ロンドン行ったところ、見たところ
ロンドン随一の名所といえば、大英博物館。何はともあれここに行ってみよう。
膨大な大英博物館の収蔵物のうち、一番人気はロゼッタストーン。ここは常に大勢の人だかり。
大文明を築いたエジプト王国において、王国の没落とともに、滅びてしまったと思われていた古代エジプト語(神聖文字)が、この石碑を手がかりにして解読できるようになり、古代のエジプトの書物が読めるようになった、歴史的記念物。
学者シャンポリオンによる神聖文字の解読の物語は読んでいてとても面白いけど、「エジプトの古代語はじつは文字の形を変えて、コプト語として現代まで細々と生き残っていた。つまり古代エジプト語は滅びていなかった」というオチはけっこう好きである。
館内の展示品でひときわ目を引くのが、モアイ像。
はるか離れた太平洋上の孤島、イースター島からわざわざ運んできたもので、レプリカでなく、本物である。
しかもこれは本物すぎるほどの本物。
イースター島では、かつて信仰の対象とされていたモアイ像は、歴史の流れとともに住民から見捨てられ、殆どのモアイは倒れたままに放置されていたのだが、一体だけ立ったまま残っていた。そのモアイは、島民から特別なものとして神聖視され、大事に祀られていたのだが、イギリス海軍の調査隊は、わざわざその一体を強奪するようにしてイギリスに持ってきて、そのモアイ像がこれとのことである。それゆえ、イースター島の先住民から返還を強く要求されている。
アテネのパルテノンを模した部屋に、パルテノンから持ってきた大理石の彫像の数々が並べられている。持ってきたエルギン卿の名前から、エルギンマーブルと名付けられた傑作の数々。
もちろんギリシャからは返還の要求があるけど、イギリス政府は頑として応じていない。
大英博物館には、とにかく世界中の宝が集められており、その量と質に圧倒されるわけであるが、ただしイギリス本国のものは非常に少ないのもまた印象的である。
創造よりは、収集の才に長けた民族であったのだろうか。
そしてこれらの宝を奪われた各国が文句を言ってくるのもよく分かるが、しかしながら近年の中近東や北アフリカの混乱で、数多くの芸術品、美術品が奪われ、破壊されたことを考えると、人類の宝は、こういうきちんと維持管理できる施設が保管すべきとも思え、なかなかに難しい問題である。
これもロンドン名物、ロンドン塔。
塔というより城塞である。
世界でも有数の幽霊の名所であるが、外見的にはそういった凄惨なイメージは乏しく感じられた。
中に入ってみようかとも思ったが、入り口も切符売り場も長蛇の列だったので、あきらめた。
テムズ川傍にそびえる大観覧車のロンドンアイ。
かなりの高さまで達するので、ここから一望するロンドンの眺めはいいだろうと思い、乗ってみようかとは思ったけど、ここも入り口、切符売り場とも大行列であり、あきらめた。
ロンドンを舞台にした映画は数多かれど、私としてはまずは「ノッティングヒルの恋人」の舞台であるノッティングヒルを訪れたい。
ジュリア・ロバーツの超人的な美人っぷりが印象的な映画ではあるが、それとともに洒落た感じの美しいノッティングヒルの街もまた印象的であったから。
ノッティングヒルでは、主人公の営む本屋と、それから住んでいた家がそのままの形で残っていたので、そこを訪れてみた。それから街を散策。パステルカラーで彩られた高級住宅街が、エレガントであり、とても趣味よく思えた。
ロンドンには有名な教会がいくつもあり、そのどの教会も立派な建物であり、なかには美術品も多く飾られているであろうと思われた。しかし、それらの教会は、入るには予約がいるようで、なかなか容易に観光客は入られない。
他の国の教会は、宗教行事と関係なしに、容易に入ることができるのに、これはカソリックと英国教会の文化の違いなのであろうか。
そのなか、路地に「これは世界的に有名な教会です。お寄りください」みたいなことを書いている看板を見つけ、それに従ってその教会に入ってみた。
……、まあ普通の教会であった。
どこがどう有名なのだろうと思っているうち、近所の住民らしき中年のご婦人が傍に来ていろいろと説明してくれた。ロンドンの大火から始まるロンドンの歴史を絡めての、けっこう長い説明だったのだが、要は「近くのケーキ職人が、この教会の形をモチーフにウェディングケーキをつくり、それが現代に到るウェディングケーキの発祥となった。だから世界中の花嫁たちは、この教会で結婚式をあげることに憧れている」とのことであった。
なるほど。聞かねば分からなかった。
ちなみにロンドンにおいて、住民はたいてい親切で礼儀正しかった。「イギリスは紳士の国」と言われているけど、今回の旅で本当だったことを知った。
ロンドン名物、バッキンガム宮殿における、赤い上着に黒の帽子の衛兵たちの交代式。
交代時刻近くに行くと、すでに正門近くの多くの人で占められており、観るスペースがない。それで衛兵の出発場所であるウエリントン兵舎に行き、バンド演奏とともに出発するところを観た。
賑やかな楽隊の音楽とともに行進する衛兵を、しばらくバッキンガム宮殿まで後をついて行った。
ロンドンの主要駅であるパディントン駅は、有名な「くまのパディントン」の出身地でもある。それゆえ銅像が置かれており、記念撮影。
ロンドン、いろいろと回ってみたけど、とにかく行くべきところが多すぎて、まだまだ見残したところがたくさんあるので、近いうちにロンドンを再訪してみたい。