« 自然のパラボラアンテナ@岩宇土山の福寿草 | Main | 早春の行縢山 南面崖下コース »

February 23, 2019

映画:エリック・クラプトンー12小節の人生ー

Ericclaptonlifein12

 エリック・クラプトンについては、「ギター演奏に革命をもたらした天才で、マニアからはギターの神とも称されていた。しかし曲作りはイマイチで、「レイラ」の一発屋と長くみなされていたが、40代後半になって突如傑作「アンプラグド」を発表し、これが全世界で大ヒットして一般人からも広く受けいれられるようになったミュージシャン」というふうぐらいに私は認識していた。
 「アンプラグド」はそのなかの曲が職場の演奏会で選ばれ、私はベースを担当したこともあって、たいへん気に入り、そして他のアルバムを聞いてはみたが、「アンプラグドみたいな曲のほうがいいよなあ」との感想でどれも終わっていた。

 今回、エリック・クラプトンの伝記映画が上映され、「アンプラグド」のライブ場面が見たい程度の興味で観てみた。
 これが、「アンプラグド」以外にもなかなか面白かった。それと私が「アンプラグド」以外の曲に違和感を持っていた理由も分かった。―「アンプラグド」は特殊だったのだ。


 音楽映画では、昨年ボヘミアンラプソディが大ヒットして、じっさい名作だったと思うが、そこでは敢えてフレディ・マーキュリーの異常性については曖昧な表現をおこなっていた。
 しかしこの映画では、エリック・クラプトンは露悪的なまでに、赤裸々に自分の人生を語っている。なにか、もう遺言のようにも感じさせるまでの迫力をもって。

 エリック・クラプトンは若い時に音楽、なかんづくソウルの魅力にとりつかれ、尋常ならざる努力を積み重ね、当代一の技術、表現力を見につけ、聴衆のみならず、プロのミュージシャンからも称賛される存在になっていた。
 しかし私生活は出鱈目であり、酒と麻薬に溺れ、女性関係も荒れ放題で、親友の妻に横恋慕して奪いとり、しかしすぐに他の若い女に目を移し、また乗り換えて行く。アルコール中毒がひどくなると一時期音楽活動を休止していたが、それが治らぬままにコンサート活動を再開し(生活のため?)、酔いどれの状態で演奏をして、観衆から「お前は過去の栄光だけで仕事をしている」と詰られ喧嘩になる。
 そういう具合に映画はここまで描くか、というぐらいにエリック・クラプトンの荒廃した姿を見せているが、やがて彼に子供が生まれ、彼は子供が自分の人生の全てだと思うくらいに溺愛し、酒と麻薬の日々から脱出する。
 しかし残酷なことにその子供、コナー少年は4才にして事故死してしまう。エリック・クラプトンの落込みは悲愴なものであり、周囲の者たちは、彼はまた酒・麻薬に溺れ、廃人になるだろうと思っていた。

 けれどもエリック・クラプトンは、この悲劇のどん底から立直るには、音楽しかないと決意し、自分の魂を、そして幼くして亡くなった子供の魂を救うために、一心不乱に曲を書ことにのめり込む。その結果出来あがったのが、「アンプラグド」の曲々であり、だからこそあれらの曲には今までの彼になかった、真摯な祈りが込められていて、それが人の心を強く揺さぶったのであろう。

 映画では、この「アンプラグド」作成が、頂点であり、終点みたいなことになっていたが、あれから30年近く経っていて、エリック・クラプトンがそれからも酒や麻薬に溺れることなく演奏活動を続けていること、これもまた同様にたいしたことだと思う。


 ついでながら、この映画の売りとして、ミュージシャンたちの貴重な映像が数多くあるということであったが、たしかに大物たちのライブの映像はどれも興味深いものであり、これらを観るだけでもこの映画を観る価値はあると思う。
 そのなかで、ソウルミュージシャンが集うスタジオで、エリック・クラプトンが彼らに混じってセッションを行う映像があったけど、「ボーカルのアレサ・フランクリンは、白人のエリック・クラプトンにソウルが演奏できるのという疑いをもっていたが、いざ演奏を始めるとその演奏を信用した」というふうなシーンがあった。
 しかし、そこで歌が始まると、声量といい表現力といい彼女の歌はとんでもなく素晴らしく、他を圧している。ギターなんて、どうでいいという感じ。ソウルの女王、アレサ・フランクリンの歌を聞くと、圧倒的な才能ってのは、こういうのを言うんだな、と思い知った。それもまたこの映画で得ることのできた知識。

 ……………………………

 エリック・クラプトンー12小節の人生ー

|

« 自然のパラボラアンテナ@岩宇土山の福寿草 | Main | 早春の行縢山 南面崖下コース »

映画」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 映画:エリック・クラプトンー12小節の人生ー:

« 自然のパラボラアンテナ@岩宇土山の福寿草 | Main | 早春の行縢山 南面崖下コース »