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June 2019の記事

June 30, 2019

映画:ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

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 日本の怪獣映画史上最も有名なコンテンツである「ゴジラ」を、ハリウッドが巨額の費用をかけてリメイクしたゴジラ実写版その3。
 20年前のエメリッヒ版の一作目は、ゴジラは「俊敏な巨大爬虫類」といった感じで、原作のゴジラの「荒ぶる神」と称すべき威厳も神秘性もまったくないベツモノであったけど、2作目のギャレス版ゴジラは原作の精神に戻り、ゴジラは「人間以上の存在」としてのオーラを放ち、映画全体としても良作であった、と思う。そのゴジラをそのままスライドして用いたのが本作。

 本作の原作は「三大怪獣 地球最大の決戦」で、東宝ゴジラシリーズで最も強力で凶悪なモンスター「キングギドラ」の登場する話である。キングギドラは造形も素晴らしく、他の怪獣がトカゲなり鳥なり昆虫なりのモトネタがあったのに対して、これはまったくのオリジナルであり、この映画で初めて世に出現した異様にして美しい、魅力あふれる怪獣であった。そのキングギドラが、着ぐるみ撮影でなく、最先端のCGによって大画面で登場するのだから、これは観ないと損でしょう。

 そういうわけで観たけれど、脚本ははっきりいってつまらなかった。
 こういった大災害モノでは、家族の物語をそれに並行させるのはハリウッド映画の常道であるが、それらはたいていは映画を面白くするのに役に立っていない。なにしろ向うの人達って、家族が危機に陥ると、世の中がどうなろうが、他人にいかなる迷惑をかけようが、家族を救うためのみ全力を尽くす、てのばっかりで、まあそれは人間の行動様式としては納得はできるものの、それをこれが正義だとばかり延々と見せられると、なんか鼻白んでしまう、というのが正直な感想である。
 この映画でも、怪獣の暴動により世界が危機に瀕する筋に、怪獣制御のキーとなる技術を持つ科学者家族の物語がからむのだが、それがまったくつまらない。

 科学者夫婦は前作でゴジラによって、息子を一人亡くしている。それが原因で家族はみな心に深い傷を受け、離れ離れになったのだが、そこから立ちなおるための妻の思考が極端である。
 彼女は息子が亡くなったのには何か理由があったと考える。そして、息子が亡くなったのは、それは怪獣に殺されたからで、つまりは怪獣は人を殺す存在なので、そのため息子は亡くなった。ではなぜ怪獣が人を殺すかといえば、それは怪獣が人間の上位にある生物であり、彼らは自分の意思で自由に人を殺すことができる存在だからだ。そして怪獣が人間を適度に殺すことによって、何が起きるかといえば、自然環境が改善する。つまり怪獣が適度に人間を間引くことによって、地球は環境汚染、戦争、異常気象を改善することができ、長い目ではそれは人間をもよい影響を与える。そうだ、息子は世界を良くするために亡くなったのだ、ではさらに怪獣を増やして世界をより良くしよう、そういう論理の進め方により、彼女は今世界で眠っている怪獣たちを解き放ち、人類の審判者、あるいは裁定者として、地上あらゆるところに跋扈させようとする。

 この怪獣を神聖化し、人間よりも上位の存在として崇める思想。
 向うのクジラ保護運動なんか見ていると、あきらかに彼らは人間よりもクジラを大切な存在と思い込んでいるので、西洋ではべつだん珍しい思想ではないようには思えるけど、クジラと違って怪獣は獰猛な生き物なので、彼女の行為によって20匹近くの怪獣が野に放たれると、世界は壊滅的ダメージを受けた。
 一人の女性の理性を失った思いこみにより、世界が危機に瀕するという、なんとも哀しくもやりきれない話である。でも、それでも、これで彼女の本望達成、めでたしめでたし、とかいうふうにはならず、その怪獣の大暴れにより彼女の残った一人の娘の命が危なくなると、彼女はそこで半狂乱になり、娘を救うことと、娘を襲っている怪獣を排除することに懸命に奔走することになる。
 怪獣に人類の命を捧げて当然とか言っていた人が、いざ自分の家族の命が危険にさらされると、前言撤回、全く逆の行動に出る。
 狂信者というのは、たとえ根本の思想が間違っていても、その行動に首尾一貫性があるのが本物の狂信者というものであって、ここで彼女は狂信者としての誇りも意義も失ってしまう。
 つまりは彼女の先ほどの思想とやらはただの言い訳みたいなもので、本当は「自分の息子だけが怪獣に殺されたのが腹が立つし、納得いかない。こうなりゃ、他の人達も怪獣に食われて、私と同じように不幸になれ」という考えで、怪獣を世に放ったということが露呈されてしまい、まったくみっともない。

