登山:眉山@島原市
島原市に用事があって出かけ、そのついでに登山をすることにした。
島原半島の山といえばまずは雲仙。有明海沿いのいかなるところからでもその秀峰を望むことができ、登山人気も高い。私も幾度も登っている。
しかしそれ以外に一つ気になっていた山があり、それが眉山。
雲仙の入り口島原外港からすぐ目の前に見える山で、その鋸歯状の独特の姿が印象的であり、登って楽しそうな山だ。
ただこの山は山渓の登山ガイド本「長崎県の山」に載っておらず、稜線があまりに険しすぎて登山の一般対象にはなっていないのかなと思い、登ることなく過ぎていた。
ところが今回島原市に行くにあたり、ウェブで検索したところ、眉山には整備された一般登山道があることが分かり、それでは、と登ってみることにした。
眉山は有明海側は垂直に近い岩壁となっており、そちらに登山ルートはない。
それで雲仙側にまわって、そこからの登山になる。こちらからは、眉山の印象もずいぶんと異なる。
正面に見えているのが、稜線上の最高峰「七面山」。
登山道は雑木林のなか、しっかりした踏み跡のある道である。
最初のピークは七面山。この山には七面大明神が祀られており、鳥居と神社がある。
七面山から島原市街を望む。
眉山は江戸時代に島原一帯の火山活動で大きく崩壊したことがあり、その時に巨大な量の土砂岩石が一挙に島原方向に流れ出た。島原は崩壊し、埋め尽くされて、海岸線が伸びた。これが世に言う「島原大変」。そして、有明海に流れ落ちた土石流は、大きな津波を引き起こし、有明海対岸の熊本に押し寄せ甚大な被害をもたらした。これが「肥後迷惑」。両地方あわせて多大な死者を出し、有史時代日本で最大の災害をもたらした火山噴火である。
なお、有史以前では、はるかに上回る大物がいくつもあり、たとえば7300年前に起きた鹿児島県沖の鬼界カルデラ巨大噴火では、南九州の縄文人は絶滅し、その後南九州は1000年間不毛の地となった。
七面山からは稜線に沿った登山道を行く。稜線の西側は崩壊しているので、稜線そのものは立ち入り禁止になっている。
七面山の次のピークは天狗山。ここの山頂は視界が開けており、眺めがたいへんに素晴らしい。
島原方面の有明海には、小さな島がいくつも浮かんでいるが、これは眉山が崩壊した岩石により出来た島である。
そして雲仙側は平成新山を見ることができる。この山も、今から30年近い前の雲仙の噴火により隆起してできた山である。
天狗山からは南峰に寄ったのち、元の登山口へ下山。
秋の登山シーズン、紅葉はまだであったが、秋晴れのもと眺めのよい登山を楽しめた。
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