは例外中の例外なんだろうなあ。

 適当に飲んで、適当に食ったのち、せっかく宮崎市に出たので、光洋に寿司をかるくつまみに行く。

【イクラ】
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 イクラは先週にのむらで良いものを食ったが、このイクラもなかなかcharmingなもの。つやつやした輝きと、ぷちぷちした食感がよろしい。

【イクラ2】
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 旬を迎えたイクラはたくさん仕入れており、明日の会席料理用へ仕込みをしているものが、ボールに満ちている。見ているだけで、おなかいっぱいになりそう。

 寿司のシャリもだいぶ安定してきた感じで、特に白身がその繊細な旨さがよく引き出されていた、そんな寿司であった。あとの課題は、藤田水産の「濃い系」のマグロと、今のシャリをいかに調和させるかだな。これからぐんぐんマグロが濃くなってくることだし。

 美味い寿司を食い、美味い酒を飲み、いい気分でJRに乗って帰る。

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October 28, 2009

寿司:小太郎(@延岡市)でコハダを食う

 寿司好きな私は週に1~2回は必ず寿司を食べるわけであるが、延岡市内では、「やぐら寿司」「一太郎」、それに「新茶屋」「一寸ぼうし」をその日の気分しだいで訪れることが多い。

 本日は「一太郎」にて寿司を食う。
 この店は店主が東京で修業を積んできただけあって、けっこう本格的な寿司が出てくる。地元の素材にこだわりながらも、ウニなどは北海道のいいものを仕入れており、それらの素材がややこぶりなシャリとバランスよく握られ、きちんとした寿司として供される。

 …この店、おしむらくは、まあこれは延岡全体の寿司店の問題点なのだが、ヒカリものが弱い。
 延岡では需要が少ないからしかたないといえばしかたないのだけど、私のような、ヒカリもの系を好む者にとっては、ヒカリものの品種の少なさがちょいとものたりない。

 しかし、今日はなんとコハダが入っているとのこと。延岡じゃ、初めての経験だな。
 コハダはべつに東京湾や三河湾の特産品というわけではなく、目の前の日向灘にいくらでも泳いでいるわけだが、漁師がそれが商売物になるという意識がなく、わざわざ獲ったりしないのである。けれど、数日前にたまたま網にかかったのか、市場に2キロほどのコハダが出ていたそうだ。珍しいことであり、店主はあるぶん全部仕入れ、仕込みのおえたものが出てきた次第。

 意外とはけるもので、もう半分以上出ましたよ、とのこと。それだけ需要があるのなら、漁師の尻をたたいて、できるかぎり市場に出すようにしてもらいたいもんだよなあ、とヒカリもの好きの私としては思うのであった。

 そうして、貴重なコハダを四貫も食ってしまった。
 うん、おいしかった。

……………………………………………
一太郎 宮崎県延岡市船倉町2丁目4−16−1F
TEL 0982-33-5018

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October 24, 2009

寿司:10月の鮨匠のむら@鹿児島市

 霧島登山を終えたのちは、当然酒を飲めねばならぬ。
 鹿児島での定番「鮨匠のむら」へと、車でGO。

 いつものごとく、生きた季節を切り取ったような旬の素材が次々へと現れ、日本に生れ魚を食うという幸せを存分にあたえてくれる。

【済州島の本サバ】
Saisyutou

 五島のものよりこちらが上と店主が断言する済州島の真鯖。出始めの最初期のものなので、脂ののりは不十分なるも、身の清新で純粋な美味さはこの時期特有のものでしょう。これからどんどん脂がのってきます。
 いつもの定番首折れ鯖も同時に出てきて、こちらは旬の真っ盛りで、熟しきったむちむち、ねっとりした食感がすばらしい。この二つの鯖の食べ比べもおもしろかった。

【歯鰹のたたき】
Hagatuo

 素晴らしい歯鰹が入ったときのみ出てくる、「のむら」自慢の裏メニュー。じつは私も初めて食った。
 歯鰹のたたきをポン酢で和えて、それにニンニク、カイワレ、アサツキ、ショウガを添えている。あんまり鮨屋には出てこなさそうな、飲み屋の突き出しふう料理であるが、食べてみれば歯鰹の爽やかな脂と、薬味のたぐいが上品なレベルで調和しており、美味い冷酒にじつによくあっている。「九州最強の居酒屋」との異名を持つのむらの面目躍如の料理。

【バショウカジキの炙り】
Bayoukajiki

 バショウカジキってこの店でしか食べたことはないんだけど、これってすごく美味い魚である。よく乗った、しかしくどくない脂が、炙ることによって旨さが増し、なんとも豊かな味が広がってくる。

【イクラ】
Ikura

 南九州の魚を大事にしているのむらであるが、南九州で手に入らぬ美味い素材についても、しっかりと仕入れている。これこそ本場北海道でもなかなか食えないレベルの、極上のイクラ。仕入、仕込みがしっかりしているので、瑞々しい、生きのよいイクラを味わえる。

【ウニ・イクラ丼】
Uniikuradon

 のむらで食の主役を張る「ウニ」と「イクラ」をあわせて豪華なミニ丼で。
 ウニはもう終わりの時期で、ちょっとした雑味が混じってきている。これも季節のうつろいのあわれさを感じさせてくれます。これをかきまぜて、ウニとイクラの良いとこどりの、旨さたっぷりの丼を、はふはふと食う。

【海老の握り】
Kurumaebi

 握りももちろん美味いものばかり。
 とりわけこの茹でたてぷりぷりの海老はいつ食べても、味と食感の豊かさで、日本一の海老の握りだと思います。

 さんざんに飲んで、食って、充実感いっぱいの時間であった。
 季節の流れというのは、山登り以外でも、一流の料理店で存分に知ることができるという、いつもながらの感想を持ちます。


 ところで本日、やけに体格のよいアスリート系の人が隣に座っていた。ぜったいにただものではない雰囲気がただよっており、それも道理で、マリーンズの里崎選手であった。マリーンズの秋季キャンプが鹿児島で行われていて、店のファンである里崎選手がキャンプの合間に訪れてきたとのこと。
 店主と少しばかり雑談に加わらせていただき、春季キャンプの誘致を止めてしまった鹿児島市の不見識について私が愚痴ったりする。
 店主がせっかくなのでサインをもらいませんかと言うが、色紙とか持っていないので、といってそのへんの紙にサインしてもらうのも失礼な話なので、またの機会にでもと答えると、うちの店にはいくらでも色紙がありますよ、とのこと。(どういう店だい)
 というわけで、里崎選手のサインを、私の名前と日付入りでもらいました。
 「これはありがとうございます。ホークスのファンでしたが、マリーンズのファンになります」と言ったところ、「いえいえ、とんでもない。ホークスとともにこれからもパリーグを応援してください」と立派な答え。里崎選手、見ためとおりのナイスガイです。

 そういうわけで、こんどの日本シリーズは日本ハムを応援することにするが、…さすがに今年のジャアンツには勝てそうな気がしないなあ。

【里崎選手のサイン(私の名は画像修整にて消してます)】
Sign


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October 09, 2009

土産:光洋の玉子焼き

Tamago

 閉店近くまで飲み、玉子焼きが余ったとのことで、お土産にもらう。
 光洋は近頃玉子焼きを始めたのである。

 東京の寿司屋では定番の厚焼き玉子も九州では出す店が少なく、(出汁巻き玉子はどこでも置いているけど)、鮨の〆のさいに少々さびしく思うことが多いが、ついに登場ですか。
 この料理、なにしろ手間ヒマのかかるものであり、そのわりには九州では鮨通あるいは通ぶった人にしか喜ばれないという、店にとってはあまりモチベーションの上がるようなものではないのだが、そういうものを置いてくれるところに店主の意気込みを感じます。

 帰りに職場に寄り、仕事なかばの者たちに、知らないであろうからと、江戸前風玉子焼きに関してのウンチクを一席ぶって、それから玉子焼きを渡す。
 …迷惑な酔っ払いだな。いつものことながら。

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October 08, 2009

鮨:10月の光洋 バブリーな夜

 今夜は突然ヒマになったので、ふらりと光洋へ鮨を食いに行くことにする。
 ちょうど台風が日本を縦断したあとなので、海はめちゃくちゃな状況であり、仕入はよくないであろうと予測はしたが、それはあまり考えないことにした。

 さて席について、酒のアテを待っていると、光洋常連のW氏が登場。
 W氏は最初からかなりハイテンションである。じつはW氏は3日前にも来ており本日は来る予定はなかったのだが、その後光洋がいいアラを入荷したという情報を聞き、「美味いもの食うぞ!」の戦闘モードに入って光洋に突入してきたわけ。

 隣の席についたW氏と、「おひしぶり」の挨拶をかわすうち、今日はいいアラが食えるから、いい酒も飲まないといけない、自分が店にキープしている秘蔵の酒を飲みましょう、と愛知の酒「蓬莱泉・吟」を出してくれた。
 この酒初めて飲んだけど、大吟醸にしては香りが控えめなのに、口中に広がる旨みの複雑さが印象的、そして咽には清冽な感触を与えて、すーと流れていく。たしかにこれは名酒だ。入手するのは大変な手間がかかるとのこと。
 その希少な酒を、差しつ差されつぐいぐい飲んでいるうちに、10キロを超える大物アラの、一番脂の乗ったカマ焼きという、豪華な焼き物登場。寝かせて間もない獲れたてのアラの身は、ぷるぷるこりこりの愉しい食感。脂も良質なものが十分に乗っており、アラの新しい魅力をたっぷり教えてくれた。高級魚アラの、数限られた部位の料理であり、そうそう食べられるものではない、貴重な、バブリーなものをしっかりと体験させていただきました。貴重な酒「蓬莱泉・吟」とあわせ、バブリーな夜であった。
 その「蓬莱泉・吟」、美味すぎてついついピッチが上がり、私のほうが半分以上飲んだんじゃないのかな。W先生、失礼いたしました。

 本日はネタにはあまり期待していなかったのだけど、シャコや赤貝などは、なかなかの上品が出ていた記憶はあるが、…アラと蓬莱泉の印象が強すぎて、どれがどれやらどうでもよくなってしまった。わははは。(←わははじゃないって)

 その「蓬莱泉・吟」のwebから拾った写真。
Gin_2

 醸造元のホームページをみると、他にもおいしそうな酒がずらずらと並んで載っております。

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October 04, 2009

鮨:秋の夢膳

 ライブが終わったのちは、夢膳へと鮨を食いに行く。
 …が、着いてみると様子がおかしい。明かりはついているが、門が閉じており閉店の雰囲気。あれ、予約の日を間違えて伝えていたかなと思っているうち、女将さんがこちらに気づき玄関を開けてくれた。
 私が予定の時間を1時間過ぎても訪れないので、店のほうも予約の間違いかと思い閉店の準備をしていたとのこと。あれ、今は9時少しすぎたくらいのはずなのにと思って、携帯の時刻をチェックすると、なんと10時を過ぎていた。
 ライブが終わったとき、マリンメッセの(見にくい)時計を見ると8時50分だったので、ちょうといいくらいの時間だと思っていたら、…あれはじつは9時45分だったのだ。ライブ独自の時間の流れで、思いっきり時間の感覚がおかしくなり、おおぼけをかましてしまった。鮨屋の予約の時間はきちんと守るべし、というのが家訓であったが、ひさしぶりに破ってしまった。
 すでに仕事後の晩酌モードに入っていた店主に平謝りしながら、10時過ぎという遅いスタート。それでも造り、椀物、焼き物、鮨とフルコースでいただく。

【天然鰻の白焼】
Eel

 夢膳の鰻は初夏から始まるが、まだあったんだ。天然鰻の本当の旬は今頃なのであるが、まああっておかしくはないのだが、夢膳の鰻は7月というイメージが強いなあ。
 有明海で天然獲れた鰻は、皮が分厚く香りが高い。身も筋肉隆々としており、歯ごたえ十分で旨みも濃厚。この店の天然鰻を食べると、海で獲れた天然鰻というものが、鰻の中で独自の存在であることがよく分かる。養殖鰻の出来が良くなった今の時代でも、天然鰻にこだわる人たちがいるけど、この店のを食べるとその気持ちはよく理解できる。

