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November 2018の記事

November 24, 2018

唐津の紅葉巡り

【唐津城】
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 唐津城といえば、巨大な藤棚で有名だけど、紅葉もなかなかのものである。
 本日は天気もよく、陽光に照らされた紅葉がひときわ美しく映えた。
 城に登ってからの唐津市街の眺めもまたよろしい。海岸に沿っての中洲にある街並み、そして遠くに虹の松原。

 城散策ののちは城下の旅館に一泊して、それから紅葉の本命である、唐津市厳木の「環境芸術の森」へ。
 ここは、佐賀県随一であることは言うに及ばず、九州でも一番のカエデの樹を有する紅葉の名所であって、ちかごろとくに人気が出てきたという。

【環境芸術の森】
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 作礼山の麓にある環境芸術の森に到着。
 紅葉は残念ながらピークを過ぎており、半分ほどは落葉しているとのこと。

【環境芸術の森 紅葉】
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 半分終わっているといっても、樹々の数が多いので、けっこうな数のよく染まった紅葉が残っており、いい景色である。
 そして散った落ち葉も、樹々のあいまに絨毯のように積もり、それもまた美しい。

【風遊山荘】
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 敷地内には、山荘があり、その居間から眺める紅葉の景色が日本画のようだと名高いのだが、残念ながら旬は過ぎていた。
 でも、紅葉の盛りの頃はたしかに素晴らしい景色が広がることは十分想像できた。

 紅葉をたっぷり見物したのちは、次の目的地へ移動。

【我楽房】
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 唐津市厳木のもう一つの名物は、パン屋「我楽房」。
 この店、材料、製法、焼き方、すべてに独自のこだわりをもってパンをつくっており、その味の良さで人気店となっている。
 で、そこへと向かったが、山に入ってからは、人家とてないくねくね道をずっと登って行き、本当にこんなところにパン屋があるのだろうかと不安に思うころ、ようやく標識が出てから、激坂を登り我楽房に到着。

【我楽房 パン】
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 こういうところで、こういう店をやっているからには、店主は相当の風流人だろうと思うけど、現れた店主はやっぱりそういう感じの人物であった。
 パンは数種類あるけど、どれも特大サイズであり、いろいろ試すというわけにはいかなそう。
 選んでみた「幡随院長兵衛」なるパンは、この店の名物らしい、塩味ゴマ風味のパン。
 食べてみれば、素朴ながら、小麦粉本来の旨さ、甘さが口のなかに広がる、とても美味しいパンであった。人気があるわけだ。

【我楽房】
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 我楽房は、店そのものがアートになっていて、いろいろと工夫がある。
とくに店主手製の超大型スピーカーは、低音が非常によく響き、とても聴きごたえある音を出していた。
 また庭に植えられていた紅葉も美しかった。

 ここでも紅葉を体験でき、唐津の紅葉巡りは充実したものとなった。

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旅館:洋々閣@唐津市

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 唐津の老舗旅館「洋々閣」は、唐津という小さな地方都市にしては、規格外の文化遺産的価値を感じさせる旅館であり、訪れた人は一様におどろくわけであるが、それは唐津が以前には海上貿易の要所として、また背後に有する炭田の積出し港としておおいに栄えた過去を持つことに由来し、その栄えた時代に遊郭として建てられた由緒ある建物だということに依る。
 さらには唐津は先の大戦で空襲の対象にならなかったという幸運もあり、それで洋々閣をはじめとする歴史的建築物が数多く残されている。
 今回唐津を訪れたからには、やはり洋々閣に泊まってみようということで、宿泊。

【部屋】
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 落ち着きある和室からは、洋々閣の自慢の庭が見渡せ、その眺めはたいへん風情がある。

【食事】
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 唐津は海の宝庫玄界灘に面しているゆえ、とても質のよい海産物が豊富に用意できる。それらを使った、海の幸の数々。
 立派な料亭なみの、レベルの高い料理である。
 そして食事処からは、ライトアップされた庭を見ることができ、これも幻想的に美しい。

【庭】
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 翌朝に洋々閣の名園を散歩。
 樹齢200年を超える老松は、全てで100本を超えるという。それは常に専門家によって手を入れられ、日本画のような世界を形成しており、風格ある建物とともに、洋々閣全体としての美術品となっているようだ。