 つまりはこの女性科学者はろくでもない人間なのだが、それは私のみの意見ではなく、彼女は映画内で、他の人物皆、家族や機関関係者、はては環境テロリストからも、お前はおかしい、お前はどうしようもないと非難されており、映画の脚本上からも、最初からどうしようもない愚かであり、魅力のかけらもない人物と設定されているわけで、演じる役者もさぞかし気がのらない役ではあったと思う。
 しかしながら彼女はこの映画では極めて重要な役割を持っている。
 前作で怪獣達はモナークという機関で厳重に管理されていると設定がなされているが、怪獣達が暴れるというテーマの本作では、その管理されている怪獣達を解放するには、こういう愚かな人物が必要不可欠であった。その理由のみで、彼女はこの映画に存在している、ということだったのだ。

 そんなこんなで、この科学者の物語にはイライラさせられたが、しかしキングギドラを始めとして、怪獣たちの造形はとても素晴らしかった。三つの首がそれぞれ独自に動き、かつ大きな翼をはばたくキングギドラの動画って、CG造るのはとても大変だと思うけど、じつに自然に、かつ雄大、雄渾に動きまくっていた。威厳と迫力にあふれるゴジラは前作同様の格好良さ。さらに驚いたのがモスラ。巨大な羽根から放たれる光をまとった姿は、神々しいまでに美しかった。

 これらの怪獣の姿、そしてバトルを映画館の大画面で観るだけでも、ああ、今の時代はこのようなものが観られるようになったのか、と昭和の東宝怪獣映画を観て育った者は感動してしまった。いい映画であった。

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 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 公式サイト

 

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June 23, 2019

オオヤマレンゲ(2)@英彦山

【九州自然歩道】

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 梅雨の時期なのに好天の日曜日、鳴子山に引き続き、オオヤマレンゲを見に英彦山へと。
 別所駐車場に着くと、登山日和だけあってほぼ満車状態。強引に数台とめるスペースはありそうだったが、本日は北岳始点の周回コースを予定していたため、素通りして次の駐車場へ。英彦山は別所から高住神社までの間に広大な駐車場がいくつもあるけれど、これってオーバースペックなのではといつも思う。おかげで便利ではあるが。駐車場からはすぐ九州自然歩道を使って、高住神社の登山口まで行く。杉林のなかの平坦な散歩道である。

【キャンプ場】

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 キャンプ場に出ると丘の緑が濃く、青空のもと輝いている。梅雨とは思えない初夏のような景色であるが、じっさいまだこの地域は梅雨入りしていない。

【登山道】

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 北岳への登山道は苔むした岩が続き、霊山らしい神秘的な雰囲気をまとっている。

【展望台】

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 途中で展望台に寄ってみた。
 この「展望台」、じつは切り立った一枚の岩壁であり、「展望板」とも称すべきもの。それゆえ高度感抜群であり、眼下に広がる風景もまた雄大。

【オオヤマレンゲ】

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 北岳への稜線の手前の「溶岩の壁」あたりに英彦山の名物であるオオヤマレンゲの群落がある。
 鳴子山ではまだ始まったばかりであったが、対照的に英彦山ではほぼ終わりかけ。枯れた花がいくつも樹にあるなか、それでもちょうど満開のオオヤマレンゲをいくつか見ることができたのはまだ幸運であった。
 北岳経由で英彦山に登って来る人はたいていこれが目当てなので、オオヤマレンゲの前ではたくさんの登山客が集い、写真を撮っていて、順番待ちの行列ができていた。