【ノドグロ】
Nodoguro

 夢膳名物ノドグロは、いつもは対馬のものなのだけど、今週は海の状態が悪く(たしかにそうだ。大型台風も近付いているし)、長崎のもの。どう違うかといえば、脂の乗りがまったく違うそうだ。「今回くらいのは光洋さんでも出てきますよ」、と光洋を褒めているのか、けなしているのかよく分からない店主のコメントつき。この業界、仕入からしてすでに分かっているので、ごまかせない世界なのである。
 いつもの対馬のノドグロは、身を切ると、脂がとろ~りと流れて来るような脂濡れ濡れのものだけど、長崎のノドグロはといえばそこまでの脂の乗りはない。でも、それゆえのホコホコホクホクした身の食感は、これはこれでたいへんよろしい。

【ハモ椀】
Pike_conger

 ハモ椀はハモのストレート勝負。ハモの旨みが十二分というか十五分くらいに出た濃厚な出汁を塩で整えた、一歩間違うとハモくさくなるような椀だが、そのようなことはもちろんなくハモの旨さが幾層にも重なった、なんとも夢膳でしか出てこないような、素晴らしい椀。

 その後は握りをおまかせで。
 今夜は少しばかり酒が入っているので、精度が落ちているかもしれませんとのことであったが、いつも通りの豊かにして華やかな夢膳の鮨であった。

 夢膳の料理は、「非日常感」が満ちている。このようなものは家庭ではもちろん無理だが、一流の店でさえなかなか味わえるものではない。
 なにかとんでもない、なにかすごい、そういう料理を食べたくなる時があったとき、夢膳は第一に候補に挙げるべき店である。


 造り、椀物、焼き物、鮨とフルコースを楽しみ、終わったのは日付けが変わっての午前1時。まったくもうしわけありませんでした。

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September 19, 2009

鮨:秋の安春計

【秋の風景】
Autumn

 安春計の秋の定番、ススキが飾られている。以前はこの隣の大壺にわんさと盛られて飾られていたのだが、今回は2本のみが生けられ、静謐な雰囲気。侘び寂の境地?

【造り】
Tsukuri

 造りは、アラ、中トロ、戻りカツオ。
 いずれも旬のもので、味わい深いものばかり。

【カマスの一夜干し】
Kamasu

 カマスは脂がほどよく乗っており、ちょうどいい塩梅の干し加減で、旨さが凝集されている。この店の一夜干しは、鮎にしろカマスにしろ絶品で、酒がよく進む。

【ウニと豆腐】
Uni

 川島豆腐にウニを合えて。
 川島豆腐はとても美味い豆腐であり、ウニもまたたいへん美味い。
 ただし、合わせて食べると豆腐の甘さとウニの甘さがぶつかりあって、なんだか微妙な味だな。これはちょっと外したか。

【シンコ・コハダ】
Shad_2

 今の時期はコハダもサイズがいろいろとそろっており、というかバラバラのサイズのものが市場に入ってきて、それを一括して仕入れるそうだ。コハダの福袋みたいなもので、それによって客はさまざまなタイプのものが味わうことができる。
 シンコの3枚づけ、2枚づけ、それにコハダを三つ並べての共演。今の時期しか楽しめないコハダのショー。いずれも独自の味と食感があり、見事なもの。

【甲イカ・ヤリイカ】
Squids

 鮨のイカの主役である甲イカ、それにヤリイカの食べ比べ。
 甲イカのシャッキとした歯ごたえある食感もよく、またねっとりもちもちしたヤリイカの食感、これも見事。食べ比べることにより、各々の鮨の美味さがより引き立ちます。

【ショウガ】
Ginger

 ショウガの美味い店は例外なく名店である。
 目立たない脇役のものにも、しっかりと金をかけていい素材を仕入れて仕込んでいるわけだから。
 九州の鮨店のなかでも、私は「安春計」と「のむら」のショウガが大好きだ。
 店主は、そのショウガをてんこ盛りで出してきた。…これは、また酒が進んでしまう。


 ツマミから握りまで、いつものごとく、美味いものだらけが出てきておおいに楽しませてもらった。そして、その美味いものが季節とともに、旬のものに変わり、それが季節ごとのイベントとなる。
 今度は冬に訪れ、冬の自慢の品「アン肝」「スッポンスープの大根煮」を味わってみたい。

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September 12, 2009

土産@光洋

 コンベンションセンターのビュッフェはあまり美味しいものでもなかったが、それでもいろいろと試食しながらビールとワインを飲み、〆の時間まで居て、そしてお開き。
 せっかく宮崎市に出ているので、光洋に寄ってみる。

 鮨から始めようかと思ったが、妙な時間に訪れたため、シャリが切れており今から炊くとのことで、ツマミから。
 腹はそこそこ満ちており、あっさりめのツマミがいいので、コハダを「鶴八風のツマミで」と頼む。

【コハダ】
Kohada

 まかせてくださいと言って店主の出したコハダは、鶴八の木の葉造りとは微妙に形態が異なっているようだが、これはこれで美味しかった。

 シャリが炊けたのちは、鮨を適当に頼んで食い、そして飲む。
 懇親会とかの料理を食べるより、こういう店の料理のほうが、はるかに食の満足度がありますな。といって、懇親会に出て、歓談中に何も食わないで酒だけ飲んでいるのも変な話だし。社会人というのも難しいものだ。

 さて食事も終え、気持ちよく酔っ払ったところで、職場で人気の光洋の散らし寿司を土産に持って帰ることにする。

 3日前は店主が、スペシャル版として、自家製のサツモイモを使った炊き込みご飯を用意してくれて、これも好評であったが、(私も食ったけど、サツマイモの強い甘みに、塩がよく利いたご飯との組み合わせがgoodであった)、光洋の土産はやはり散らし寿司であろう。
 前に職場に持って行ったときは、一折だけでは量が少なく、奪い合いになってしまったので、今回は二折。それに店主がサービスで、スペシャル版(?)の炊き込みご飯も一折追加。店長は炊き込みご飯に近頃凝っているのであろうか。

【自家製サツマイモ炊き込みご飯】
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【散らし寿司+炊き込みご飯】
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 帰りのJRでは、ちょうど同じ時刻の列車で帰る職場の者と合流。こちらも宮崎市でさんざん飲んでいたわけで、列車内で酔っ払いどうしの酔っ払い談義をかわすうち、いつの間にか延岡へと着。

 私は職場へと土産を届け、みなさんの歓声を受け、いい気持ちで帰宅しそのままバタンと寝た。
 …明日は休日のはずだが、朝から仕事だ。

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September 08, 2009

9月の光洋

 光洋にて秋の味覚を。

【土瓶蒸し】
Dobinmushi

 今年初の土瓶蒸し。まだマツタケの香りは弱いなあ。でもやはり土瓶蒸しを食すと、秋の訪れを感じます。風の涼しさ、雲の高さ、そういうものでもよいけど、私はやはり食いもものでくっきりと季節の推移を確かめたいな。

 鮨では、サバ、マグロが季節の出始めのものが出てくる。サバもマグロも若いもので、旬の時期の濃厚な味にはまだまだだが、これから美味になってくる期待感を十分に感じさせる。赤貝は閑上のもの。閑上独自の肉厚なものにはまだなっていないけど、清新な香りと、ぷりぷりした歯ごたえがたいへんよろしい。

【赤貝】
Akagai


 本日は、宮崎の洋食会をひっぱる若手の料理人たちの研究会があり、その後光洋に流れてきたグループが隣で飲んでいた。一番の年配の方が、宮崎市で一番大きな魚の卸問屋の社長で、そして自転車乗りのベテラン。宮崎の魚の興味深い話に加え、自転車の話を拝聴。
 氏は、あの過酷で有名な阿蘇サイクルマラソンの経験者。一日で阿蘇の4つの峠を超え、高さにして富士山並みの3800mを登らねばならないという、伝説のトンデモコース。
 どうやったら、そんなことが出来るようになるんですか、とたずねると、「ともかく練習あるのみ。朝練で鍛え上げ、まずは時速35kmで1時間走られるようになることから始めましょう」とのアドバイス。…そりゃ、ハードだ。
 まあ、阿蘇サイクルマラソンに私が出ようと思っているわけでもないので、そこまで鍛えなくともよいのだろうけど、楽なロングライドを楽しむには、日頃の練習はやはり必要でしょうな。

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August 30, 2009

鮨:紫光@鹿児島市天文館

 紫光で昼に鮨をお任せで食う。
 ヒラメ、ヒラメ昆布〆、ヒラメ縁側昆布〆、野菜、松茸、シンコ、サバ、アジ、赤身、中トロ、大トロ、海老、アオリイカ松笠焼、アワビ、アナゴ、玉子…といったところ。

【シンコ】
Sinnko

 シンコは鹿児島市でも食べられるのです。
 シンコを地元でも食べたいという、鹿児島の鮨好きな人たちの後押しもあり、紫光では東京なみに夏の早い時期からシンコが出てくるのである。
 シンコも美しく、シャリも地紙型の美しいもの。

【松茸】
Matsutake

 ちょっと珍しいネタである松茸。
 もう松茸と思ったけど、季節は9月のすぐ前なんだよな。
 時の経つことの早きかな。

【中トロ】
Tuna

 鮪は、赤身・中トロ・大トロの3連発。
 ほんと鮪は旨みが増してきました。このレベルになると、堂々と鮨の主役を張れます。
 鮪は大間のもの。もう大間の鮪が出てくる季節になってきたわけだ。
 先日光洋に行ったときは三厩の鮪が出てきたので、津軽海峡は、今は旨い鮪がいっぱい泳いでいるみたい。


 紫光の鮨は、普通に美味しいのが特徴かな。
 どれもいい素材にいい仕事をした鮨が、落ち着いた雰囲気のもとに供されます。
 腰を据えて、しみじみと美味さをかみしめながら鮨を食う。そういう静かな鮨の味わい方もいいものだと、紫光の鮨を食うたびに思います。

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August 29, 2009

鮨:夏の鮨匠のむら

 夏に鹿児島市を訪れる気はとてもしないのだが、ちょいとした用事があり、暑いなか鹿児島市へと着。
 鹿児島、暑いっす。鹿児島に降り立つとただちに熱風が吹きつけてきて、立っているだけで身体中に熱がこもってしまう。さすが亜熱帯。

 夕刻のむらを訪れ、命がよみがえるような生ビールをまずはぐいぐいと飲む。
 今日も山登りの帰りですか、と店主がたずねる。こんな気候のなか、無理ですって。

 さて、今の時期ののむらは赤雲丹が途方もなく美味くなってきているはずであり、これをまずは楽しみにしていた。
 のむらの赤雲丹は、最高の時期には言葉を失うくらいに美味くなる。
 以前この店を贔屓にしているロッテマリーンズのS選手が雲丹を食いたくなり、同僚に「日本一の雲丹を食わせてやる」と言って、羽田空港に連れて行った。同僚氏はてっきり北海道に向かうかと思いきや、なぜか飛行機の行先は鹿児島であった。怪訝に思いながらのむらに連れて行かれた同僚氏は、そこで雲丹を一口食うや、確かに日本一の雲丹を食べていることを確信したそうだ。
 まあ、そういうエピソードがあるくらいのすごい雲丹なのである。

【雲丹】
Urchin

 その雲丹。
 …美味い。とんでもなく、美味い。
 盛夏を過ぎ、卵の一粒一粒の丸っこい食感が感じられるくらいまで熟れてきている。味は甘く、旨みも十分。特筆すべきは、味の純粋さ。この甘みと旨み以外には、余計な味はなく、ただただ甘みと旨みが口のなかいっぱいに広がる。
 雲丹の素材が極上とはいえ、それを殻から出しただけではこのような味にはならない。しっかりと寝かせて、身が崩れる前ぎりぎりのタイミングで出すから、ここまで濃厚な美味さを発現できるのであろう。
 ただただ、言葉もなく雲丹をがつがつと食う。(ついでにがんがんと酒を飲む)

 本日の肴に鮨は、メイチダイ、ロウニンアジ、スジコ、丸サバ、タコ、シャコ、マグロ、アマダイ、エビ、サヨリ、サンマ、イワシなどなど。

 どれもが素晴らしく美味い。
 雲丹がそうであったように、のむらの料理は素材が抜群によいのに加え、その手当が高いレベルで為されている。最初の魚が獲れたときから、馴染みの漁師によって細心の注意をもって〆られており、それにのむら独自の調理が加わり、素材となる魚が、その魚の最も美味しい形となって料理となる。食われる魚としても、魚冥利に尽きるであろうという、そんな料理だ。