 建物、部屋、庭、料理、全てが高レベルであり、この旅館に泊まるためだけでも唐津を訪れる価値がある、そういう名旅館である。

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岸岳(岸城址)@唐津市

 古湯温泉から唐津に紅葉目当てで移動。
 紅葉ついでに、唐津で面白そうな山を探してみると、岸岳が目についた。
 標高は320mと低山であるが、山の両側が削り落ちたような、三日月状の細い山であって地形が複雑であり、またその険峻な地形を生かしてかつて山城が築かれていたことから、いろいろな遺跡遺構が残っているという特色を持つ。
 登ってみて面白くないわけないので、まずは岸岳に登ることにした。

【岸岳ふれあい館】
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 岸岳登山口になる「岸岳ふれあい館」へと向かう。
 ところが、ナビの設定を間違えて「岸岳ふるさと館」にまず行ってしまい、到着したところ、岸岳がはるか彼方に見えていることにポカンとしてしまった。そこで当然間違いに気付き、「岸岳ふれあい館」にそれから到着。
 ここからだと当然岸岳も近くに見える。
 紅葉も盛りであって美しい。

【法安寺 磨崖仏】
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 ふれあい館からすぐのところにある法安寺。百を超える数をもつ磨崖仏で有名である。
 この寺を経由して登山道は始まるのであるが、……なんと登山道は土砂崩れのために通行止めとなっていた。
 そうなると、ふれあい館~岸岳~姫落とし岩~ふれあい館の周回ルートは使えないことになり、ぐっと登山の興が減じてしまうのだが、稗田登山口からピストンで登ることに予定を変更して、車で移動。

【稗田登山口】
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 稗田登山口は標高174m。標高320mの岸岳に登るには高すぎるけど、しかたない。

【登山道】
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 登山道は自然林のなかの道である。

【旗竿石】
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 登山道はすぐに稜線に達し、そのあとは軽いアップダウンが続く。
 稜線での最初のランドマークは旗竿石。
 旗を立てた穴を穿った石で、ここからは唐津を見渡すことができる。

【岸岳】
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 岸岳の山頂らしきところ。
 山と彫られた石柱があり、三角点かと思ったが違っていた。
 しばし三角点を探すも、見つからず。

【本丸】
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 狭い稜線の続く岸岳であるが、ときおり広く開いた地があり、そこがそれぞれ城跡となっているが、城本体に関しては、徹底的に破壊されたようでどこにも何も残っていない。

【石垣】
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 石垣はところどころ、まだしっかりしたものが残っていて、この急峻な地形に確かに城が造られていたことが分かる。

【姫落とし岩】
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 岸岳稜線は自然林が茂っていて展望は利かないが、岸岳の端にある「姫落とし岩」は、岩が稜線から突き出たような形になっていて、眺めが大変良い。
 この奇妙な名前は、城主一族を滅ぼした豊臣秀吉の攻撃のさい、ここから姫たちが身を投げて自害したという、哀しい伝説に由来する。

 姫落とし岩からは元来た道をたどって帰った。
 そのとき、ハイキング姿のご夫婦に会ったけど、私が宮崎から来ていることを知ると、「それは遠いところから。やっぱり城址マニアのかたですか?」と聞かれた。
 この山、登山よりも、城址としてのほうが人気高いみたい。

 岸岳の城は、城主であった波多氏が滅ぼされたため、新たな藩主が唐津(松浦)に入った。新藩主はこの城を使うことをよしとせず、交通の便のよい平野部に新たな城を築城した。それが唐津城。

 唐津城は紅葉の名所なので、岸岳城址のあとは唐津城に行ってみよう。

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November 23, 2018

のんびり古湯温泉

 佐賀県の山間にある、小さな温泉街、古湯温泉。
 今年夏に泊まったとき、よい雰囲気の温泉地と思ったけど、今年のあまりの猛暑に温泉街を散策することなく宿から退散したので、秋になり、紅葉巡りを兼ね、その続編として訪れてみることにした。

【扇屋】
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 古湯温泉が古い歴史を持つ温泉であるけど、そのなか、やはり古い歴史を持つ創業130年になる老舗旅館の扇屋に宿泊。和歌の巨匠斉藤茂吉が懇意にしていたそうである。

