広東料理:龍景軒@香港中環
広東料理に関して、香港随一の格を誇る「龍景軒」。
毎年の香港ツアーで必ず一度は寄ることになっている、中華料理ツアー本命の名店である。
香港在住のメンバーがこの店の常連客(一時期は毎日通っていたという)であり、龍景軒の旬の味にとても詳しいので、その人にメニューを考えてもらい、お勧めのコースを組んでもらった。今回は15名という人数だったので、いつもの個室は使えず、二つのテーブルを使っての宴。
昼の料理なので、まずは点心シリーズ。
ぷりぷりの食感の蝦蒸し餃子、焼豚腸粉と小籠包は普通の店のものと違ってとても上品な味。そしていかにもこの店らしい高級感漂う黒トリュフと蟹肉の春巻。
これは特別注文の子豚の丸焼き。あらかじめ予約しておかないと出てこない。
丸焼きと言っても全部の部分を食べるのではなく、パリッと焼いた皮のところを脂と一緒に食べる、北京ダック方式。初めて経験する料理だったけど、食感、香り、脂の旨み、見事なものであった。
肉料理は子鳩のクリスピー焼と蛙のジンジャーソース炒め。
とにかく素材が良く、それを引きたせる調理もまた素晴らしい。
これは松茸と茸のスープ。松茸も中華料理に使うのだけど、日本の使い方とは違って松茸は香りを支配していず、いろいろな茸の香りと合わさって、複雑な香りの料理となっていて面白い。
豆苗、ピータン、塩玉子の上湯煮。いろいろと個性の強い具の入った上湯煮。もとの上湯が優雅な味で、それでこれらの具材の味もまたうまく引き出されている。
茸と筍のチキンスープ。
このスープは常連氏一のお勧めで、たしかに鶏の出汁が尋常でなく濃厚で美味。
海鮮を使った料理は、ホタテの卵白茶碗蒸し紹興酒ソースとエビのニンニクと豆豉チリ炒め。この店の特徴である、「極上の素材と、極上の調理」を徹底的に味わえる。
〆はいつもは麺か炒飯だけど、龍景軒にボージャイファンが出せるということなので、どんなものか興味をもった一行によるリクエストにて、それを予約注文。
この牛肉炒めのボージャイファン、じつに繊細で上品な料理であるが、それゆえワイルドな火の料理のはずのボージャイファンの特徴はまったく出ていず、この料理のみ皆の不評を買っていた。まあ、龍景軒らしい料理であることは事実であった。
デザートは定番でありこの店のスペシャリテであるマンゴーサゴクリームに、杏仁ミルク。じつに美味。
それにしても、こうやって改めて並べてみると、けっこうな数の料理を食べたものである。そして、これは昼食なのに3時間半かけて食べたため、可能であった。
中華料理は、香港の店ではさっさと出て来て、さっさと食べることが多いけど、この店はさすがに別の時間が流れており、他の客達も同じように、優雅にして緩やかな時間を過ごしていた。
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