【海老】
Shrimp

 地元の素材を大事にするのむらならではの海老料理。
 鹿児島特産のボタンエビみたいな海老だそうだ。(正確な名前忘れた)
 清冽な甘みがたいへんよろしい。

【筋子】
Ikura

 この筋子も素晴らしい。味の豊かさは、あの極上の雲丹にも負けないくらい。

【雲丹と筋子の丼】
Don

 その雲丹と筋子のコラボレーション。
 お互いの味がジャマすることもなく、相乗効果で、面白みのある豊かな味の丼となっている。

 夏も盛りを過ぎ、魚は明らかによくなってきている。
 本日の店主はノリノリであり、(まあ、いつもノリのいい人ではあるが)、美味い素材を得て美味い料理を出す喜びのオーラを発散させながらの、のむら劇場であった。
 開幕から閉幕まで、十二分に堪能させていただきました。

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August 19, 2009

寿司@8月の光洋 and 一心鮨本店送別会

 8月って鮨屋ではいいネタの入手がとても難しい季節だと思うが、光洋ではいかなる鮨が出るのであろうかと来店。店に入るとネタケースには見事なくらいネタがそろってなく、うん今はネタ切れの季節かと私は納得してしまった。
 やっぱり夏枯れのシーズンですねえとか私は言ったのだが、店主は「とんでもない、今日はたまたまカウンター予約の客が少ないので、ネタケースには魚は置かず、きちんと保存するために、ネタはネタ箱に入れているのです」と主張。実際に店主はネタ箱からいろいろと美味しい肴と鮨種を出してきたわけで、…おみそれいたしました。

 でも、まあ全体の感想としては8月は魚が弱いですなあ。
 それでも、上手く調理した肴が出てきて、気持ちよく酒が飲めました。

【鰆】
Sawara

 鰆は「春の魚」という字を書くわりには、いつが旬やらよく分からない魚である。
 ただ、たぶん今は旬でないみたいで、味は全盛期に比べ弱め。これをいい味のポン酢で和えれば、上品で豊かな味が広がる。

【鯖】
Mackerel

 8月で真鯖は、養殖はありとして天然はないだろうと思っていたが、目の前で調理する鯖は脂がよくのった上物。それを食ってみれば、脂はけっこうのっていたが、晩秋の鯖にはやはりかなうものではなし。
 でも今の季節にこのレベルの真鯖が出てくるとは驚きである。

 そして、鯖もそうだったが、今日でてきた三厩の鮪も、8月の鮪としては考えにくいくらいの、成熟した濃厚な味。
 どうにも魚の旬がずれてきている。明らかに日本の自然環境は、温暖化が進行し、亜熱帯化していますな。
こういう「本当の旬」というか「本当の季節」を、自分の舌で知ることができるのも、寿司屋の楽しみであります。

 旨い肴と鮨を食い、旨い酒を飲み、客が私一人となってこともあり、さて帰ろうかと思ったら、本日は、姉妹店の職人が退職するのでその送別会をするので、それに付き合いませんかとのこと。この店は人の入れ替わりが激しい店であり、知らぬ間に店の人がいなくなることが多いので、そういうのを寂しく思っていたので、それは是非参加させてくださいと、部外者の私が送別会の焼肉屋(鮨食ったあとは、ちょっときつい)へと同行。

 今回送別される人は光洋の姉妹店というか本店の一心鮨で9年間努めていた方である。今まで学んだ技術を生かして、和食店あるいは鮨店を開くのかと思いきや、郷里の父親の農業を継ぐとのこと。
 となると今まで学んだ職人としての技術が途絶するわけで、もったいなく思える。ただし、次からは同じ食材関係の仕事。美味いものを供するということに関しては同様の仕事なので、それには今まで学んだ「どうやって美味いものを出すのか、つくるのか」という、深奥にしてやりがいのある命題と常に向き合うことになり、今までの経験が必ず役に立つと思う。

【送別会風景】
Koyo_staff

 そういうわけでの送別会風景。
 光洋のスキンヘッド軍団は、こう集まると、どうみても危ない人の集団に見えますな。一応、格闘技集団とか、ヤの字のつく職業の人ではありませんと注釈をいれておきます。
 もし興味を持った方がおられましたら、どの人がどういう役割かを、一度店に来て確かめて下さいませ。

 一人まともな格好の人が、今回の送別される人であります。
 送別にあたり、宮崎の大地で、とっても美味いイチゴを作ってくれることを祈念いたします。

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August 09, 2009

鮨:つく田@唐津市

 福岡で日曜の昼に鮨を食うときは、たいてい薬院の近松を利用している。しかし一月前に近松を訪れており、まだそれほど鮨種も変わっていないだろうから、目先を変え、少し遠いところにあるけど、久しぶりに唐津市の「つく田」に行くことにした。

 昼というのに相変わらず、酒を頼んで、肴と握りを楽しむ。
 昼の肴は、多くは鮨種の刺身を切ったもの。それに、アコヤ貝と、雲丹の塩辛、ミョウガといったところが加わる。つく田の名物、イワシのオイル漬けは、まだサイズが小さく鮨種にならなかったので、肴として出てきた。

【イワシのオイル漬け】
1_sardin

 江戸前鮨の華であるコハダが唐津ではめったに上がらないので、それに対抗できるような光りものを店主がいろいろ考えた結果、唐津ではいい鰯がよく上がるので、これをオイル漬けにすることにより、店名物の鮨として定着。肴としても、はなはだ美味。

【酒の器】
2boul

 つく田の酒器は、唐津在住の陶芸家中里隆氏によるもの。
 中里氏は江戸前鮨が大好物であったのだが、九州ではそれが食べられないことをかなしく思い、地元の一流の料理人をくどき、伝説の銀座の鮨店「きよ田」に修行に行かせて江戸前鮨を会得させ、「器は全部自分が提供するから、寿司店を開いてくれ」と、まずは地元の唐津市に「つく田」を開店させた。さらに仕事でよく出かける福岡市にも江戸前鮨店が欲しくなり、同様にして「安春計」を開店させた。
 なんとも、小説とか漫画のなかにしか存在しないような御仁であるが、そのようなとんでもない食通が世には実在し、そのおかげで私などが、九州で一流の江戸前鮨が愉しめているわけで、ありがたいことである。

 鮨は、鯛、甘鯛コブ〆、水イカ、車海老、赤西貝、時知らずのヅケ、〆イワシ、ホタテのヅケ、雲丹の海苔巻き、アナゴなど。

【時知らずのヅケ】
3salmon

 脂のいっぱいのった鮭が、ヅケることによりさらに美味さが増し、力強い鮨となっている。

【ホタテ貝のヅケ】
5scallop

 これは「つく田」ならではの料理。古い江戸前の技法を用いたとのことであるが、ホタテをヅケたものを、叩いて柔らかくして、シャリを包みこむようにして握る。シャリを支えいるホタテの豊かな味の広がりから、ホタテの新たな魅力が分かる。

【イワシの〆もの】
4sardin

 唐津の鰯はいつでもとても美味しいのだが、今回のは脂がとても乗っており、オイル漬けにするよりは〆たほうがあっているということで、〆もので。口になかに美味さを主張しながら、柔らかくとろけていく食感が素晴らしい。


 「つく田」は本格的な江戸前鮨店であるが、江戸前の華である、マグロ、コハダにはさほどこだわっていない。なぜなら唐津には、コハダはめったに上がってこないし、マグロもいい時期が少ないから。しかし玄界灘を真ん前にした唐津は、日本でも最も美味しい魚があがるところなので、その魚を種に鮨を握っていれば、唐津ならではの江戸前鮨を供することができるわけで、そしてその考えは正しく、九州のみならず全国から鮨好きな人の集まる店として、名を響かせる店となっている。

 九州北部の鮨屋の店主は、アクが強いというか、個性が強いというか、いかにも「鮨屋の店主」というような人が多いという印象が私にはあるが、「つく田」の店主松尾氏は、それとは違い、優しく穏やかな人柄の方であって、店の雰囲気も和気あいあいとした気持ちのよいもので、そういう心地よい空間を作ることのできる、熟練の寿司職人であると思います。

【やすけ】
6yasuke

 なお、「つく田」の近くには鮨の名店がもう一軒あります。
 こちらは、松尾氏のお兄さんの鮨店です。「つく田」が九州では特殊な鮨を出すことから、県外の客が多いのに対し、こちらの鮨は、素材の新鮮さをうまく用い、鮮魚系でまとめた地元流の鮨であり、地元の人でよく賑わっています。
 店の前を通り、「やすけ」の鮨も食いたいなあと思ったけど、さすがに鮨のハシゴは胃袋的に無理があったので、断念。

…………
つく田 佐賀県唐津市中町1879-1  TEL 0955-74-6665

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July 28, 2009

7月の光洋

 宮崎市の鮨屋「光洋」は酒の仕入れにも力を入れていて、7月末の週末に、懇意の酒造元の新酒の披露会があった。私も参加したかったのだが、仕事があり残念ながら出席できず。酒への興味に加え、こういう会は、宮崎の濃ゆい人が集まるに違いなく、さぞかし濃いく、またタメになるであろう話が飛び交うであろうので、末席よりそういう話をうかがいたかったのであるが、残念であった。

 その時に出た新酒がまだキープしてあるとの連絡があり、それならまだ酒が新しいうちに飲みたく、本日光洋へと出かけた。
 出てきたのは、羽根屋という富山の酒で、香り豊かで、口のなかで広がる味もまた豊かなもの。いわゆる「豊潤」というイメージの酒。これはたしかに美味い。
 ただしこの手の酒って、鮨屋にとっては肴がいらなくなるほど美味いというのが弱点であり、これにがっぷり四つで組み合うことのできる肴ってけっこう難しそう。…でも、光洋の白身魚で、思いっきり寝かしたもので、香り旨さが濃厚になったものがあったな。あれなら、いいマリアージュになるのでは、などとも思った。
 美味い酒と美味い肴・鮨の組み合わせというのは、ものすごく難しい問題であり、多くの鮨屋はそれをスルーし、超一流の店でも酒は一種類のみと決めたりしているところがあったりするのであるが、光洋はそこのところをがんばっているわけで、店主の切磋琢磨・試行錯誤はこれからも続くのでありましょう。

 鮨もあれこれとつまむ。
 シャリは一種類になっており、以前の力強い赤酢のものと比べると、やさしくやわらかな味わいとなっている。江戸前鮨は、シャリが主人公だとばかりシャリでネタをねじふせるような鮨を出す店が多く、あんがいと私はそういう鮨が好みであったりするのだが、光洋のはネタの美味さを引き出すことを重視した、控えめな感じの味わいのシャリである。これはこれで美味く、とくに白身系統〆もの系統はバランスがよく取れていて、秀逸な鮨となっていたと思う。

【本日のシンコ3枚つけ】
Shinko


 平日ゆえデスクワークがまだ残っていたので、飲んだのちはちょいと仕事に寄ることにする。夜も働いているであろうメンバーのために、お土産として光洋の絶品の「ちらし寿司」を注文。
 さて、職場に寄ると、なんとまだ7名も残っていた。「ちらし寿司」はたぶん3人前くらいのはずなので足りないなあとは思ったが、とりあえずお土産と渡す。すぐに箱は開けられ、「わ~。宝石箱みた~い」と誰もが思う感想が飛びかい、みなさんで争ってスプーンですくって食べることに。「こんな美味しいちらし寿司初めて食べました」とみなさんの感謝の言葉に、なんかとてもいいことを行ってしまったような面映ゆい気持ちになってしまった。


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July 12, 2009

寿司 : 近松@福岡市薬院

 日曜昼は、薬院の近松にて鮨を。
 肴に椀物。
 ・タコの柔らか煮。じっくりとよく煮られた、旨みのつよいもの。柚子の香りがいいアクセントになっている。
 ・銀杏の塩焼き。銀杏はまだ木に成っている若い実で、さっくりした食感と、少し青臭い香りが面白い。
 ・若布。清新なもので歯ごたえが楽しい。
 ・椀物は、鱧と蓴菜。鱧の骨切りは絶妙。出汁も上品。福岡では最上に近いものでしょう。