【夕食】
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 扇屋の料理は、鯉料理が有名だそうだが、今は旬ではないので他の郷土料理をメインに。鯉のあらい、モクズガニ、こんにゃく刺身、山女甘露煮等、地元の食材を使った、素朴な、味わいある、料理の数々。
 そして佐賀は日本酒の蔵元の多い地なので、それらを使った利き酒セットもある。

【風呂:公式ページより】
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 古湯温泉は、人肌程度のぬるい湯で知られている。泉質は弱アルカリ性なので、そのぬるさもあいまって、柔らかな肌触りのよい湯だ。

【古湯温泉散策】
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 古湯温泉街は温泉街は石畳の道路沿いに、いくつもの温泉宿が立ち並ぶ、こじんまりしたつくりである。
 すぐ傍を山女が泳ぐような清流である嘉瀬川が流れ、まわりには色づいている雑木林の山が囲み、山間の自然豊かな景色が広がる。
 川で目立つ水車小屋は、現役であって、今も蕎麦粉を挽いているそうだ。

 のどかな雰囲気のなか、やわらかな湯の温泉宿で、のんびりと日を過ごすのは、極上の時間が流れるのを感じとれる。

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紅葉登山:竜門峡ダム~後黒髪山~黒髪山~竜門峡ダム

 11月下旬の紅葉登山、佐賀県の紅葉の名所竜門峡を訪ね、そのついでに佐賀の名山である「黒髪山」も登ってみよう。

【国土地理院地図】
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 黒髪山への登山にあたって、竜門峡ダム登山口からのコースを検討してみる。
 登山口からは、黒髪山へと、後黒髪山方向への2つの登山道が伸びている。
 しかし赤矢印で示す後黒髪山への登山道は途中で破線が切れており、尻切れトンボになっている。この位置で登山道が途切れる理由があるわけはなく、おそらくはこれ以後の記載漏れと思われた。
 ヤマレコで、後黒髪山の登山道を調べると、黒髪山方面からきちんと正規登山道が伸びていることが確認でき、その道もこの地図には載っていないことから、やはりこれが単純な記載漏れとの私の推測を裏付ける。ただし、ヤマレコのいずれの登山記録も、後黒髪山からは元の道に引き返すか、別の道に行っており、竜門峡へそのまま行ったものは一つもなく、それが少々気にはなった。
 なにはともあれ、登りはこの国土地理院に載っている登山道を用いて後黒髪山に登り、それから黒髪山へ行って、元の竜門峡に戻る周回コースを予定した。

【竜門峡ダム駐車場】
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 登山口である竜門峡ダム駐車場から、地形と地図を確認する。
 後黒髪山の西峰が正面に見える。その稜線につながる尾根(赤線)上に、地図では登山道はあるので、この尾根にとりついたら、あとは容易に後黒髪山に辿りつけるであろう。

【登山道?】
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 そしてその尾根を目的として、まずは登山口を探すが、それらしきものがまったく見つからない。
 地図上では登山口は「龍水亭」の横あたりにあるはずなのだが、どこにもそのようなものはなく、しょうがないので、とりあえずは雑木林に入って、目的の尾根を目指すことにした。
 雑木林に入ると、赤テープはすぐに見つかったが、その周囲には登山道らしきものはなく、地図のみをたよりに尾根方向へと向かっていく。

【登山道?】
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 やがて目指す尾根には乗ったものの、やはり登山道は現れてこない。
 とにかく尾根筋を詰めて行くと、ときおり赤テープは現れるのだが、どの赤テープの場所にも、その周囲に道はない。

【登山道】
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 尾根を最短距離の直線方向に登りつめ、傾斜が緩くなると、そこから踏み跡のしっかりした登山道が突然出現した。ただこの道はどうも、右隣りの尾根からの続きのようであり、先ほどまでの登山道(?)とは関係ないもののようであった。

 今までのルートは、赤テープが要所要所にはあったので、登山道として使われていたことは間違いないとは思う。しかし、何らかの理由で使われなくなってしまい、年月がたって踏み跡は消失し、つまりは廃道となったのだろう。
 ヤマレコにこの道が全く載っていなかった理由が、これで判明した。

【後黒髪山】
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 正規登山道に入ってからは、車に例えると、街中の一般道から自動車専用道に入ったようなもので、快適、快調に歩を進めることができる。
 そして後黒髪山に到着。