【ヒコサンヒメシャラ】

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 オオヤマレンゲの傍に、これも英彦山を代表する花ヒコサンヒメシャラが咲いていて、こちらのほうは蕾も多く、今からどんどん花が開いていくところであった。
 オオヤマレンゲには華やかさでは負けるものの、独特の愛嬌がある良い花である。
 三枚目のものは中岳山頂に咲いていたもの。さすが英彦山の名のついた樹であり、英彦山のあちこちに生えていた。普通のヒメシャラと違ってあまり目立たない樹なので、花の時期でないとなかなか気付かない。

【中岳へ】

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 北岳まで登ると、中岳、南岳は近い。

【南岳山頂】

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 中岳から南岳にかけてはエゴノキの白い花がちょうど盛りであって、登山道にもいくつもの花が散っていて、道を白く染めていた。

【大南神社】

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 南岳からは大南神社を通るコースで下山。そこそこ岩場があり、変化に富んだ道である。

【学問神社】

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 登山道から少し外れているが、学問神社にも寄ってみた。いろいろあやかりたいことがあったので。ここは御利益がありそうな名前の神社だけあって、たどり着くまでの道はけっこう険しく、ちょっとしたアドベンチャールートになっている。

【奉幣殿】

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 奉幣殿に着いて、だいたい登山は終了。
 本日もたくさんの花々を見ることが出来て、いい登山であった。

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June 22, 2019

オオヤマレンゲ(1)@鳴子山

 九州の山ではミヤマキリシマの季節が終わり、次に咲く花はオオヤマレンゲである。極めて限られた山域にのみ咲くミヤマキリシマと違い、オオヤマレンゲは色々な山域に生えていて、気分しだいで登る山を決めることになる。
 そして今年の6月は梅雨前線の北上が遅れていて、下旬になっても九州北部は梅雨入りしておらず、雨が降りそうにない大分~福岡の山を目指すことにした。

【沢水登山口】

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 まずは山頂近くにオオヤマレンゲの群落がある鳴子山に登ることにした。  鳴子山はどの登山口から登っても距離のある山で、ということはどこから登ってみいいということにもなるが、今回は自転車を用いて、赤川に車を止めてそれから沢水に自転車移動という沢水赤川周回コースで鳴子山に登ることにした。

【沢水キャンプ場】

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 沢水からの登山口は最初は草原のなかを行き、それから林のなかをトラバースして、くたみ分かれへ行く。

【鳴子山稜線】

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 くたみ分かれからの急登の尾根を登り、それから稜線へと出る。ここからは岩場が続くので、足元に注意しながら進んでいこう。

【オオヤマレンゲ蕾】

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 鳴子山を過ぎて、稜線を歩くとやがて登山道わきにオオヤマレンゲの樹々が現れる。ただしその樹には蕾は付いているものの、まだ咲いている花はほとんどなかった。

【オオヤマレンゲの樹】

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 満開のオオヤマレンゲを探して、登山道から離れ、山肌に下りて行くと花をつけている樹を見つけた。しかし咲いているところが高く、あまりいい写真にならない。他の場所を探そうといったん登山道に戻っているところで、やはりオオヤマレンゲ目当てに登って来た人に会い、「そっちはまだでしょう。鞍部のほうに下って、左側の斜面に行くと、いい花が咲いていましたよ」と教えてくれた。

【オオヤマレンゲ】

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 それでその場所に行き、ちょうどいい高さに咲いている花を数輪見つけることができた。
 オオヤマレンゲは白いドレスをまとったような華やかな姿なので、「森の貴婦人」と称されている。たしかに緑の季節、そのなかで鮮やかな白い花を咲かせたオオヤマレンゲは目立つし、気品あふれる、とても美しい花だ。まさに森の貴婦人。

【稲星山へ】

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 鳴子山からは稲星山経由で下山。稲星山の斜面にはまだミヤマキリシマがわずかに残っていた。
 九重の花のスターは一にミヤマキリシマ、二にオオヤマレンゲだけど、そのピークの時期が重ならないところがまた興味深い。

 