 鮨は、ヤリイカ、サヨリ、ヒラメコブ締め、車海老、シャコ、カツオのヅケ、アジの炙り、雲丹、中トロ、大トロ、アワビ、コハダ2貫、アナゴ、玉子で締め。順不同でこんな感じ。

 イカは身を薄く削いで、それを重ねた独特のもの。イカのねっとりした食感と旨みがこれにより増します。車海老は殻を剥いてから握るので香りが高い。雲丹は軍艦にしないで雲丹の旨みを強調したもの。鮪はいずれも今の時期にしては、良質なものであった。

 近松の鮨は、玄界灘という活きの良い魚の宝庫を前にした福岡らしく、鮮度を重視しながら、それに丁寧に手を加えて鮨タネにした、江戸前とか鮮魚系とかいうのでなしに、近松風としかいいようのない独自の鮨となっている。
 この鮨は、ここ福岡の近松でしか食べられないものであり、たとえば関東からの鮨好きの人が、地元の鮨を食いたいと希望したなら、第一候補に勧めるべき店に思える。


 さて、本日の鮨。仕入れが同じ柳橋市場なので、昨夜の安春計とかぶるネタが多かったのは当たり前とはいえ、アジの炙りが両店で、でてきたのには驚いた。このネタなら炙りがいいと、期せずして両店とも考えが一致したわけだ。でもカツオは、安春計は爽やかな食味を前面に出して肴にしたものなのに、近松はヅケにより旨みを増して鮨にしている。こういう違いも面白い。

 仕入れに関してはいろいろな考えがあると思われ、たとえば信頼する店にまかせて魚をキープしておいてもらう方法もあるが、薬院の「安春計」「近松」それに「開」などは、早朝一番に柳橋に出かけ、自分の目で見て自分の手で触って、納得いくものを仕入れている。そのときに店間でいろいろと情報の交換もあるようで、そうやって互いに切磋琢磨しあうから、薬院の寿司店のレベルがどんどん高くなってきているのでしょうな。

 肴も鮨も美味く、昼というのに生ビール1本、冷酒4合をあけてしまった。
 「昼から飲むのは極楽ですよねえ」との店主の言葉に、「まったくそうですが、…休日だけですよ。さすがに平日は昼からは飲みきりません」とは、いちおう社会人として答えておく。
 隣の常連客の方は、飲める人であったが、お茶のみで肴、鮨を食す。「じつは飲みたいんですよ。でもこのあとに仕事があるんです」と話す。「仕事が残っていても飲むのは問題ないことだと思いますよ。たとえば、仕事が終わってから飲むというようなことをしていると、かえって飲んだあと何もしないから、ただただ寝てしまう羽目になり時間がもったいない。真の酒飲みは、わざと仕事を残してから酒を飲み、そのあと仕事をします。そうすれば酒にも飲まれないし、アル中にも絶対にならない」と、飲酒暦長き私は無茶苦茶なアドバイスをする。

 隣の客が帰ったのち、私は店主に「お茶のみで鮨を食う人」って、なんだか通みたいで格好いいですよねえ、一度はやってみたいと言うと、「それは絶対に無理です」と、同じく酒飲みの店主は断言する。
 …たしかに、私にとっては、こんなに美味しい肴と鮨を前に、酒を飲まないことはまず無理です。

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July 11, 2009

寿司: 安春計@福岡市薬院

 初夏になれば、「安春計」の鮎の一夜干しの炙りを食べたくなる。
 山笠の見物(+雑用)がてら、博多へ行ってみた。

 江戸前寿司店「安春計」は、薬院駅の近く、路地の奥まったところ、店の看板もなしにひっそりと佇む、事前に地図で調べていたとしても、簡単には見つけることのできない店である。
 繁華街にあるわけでもなく、また人の通りの多い道に面しているわけでもなく、もともと分かりにくいところにある店なので、看板くらいは出してみてはと思うのだけど、店主としては、容易に客が入って来るような店にはしたくなかったとのことで、じつは店の名前さえつけたくなかったそうだ。
  さすがに名前がなければ、いろいろと不便なので、周囲の者の忠告を受け、しかたなく名前をつけてもらった。店名の「安春計」は「あすけ」と読む。なんとなく由緒ありげなこの店名は、じつはほとんど意味をもたない普通名詞みたいなものである。
 「あすけ」というのは佐賀弁であり、これを標準語にすると「あそこ」、英語にすると「there」。

 「店の名前って無いといかんのですかねえ」
 「ないと、客が店を探すときに困るだろう」
 「そんなの、タクシーつかまえ、『あそこに行け』で済ませればいい」
 「あそこじゃ分からんよ。…でも、それを店名にするか。『あそこ』はおれが言いにくいから、『あすけ』にしよう」

 てな会話が店主と陶芸家中里氏のあいだでかわされ、店名は「安春計(あすけ)」となった。
 ちなみになぜ佐賀弁かというと、命名者中里氏が佐賀の人だったからである。中里氏は、ついでとばかり店の名前を揮毫して店に置いてあり、名物となっている。

 そういう豆知識はともかくとして、カウンターに座り、お任せを頼む。

【造り盛合せ】
Dish

 刺身(アコウ、シャコ、カツオ)
 魚の難しい季節であるが、クセのない旨みのアコウ、今が旬の子のぎっしりとつまったシャコ、脂少なめですっきりした味わいのカツオ、どれも美味なり。いかにも初夏の爽やかさを感じる皿です。

【鮎の一夜干し炙り】
Sweatfish

 今の季節の定番、鮎の一夜干しを炙ったもの。
 鮎はワタを食うものと思い込んでいる私でも、一夜干しにすることにより鮎の香りが凝集し、これをほどよく炙ることによりさらに香りが増すこの料理を食うと、鮎という魚はワタのみならず、身にもこんな香りと旨さを内包していたのかと、鮎のいう魚の凄さを思い知らされてしまう。
 酒の肴としても抜群のもの。三千盛が進みます。

【雲丹モロキュウ】
Sea_urchin

 これも今の季節の定番。雲丹のモロキュウ。
 ここでの主役はじつは胡瓜。初夏の瑞々しさあふれる、甘みたっぷりの胡瓜が、モロミ雲丹の強い味にうまくぶつかって、美味さが引き立っています。野菜は大根のときもあり、こちらもじつに美味。

【アワビ酒煮】
Abalon

 もちもちにして、さくっとしたアワビの上手に煮られた食感もよいが、アワビの出汁が出たスープが、これがまた美味しい。最後まで、ずずっと飲む。

 安春計の肴は、素材の生かし方、煮る焼くの技術、出汁のとり方等で、傑出したものがあり、九州の和料理として、トップクラスのものだと思う。この店の洗練された、技術の粋のような肴の数々は、季節ごとに変わっていき、その都度食べに行きたくなる。

 肴が一通り終わってから、鮨となる。
 安春計の鮨は、シャリに一番の特徴がある。赤酢と塩だけを使ったシャリは、シンプルにしてストレートに旨さが伝わる逸品だが、さらに季節ごとに調整を行い、そのときに最も美味くなるようなシャリとなっている。
 夏は魚の脂の乗りが弱いので、それにあわせ、すっきりとした、でも芯の強い塩気の利いたシャリとなっており、これがまた美味いんだ。

 オコゼの昆布〆、ヤリイカ、コハダ、カスゴ、アジの炙り、中トロ、車海老、雲丹軍艦、穴子…等々。
 良い素材に丁寧な仕事をされたネタに、この店の絶妙のシャリが合わさり、見事な「安春計の鮨」となっている。まずはネタの美味さが口になかに広がり、それをシャリの美味さが追いかけ、食べているうち、たがいの調和のなかに、しっかりと一点に収まり、「美味い鮨を食べた」との実感が一貫ごとに完結する。
 「鮨とはなんと美味い料理なんだ」と、改めて思う。

 鮨のいくつかを。

【コハダ】
Shad

 〆すぎず、〆なさすぎず、いい塩梅の〆方。コハダの旨さがよく出ています。
 シンコは再来週からだそうです。この店はだいたい8月からは、秋までシンコが出ます。

【アジの炙り】
Mackerel

 アジは珍しく炙りで。
 炙ったことにより、食感のよさと香りが増し、これはまたアジが出たときに、〆ものに加えて頼みたくなるようなすぐれもの。

【雲丹】
Urchin_sushi

 小さな塔のような独特の雲丹軍艦巻き。
 倒れるか倒れないかのぎりぎりのバランスが面白い。

【中トロ】
Tsuna_sushi

 鮪が今が一番難しい時期なのだけど、十分に旨さが乗りまくった鮪であった。
 こういうのを仕入れるのも大変でしょうなあ。

【穴子】
Conger_sushi

 穴子は背と腹で2貫。
 ふんわりとやわらかく握られており、これは皿に載せられて出てきます。
 とろけるように柔らかい穴子が、シャリとともにふわふわと口になかにほどけていきます。
 こういうやわらかい穴子の鮨を出すためには、よく煮てやわらかくするのでは美味みが減るので、最初から柔らかい、質のよい穴子を仕入れるのが大事だそうです。


 さて、高名な陶芸作家中里隆氏の唐津焼の名品を多く置いている店内であるが、奥に紐飾りをした立派な木箱が置いてある。
 新しい器の気配がしたので、「それはなんでしょうか?」とたずねると、「見てみますか」と店主はうれしそうに言う。「是非にと」と答えると、中身は以下のものであった。

【ハブ酒】
Habusyu

 沖縄名物のハブ酒。
 大きなハブが、牙を生やした口を大きく開けております。迫力あります。壷か、大きな器と思ったのに、意外性十分。
 …しかし、下戸の店主がハブ酒を飲むわけもなく、なぜにここにあるのかと問うと、客からの預かりものとのこと。
 意味深な木箱に入れられたものゆえ、ついつい器が入ってると思ってしまったが、よく考えればああいう高級風な木箱は、酒が中に入っているのも定番だよなあとか思いつつ、ま、珍しいものを見せてもらった。

【銚子】
Ceramics

 珍しいものついでに、店の銚子のあれこれも写真紹介。
 中里隆氏の器はどれも独自の破格のある個性豊かなもので、この器に盛られた酒をぐいぐい飲んでいくのも安春計の楽しみなのだが、その器がどういうものであるかは適当にしか私は覚えていなかった。
 「コペンハーゲンの土で焼いたのが一番美しいと思います」とか私が言うと、いやいやどれもそれぞれの美しさがありますと、奥の戸棚から店主が銚子を取り出し、ずら~りと並べてみせてくれた。
 右上一番端がロイヤルコペンハーゲンの土で焼いた銚子。つやつやした輝きと気品が素晴らしい。(その右横にちょっと写っている白い猪口は、娘さんの花子さんが焼いたもの)。そして、唐津焼きの銚子の数々は、どれも陶器の柔らかさと暖かさをうまく表現したもので、「おれに酒を入れて飲んでみろよ」と語りだすかの雰囲気を持っている。いずれも、「人が使うことを求める」名品。

 安春計は、肴も鮨も酒も美味いけど、こういう陶器の話、それに仕入れ、仕込みの話を店主から聞いていると、舌にも耳にも手にも頭にも、楽しみがもたらされます。
 真の名店だと思います。

 ………………………
 安春計 福岡県福岡市中央区薬院1-6-28 TEL092-716-6688

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June 27, 2009

シンコ@光洋

 夏が来ればシンコが食べたくなる。
 なぜなら、シンコは文句なしに美味く、また夏の始まりにしか食べられないからだ。(言うだけ野暮か)
 コノシロの若魚のコハダも寿司種としては抜群の素材だけど、シンコはそれとは異なる食感と味覚があり、シンコ独自の旨さを持っていて、初夏を迎えるとぜひとも食べたくなる鮨である。

