紅葉登山:藤河内渓谷~観音滝~木山内岳
11月第二週末、九州では1000mを越える高さのところではもう紅葉の時期は過ぎているので、それより低いところの紅葉を訪ねてみよう。
大崩山系では藤河内渓谷から観音滝が紅葉の名所であり、そこにしてみた。
宮崎と大分の県境近く、桑原川が巨大な花崗岩を抉って流れる名勝、藤河内渓谷。
このあたりは標高600m程度なので、紅葉はまだ始まったくらい。
観音滝登山口から登山道に入る。
すぐ目につくのが、巨大な花崗岩のスラブ。そこに秋の黄色い葉が、いい彩りを添えている。
標高をあげていくうち、深紅に染まったカエデの樹もちらほらと現れて来た。
本日は天気が良く、陽光に紅の葉がきらめいている。
藤河内渓谷は白くツルツルした花崗岩を川床としており、ときおり川に下りて、その特色ある自然の造形美を楽しむ。
標高900mくらいのところにある観音滝。
巨大な屏風のような一枚花崗岩を背景に流れる滝で、水の量が多いときは壮観なのだが、今回は水量が少なく、壁を潤す程度の流れかたで迫力なし。
昨夜、県北にまとまった雨が降ったため、期待していたのだけど、この山域にはあまり降らなかったのか。
観音滝から道は急傾斜になり、標高を稼いでいく。
今年の台風の影響か道は相当に荒れていて、歩きにくくなっていた。
足元を注意しつつ、ピークを迎えた紅葉を楽しむ。
木山内岳の稜線に出るまでは、ずっと沢筋を歩くので道に迷うことはないが、喜平越の手前のところで道が完全に崩壊していたので、尾根筋に乗り上げて稜線に出た。
稜線に出ると植生がブナ林となり、ガラリと変わる。
しかし以前は下にうっそうと茂っていたスズタケは枯れ果てていて、ずいぶんとすっきりした姿となっていた。
山頂にと到着。標高は1402m。
ここからは目の前に大崩山の岩峰が見えるはずなのだが、本日はPM2.5のせいか空気が靄っており、クリアに見えなかった。
桑原山方面を望む。
以前は木山内岳から桑原山にかけての縦走路は、稜線が灌木とスズタケで覆われ、見通しの利かぬ難路となっていたのだけど、今はスズタケがほとんどなくなり、容易に道をたどれそうである。
祖母傾もそうだったけど、この山系一帯からスズタケが一斉に絶滅しかけており、それで自然林の地面に直接日が差し込むようになっている。樹々へのダメージは相当なものだろうし、実際稜線上の樹々がずらりと並んで白骨化している風景もうよく見るようになってきた。
原因は増加し続ける鹿による食害が第一なのだが、なんとかしないと山の荒廃は進む一方である。
自然の豊かさで、昨年ユネスコのエコパークに登録されたこの地域であるが、それを喜んでいる事態では既になくなっているのが、かなしい。
山頂からは往路をたどって、登山口へと戻る。
夕方近くになり、柔らかになった日の光に照らされる紅葉が、とても情緒があった。
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