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June 16, 2019

大丸別荘@二日市温泉

【大丸別荘】

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 温泉王国九州において、福岡県は火山帯から外れているので、例外的に温泉の乏しい地であり、温泉掘削技術が発展するまでは、まともな温泉の出るのは二日市しかなかった。ただしその二日市は、万葉集の時代から記録が残る由緒する温泉地であり、そのためであろう、ここには一軒の有名な老舗旅館があり、福岡では(たぶん)唯一の高級旅館として全国から多くの客が通っている。
 今回大宰府を訪れたついで、そこに近き温泉宿である「大丸別荘」を訪れてみた。

【庭】

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 大丸別荘は幹線道路に面しているものの、高い塀が巡らされており、なかの具合は外からはよく分からない。なかに入ってみると、複雑なつくりの廊下を歩くうち、広大な庭が目に入る。それが3500坪もの敷地を使った回遊式日本庭園であって、樹々、石灯篭、池、橋、東屋等々が美術的に配置されており、二日市の町のなかに、このような贅沢な空間があることに驚きを覚えた。

【部屋】

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 大丸別荘は創業は江戸時代という老舗であり、それからいろいろと建て増しをして新旧混在の今の形になったのだが、今回泊まった部屋はそのなかで最も古い大正亭という建物のなかのもの。硝子の微妙なゆがみが、年代ものということを教えてくれる。
 部屋からは先ほど見た庭を見下ろすことができるが、この方向からの眺めもまた格別である。

【夕食】

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 夕食は会席料理。八寸、お造り、お椀、焼物、御飯。
 料理そのもの、あるいは素材に特筆すべきものはないけれど、どれもしっかりした技術で丁寧に造られた、高級旅館にふさわしい、安心感のある美味しい料理である。
 手際のよい和服姿の仲居さんの給仕で、風情ある部屋のなか、美しい庭を眺めながら食事をとっていると、高級旅館とは、すべてがそろった総合芸術みたいなものだなあということが実感できる。

【朝食】

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 朝食は小さな料理がたくさん並べられた楽しいもの。これもまたずいぶんと手間のかかるものと思われる。朝から食が進む進む。

【温泉】

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 温泉は大浴場と、それから大正亭宿泊客専用の貸し切り風呂を使ってみた。
 この貸し切り風呂、いわゆる家族風呂なのであるが、その広さにまず驚く。そしてこの浴槽は二つに仕切られていて、手前はぬるめなので、ゆったりと浸かっていることができる。
 温泉は当然源泉掛け流しで、泉質は柔らかめであり、かすかに硫黄の匂いがする。とてもいい肌触りの湯である。

 

 名旅館と知られる「大丸別荘」、初めて訪れたけど、建物、接遇、庭、温泉、料理、どれもが高水準のいい宿であった。また大宰府を訪れる機会があったら、ぜひとも泊まってみたいものだ。

 

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June 15, 2019

令和記念登山:四王寺山@大宰府

 5月に元号が新しくなったのでそれを記念した登山をしようしようと思いつつ、ミヤマキリシマのほうに気をとられているうちに一月が過ぎた。このままだらだらしていると暑くなって登山シーズンから外れてしまうので、さっさと計画を立てることにする。
 令和といえば、大宰府がその所縁の地。大宰府の登山といえば、普通は宝満山ということになるのだが、令和発祥のコアの地は、梅園の宴を催した大伴旅人の住宅があったとされる坂本八幡宮である。坂本八幡宮は四王寺山の登山口に当たるので、四王寺山を登ることにしてみた。こういうことがないと、他県の者はあまり登る機会もない山でもあるし。

【大宰府駅】

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 四王寺山、まずは大宰府駅から出発。
 天気予報では終日雨とのことであったが、やはり小雨が降っている。とりあえずは雨具を装着して行ってみよう。

【市街地】

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 坂本八幡宮までは市街地のなかを歩く。
 大宰府目当ての観光客が多いなか、ザックかついで傘もささずに歩く私の姿はけっこう違和感があったと思う。

【大宰府政庁跡】

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 かつては朝廷の出向機関であり、九州全体を管轄する権限を持ち「遠の朝廷」と呼ばれた大宰府も、今ではほとんど何も残っていなくて、ただの更地が広がる。この奥に見える山が四王寺山であるが、大半はガスのなかだ。