【登山道】
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 後黒髪山からは稜線沿いに黒髪岩へと行く。
 この山域の登山道はだいたい自然林のなかを行くので展望が利かないが、一ヶ所だけ林の切れているところがあり、そこから黒髪山をようやく見ることができた。

【黒髪山】
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 なだらかな稜線を歩くうち、視界が急に開け、黒髪山を眼前にとらえることができた。
 黒髪山山頂は岩山となっていて、急に今までと雰囲気が変化する。

【登山道】
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 山頂は鎖場を登れば、すぐである。

【山頂・天童岩】
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 黒髪山山頂は、天童岩と名付けられた巨岩からなる。
 黒髪山は、大蛇退治の伝説の残る山であり、その大蛇がこの岩まで来て、身を巻き付けたとの話が今に伝わっている。
 なお、このように巨岩が山頂にある山はけっこう多いが、それは山というものが岩から構成されているからであって、そして山では乗っかっている土や樹木が崩れるときは山頂から崩れるので、そうなったとき、山頂では山の本体である、巨岩が露出する。つまり、この岩は氷山の一角であり、下にずっと続いている。

【山頂から】
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 黒髪山では、竜門峡に加え、東側に見える雄・雌岩と乳待坊公園が紅葉の名所である。残念ながら、時期はまだのようで、紅葉の色は薄い。
 さらにはPM2.5のせいで、空気が靄っているので、あまり眺望もよくなかった。

【登山道】
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 黒髪山からは見返り峠経由で下山。
 自然林と、小さな渓谷、それに樹々の根のからみついた巨岩が、趣ある風景をつくっていた。

【遊歩道】
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 登山道からいったん遊歩道に入る。よく整備された、気持ちのよい道である。

【竜門峡登山口】
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 黒髪山山系を一周して、もとの登山口へ。
 この登山口と、それから竜門峡ダム周囲は、今が紅葉の盛りであって、美しい紅葉を楽しむことができた。

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 ※ 記事に書いているように、竜門峡登山口から後黒髪山までの登山道は、国土地理院の地図には記載されてはいるものの、現在ほぼ廃道状態です。この道を使うなら、地図、コンパスが必須です

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November 18, 2018

紅葉巡り:蘭牟田池外輪山@薩摩川内

 鹿児島の紅葉の名所、蘭牟田池。
 この池は火口湖であり、火口である池をぐるりと外輪山が取り囲んでいる。
 紅葉を愛でながら、その山を歩いてみることにしよう。

【案内図】
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 このように、池を6つの山が囲んでいる。一番高い片城山で標高508mであり、いずれも低山であるが、登山道はそれなりの高低差を持っているので、6つ全て登るとかなりの獲得標高となる。

【飯盛山登山口】
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 ルートは時計周り、反時計周りどちらでもいいのだが、飯盛山はこれのみ独立峰みたいになっているので、最初に片づけておこう。
 飯盛山の登山道は案内図に載っている自然歩道とは異なっており、登山口は知らないと見つけられない。
 上の図の赤印をつけているあたりが登山口であるが、ここへの道はないので、斜面を適当に歩いてたどりつく。

【飯盛山山頂】
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 急傾斜の道を、150mほどの高さを登り、飯盛山山頂に到着。
 飯盛山は蘭牟田富士の別名を持つ、円錐形の美しい山なのだが、この山からは当然見られない。
 向かいに見える山、竜石から、この山を見るのを楽しみにしておこう。

【紅葉】
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 飯盛山~愛宕山にはカエデが植樹されており、光を透かしてみると、万華鏡みたいできれいである。

【登山道】
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 飯盛山を離れると、カエデは少なくなり、登山道は自然林や杉林となる。

【飯盛山風景】
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 外輪山の登山道は林のなかなので展望は利かないが、ときおり林の切れたところがあり、そこから蘭牟田富士と蘭牟田池を望むことができる。
 蘭牟田富士の姿もよいが、それが池に写る逆さ富士もまたいいものである。

【竜石山頂】
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 外輪山で最も展望のよい竜石山頂。
 ここには遠目にも目立つ「竜石」という巨岩があり、蘭牟田富士、蘭牟田池とともに独特の風景を形成している。

【愛宕山山頂】
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 6つの山の終点、愛宕山に到着。
 「愛宕山」という名前の山は、日本中たくさんあるけど、だいたいは京都の愛宕神社と関連あるものである。
 だから山頂にある、この小さな祠は、たぶん愛宕神社。

