フランス料理:レーヌデプレ@京都市上京区
京都といえば「和食」のイメージが強く、じっさい日本で一番美味しい和食の店がそろっている地ではあろうけど、しかしじつは洋の部門でも近年力を増していて、京の地の利を生かした特色ある名店が数あまたある、という魅力ある食の地になっている。
今回は、その洋の店、フレンチのレーヌデプレを訪れた。
この店は、コテコテのクラシックなフレンチではなく、和の要素も取り入れた、創作フレンチ系の店ということなので、いかにも京都っぽい、と思い選んだのである。
鴨川沿いの道から少し街中に入りと、そこに住宅街のなかに、ひっそりとした感じで、小さな店がある。テーブルは3つしかなく、一度に三組の客しか入れない。
前菜は「師へのオマージュ」と名付けられた半熟玉子の料理。
誰も見ても分かるように、アラン・パッサールの名物料理からのものであるのだけど、本家は卵の黄身を前面に出した料理(だったような気がする)であるのに比べ、こちらは上にかかったクリームソースが複雑な味わいをみせていて、これを卵の黄身と混ぜると、ずいぶんと奥行きが広がる、つまりは師匠の料理の進化系。
いかにも夏を告げるような、緑鮮やかな料理。
京都の夏の名物鱧を焼いたものに、オクラのシャーベットをかけたもの。よく分からぬ取り合わせだが、じつは相性よし。
これもこの店のスペシャリテ、「オマール海老のサラダ」。
オマール海老は絶妙な火の入れ方で、生の艶々した食感を残しつつ、ほんのり入った熱で甘みが増している。
平目は、10日間熟成させたもの。
白身魚は、もっとも美味しくなるギリギリまで寝かせて、熟成してから調理するとのこと。
たしかに、通常の平目とは異なる、独自の旨みが濃厚である。
肉料理は鹿児島の黒毛和牛のロースト。
最高級の素材を用いて、それをじっくりと低温調理で仕上げたもの。
低温調理といえば、師匠アラン・パッサールの得意技で、それを味わいに世界中の人がパリに行く、というほどのものであるが、たしかに低温調理は、それを行えばたいていの素材は美味しく仕上がる、という特徴をもつ。しかしそれを人力でするのは大変な手間がかかるのであって、その本物を味わえる店は数少ない。
この店は、その本物が味わえるわけで、この肉の豊かな香りといい、火の満遍ない絶妙な通り加減といい、均質な柔らかな食感といい、申し分ない。
……しかし、シェフによれば、やっぱり手間はたいへんなのであって、それがこの店のテーブルの少なさとも関係しているのだろうなと思った。
調理の技術の高さ、料理の繊細さ、そして独創性、まさに名店であって、京都の食の魅力をまた知ることができた。
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