【坂本八幡宮】

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 今回の目的の一つである坂本八幡宮。
 新元号令和のおかげで、観光客の多く訪れる地となっていて、近くの駐車場には大型バスが何台も入って来た。当然、参拝の長い行列ができていた。
 この神社、じつは大友旅人を祀っているわけでも、創立に大伴旅人が関与しているわけでもないのだが、1300年も前に、この地で令和の典拠となる梅園の宴が開かれたので、それを偲ぶべく人々が集っているのである。

 さて、ここから登山が始まるのだが、雨は相変わらず降っている。標高100m以上は雲のなかで見晴らしは利きそうにない。雨のずっと降るなか、景色も楽しめない登山はやる気がでない。それで四王寺山の山4つを巡る全周回コースは諦めて、3つを巡る短縮コースにした。

【岩屋城跡】

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 最初のピークは岩屋城跡。戦国時代の大友氏と薩摩氏の壮絶な戦いで知られている。そういう重要な戦いの場になるだけあって、大宰府を見渡す交通の要所に位置する山なのだが、あいにくの天気で、大宰府の地はぼんやりとしか見えない。

【大原山】

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 親水公園を経由して、大原山へ。今回ではここが一番高い所で、標高354mである。四王寺山は最高が410mの低い山なので、雨が降っていてもたいしたことない山だろうと思っていたが、雲のなかに入ると、風は強くなるし、雨は横殴りに降ってくるしで、寒いわ痛いわで、けっこうひどい目にあってしまった。やはり山というものは、天気次第で容易に牙をむく。なめてはいけません。なめたつもりはなかったんだけど。

【一番札所】

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 四王寺山は名前の通り、宗教的な山でもあり、三十三ヶ所の札所があり、それぞれに石仏が祀られている。
 ここは一番札所であるが、滝のそばで、神秘的趣のある地であった。

【大宰府天満宮】

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 下山して、大宰府最大の名所である天満宮にお参り。
 ここも大行列であった。元々、受験の神様ということで参拝客の多い神社であったけど、令和効果でさらに人が増したようだ。
 しかし、令和効果で四王寺山も登山客が増えそうなものだが、本日はあいにくの天気のせいか、他に登山者は誰も見ることはなかった。

【二日市温泉】

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 登山後は近くの二日市温泉へ。二日市温泉は古い歴史を持つ温泉であり、万葉集にこの地を詠んだ大友旅人の和歌が残っている。
 そして、四王寺山で寒い目にあった私にとって、ここの微かに硫黄漂う、保温力のある温泉は、極上ものの気持ちよさであった。

 

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June 08, 2019

多摩川ランニング & てんぷら近藤@銀座

 金曜、「かわむら」で遅い夕食を食べたのち、土曜日の朝を迎える。
 ひさしぶりに肉をたらふく食べたので、やはり胃がもたれていて、どうにもすっきりしない。そして本日の夕方には、有名な天麩羅店「てんぷら近藤」に予約を入れていた。
 これはなにか運動しないと、夕食が入らない、ということで軽くランニングをすることにした。
 東京も梅雨は突入していたが、予報では曇り時々雨とのことで、ランニングには支障はないようである。そしてランニングに適したところをネットで検索すると、多摩川沿いの10kmを走るコースが信号もほとんどなく道も変化に富んでいて面白そうなので、行ってみることにした。

【矢口渡駅】

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 東京とは交通の便利のよいところであり、たいていの所は電車を乗り継いで行けば到着できる。
 多摩川ランニングのスタート&ゴールは、この矢口渡駅である。

【多摩川】

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 多摩川のコースは河川敷や土手を走ることが出来る。土手のほうが眺めが良いので、おもに土手を走ってみた。

【川崎市】

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 多摩川の向うは川崎市である。高層ビルディングが立ち並び、けっこうな都会だ。川崎市、行ったことはないけど、たいしたものであったのだ。

【多摩川大橋】

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 丸子橋で折り返して、そして多摩川大橋を渡って駅まで戻った。合計で約13kmのランニングであった。気温は高めだったけど、川沿いにはいい風が吹いていて、快適に走ることができた。