【蘭牟田池自然公園】
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 外輪山登山を終え、それから紅葉の名所の本丸である蘭牟田池自然公園に寄ってみる。
 カエデの染まり具合は5分といったところだったのに対して、湖畔のメタセコイヤはほぼピークを迎え、美しいたたずまいであった。
 このメタセコイヤの奥に見えるリゾートホテル。設備はまだ新しいけど、まったく人の気配がなかったので不思議に思っていたが、あとで調べると今年の春に廃業になっていたのであった。

【蘭牟田温泉】
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 登山のあとは、温泉ですっきりしよう。
 蘭牟田池の近くにある、蘭牟田温泉「下ノ湯」は、おもに地元の人たちに使われている共同浴場であり、入浴料150円という安さ。
 湯は蛇口から滔々と弱アルカリの柔らかいお湯が流れる、源泉かけ流しの、極上の湯。
 山あり、池あり、花あり、紅葉あり、そして温泉あり。蘭牟田、いいところだなあ。

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November 17, 2018

イタリア料理:ラ ピッコラ ポエズィーア La piccola poesia@鹿児島市

 小林市に、ピエモンテで修業した腕ききのシェフがいて、ジビエのシーズンには近くで獲れたものを使った料理を出し、それがすこぶる美味ということで評判になっていたイタリアンレストランがあり、私は興味をもっていたけど、なかなか小林市を訪れる機会がなく、そのままになっていた。
 今回、鹿児島市に出かける用があり、夕食の店を探したところ、そのレストラン「ラ ピッコラ ポエズィーア」が天文館に移転したことを知り、さっそく訪ねてみることにした。

 地図でみると、中央公園の前なので店の場所は分かりやすそうだが、同じビルにイタリアンレストランがもう一軒あり、それで少々戸惑った。

 料理は、コース料理で。

【アミューズ】
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 秋の野菜、洋梨、チーズを色どり鮮やかに。

【前菜】
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 馬肉のタルタル。チーズフレーク添え。
 ヨーロッパって馬肉は食わないものと思っていたけど、イタリアでは普通に食用にされているそうだ。

【前菜】
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 フォンドゥータ。これはピエモンテの郷土料理で、タルトにチーズを詰めて焼いたもの。外はパリッと、中はトロトロ。じつに見事な食感と豊かな味。

【スープ】
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 野菜と根菜のスープ。丁寧につくられたスープが滋味深い。

【パスタ】
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 タヤリン。卵の黄身を用いた手打ち細麺。
 ピエモンテを代表するパスタである。

【メイン 肉料理】
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 赤身のロースト。それに玉葱詰め物を焼いたもの。

【ドルチェ】
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 モンテビアンコ。
 いわゆるモンブラン(白い山)で、これはそれのオリジナル、あるいはイタリアバージョン。栗のクリームを白いクリームが覆っていて、たしかに白い山に見える。周りのココアの粉は、山の周りの大地を表現しているそうだ。


 どの皿も完成度が高い、本格的なイタリアンであった。
 こういう北イタリアの料理は、日本人の好みと親和性が高いのか、それを出す店はレベルの高い店が多いけれど、この店にその例にもれぬ良い店であった。

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November 11, 2018

紅葉巡り:大岩~白馬渓@臼杵&用作公園@豊後大野

 秋が深くなったので、その時期の恒例のノルマ、「臼杵の河豚」を食いに行くことにする。そのついでに紅葉の名所も訪れてみよう。

【河豚刺し】
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 臼杵は「河豚の聖地」とも呼ばれる、河豚専門店の多いところである。
 今回は鮮魚系居酒屋店の「うおんたな」で、河豚料理に舌鼓をうつ。この店、専門店と違って、一人でもふらりと寄れるので使い勝手がたいへんよい。

【大岩登山口】
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 臼杵駅から歩いて15分ほどのところに、「大岩」登山口がある。
 大岩は臼杵市民の「憩いの丘」という感じで使われていて、春には山桜が山肌を染めることで有名だけど、秋にもそこそこ紅葉が楽しめる、ということでGo。