 このシンコは店泣かせということでも有名だ。
 シンコは、なにしろ値の高い魚であり、走りの頃はキロ5万円を超えるのは当たり前で、旬の国産マツタケを軽く超えてしまう。こんな高価なネタを、仕入れ値段相当の値で出せば、鮨一貫とんでもない値段となり、とてもその値段では出せず、シンコを出すならば店は赤字覚悟で出さねばならない。
 さらにシンコは夜店の金魚すくいの金魚なみのサイズの魚ゆえ、そんな小さな魚を一定量の数捌くだけでも、気の遠くなるような話だ。
 さんざん手間暇かけて、それでやっと出しても、赤字が必然という鮨では、店主にモチベーションが上がるはずもなく、だから九州では「うちは旬を大事にする店なんだ」とか「うちは真っ当な江戸前寿司店なんだ」とかの意地を持っている、ある意味物好きな店主のいる店以外では、シンコが出てくることはない。

 以前は、福岡の安春計くらいしかシンコを出す店を知らなかったので、夏ごとに安春計に行っていたけど、(…今年も行くけど)、宮崎でも光洋がシンコを出すことを昨年から知り、本年も今年初のシンコを食いに行った。

 店に入ると、なぜか店主はスキンヘッド。なにか悪いことをしたとかのウワサは聞いたことはないので、頭を丸めたのは、あら輝さんや、さわ田さんたちのニューウェーブ系寿司店をまねたのでありましょうか? 体格の良い店主が、これで背広着て街を歩いてると迫力あるだろうなあ、とか思いつつ、お任せを頼む。

 さて、コースで出てきたシンコ。

【シンコ3枚つけ】
Shinko1

 美しい鮨です。
 これを口に放り込むと、シンコ独特のモゾモゾした、活きのよい食感が愉しめるが…、ちょっと〆過ぎか。コノシロという魚は成長につれ、妙に鈍重な魚臭さが出てくるという困った魚だが、シンコくらいだと、この魚が基本的にまとっている爽やかな香りがダイレクトに口のなかに広がり、それが楽しいのだけど、このシンコはしっかりと〆ており、その軽やかな食感が楽しめない。

 しかし、二貫目に出てきたシンコは浅めの〆で、シンコの香りがふんわりと広がり、これは好みであった。
 店主としては、シンコ自体の味の淡さを補うために最初のものは強めに〆て、寝かせたのかもしれない。たしかにこのようなシンコを好む人もいるだろうし、…まあ、試行錯誤中なんでしょうな。

【シンコ】
Shinko_dish

 シンコ、ツケ場に出すだけで、こんなに仕入れて仕込んでいるのである。
 皿の上を、ぴちぴちと泳ぐかのごとき、活きを感じさせる仕込み。これを箸で、ずず~と何枚も一挙にさらって頬張って食うと、満足感いっぱいなのだろうけど、それをやると店出入り禁止になるから、やめておいた。

 シンコ、電車で1時間の宮崎市で食うことができるのはとても有難いことだ。しばらく前なら、宮崎でシンコが食えるなんて、とても信じられなかったことだろうな。
 店主は「西日本で一番早くシンコを出す店です」と自慢していが、……甘い。
 「近松じゃあ、先週出てたそうですよ」と、ぼそりと、いらぬことを言っておいた。

 お目当てのシンコ以外にも、美味い肴、鮨のオンパレードで、初夏の光洋を、十分に楽しませてもらった。
 今回はシンコを食ったことがないという者を、ならば今の季節しか食えないので一回くらい食ってみろよと、連れて行ったのであるが、出てくる料理の美味さに感嘆しながら、ついでにシンコも感嘆しながら、さんざんに酒を飲んでいた。
 私の連れてくる客は、どうしてどいつもこいつも大酒飲みばかりなのだろうと、店の人は思ったかもしれないが、べつだん類は友を呼ぶというわけではなく、料理と酒が美味いから、いくらでも飲めるのであります。

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June 12, 2009

寿司: 金寿司@熊本市

 半年ぶりに熊本市に出たついでに、金寿司に行くことにする。
 金寿司は、その酒の質の高さと、肴のユニークさにおいて、九州でも他に追随を許さぬ存在の店と言える。
 寿司屋というものは案外に酒に関してこだわりのない店が多く、天下の名店と呼ばれる寿司屋においても、供される酒は一種類ということは珍しくもなく、(たいてい賀茂鶴か、三千盛なのはどうしたものか)、それが寿司を最高の酒の肴と思っている私のような酒飲みにとっては、少々物足りなく感じさせられることとなっている。

 金寿司はそうではない。
 まず最初に美味い酒ありきだ。(当然、美味い肴と鮨はあとでついてくるけど)

 良い酒を種類多く揃え、料理にあわせていくフレンチスタイルの和食屋は、九州でも僅かながらあるが、(鹿児島の「のむら」とか、博多西中洲の「とき宗」とか)、そういう店では、酒は店主の料理のスタイルに合わせたものが一定化されて置いてあるのに対し、金寿司では、その季節に手に入った最上の酒が、料理の相性とは関係なしに(たぶん)出てくる。それゆえ、この店の酒は訪れるたび、いつも違うものが出てくる。…ストック数は膨大なものがあるので、頼めば、特定の銘柄の酒が出てくることは出てくるけど。

【日本酒試し飲みの図 (店主が奥にちょっと写っている)】
Sake

 今回の酒は、この3種類から。
 初めて飲む酒ばかりだったが、どれも個性的で、美味かったっす。

 さて、まずは鮨から開始。
 白身はカンパチ、ヒラメ、光物はコハダに、アジ。

【コハダ】
Gizzard_shad

 コハダは浅めの〆かた。コハダは肉厚で、コハダそのものの濃い味が広がります。
 シャリは固めの米を使い、かっちりと形を作ったもので、口の中で、米一粒一粒がくっきりと形を感じさせてほどけていく、店主得意の握り方。この鮨を食うと、ああ金寿司の鮨だなあと、すぐ分かる。個性豊かな、美味い鮨です。

 鮨を食って、腹を満たして落ち着いたのち、肴へと移る。この肴で、酒を思いっきり飲むのである。

【カタクチイワシの塩辛】
Sardin

 カタクチイワシを開いて、塩辛にしたもの。これをオイルに漬けると、オイルサーディンです。
 カタクチイワシの身が塩辛になることで熟成して、旨みがぐぐんと増している。
 当然酒によく合い、酒が進む、進む。

【本ししゃも】
Smelt

 そのあたりの居酒屋で出てくるシシャモはロシアあたりから輸入される、正式名称カペリンなる魚なわけだが、この店で出てくるのは北海道産の、本シシャモ。
 やたらに歯ごたえよいカペリンはビールに合うので私は好きだが、こちらの本ししゃもは、あちらに比べ、まろやかで落ち着いた、広がりある味を楽しめる。当然、酒に合うのはこちらであり、酒が進む、進む。

【藤壺つぼ焼き】
Barnacle

 たぶん熊本ではこの店でしか出ない珍味、藤壺。
 藤壺って、そのへんの海辺で磯にしがみついている貝みたいなやつであるが、このようなものをただ焼いては磯臭くて食えたものではないように思えるけど、この店のものはそうではない。
 食用にわざわざ養殖した青森産のものであって、磯臭さなどまったくなく、海老蟹同様の甲殻類独特の香りと旨さが、殻の中に充満している。藤壺は、海老蟹同様に、焼けば中に旨みが濃縮してたまるという作りになっており、中のスープの美味いことといったら。これを肴に、酒が進む、進む。

 …同じようなことを書いていてもしかたないような気がしてきたが、これから後に紹介する肴も、すべて酒が進む、進むのである。

【鮭の腎臓の塩辛】
Salmon_kidney

 内臓の苦味と塩辛の辛味がいい調和をなしている。

【莫久来(ばくらい)】
Salted_entrails_of_trepang

 ホヤにコノワタを合えたもの。
 ホヤの食感に、コノワタの濃厚な味がからむ、二重奏形式の酒の肴。こういうのが、まさに「酒盗」なんでしょうな。

【味噌豆腐】
Misotohu

 チーズのごとき風味を持つ豆腐に、柚子を和えて。これも絶好の酒の肴。

 以上の肴で、酒をさんざん飲んで、〆の鮨へ。

【明太子の鮨】
Cod

 金寿司名物の明太子の鮨。
 一粒一粒の卵がくっきりと分かるこの明太子は、この店のシャリにうまく調和しています。

【赤身ヅケ】
Tsuna

 この店のマグロは、たぶん熊本で一番いいものが出ている。
 熊本は、(というか九州は)、あまりマグロを好む文化圏ではないが、そのなかでこのレベルのマグロを仕入れているのは、立派なことだと思う。

【穴子】
Conger

 穴子はタレと塩で。
 ふんわりした食感はいつもながら見事。


【デザート】
Tea

 たらふく食って、さんざん飲んで、あとは定番の冷菓子とホウジ茶にて終了。十二分に満足しました。


 東京で修行したのち、店主は熊本に店を構え、熊本一の寿司屋と呼ばれ、長く経つ。
 「金寿司」なる店名の由来は、店主の名前による。遠山という名前の男性は、常に「金さん」と呼ばれる定めにあるのだが、最初店主は、修行した店の名前を暖簾分けする形で用いたかったのに、親方から素行不良(笑)を理由に駄目と言われ、それならと、あだ名をそのまま店名にしたというわけ。
 遠山の金さんそのもののごとき気風の良い店主が統べる店ゆえ、その名前は、ばっちり決まっていると思います。

金寿司 熊本市下通り1-11-20 TEL096-351-2053

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May 30, 2009

寿司:鮨匠のむら@開店10周年

 霧島登山ののちは「のむら」で食事。
 「のむら」のお任せコースは結構な量があり、それに酒もどんどん出てくるので、(というか私が頼むのでどんどん出てくるわけだが)、これを存分に楽しむためには、しっかりとした前準備が必要だ。今日は、飲まず食わずで韓国岳に登ってきたので、準備は万端。出るもの、いくらでも食えるモードに突入している。

【トコロテン】
Gel_jelly

 突き出しは、「ところてん」から。季節は夏を迎えようとしているのだなあ。
 この店の「ところてん」は、歯ごたえがよく、風味も確か。ところてんって、出汁の味しかしないものだと思っていたけど、この店のように良いところてんは、海そのものを、食べていて感じることができます。


 肴は、メイチダイ、汐子(カンパチ若魚)、アジ、ゴマサバ、茹でダコ、ハガツオ、アワビ、焼きキビナゴ、ヨコワ、ヨコワ炙り、アカウニ、茶碗蒸し、などなど。

【造り メイチダイ】
Raw_fish

 造りの最初はメイチダイから。いつもながら、見事な切りつけです。
 身は、弾力よく、おとなしくも滋味豊か。

【造り ゴマサバ】
Mackrel

 マサバの季節は終わったけど、ゴマサバは今が美味しいものが食べられます。
 屋久島名物の首折れサバ。ゴマサバはマサバより一ランク落ちるように思われているけど、良いゴマサバを、ただちに処理したものは、本当の味が残っており、はなはだ美味。マサバで得られない、筋肉質のぷりぷりした食感も非常によろしい。

【アカウニ】
Sea_urchin

 のむら名物のアカウニ。
 5月頃から出て、10月で終いとなるアカウニであるが、毎月来ると、繊細で淡い味のウニが、季節を深めるごとに濃厚で甘くなっていくことがわかって面白い。季節それぞれに、独自の味わいがあり、それぞれに良さがある。

 鮨は、イカ、白身、アジ、ヨコワヅケ、海老、コハダ、アワビなどなど。小ぶりなシャリに、絶妙の仕事がなされたネタが乗り、ここでしか食べられない「のむらの寿司」が次々に出てきます。酒が進みすぎる欠点はあれど、いつもながらたいへんに美味しい寿司。

【太刀魚の寿司】
Sord_fish


 〆は店の看板メニュー、太刀魚のハラミの炙り。
 爽やかでいながら、深く、豊かに広がる、太刀魚の脂の旨さがたまりません。

 さんざん飲んで、さんざん食って、本日も存分に、のむらを堪能させていただきました。

 なお、本日は「のむら」が今の店で開店して10年目とのこと。20年近く前は、もう少し繁華街に近いところで営業していたのだが、考えることあって、少し不便なこの地に店を移したそうだ。
 常連客から、花束のプレゼントあり。
 美味い店は貴重であり、このあと10年後、20年後も、私は訪れたいものだ。