 

【てんぷら近藤】

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 走ったおかげでいい塩梅に腹もすき、夕方「てんぷら近藤」へ。
 この店は、野菜の天麩羅で有名であり、たしかにどれもいい素材を使って、その甘味旨味を高めるよう揚げていて、なるほどこれはたしかに評判になるわけだと思った。上の天麩羅は「甘甘娘」という、それだけでたいへん甘いトウモロコシを、天麩羅にすることによりさらに甘みを増している。
 そして近藤の名物は下の写真の「さつま芋の天麩羅」。さつま芋の甘さを生かす料理法といえば、まずは石焼き芋であるが、天麩羅でもそれができるはずとの考えで、手間暇かけて揚げ物にしあげたもの。たしかに甘みたっぷりであるが、それならべつに石焼き芋でもいいのでは、と思わぬこともない。

 てんぷら近藤は広い店で、カウンターに20人以上の客が並んでいるけど、高齢の店主は一手に揚げるのを引き受け、お弟子さんたちの指揮も行い、店全体を〆ている。まさに職人芸の極みであり、その姿を見ているだけでも、こちらの気も引き締まってきた。

 

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June 07, 2019

かわむら ステーキ店@銀座

【かわむら】

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 銀座に「かわむら」という有名なステーキ店があり、そこは日本で一番美味しいステーキを出すが、値段もそれ相当にとても高い、ということでも知られている。
 私はステーキにはさして興味はないので、そういう店があるんだなあ、程度の知識しか持ってなかったけど、ときおりSNSに載っている同店のコンソメスープの写真はとても美しく、そしてその味も「ステーキレベルにとても美味しい」との評判であり、一度は飲んでみたいものだと思うようになった。
 というわけで、「かわむら」常連氏の定期的な参加者募集の連絡時に手を挙げて、銀座まで行ってみることにしてみた。

 この店は8名のカウンター席を2~3回転で回す形式で、はっきりした時間開始は決まってなく、先の客がはけたのち、代表者に電話連絡が来るようになっている。それでとりあえず、店の前あたりでうろうろしていると、今回の参加者5名が集うことになった。5名のうち、私を含め3名が初参加である。うち一名が「食べログ見ると、最近この店10万越えは当たり前みたいなこと書いていてこわいんですが」と言うと、常連氏は「え、そうなんですか。いつもはコース一通りで5万くらいです。でも今回は〆の料理にスペシャルメニューを追加しているのでけっこういくかも」とか、やっぱりこわいことを答えている。

 と雑談をしているうち、前の客の食事が終わったので、我々がぞろぞろと入って行った。
 この店はステーキ店なので、メインは当然ステーキであり、好みの重量を聞かれる。男性は150g、女性は100gということでまとまり、肉が客の見えるところで焼かれる。そのステーキが焼き上がるまでに、前菜、スープ、サラダが出て来る、というのが通常の流れだそうだ。

【コンソメスープ】

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 タルタルステーキの前菜が出たのち、これがお目当てのコンソメスープ。
 とにかく美しい。澄み切った、淡い黄金色のスープ。
 これが前に出されたときから尋常でない豊かな香りが漂うが、それを口に入れれば、いっさいの雑味のない、肉の旨さのみを抽出したような、エレガントにして豊潤な味が口いっぱいに広がる。
 絶品としかいいようのない、本物のコンソメスープ。これつくるための手間暇考えると、自分って今とんでもない贅沢しているんだなあ、と思ってしまう。

【野菜サラダ】

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 野菜サラダはどれも新鮮でシャキっとしたもの。
 まあ、普通に美味しい。