【登山道】
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 大岩の登山道は標識が多くて親切である。

【登山道】
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 道はやがて立派な孟宗竹の竹林となる。

【大岩】
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 行く先が明るくなってくると、大岩の前にと出る。名前の通り、大きな岩が目印だ。
 なお、紅葉は始まってはいるものの、あまりよい色具合ではない。

【大岩山頂】
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 大岩山頂にはベンチもあり、ここで臼杵市街や臼杵湾を見下ろしながら、ゆったりと過ごせるようになっている。

【大岩山頂】
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 ところで大岩は、私は登っている山の山頂かと思っていたのだが、じつは展望台であり、まだ山は続きがあった。
 それで大岩から少しばかり登ってみたが、そこで道はなくなっていた。
 目指す本当の山頂は見えており、その方角に登れば着けるのだが、それには植林中の林を横切る必要があり、やめておいた。

 大岩からは、次の臼杵の紅葉の名所「白馬渓」に移動。

【白馬渓】
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 白馬渓は臼杵川の上流にある小さな渓谷で、江戸時代から紅葉の名所として知られている。

【白馬渓】
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 白馬渓は、ちょっとした山水画の世界であり、いくつもの小さな石橋、灯篭、鳥居などがあり、細い渓流の流れに沿って登って行く。

【白馬渓】
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 登り着いたところにある池が、いちおうのゴール。
 紅葉は全体的に3分から5分といったところで、来週末あたりがピークのようである。

 白馬渓の次は、車での帰り道にある、大分県を代表する紅葉の名所「用作公園」に寄ってみた。

【用作公園】
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 10月から11月にかけての紅葉巡りは、いずこもドンピシャのピークの時期ではなかったけど、用作公園は紅葉がほぼ盛りであった。
 何百本もあるカエデ、モミジは、それぞれ微妙に色を変えて色づいており、まさに紅葉の錦の世界を楽しめた。


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November 10, 2018

紅葉登山:藤河内渓谷~観音滝~木山内岳

 11月第二週末、九州では1000mを越える高さのところではもう紅葉の時期は過ぎているので、それより低いところの紅葉を訪ねてみよう。
 大崩山系では藤河内渓谷から観音滝が紅葉の名所であり、そこにしてみた。

【藤河内渓谷】
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 宮崎と大分の県境近く、桑原川が巨大な花崗岩を抉って流れる名勝、藤河内渓谷。
 このあたりは標高600m程度なので、紅葉はまだ始まったくらい。

【藤河内渓谷】
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 観音滝登山口から登山道に入る。
 すぐ目につくのが、巨大な花崗岩のスラブ。そこに秋の黄色い葉が、いい彩りを添えている。

【藤河内渓谷】
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 標高をあげていくうち、深紅に染まったカエデの樹もちらほらと現れて来た。
 本日は天気が良く、陽光に紅の葉がきらめいている。

【藤河内渓谷】
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 藤河内渓谷は白くツルツルした花崗岩を川床としており、ときおり川に下りて、その特色ある自然の造形美を楽しむ。

【観音滝】
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 標高900mくらいのところにある観音滝。
 巨大な屏風のような一枚花崗岩を背景に流れる滝で、水の量が多いときは壮観なのだが、今回は水量が少なく、壁を潤す程度の流れかたで迫力なし。
 昨夜、県北にまとまった雨が降ったため、期待していたのだけど、この山域にはあまり降らなかったのか。

【登山道】
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 観音滝から道は急傾斜になり、標高を稼いでいく。
 今年の台風の影響か道は相当に荒れていて、歩きにくくなっていた。
 足元を注意しつつ、ピークを迎えた紅葉を楽しむ。

【稜線】
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 木山内岳の稜線に出るまでは、ずっと沢筋を歩くので道に迷うことはないが、喜平越の手前のところで道が完全に崩壊していたので、尾根筋に乗り上げて稜線に出た。
 稜線に出ると植生がブナ林となり、ガラリと変わる。
 しかし以前は下にうっそうと茂っていたスズタケは枯れ果てていて、ずいぶんとすっきりした姿となっていた。

【木山内岳山頂】
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 山頂にと到着。標高は1402m。
 ここからは目の前に大崩山の岩峰が見えるはずなのだが、本日はPM2.5のせいか空気が靄っており、クリアに見えなかった。