【ピンとがずれてしまったが、花束贈呈のシーン】
Bunch_of_flowers


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May 20, 2009

5月の光洋

 光洋に鮨を食いに行く。最初はコハダから。
 コハダは浅く〆たものと、〆てじっくり寝かせたものなどを食べ比べ。コハダは〆ることにより旨味がぐっと増し、噛むごとにコハダと酢と塩が一体化した、コハダ独自の玄妙なる味が口の中に広がるわけで、それがコハダを食べるキモの一つなのだが、コハダそのものが良いと、浅く〆たものでも、コハダの脂のそこはかとない甘さがより分かり、これはこれでじつに美味いと思う。

【コハダ:浅〆が笊のもの。平皿にはじっくり寝かせたもの。】
Kohada

 コハダを堪能したのち、光りものを連続で、サバ、アジ、イワシともらう。光りものは、少々素材が悪くても、上手く〆ればあんがい食べられる鮨に仕上がるわけで、そういう鮨を近頃近所で食べてそれなりに満足しているが、やはりモノが良ければ、鮨のレベルは格段に上がるなあ。どれもこれも、口の中でとろけゆく食感と、素材の旨さをより高める〆方が見事。

 さて、本日は常連W氏がカウンター隣に座られた。
 美味いものを求め全国を訪ね歩くW氏は、宮崎市でも美味いものを食いたいと願い、店主がデビューして以来、「もっといいものを出せ。なければ探せ。値段が張っても自分がちゃんと食う」と、店主を鍛え、地元での一流店に育てあげた功労者の一人である。(このような人がいるおかげで、私などが美味いものでありつけるわけで、ありがたいことだ。)
 そのW氏、「九州ではいいアワビが食べられない。宮崎でも銀座に負けないアワビを一回くらいは取り寄せて、築地の業者を驚かせてやろうではないか」とのアワビ大作戦を練っている。たしかに、銀座の鮨屋では、神社の社宝のように、大きな鏡のようなアワビが調理場に飾ってあるのを見かけるけど、あれは九州ではみない光景だな。あのサイズのアワビが九州に来ないのは、要は高いからであって、業者の言い値で買えば手に入れるのは可能。あとはそれを食う客がいるかどうかだが、それはW氏が責任をもって集めるそうだ。W氏を含め、この店の常連は濃い人が多いから、それは十分に可能であると思われる。というわけで、初夏の旬を迎え、光洋では幻のアワビである、「大原のマダカアワビ」Get計画が始動となった。もし入荷できれば私にも連絡を頂けるそうで、それは楽しみだ。…私も濃い人のようである。

 光洋では、アワビGet計画と並行して、店主のダイエット大作戦も進行中。
 店主のメタボ体型は、フランス料理のシェフならばっちり決まっているが、鮨屋では無理がありますよ。鮨屋の店主の理想の体型は、水谷さんみたいなので、ああいう古武士みたいな人が握った鮨のほうが、明らかに凄味があるでしょう、などと私は店主に言っていたのだが、まあ私が言ったからというわけでもなしに、なにか決心することがあったようで、今年からダイエット開始、だいぶとスリムになってきている。私は1か月ごとくらいのペースでしか来ていないので、その痩せかたがよく分かります。ぐん・ぐん・といった感じのハイペースの痩せかたであり、人間まじめにダイエットに取り組むと、きちんと痩せるんだなあと感心。
 とはいえ、まだまだ水谷さんの域には達していない。精進を続け、名人水谷さんに追いつけ、追い越そう。体型も、そして鮨の腕も。などと勝手なことを書いておく。

【参考までに、水谷八郎氏】
Mizutani_7


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April 24, 2009

光洋へコハダを食いに行く

 延岡にも寿司屋はたくさんあり、漁港あるいは海が近いことからか、素材はなかなかのレベルのものが出る。これには少し驚いた。
 ただし、〆ものが弱い。光ものは鯖はたいていの店で置いており、「新茶屋」の鯖なんてかなり良いものを使っており、〆方も上手であって、食べて満足はしたが…どの店にも肝心のコハダが置いていないんだよなあ。九州全体ではコハダを出す店が少ないとはいえ、探せば一軒くらいはみつかりそうなものだが、いまだ見つからず。たぶん一軒もないような予感がしてきたわい。
 コハダ。コハダはまさに鮨にするために存在しているような魚である。うまく〆られたコハダは旨さの塊であって、噛みしめるたびにコハダの旨さとそれに酢と塩の旨さが染み出てきて、シャリとともに口になかに広がっていく。この食感こそ、「鮨」の醍醐味そのものと言えるわけで、鮨を食う喜びはコハダを食う喜びと言っても言い過ぎではない。(このフレーズ、赤身と穴子にも使えるな)
 そのコハダを2週間ほど食べていないと、どうも胃袋の調子が悪い。今まで住んでいたところは、幸い近くにコハダを置いている店が一軒くらいはあったから、そういう状況には陥ったことはなかったが、今回は初のピンチ。(それにしても山中の盆地で、魚を食う文化が発達しているわけでもない都城で、通年コハダを置いている「ささぐり」って偉かったなあ、と今にして思う)

 ということで、JRに乗って宮崎市へ光洋にコハダを食いに行く。
 店に着くなり、ビールと、それにいきなりコハダを頼む。久しぶりのコハダ(といっても2週間ぶり)は、たいそう美味でございました。それに近頃飢えていた光りものを頼む。大分産のイワシは良質な脂が乗っていて、さわやかにとろけていく食感がたまらない。これは大当たりだ。鯵も新鮮で歯ごたえ良好。ここで人心地がついたところで、またコハダに戻り、むさぼり食おうと思っていたが、本日は、いいコハダがあまり入っていなく量がないとのこと。ここはじっと我慢して、白身、シャコ、マグロヅケ、赤貝など定番のネタをいただき、腹がふくれたところで残り少ないコハダを一貫頼む。それから絶品であったイワシもおかわり。
 やはり、ここの鮨は満足度が高いなあ。


 金曜日の夜は常連客が多く、隣の方は、「宮崎で美味いものを食いたいので、宮崎で若手が育ってほしい」と力説。そのために、若手同士で連絡しあい、刺激を受けてほしいと店主に述べる。
 最近九州では関西で修業した人たちが、九州で店を開いていることが増えてきているけど、宮崎でも同様の傾向があり、本格的な京都料理を出す店もある。そして由布院なんかが典型だが、いろんな分野の料理人が協力しあって、自分の料理の幅を広げ、高めていき、その結果その地の料理のレベルが上がるという地がある。
 宮崎市も、そのような連携が取れれば、技術に加え、食材調達のレベルも上がるだろうし、全体の食のレベルが上がるわけであり、これはいいことを言うなあと思いました。若い料理人が多い今は、宮崎市の食のチャンスでありましょう。博多、札幌なみの食の地を目指せとまでは言わないが、いつまでもマンゴー、地鶏のみ有名ではさびしいものがあります

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April 04, 2009

寿司: 夢膳@福岡市博多駅南

 福岡で手に入る最良の素材を、金に糸目もつけずに集め、旬の最高のネタを、鮨に肴に供する店「夢膳」。銀座の「さわ田」の福岡版と言えばわかりやすいか。(でも、開店はたぶん夢膳の方が早いはずなので、「さわ田」が夢膳の東京版というほうが正確かも)

 まずは、お造りから。
Tsukuri

 以前は大皿にまとめて出されてきて、それは大皿をキャンパスにみたてた絵のようで美しかったのだが、いつの間にか趣向が変わったようで、一品ずつであった。鯛、カンパチ、アジ、カラスミなど。いずれも美味い。ただただ、美味い。

【ノドグロ】
Nodoguro

 焼物は、ノドグロ。これも美味い、ただただ美味い。
 …と同じようなことを書いていても面白くないのだが、じっさい食べてみると素材のすごさに圧倒される料理なんです。このノドグロの脂ののり方はすごいとしか言いようがなく、そして脂のよくのったノドグロが焼かれると、その脂で自らを温め旨くするという、「自分で自分を高める」という、ノドグロを誉めるしかない料理と化す。冬の時期、夢膳で食すノドグロは福岡の誇る名物と断言してよい。福岡で獲れたノドグロじゃないんだろうけど。
 今年の1月に宮崎の光洋で出てきたノドグロも立派なものであったが、記憶にある夢膳のノドグロに比べると一ランク下のものであったので、そのむね言うと(イヤな客なんです。私は)、夢膳さんとは比べないでくださいとのことであった。ま、そうでしょうな。

【茶碗蒸し】
Sirako

【吸い物】
Suimono

 椀物は、鯛の白子の茶碗蒸しと、白身の吸い物。
 夢膳の椀物は、出汁にものすごい特徴がある。私は椀物の出汁は、上方風の素材の旨さがくっきりと立ち上がってくる薄味のものが好きだけど、夢膳の出汁は、それと全く異なるものである。良質の昆布・鰹を濃厚に使って、それだけで独立するような力強い出汁であり、私はこの手のものは苦手なはずだが、夢膳レベルの濃くても美味い出汁なら、これはこれで文句のいいようのない独自の出汁だと思う。そして具材も、その出汁に負けぬ力強い味のものが使われ、椀物全体としてのバランスもよくとれている。

 造り、焼き物、椀物と進んで、次からは鮨となる。
 ずらりと写真で紹介。
【白身1】
1

【白身2】
2

【赤身ヅケ】
3

【赤貝】
8


【コハダ】
4_2


【ウニ】
5_2

【穴子】
6


 シャリは古式の手法でつくられた赤酢を用いている。この酢は通常の赤酢と比べ、酸味よりも旨みがよりまさったもので、シャリの味が豊かとなる。それに塩がよく利いており、シャリだけで極上の酒の肴となるような逸品である。
 マグロもいつも良質なものを使っている。これを江戸前風にヅケており、シャリとあわせて江戸前の鮨となっている。コハダや穴子も江戸前の調理法であり、江戸前鮨です。しかし白身や赤貝はアサツキやゴマ、柑桔などを用いて、足し算のやりかたで美味さを高めていく博多風の鮨。

 夢膳の鮨は不思議な鮨である。ネタもシャリも極上に近いものを用いており、食べていてどちらの美味さも口のなかに広がるのだけど、それが一体となって、一点に着地していくようなことはなく、落としどころがないまま美味さが拡散していって、なにか最後には印象が淡くなってしまう、そういう浮遊感を感じる鮨に私には感じられる。シャリもネタも年月ごとに変ってきているのだけど、この浮遊感だけはずっと変らないので、たぶんこれが店主の鮨のスタイルなんだろうな。もちろん、こういうタイプの鮨も私は好きである。

 店主は北九州市黒崎のプリンスホテルで長いこと寿司部門の料理長を勤めていて、その後博多に店を開いた。夢膳の名前が示すように、夢のように豪華なご馳走が次々と供される、和食・寿司の名店。造り、焼物、椀物、鮨、フルコース全部食べるとかなり値の張る店ですが、その値段を出す価値のある店です。

 私が料理の写真を撮っていると、店主が「自分も撮ってくれ」というので一枚撮りました。
 店と店主の写真であります。雑誌「家庭画報」が取材に来たとのことで、家庭画報ではもっといい写真写りで載っていることでありましょう。

Yumezen

……………………………………………………
夢膳 福岡市博多区博多駅南4-12-33 TEL. 092-431-3301

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March 28, 2009

寿司@鮨まつもと(京都市祇園町)

 荷物を旅館に置き、円山公園で桜を見物したのち、昼食へ祇園の「鮨まつもと」に行く。
 美味しい和食の店がいくらでもある京都で、わざわざ寿司を食べなくともという意見もあるであろうが、昼飯の選択としては悪くはないはず。京都の名物料理としては鯖寿司、豆腐料理、鰊蕎麦などが思いうかぶけど、鯖寿司一品では寂しいし、豆腐は旅館の朝飯に出てくるし、鰊蕎麦なんて一回食えば十分だ。それらを選ぶよりは握り寿司のほうが食指が動く。ようは私は寿司が好きなのである。(と、前にも似たようなフレーズを書いたな)

 花見町小路を入ってすぐの角を曲がってしばらく歩いたところに店はある。
 東京は新橋の寿司の名店「しみづ」で修行した若い店主が、関西で江戸前寿司を供すべく開いた店である。近頃、関西でも江戸前寿司を出す店が増えているけど、この店がその走りのようなものなのではないのかな。

