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April 07, 2019

桜とSL @ある春の風景

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 国道219号線沿いに車を走らせて、球磨川沿い、堤防に良く植えられている桜を観賞。その途中、球磨村の丘がピンクに染まっていたので、立ち寄って行った。そこは桜の名所、球磨村総合運動公園で、今が桜の旬であった。
 丘の上に着き、桜の花びらが舞うなか、花盛りの公園を見ていると、近くの駅から大きな汽笛が鳴り響いて来た。それは紛うことなき、蒸気機関車の汽笛なのだが、そうか、肥薩線にはまだSLが走っていたのだと思い出した。

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 蒸気機関車は半世紀以上前に新規製造は終えていて、歴史の遺物的存在であるが、一部に熱狂的なファンがいることもあり、僅かな数が、現役として走っている。
 私のような中年にとっては、子供のころ蒸気機関車は普通に走っていて、それはうるさく、ガタガタ揺れ、煙をしょっちゅう吐くので窓も開けるのも困難な、デメリットだらけの交通機関というイメージであり、蒸気機関車に対してはなんら思い入れはなく、それらが次々に運行を停止していくのを、時代の必然と思っていた。
 ただ熊本では、SLはずっと前より阿蘇から熊本駅経由で人吉まで走っていた。SLはなにしろ馬鹿でかい汽笛を放つので、学生時代熊本にいた私は、線路に近いところに住んでいたわけでもないのに、ときおり響くSLの汽笛の音で、時刻に気付いていた。
 それで私にとって、熊本のSL-当時は「あそボーイ」と呼ばれていたーは、「音はすれども姿は見えず」という存在であり、姿を見たことがなかった。
 そのSLはいったん運行を終了したのであるが、その後修理を受けて現役復活。30年以上も前に走っていたものが、いまだにちゃんと動くのだから、蒸気機関車って頑強だなあと感心してしまう。まあ、産業革命時代に原理が作られたものだから、構造が単純で、メンテをしやすいのだろうけど。

 その音だけしか知らなかったSLが、30数年の時を経て、同じ音を立てて、走って来る。私は丘の上で、音のする方向を見つめていた。
 やがてSLは建物のかげから姿を現し、そして活発に黒煙を立てながら、桜の林のなかに入って行き、姿を消した。たなびく膨大な黒煙のみ残して。
 わずか数秒の光景だったけど、学生時代のことを思い出しつつ、私はいろいろと感慨にふけるのであった。

 

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