【木山内岳山頂】
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 桑原山方面を望む。
 以前は木山内岳から桑原山にかけての縦走路は、稜線が灌木とスズタケで覆われ、見通しの利かぬ難路となっていたのだけど、今はスズタケがほとんどなくなり、容易に道をたどれそうである。

 祖母傾もそうだったけど、この山系一帯からスズタケが一斉に絶滅しかけており、それで自然林の地面に直接日が差し込むようになっている。樹々へのダメージは相当なものだろうし、実際稜線上の樹々がずらりと並んで白骨化している風景もうよく見るようになってきた。
 原因は増加し続ける鹿による食害が第一なのだが、なんとかしないと山の荒廃は進む一方である。
 自然の豊かさで、昨年ユネスコのエコパークに登録されたこの地域であるが、それを喜んでいる事態では既になくなっているのが、かなしい。

【登山道】
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 山頂からは往路をたどって、登山口へと戻る。
 夕方近くになり、柔らかになった日の光に照らされる紅葉が、とても情緒があった。

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November 04, 2018

白トリュフの会をベルエポックで

 秋の味覚の代表的なもののうちの一つは白トリュフ。
 この珍味、以前と比べて値段が高騰してしまい、地方のレストランでは秋にレギュラーに味わえる、というものでなくなってしまったのだが、今回幹事のW氏がレストランに強引に取り寄せてもらい、白トリュフの会開催となった。

【白トリュフ】
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 イタリアのウンブリア州産の白トリュフ。白トリュフは掘り出されてからは、どんどんと香りの劣化が進むので、素早く空輸し、そして素早く食うことになる。
 それにしても、ガラス容器を開けた瞬間、広いレストラン全体を満たすかのような強烈な香り。まさに、香りの王様である。

【前菜】
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 トリュフはその後ずらずらと出て来るので、まずは幕開けの前菜。
 佐々木シェフの力量を示す、美しく華やかな一皿。

【前菜】
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 日南赤鴨の柔らか角煮。これに、薄く白トリュフの一片を載せて。

【前菜】
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 宮崎産山崎牛のエスカロープ。それに松茸を添えて。
 山崎牛は先日、神戸牛の品評会で農林水産大臣賞を受賞したことで話題になり、それでそれを記念して宮崎に逆輸入して、今回の料理に登場。
 これは和風仕立てで、松茸を使っているため、さすがに白トリュフは使用されていない。

【魚料理】
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 串間産の平目のポワレ。それに白トリュフと卵黄にトリュフを加えたもの。
 平目の火の入れ方は相変わらず抜群。ただし白トリュフと平目は相性は良いとはいえず、かえってトリュフとよく合う卵黄のほうが主役になっていた。

【パスタ】
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 オマール海老とポルチーニ茸のラビオリ。
 オマール海老がとにかくいい素材で香り、味、歯ごたえ、どれも見事。

【肉料理】
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 蝦夷鹿のロースト、赤ワインソーズ。
 これに白トリュフをたっぷりと載せて。

 白トリュフの豊潤な香りは素晴らしいもので、こうして画像を見るだけで、香りが画面から漂ってきそうである。
 そして、今回のコース料理はシェフ渾身のものであり、素材も調理も抜群の精鋭ぞろい。それで、これに白トリュフを加えると、最強の料理になるかといえば、それがそうともならないのが料理というものの面白いところで、なんだかいずれも「屋上屋を架す」という感じであって、もうちょっとシンプルな白トリュフ料理を食いたかったなあ、というのがじつの感想。

 それは他の参加者も似たような感想であったようで、「トリュフが余っているならまた後日、パスタかリゾットで食べたい」との声があがり、私は木曜なら宮崎市に来れそうなので、そのあたりでまたお願いしますと言っておいた。

【リゾット】
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 ……その後、火曜日にメッセンジャーがポンと鳴り開いてみると、「木曜日まで香りが持たないとのことで、本日リゾットで食べました。美味しゅうございました」とのメールが、白トリュフのリゾットの画像添付つきで届いていた。
 なんてこったい。
 しかし、これほんと美味しそうだなあ。来年は是非とも、このリゾットをメニューに入れてもらうことにしよっと。

【ワイン】
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 今回の白トリュフの会でのワイン。
 どれも良かったけど、特に96年のシャンベルタン グランクリュが圧巻。
 こういうのを飲むと、ワイン好きがたいていブルゴーニュマニアに行きついてしまう理由がよく分かる。