【ステーキ】

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 ステーキはずっと焼いているところが見られるが、べつだん何かの名人芸があるようにも見えず、たーだ普通に焼いているように見えていた。そしてサラダが終わると、メインのステーキ登場。
 これが実に見事な焼き方。外はカリッと焼かれているけど、中は均等に火がゆるく通っていて、旨味が見事に閉じ込められている、極上のミディアムレア。肉の食感と温度感は官能的といってよい滑らかさで、その焼き方は食べてみると、まさに名人芸。
 そして肝心の肉そのものは当然超一級のものなので、この焼き方により、まさに最高のステーキとなる。世評の高いのもよく分かる。
 ………よくは分かったけど、ステーキって一枚が均質な料理なので、一切れ目で感動、二切れ食って感動確認、三切れ目でこれも同じ味だな、とここで既に飽きてしまい、半分くらい食べたとことでどうでもよくなってしまった。ステーキって、寿司で例えると中トロ握りを10貫くらい連続で食べさせるようなものなので、料理としてはいろいろ無理があると個人的には思う。
 この店は余ったステーキ肉はサンドイッチにして持ち帰りできるサービスがあるとのことなのでそれにしようかとも思ったけど、周りの者をみると、憑かれたように一心不乱に食べていて、あっという間に平らげてしまったので、こっちも頑張らないといけない気になり、あわてて食べるのを再開し、なんとか完食。疲れた。

【カツカレー】

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 メインのステーキのあとは〆の食事となる。通常は、牛丼、カレー、炒飯等から選ぶようになっているそうだが、そういうのばかり食べていた常連氏に対して、店主が「じつはカツカレーが自慢の品なのです」と言ったそうで、常連氏は今回はスペシャルメニューとしてカツカレーを頼んだそうだ。
 それで出て来たカツカレー。
 カツカレーって、カツとカレーというどちらも御飯の供として主役を張れる食材をごっちゃにしているカオスな料理であり、少々の下品さが必要とは思うのだけど、この店のカツカレーはそういうものとは違っていた。超一級のヒレ肉を使ったビーフカツ、それはそのまま食べてとても美味いのであるが、その美味さを邪魔しないよう控えめのスパイシーさと辛さをもった上品なカレーを添えた、ビーフカツ主役のカツカレーであって、正当的(?)カツカレーからすると少々邪道ではあるが、しかしこれはこれでなかなかいけるのであった。

 

 前菜、ステーキ、カツカレーと、三品肉料理を食べたことになるが、とにかくその肉の質の良さ、そして調理技術の高さに感心した。さすが日本一と称されるステーキ店である。肉料理、ステーキが好きな人にとっては、聖地的存在になるのもじゅうぶん納得である。

 

 料理とともに、この店で有名な会計は、さてどうであったろうということになるが、この店で出す肉のレベルと、銀座の一等地という条件からすると、いたって常識的、というよりかえってお得系、リーゾナブルな値段であった。まあ、だからこそ予約の取れない超人気店になっているんだろうな。
 ところで、今回のスペシャルメニューのカツカレー、これは一皿1万5千円であった。肉の原価からすると、そういうところでしょうねとしか言いようもないのであるが、それでも「カツカレー」としては規格外の値段である。カツカレーに詳しい常連氏も、「人生で最高額のカツカレーであった」と言っていたので、ここはさすが「かわむら」とは言えるかもしれない。

 そういうわけで、いろいろと話のネタになった「かわむら」初訪問であった。美味しいし、楽しいし、名店であるとは思うけど、まあ一回経験すればもういいか。

 

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June 01, 2019

壁湯洞窟温泉 福元屋@九重九湯

【福元屋】

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 登山でミヤマキリシマを堪能したあとは、九重の麓にある温泉旅館「福元屋」へ。
 この宿、洞窟を穿った川沿いの露天風呂で全国的に有名な宿である。「日本秘湯を守る会」にも選定されており、たしかに川に臨む一軒宿の姿は秘湯の雰囲気たっぷりだ。

【福元屋】

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 福元屋は老舗旅館で、元々は明治まで遡る歴史を持つ。その時代の建物を改修、改築しながら維持しており、全体はけっこう複雑な形になっている。

【部屋】

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 部屋は町田川に面しており、今の時期は、夜になると涼やかな蛙の鳴き声をバックグラウンドミュージックに、蛍が飛び交う姿を見ることができた。

