雪の寂地山@中国山地
中国山地遠征の二日目は、山口県最高峰の寂地山。この山に雪が積もっていなかったら、この界隈の山はどこにも雪は積もっていないであろう、という山である。
登山口めざして国道187号線を走っていると、はじめのうちは全く雪を見なかったが、高度が増すにつれようやく雪が見えて来た。
県道434号線に入って、標高776mの松の木峠を越えたところで、立ち往生している車がある。狭い道なので、通せんぼして、私の車が進めない。これは九州方面から遠征してきた車の一団の一台で、暖冬に油断して、みなノーマルタイヤで来たそう。
急カーブの凍結斜面で止まられては、こちらが牽引して助けるわけにもいかず、彼らが懸命に播いた融雪剤の効果を待って、ようやく車が動いたところで、向うに進めた。
雪道は、なにが起こるか分からないから、時間には余裕を持って行動すべきと改めて思った。
寂地峡キャンプ場が登山口。
寂地峡ルートでまず登山を開始。入り口には、名所「五竜の滝」。この滝は巨大な岩から垂直に落ちて来る滝で、登山道はそれに沿っており、最初は階段を使っての急勾配を登ることになる。
五竜の滝横の登山道を登りきると、長いトンネルがある。高さ160cmのところが途中にあるので、気をつけるようにと標識があった。
暗いなか歩くうち、天井が低くなったところがあったので、そこをかがんで通り抜け、あとは安心して歩いていたところ、いきなり頭を岩にぶつけ、まさに目から火が出た。低いところは複数個所あったのだ。まったく油断大敵とはこのことである。
初期段階のアクシデントから気をとりなおし、歩を進めていくうち、道も白くなってきた。
寂地峡ルートはトンネルを越えてからは、沢沿いのゆるやかな道をえんえんと歩く。
葉を落とした樹々から青空が見え、白い世界を照らし、美しい世界が広がる。
立派な木橋を越えたところが、寂地山への稜線への取りつきとなり、これからはぐんぐんと高度を稼いでいく。
道は稜線へと出る。
ここから北側の斜面の樹々は霧氷を纏っていた。
稜線上は、標高1200m近くあるので雪の量は多い。昨夜はそれほど雪は降っていなかったらしく、新雪は10cmくらいで、その下の雪は固めであった。
稜線上を黙々とラッセルしていくうち、私と逆方向から来たパーティと出会った。
登山口から、ミノコシ峠の次の小ピークまでは、誰の踏み跡もない雪山であった。登山道が埋もれた白い雪原を、自分の感覚で道をつくっていくラッセルは、雪山登山の醍醐味である。
しかし、人間は誰しも楽をしたがる存在であり、このパーティが視界に入ったとき、私は「あ、これでもうラッセルしなくて済む」とつい思ってしまった。
ラッセル、きついっす。
小ピークから先は、多人数によって踏み固められたトレースを有難く使わせてもらい進んでいく。
そして寂地山山頂。
霧氷をまとったブナ林が美しい。
しかし展望は利かなかった。
下山は寂地林道コースにて。
山の斜面には雪はたっぷりであった。
このコースは、長い林道を歩かねばならない、少々退屈なコースである。
林道からはいったん沢沿いの遊歩道に下り、それからいくつかの滝を見る。
照葉樹の多いところであり、新緑や紅葉のシーズンはさぞかし美しくなるものと思われた。
遊歩道からはまた林道にもどり、それから元の登山口に到着。
昨年はこの時期、寂地山の隣にある冠山に登り雪の多さに感嘆したけど、今年は暖冬のせいで、さほど雪は積もっていなかった。
この連休、「史上最強の寒波」のせいで、東日本はたいへんな日々だったようだが、西日本は比較的平穏であり、それは良いことではあるんだろうけど、わざわざ遠征してきた私には少々拍子抜けの日々であった。
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