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May 11, 2019

お好み焼き慈恩弘国@京都市 

 京都市東寺の近くに、「慈恩弘国」というお好み焼店がある。
 この店、愛読している奇食の館というブログで10年ほど前に見つけ気になっていたのだけど、なかなか訪れる機会がなく過ぎていた。今回京都滞在の際、夜の食事はどこに行くとも決めていなかったので、この店にしてみた。

【慈恩弘国】

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 店の名前は、弘法大師ゆかりの東寺のすぐ近くにあることから付けられたと、建て前上はなってはいるが、暖簾の紋章を見てわかるように、ガンダムのジオン公国のパロディである。
 店の設定としては、敗れてなくなったはずのジオン公国が、じつは地球の京都に残党が逃れていて、細々とお好み焼きを売って国費を稼ぎながら、ジオン再興の日を企てている、ということらしい。関東の下町の安アパートの一室に事務所を構え、地球征服を企んでいるメトロン星人なみに、スケールが大きいのか、あるいは小さいのかよく分からん話ではあるが、そういうわけで、この店はじつは一独立国なのであり、だから店に入る行為は入店ではなく、入国となる。でもパスポートはいらない。

【店主】

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 入国すると、ジオンの軍服を着た店主がお迎え。
 いちおうランバラル大尉ということになっている。
 大尉は当然軍人が本職のため、お好み焼きを焼くのはじつは苦手だそうだ。

【メニュー】

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 お好み焼きは、メニュー見てわかるように、ザク焼、ドム焼、グフ焼等、アニメにちなんだ命名で、そのキャラクターに似せたお好み焼きが出てくる。
 スタンダードメニューはザク焼のようなので、それを頼んでみた。ついでにビールも頼んだけど、その名も「ギレン・ザ・ビール」であった。

【ザク焼】

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 というわけで、これがザク焼。なるほどザクの特徴であるモノアイが目立っている。そしてザクのイメージカラーである緑色のレタスが載っている。このザク焼にはもう一つ仕掛けがあり、このレタスをヘラで切るときに、「ザクっ」と音を立てるから、それもザク焼の所以だそうだ。

 このザク焼をアテにギレン・ザ・ビールを飲みながら、店主といろいろ歓談。
 雑談の内容は、もっぱらガンダムの話になるのであるが、この店は店主のキャラもぶっ飛んでいるけど、客も相当なもので、日本のみならず全世界からガンオタが訪ねて来るそうだ。まあ、ガンダムはワールドワイドな日本の文化コンテンツであるからして世界に名前が轟いているのは当たり前として、このようなマイナーな店がまた世界に知られている、というのもネット社会の面白いところだと思う。

 ところで、この国のお好み焼き、食べログの評価を見ると、ずらずらとひどいことが書かれており、それをあとで読んでみて、まったくその通りと私はけらけらと笑ってしまったのであるが、ただここのコンセプトはあくまでも第一はガンダムリスペクトであり、お好み焼きについてはそのついでのネタみたいなものなので、味うんぬんを言うのは野暮だとは思う。慈恩弘国がお好み焼きを国家収入の糧として考えたのは何故かというと、それには土地的な理由がある。

 慈恩弘国は京都駅周辺に位置するけど、この地はじつはお好み焼の名所みたいなところで、多くのお好み焼店が存在している。それはここらが以前九条葱の産地であり、今もそれを取り扱う店が多く、その九条葱はお好み焼きにとても合うので、それゆえ昔からお好み焼き屋が多かったそうだ。
 そして店主は長年京都に住みたがっていたが、予算の折り合いのつく、東寺近くのこの家を購入することができた。その家は、この地に多いお好み焼き店だったので、商売を始める際、そのまま営業するのが最も手っ取り早く、実際にその家をなんら改造することなく、お好み焼き店としてスタートすることとなったそうだ。
 だから、その購入した家がもしラーメン店だったら、慈恩弘国はラーメン店だったわけで、ザクラーメン、ドムラーメンなりがメニューに並んでいたであろう。

 慈恩弘国は店を構えて14年になるそうだ。ま、建国14年だな。慈恩弘国は、お好み焼き屋の激戦区で、14年間勝ち抜いてきたのである。当初は店主自身が、こういう一発芸みたいな店は早々に潰れると思っていたのだけど、ガンダムのファンが日本全国のみならず、世界各国からも訪れて来るので、ずっと現役でやってこれた、と感慨深く話していた。まったく、浜の真砂は尽きるとも、世にガンオタの種は尽きまじ、というわけですな。
 こういう店は、お好み焼そのものに対してのリピーターはたぶん居ないだろうけど、only one的な魅力を持っているので、これからもずっとこの地に在り続けるであろう。

【任命証】

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 慈恩弘国では、店を出るとき、もとい出国の際にポイント・カードとして、この名刺大の任命証が貰える。
 初訪の客は「二等兵」から始まり、来るたびに階級が上がって行くそうだ。「それでは、元帥目指して頑張ります」といちおう私は答えておいたけど、まあ、一回行ったからもういいか。

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 慈恩弘国 ホームページ

 

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