 寿司は「しみづ」直伝スタイルなんだろうけど、師匠の独特の固くしまったシャリとは異なり、それよりはやさしめに握られている。また師匠の寿司のように、飛んだりはしない。

 昼のメニューは握りのみ。平目、春子、赤身、イカ、海老、鰺、コハダ、タイラギ、煮ハマ、ウニ、穴子、干瓢巻き、玉子、等々。シャリは地紙型に握られ、ネタとのバランスもよい。築地から仕入れたネタ質もまずまずのもの。〆方もしっかりしており、塩の利いたシャリによく合っている。鰺の寝かせ方は抜群であり、とろけるような食感が楽しめた。
 昨年の秋に来たときよりも、握り、仕込みが完成度の高いものとなっており、だいぶ安定してきたのではないだろうか。

 元気よい若夫婦がキビキビと働いています。客は遠方からの常連客が主みたいで、店を盛り立てようとする暖かい心使いが感じられる。店全体として、家庭的な雰囲気が満ちており、鮨道を極めんとする人が集まる師匠の店とは、だいぶ雰囲気が異なります。

 将来的には京都の寿司の一流店になることが期待できる店だと思います。
 これからも、たびたび寄ってみようと思う。

【コハダ】
Kohada


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鮨まつもと 京都府京都市東山区祇園町南側570-123

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March 08, 2009

寿司 「光洋」→「趣味鮨一」

 7時間近く自転車に乗り続け十二分に腹が減り、「美味いものを腹いっぱい食うぞ」モード全開で光洋へ。リタイヤしたF君は先に着いており、次回の完走を祈念して、さっそくビールで乾杯。次々に出てくる肴で、冷酒をぐいぐい空けていくうちに、10時を過ぎて、「趣味鮨一」の時間となる。
 奥のテーブルの明かりは消され、カウンターのみに照明が当たり、ショー開始という感じ。

 光洋の鮨は、白酢・赤酢を用いた2種類のシャリで握られている。九州では珍しい方式。ネタによりシャリを使いわけるこの方式は、一品一品の鮨の完成度が高くなる利点があるけど、しかしながら、コース一連の流れのなかでアクセントがつきすぎて、全体としての統一性が失われてしまうのが難点と、私には思える。

 鮨の主役はシャリなので、ダブルキャストでやるより、魅力ある主役が一人で仕切るほうが、劇の統一性は保たれるし、個性もより浮き出る。
 …まあ、そういう考えなのか、どうなのかは知らないが、店主がより自分自身の目指す鮨を握りたいと、「趣味鮨一」という時間限定の鮨屋を開き、そこで一種類のシャリを用いて鮨を握るようになったのである。

 ここでのシャリは、酢と塩のみで砂糖を使わない、純江戸前スタイルのシャリである。食した感じでは、あまり酢も塩も強めでなく、やさしい味のシャリであった。かえって、赤酢を使った光洋のシャリのほうが個性が強いといえば強い。
 だから、ネタもシャリにあわせて、光洋とは違うやりかたで仕込んでいる。それは、けっこううまくバランスがとれていて、一体感を感じることができた。とくに良かったのは、白身やイカ、昆布締めなど。煮ハマや穴子には、シャリが負けているようにも思えたが、これもぼちぼち改良されていくのでしょう。

 写真はキスの昆布締め。相変わらずの美しい姿の鮨です。

Shillago

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March 01, 2009

寿司@近松(福岡市薬院)

 日曜日の昼は「近松」にて寿司を。
 福岡市は日曜に営業している美味しい寿司屋が少ないので、この店の存在は貴重である。

 12時スタート。8席のカウンター席は満席。流行っています。
 この店は照明を落とした暗めの店のなか、カウンターのゲタひとつひとつに照明が当たっていて、その明かりのなかに、握られた鮨が出てくるという、独特の趣向。

 つまみは、蛸の柔らか煮、空豆、ワカメ。
 鮨は、水イカ、鯛、平目昆布締め、サヨリ、コハダ、サヨリ、ヅケマグロ、白子焼き、車海老、蝦蛄、煮蛤、雲丹、穴子、玉子。追加で、貝柱と干瓢巻きを。
 まず水イカが素晴らしい。厚い水イカを、中の身を削ぐようにして捌き、それに包丁目を入れて、水イカ独自の弾力はわずかに残しながらも、全体として、とろけるような食感の鮨となっている。近松でしか見たことのない鮨です。
 〆ものの丁寧な調理もよく、マグロの身質も良好。煮蛤のやわらかさもほどよい具合。どれもこれも高水準の鮨。

 近松の寿司は、全力投球なのが特徴です。
 どの鮨も、細心の工夫と高度な技術が込められており、店主の「美味い鮨を握りたい」という精神がひしひしと伝わってくる。しかも、美味い鮨の追求のため、常にシャリやネタの調理法が変化しており、まさに「進化し続ける寿司屋」である。

 これほど美味い鮨を出していても、コストパフォーマンスはたいへんよく、(店主いわく、「夫婦二人でやっている店なので人件費がいらないから値段を抑えることができるのです」、とのこと)、おかげで交通の便がよいところでもないのに、客の多い人気店で、予約をとるのが大変。今回は直前の予約だったのに、予約ができて、じつにラッキーであった。

……………………………………………………
近松 福岡市中央区薬院2丁目6-19-1F TEL 092-716-5855

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February 22, 2009

寿司@一心鮨光洋

 雨のなかのサイクリングを終了。30キロ程度しか走っていないが、それなりに腹は減る。今日は光洋に行って、たらふく鮨を食うことにする。
 宮崎市は今週はWBCキャンプのおかげで、たいへんな人出でにぎわっていたのだが、さすがに最終日の本日は落ち着いているであろう。店主に今週は繁盛していたでしょうと聞くと、残念ながら、WBCの恩恵にはあずかれず、通常どおりの客の入りであったそうだ。場所が悪いのか、客層がずれていたのか。でもWBC参加の選手たちは訪れていたそうである。

 つまみと鮨をお任せで頼む。

【白子焼き】
Urchin

 ふっくらした河豚の白子を海老芋に乗せて。
 九州で海老芋を見るのは珍しい気がする。
 河豚にはウニを和えている。白子とウニの組みあわせは、どちらも個性の強い食材なので、調和しなさそうに思えるが、このウニはおとなしめの味だったので、うまく白子を引き立てていた。白子のもっちりした食感と、エビ芋のほくほくした食感の対比も面白い。

【甘鯛兜焼き】
Bream

 甘鯛の兜焼きというのもあんまり見ない料理だなあ。初めて食べる気がする。
 通常の2倍はありそうな巨大な甘鯛を用いての兜焼きで、ここまで来るとさすがに食べ応えがある。このサイズの甘鯛の松傘焼きというのも、一回くらい見てみたい。一人で食うのは無理だろうから、多人数で来たときなど。

【赤貝】
Ark_shell

 赤貝は閖上のもの。これだけ肉厚だと、堂々と閖上産ですと主張できるレベルの赤貝です。噛めば弾力よい歯ごたえとともに、海の味が口いっぱいに広がってくる。


 光洋は3月から、午後10時~午前1時に、店主一人で仕切る、新しい形態をとるそうだ。その営業時間は、店の名前を「趣味鮨 一(はじめ)」と変え、カウンターのみの営業となる。いわゆる鮨の名店に多い、店主一人で仕込み、握るスタイルとなるわけで、店主のより望むかたちで鮨を供することが出来るようになる。なかなか思い切りのいい話である。ただし問題点は営業時間か。午後10時は、普通の人にとっては、鮨を食べはじめる時間としては、ちと苦しいのでないかな。午後10時からとなると、どこかで飲んでから、「よし、次は鮨でも食いに行こう」との乗りで、流れてくる客が多くなりそうな気がする。というか、そういう客をある程度あてにしないと、客数の確保は難しそうだ。そうなると、場所がちと悪い。飲み街である橘通りから離れているだけに、あそこで飲んでいた人たちが来るには距離がありすぎる。普通は来ない。
 となれば、飲んだあと、「よし、次は店主の鮨が食いたい」という人がメインに集まる鮨屋になるんだろうなあ。…なんか、マニアックな鮨が楽しめそうだ。

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February 12, 2009

寿司@紫光(鹿児島市)

 天文館にある寿司の名店、「紫光」にて鮨を食う。
 光もの、マグロ、穴子などは江戸前で、白身系統は塩や柑桔系を用いた小倉系の寿司と、ハイブリッド形式の寿司屋である。
 本日はまずおまかせで頼む。白身、貝類、光もの、赤身、ヅケ、中トロ、大トロ、穴子、玉子等々。そのうちのいくつかを。

【コハダ】
Kohada

 〆ものは、〆すぎず、素材の香りをうまく残した九州風のもの。丁寧な仕事をしています。
このコハダは2枚づけ。これくらいのサイズが一番美味しいと思われるが、今の時期にこういうコハダをきちんと仕入れているのはたいしたものである。
 握りは、ふんわりやさしく握られ、口の中にいれると、ほろりとほどけていくタイプのもの。上手な握り方です。

【中トロ】
Tuna

 マグロは三厩(みんまや)のもの。近頃三厩のマグロの名前をよく聞くなあ。同じ津軽海峡にいても、大間や戸井のものとは、食べるものが違うので微妙に味が異なるそうだ。
 紫光ではマグロを築地から仕入れており、以前は藤田水産のものを使っていたそうだが、この店のスタイルには合わないと判断し、別の業者のマグロを仕入れているとのこと。
 業者はともかくとして、この店のマグロはよいです。九州の寿司屋のマグロでは、私はここのマグロが一番好きで、いつもマグロは追加して頼んでいます。

【イカ】
Squid

 イカは河庄風に松傘切りをして、それを少々炙る。みためも、歯ごたえもよし。

【穴子】
Conger

 穴子は柔らかく煮られ、それを炙って香りをつけた、伝統的江戸前のもの。
 鮨屋の技術はだいたいコハダと穴子で分かりますが、見事なものです。

 紫光を初めて訪れたとき、まずは鮨ネタのレベルの高さに感心した。これは、福岡市でトップレベルの素材を出す店…たとえば田可尾とかに十分に張り合えるレベルだと思う。これほどの素材を用いた鮨が出るからには、鹿児島市の住人の求める寿司のレベルが高いのであり、鹿児島市おそるべしとの感想をまずもちました。(似たような人口の熊本市に以前住んでいたことがあるけど、ここまでの店は残念ながら、なかった)

 この店の寿司は美味いですね、腕も素材もたいしたものですと私が言うと、店主は、「寿司職人は美味い寿司を出すべき努力はしても、習得できる技術には限界があります。美味いものが好きな客がいて、その客の求めるものによって、職人は引き上げられていくので、美味い寿司を出す店には、なによりもいい客が必要なのです。当店の寿司が美味いのなら、それはお客のおかげです」と謙虚に述べられる。
 鹿児島市で店を開いて22年、客とともに成長してきた店なのである。
 そして店主は、自分の寿司をわざわざ食べに来る人がいるのはたいへん有り難いことなので、店はいつでも開けていたい、だから祝日にも店は開けているのです、と言う。そういうわけで、紫光は日曜・祝日も開店しています。休日に寿司を食べたいと思ったとき、とても便利です。

……………………………………………………
紫光 鹿児島市東千石町9-22 TEL 099-227-2388

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January 30, 2009

1月の一心鮨光洋

 今年初めて光洋にて食事。
 まずは、つまみから。
 ここはつまみのなかにトロの握りを出してくるのが定番だが、今日はなんだか、ゆったりと見せびらかすように柵を切り、自信満々といった風情で出してくる。これはすごい大トロなんだろうかと思って食べてみた。…たしかに質は高いが、たまげるほどのものではないなあ。
 聞けば、光洋がついに藤田水産のマグロの大トロを仕入れることが出来るようになったとのこと。ならば、これはその大トロか。藤田水産に自社の大トロを卸してよいと認められたわけで、それは店にとって大変名誉なことであるが、同時に店にとってはずいぶん負担のかかる話ではあるな。大トロって、東京でさえ、高すぎて本来の値段では出せず、店にとっては赤字になるネタなのに、まして宮崎では、その赤字になる東京なみの値段でも出せるわけもなく、経済的に覚悟のいることと思われる。
 若き店主の意気やよし。宮崎でマグロ文化を根付かせるためにもがんばってもらいたいものだ。客もサポートするゆえ。