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November 03, 2018

寿司:鮨 生粋@神戸市摂津本山

 関西では、京都市、大阪市には個性的な寿司店がそろっているけど、神戸市はどのようなものだろうと思い、神戸を訪れたついでに、神戸の有名寿司店「生粋」へと行ってみた。
 この店、神戸の繁華街から離れた摂津本山駅から歩いて15分ほどの住宅街のなかにひっそりとたたずんでいて、こういう店ってだいたい美味しいので、期待を持てる。

 メニューはおまかせの一種類のみであり、ツマミが一通り出たあと、握りに移行する。


 造りは石垣鯛、ツブ貝、炙り〆鯖の藁いぶし。小鉢で、牡蠣の酒蒸し、アン肝、岩もずく、ワタリガニ、白子椀。とそれぞれ、良い素材に工夫をこらしたものが続き、けっこう酒を飲んだのちに、口直しとしてミョウガの海苔細巻きが出て、それから握りとなる。

【握り】
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 鮨は江戸前。旨味の多い赤酢の利いたシャリを、きっちりと温度管理をして、適度に大きさを変えながら、仕事をほどこしたネタを握り供される。
 握りは金目鯛、スミイカ、煮蛤、中トロ、車海老、鰤、鰆、イサキのヅケ、イクラ丼、雲丹軍艦、穴子等々。
 中トロは今が旬であり濃厚な脂がのっている。コハダは塩と酢のしっかり利いた関東スタイル。イサキのヅケは完成度高い。ふっくりと柔らかい煮穴子は塩と煮ツメの二貫。最後は厚焼き玉子。

 繊細で丁寧な仕事がなされたネタに、旨味酸味の利いたシャリがバランス良く握られた本格的な江戸前鮨であった。
 人口百五十万の大きな都市である神戸市ならば、高いレベルの江戸前寿司店は何軒かはあってもらいたいものだが、その水準を十分に満たす良店であった。

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November 02, 2018

ビストロ プティポワ@神戸市兵庫駅

 11月週末は紅葉見物を一休みして、神戸へ出張。
 宿は三宮に取っていたので、着いた日の夕食は、神戸名所の中華街に出かけて、中華でも食おうかと思っていた。
 しかしバス停から下りてGoogle Mapに任せて三宮のホテルに近づくと、私の記憶のなかにあるネットに載っていた写真とどうにも違う。しかし名前は間違いないので入ってみると、フロントで「お客さまのホテルは、同じ名前なのですが、兵庫駅のほうのです」と言われて、そちらに移動。ネットで適当に予約をして、つめが甘いとこういうことになる。反省。

 それで着いた兵庫駅。先のホテルより駅に近くて便利な位置にあったのはラッキーであったが、駅周囲の雰囲気がずいぶんと今までの駅と異なる。三宮からは元町→神戸→兵庫とJRの駅を移動するのであるが、駅の名前の規模が大きくなるにつれ、街の規模は下町的になるようであった。

 そして、中華目当てに三宮をまた往復するのも面倒なので、適当な飲食店目当てに兵庫駅周囲を散策。
 駅周囲は一見寂れているが、路地裏にはよさげな居酒屋、一杯飲み屋のたぐいが多くあり、東京でいえば新橋みたいな感じの街であった。

 そのなか、「ビストロ プティポワ」なるフレンチの店を見つけた。
 いかにも美味そうなものが出てきそうな雰囲気のある、こじんまりしたビストロであり、そして客もほとんど入っていなかったので、これにした。

 初めての店ゆえ、量がどれほどか分からないけど、とりあえず前菜多めの、前菜2品+スープ+メイン+デザートにしてみた。

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 前菜は、魚は新鮮なもの、肉はじっくりと熟成したもので、どれも良い素材を使っていた。味付け、調理、丁寧なもので、どの一品も神経の行き届いたものである。
 メインはフランス鴨のロースト、赤ワインソースだけど、けっこう本格的なフレンチであった。バゲットは自家製の焼き立て。
 どれも美味しくいただいた。

 この手の技術のしっかりしたフレンチビストロって、案外希少価値のあるものであり、神戸の中心地から少々離れた、下町情緒の漂うところにもこのレベルの店があるのは、神戸の食の文化の高さを示しているように思え、さすが古くから異国との貿易で栄えた街と感心した。

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