【露天風呂@「じゃらん」より】

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 福元屋自慢の「天然洞窟温泉」。
 およそ300年ほど前に川に沿って狩りをしていた猟師が、岩壁から温泉が湧出していることに気付いて、そこへの道を開拓して温泉を開いた、という云われを持つ温泉。
 その後、温泉の湧いているところに洞窟を彫り、立派な湯船となっている。当然、湯は足元からどんどんと上がってきて、それが豪快に川に流れて行く、本当の源泉掛け流しの湯。その風情と、湯そのものだけでも極上級の温泉であるけど、初夏の時期には目の前の川に蛍が明滅しながら飛び、その光のショーを湯につかりながら見ることができる。私もそれを楽しむことができた。

【夕食】

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 コンニャク刺身、馬刺し、筍白和え、山菜茶碗蒸し、鳥と豆腐の牛蒡煮、蕎麦がき餡かけ、豊後牛溶岩焼、鮎の塩焼き、山菜天麩羅、等々の地元でとれた素材を家庭料理風に調理した、素朴ながらそれぞれ特徴ある、「福元屋」の料理となっている。
 温泉とともにこの料理のファンになって常連になっている客も多いとの話もうなずける美味しさである。

【朝食】

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 朝食も夕食同様に地元の食材を用いた素朴なもの。
 どれも良いけど、特筆すべきは毎日精米して炊いている米の美味しさ。米には特にこだわりある宿というだけあって、いくらでもお代りしたくる絶品の御飯であった。

 

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ミヤマキリシマ本番:立中山~北大船~平治岳

 6月といえばミヤマキリシマの季節。
 先週の偵察登山で、6月最初の週末は立中山と平治岳が見頃であると当たりを付けていたので、本番の本日はその二つの峰を訪れる計画とする。となると、長者原登山口から坊がつるを経て、鉾立峠から立中山、そこから段原に登り、北大船の稜線経由で平治岳に登り返して長者原に戻る、というコースが考えられる。長者原から立中山までは7kmほどのだらだらした高低差の少ない道を行くことになり、あんまり気が乗らないけど、この時期限定のミヤマキリシマ特別コースということで無理に納得し、出発。

【坊がつる】

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 明日が山開きなので、法華院のテン場は満室状態。
 奥に平治岳が見えるけど、大戸越から山頂にかけてはいい染まり具合である。

【鉾立峠】

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 九重の交通の要所鉾立峠。くたみ別れ側からは時々来るけど、長者原からは初めて来た。

【立中山】

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 鉾立峠から立中山へ。
 ミヤマキリシマはほぼ満開。ピンクに染まったバンドが山頂まで続いている。

【立中山山頂】

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 ミヤマキリシマの名所、立中山山頂。ピンクと紫紅色に染まって、夢幻的な光景。

【段原】

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 新避難小屋建設中の段原。
 北大船方向の稜線も、そろそろミヤマキリシマが咲き始めている。

【北大船稜線】

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 旬の時期は、ピンク色の道になる北大船の稜線も、今はまだ緑とピンクの斑な道。
 あと一週間後くらいが見頃のようである。

【平治岳南斜面】

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 北大船稜線の端まで来ると、平治岳の南斜面が見える。
 ここはほぼ満開のようで、見事にピンクに染まっている。まるで山頂の窪みにたまったピンクの色が、大きな滝となっていっせいに流れ落ちているような、ここでしか見られない豪華な花の饗宴を見ることが出来る。

【大戸越】

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 大戸越にいったん下り、それからこのピンクの斜面を登って行く。

【平治岳南峰】

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 今の時期、いつもは人で大混雑の平治岳だけど、今回は来た時間が遅かったので、珍しく人の少ない平治岳となっていた。
南峰まで来ると、九重を代表する絶景が待っていた。
 山麓を染め上げるミヤマキリシマ、その奥に三俣山と坊がつる。
 岩に立つ人の姿がいい点景となって、この時期にしか存在しない、自然の美を哀しいまでに引き立てている。

 この絶景で、今回のミヤマキリシマ巡りは終了。
 立中山から平治岳に到るこのルートは、本日のコンディションでは最良のミヤマキリシマルートだったであろう。終わってみれば、我ながら会心の山行であった。

【坊がつる】

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 坊がつるに下山すると、色とりどりのテントの花が咲き誇っている。
 明日は久住山での山開きで、本日は最も坊がつるが人で混雑する日であり、夜はさぞ賑やかな宴が繰り広げられることだろう。

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