 面白かったつまみをUP.。
【茹で団扇海老 このこ和え】
Fan

 店主がときどき出す実験的つまみ。
 個性が強くて、つければなんでも同じような味になってしまいそうな、このこであるが、ここで出てきてこのこは強いながらも非常に上品な味で、茹で海老の味を邪魔しない、ぎりぎりの味付けとなっている。
でも、別々に食べても、どちらも十分に美味いから、あえて和えなくとも思う。

【白魚卵とじ】
Whitebite

 宍道湖で獲れた白魚だそうだ。シャキシャキした食感の野菜、ほろ苦い白魚、豊かな味の卵、春の訪れを感じさせる料理。見た目も、材料もいいけど、出汁の旨みが前面に出すぎていて、バランスが微妙に悪いような。

 握りは、水イカ、コハダ、車海老、タラの白子、黒鯛、穴子など。
 いつものごとく、白シャリと赤シャリをタネによって使い分け、食味華やかな鮨である。

【穴子】
Conger

 穴子は今日は巻物の穴キュウで。穴子はもちろん、海苔の味もよいです。

 美味い鮨を食い、酒5合ほど飲んで、気持ちよく酔っ払う。
 今年も光洋でばりばり鮨を食おう。

【光洋の業務用車】
Car

 帰りは小雨が降っていたのと、私が最後の客だったので、駅まで送ってくれるという。御好意に甘え、業務用車にて駅へ。
 この車で仕入れをしてるんですね。ちょっと面白い体験。

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January 09, 2009

寿司@ささぐり(都城市大王町)

 ささぐりに寿司を食いに行く。
 今年の寿司の食い初めだな。
 戸を開け入ると、客は私のみ。今年は不景気というが、週末というのにこの状況は、たしかに不景気のせいなのかな? でも、1月2日から貸切の宴会があったそうで、たまたまだったらしい。

適当にお好みで頼む。

【コハダ】
Shad

 コハダ自体の味は弱いけど、しっかりと〆られて、力強い寿司となっている。コハダも上手く調理されて、シャリの形とあわせ、美しい寿司になっています。

【ヅケマグロ】
Tuna

 ここの赤身はヅケで食べたいな。
 ヅケられて、旨みが増した寿司です。ねっとりとした食感が上出来。

【穴子】
Conger

 柔らかく調理された穴子に、ふんわりと握られたシャリがよく合い、きちんとした穴子の寿司になっています。

 ちなみに2貫ずつ写真に写っているのは、ネタごとに2貫出るというわけでなく、私が2貫を頼んだのである。写真に出していないが、他のネタのものは一貫ずつ頼みました。
 ネタはこの地で供されるものとしては良質のものでしょうし、なにより仕事が丁寧であり、正統的、真っ当な寿司が出てきます。
 地方でもこういう誠実につくられた寿司が食べられるのはありがたいことと思います。

 そうだ。
 この店は茶碗蒸しも、いいです。
 卵の美味しさを、薄味の出汁と、じっくりと蒸した調理法で演出したもの。寿司のみならず、料理の技術の高い店です。

【茶碗蒸し】
Egg_custard_steamed_in_teacup


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January 04, 2009

土産@鯖寿司(鯖街道花折)

 京都土産は甘いものでは生八橋、生ものでは鯖寿司を選ぶことが多い。
 とくに鯖寿司は、他の地方で普通に手に入るものとは、京都ではレベルの違うものが得られる。鯖の身の分厚さから違い、当然に脂ののりも、昆布の旨みのしみ方も、違う。さすがにこれを食えば、空弁の鯖寿司なんて食えなくなってしまいます。

 京都の鯖寿司は、「いづう」が有名だけど、ちょっとばかり鯖本体の味が弱いので、私はもっぱら「鯖街道花折」の鯖寿司を好んでいる。鯖そのものは、「朽木旭屋」のほうがいいかなと思うときもあるけど、鯖と米と昆布のバランスが、花折のほうが私の好みなのだ。

 土産用に一本と、自分で帰りの新幹線のなかで食べる一本を買うことにする。

【花折 京都市役所前駅店】
Mackerel_susi

【鯖寿司】
Mackerel_susi3_2

【鯖寿司 中身】
Mackerel_susi2_2

 窓の外を高速で流れる景色を眺めつつ、酒を飲みながら、鯖寿司を食う。
 汽車旅の醍醐味であるが、…山陽新幹線はトンネルが多すぎ、眺めがよろしくないのが難。

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December 28, 2008

土産@一心鮨光洋

 ここでUPしている土産はたいていは自分が買ったものであるけど、今回のは光洋さんの土産。ちらし寿司は初めて見る。
 それが見事な出来だ。開けてみる、宝石箱のように、赤・白・緑・桃色に具材が光っている。見た目が美しいものは、食べても美味しいという法則通り、食べると各種の具がうまく競いあって、にぎやかな味を演出している。これは土産の定番になりそうだ。

Chirashisusi

と、こちらは私への土産であったわけだが、ついでに工房の夜番の者にも私が土産を持っていくことにする。

Susi_roll


こちらは定番の太巻き。具の素材の良さ、海苔の香り、シャリの美味さ。いつも好評です。

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寿司@一心鮨光洋(宮崎市)

 夜は光洋にて寿司。
 つまみは、刺身は鯛・赤貝・ブリの腹身,それに茶ぶりナマコ,ブリの腹身焼き,ブリの腹身,コバシラと蛍烏賊の串,コノワタ,鰆のタタキ,河豚白子焼きなど。
【赤貝】
Red_ark_shell_clam


 いずれも美味しかったが、とくに10日寝かせたブリの腹身が秀逸。爽やかだけど、濃厚なブリの脂が楽しめる。コバシラと蛍烏賊の串は初めて食べたけど、ユーモラスな料理だ。閖上の赤貝は肉厚でぷりぷりしたもの。茶ぶりナマコの食感は絶妙のもの。河豚の白子はまだ時期が早かったかな?

 寿司は、白身,赤身、赤身ヅケ,車海老,コハダ,ウニ,穴子など。
 シャリの味と握り方に常に工夫を重ねている店主であるが、前の地紙形と比べ、流線型になっている。握り方も少し柔らかくなったか。前のは力強い握りだったけど、この優しげなのもこれはこれでたいへんよろしい。
【コハダの握り 色も形も美しい】
Shad

 本日は今年最後の訪問になるので、お歳暮というわけでもないけど、夕方に近くの肉屋さんで切ってもらった生ハム「クラテッロ・ディ・ジベッロ」を持参。メタボ体型の店主にはちと高カロリーすぎるかもしれないが、まあこういう美味いものを食ってもらって、食をさらに追求してもらえば、私らがさらに美味しい光洋の料理を食べられるであろうので、お互いにとってよいことなのだ。

 さんざん飲んで、さんざん食って、最後はお土産の散らし寿司をもらって、本年度の光洋は終了。
 今年も美味しい料理をいっぱい食べさせてもらった。来年度もよろしくお願いします。

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December 20, 2008

寿司@鮨匠のむら(鹿児島市)

 地元の旬の素材を大事にする店、「鮨匠のむら」。
 極上の素材が次々に現れる、知る人ぞ知る鹿児島の名店である。12月を過ぎて海の温度も下がり、魚の脂も乗ってきたころであり、いつにもましての美味い魚を期待する。

 つまみはまずカワハギの刺身と肝から。
【カワハギ】
1

 河豚よりも絶対に美味いと店主の断言するカワハギは、たしかに旨み十分。カワハギならでの上品で、深みのある味が楽しめる。それに肝をからめて食べるとさらに味の深みが増します。

 ついで、茹タコ、カンパチ刺身、ヒラマサ刺身、シロダイ昆布締め。
【刺身数点 下がカンパチ、上左からヒラマサ、シロダイ、煮ダコ】
2

 定番の茹タコは、ぷりぷりもっちりした食感が見事。鹿児島のタコの実力を示しています。
 刺身はカンパチとヒラマサ。見ても食べても区別などつかない魚と思っていたけれど、食べ比べると、区別は容易についた。歯ごたえが強く、また清新な味のカンパチに比べ、ヒラマサはもっと優しい味であり、柔らかさと豊かさを感じる。どちらも大変に美味。シロダイは昆布締めで。ほんのりした昆布の味がいいアクセントになっている。

 本日はすごいシマアジが入ったとのことで、シマアジの腹身が登場。
【シマアジ】
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 これはたしかにすごい。並のシマアジとはまったく異なる次元のものである。口に入れると、口いっぱいにまろやかで豊潤な味が広がる。それをかみしめると官能的といってもよい食感を感じる。食べているあいだ、言葉を失ってしまいました。開聞岳沖の定置網に一匹だけかかった大物のシマアジで、買値も相当なものであったが、これほどのものは滅多に手に入らないという逸品だそうである。

 つまみは、サワラの腹身、ホタテ貝柱の刺身と炙り、〆鯖と続く。
 サワラの刺身は九州では滅多に出てくるものではないが、新鮮なサワラが手に入ったとのことで、脂がたっぷりと乗った腹身を刺身で食する。
 ホタテ貝柱はなかなか手に入らぬ10年もの。その直径は通常のものの2倍以上。大きさよりもその食感に驚く。貝のスジのたぐいを微塵も感じさせず、なにかの肝みたいに柔らかく、濃厚な味。炙りにするとさらに香りと旨さが増す。
 鯖は済州島のもの。鯖は済州島のものが一番とのことで、懇意の漁師からいつもこの時期仕入れています。

 他には、真鱈の白子の焼き物と、茶碗蒸し。
【真鱈の白子焼き】
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 河豚の白子よりも美味いとのことであるが、真鱈の白子は独特のクセがあり、それが好きな人にはたまらないであろう。私は、普通に河豚の白子のほうが好きである。もちろん、この店のものは、そのへんの和食屋で出てくる真鱈の白子とは、まったく別物の美味さである。

 ヨコワのいいものが入ったとのことで、ヨコワシリーズ。ヨコワの腹身、ヨコワのヅケ、ヨコワの兜焼き。

【ヨコワヅケ】
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ヨコワはマグロと考えると味が弱く思えるが、これをヨコワという独自の魚と考えると、爽やかで軽やかな赤身の味を楽しめる、きわめて美味なる魚だ。

 店主は本日、「今日はうるさい客がやってくるので、ギャフンと言わせるすごい魚はないか」と河岸の魚卸屋にたずね、そこで得たものが、「シマアジ」「10年もののホタテ」「サワラ」だそうだ。たしかにいずれもギャフンどころか、言葉も出なくなる素晴らしいものでした。
 店主いわく、うるさい客をギャフンと言わせるのは料理人の無量の楽しみであり生きがいだそうだ。なかなか素晴らしい、料理人魂だと感心。
 …って、うるさい客とは私のことですかい? 

 そうとうにツマミを食ったのち、握りへ。
 握りは、水イカ,サワラ,カワハギ肝のせ、ホタテ貝炙り,シロダイ,カンパチ,タカ海老,バショウカジキ,牡蠣,車海老,シャコ,バショウカジキ,ヨコワハラミ,シメサバ炙り,太刀魚炙り,穴子、野菜の握り。

 ツマミで食べたものも出てきたが、鮨にするとさらにシャリとの相乗効果で旨みが増している。各素材で、2度美味しい経験が得られます。
 煮牡蠣の独自の味付け、肝を和えたカワハギの豊かな味の広がり、タカ海老の甘さ、定番の太刀炙りの安定感、いずれも素晴らしい。とくにここの車海老はいつ食べても見事。車海老の寿司は店によって調理法が異なるけど、この店のあつあつほかほかの剥きたての車海老を食べると、香りの良さ、味の濃厚さ、食感の良さから、これが一番の調理法と確信を持てる。

【車海老 茹でたてで湯気が立ちそうな寿司】
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 酒は、黒龍,清泉,麒麟山,鯨酔,船中八策,春鹿,大山、その他。
 よく飲みよく食べました。
 素材の追求と調理の工夫において、この店より上に出る店は、九州ではちょっと思いつかない。鹿児島の宝のような店です。
 この店を紹介してくれたAさんに感謝。今は鹿児島を遠く離れており、この店を訪れることができないAさんに、羨ましがらせるために写真をmailすることにする。

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