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May 2018の記事

May 27, 2018

登山:大船山(南尾根)~立中山

【大船山南西尾根(段原からの眺め】
South_ridge

 昨日に引き続き、本日も九重登山。今回はミヤマキリシマの名所、立中山を目指す。
 立中山は、以前くたみわかれから登ってそれから大船山に登ったのち、入山公廟から池窪に下ったら、元の登山口に戻るまで、延々と舗装路を歩く羽目になり閉口したことがある。(地図でみて、牧道を使えばショートカットになると思っていたら、その牧道が進入禁止になっていた、というリサーチ不足のせいでもあったのだが)
 そしてそのとき、大船山には南西方向に立派な尾根が伸びているので、そこに登山道があれば普通にくたみわかれに下りられるのに、なんでないのだろうと不思議には思っていた。
 今回、立中山に登るにあたり、ヤマレコで調べてみると、やはりその尾根には登山道は数本もあった。まあ、ないはずはないんだよな。そしてその登山道のうち、写真に写っている尾根の後ろ側にある南尾根ルートが今回の登りに使うと便利そうなので、それを使って、くたみわかれからの大船山・立中山を行く周回登山をすることにした。

【登山口】
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 くたみわかれへの登山口は、レゾネイトクラブくじゅう前のここになる。
 登山口ともなんとも書いていないので、知らない人にはわからない。

【南尾根登山道】
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 鍋割峠への登山道を離れ、南尾根のルートに入る。
 しばらくは谷筋に沿っての登りである。

【杉林】
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 登山道はいったん開けた杉林に出る。
 地形から、どう考えても、ここに立派な造成林があるのはおかしいので、一種のミステリースポットではある。
 地図でみると、東南側にこちらに向けて伸びている林道はあるが、それは傾斜が強くなっているあたりでストップしており、距離的にここの林とは関係がない。
 いかなる技術を用いて、この杉林の造成は為されたのであろう? 不思議だ。

【南尾根登山道】
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 杉林を過ぎ、標高1200mあたりから急傾斜となり、どんどん高度を稼いでいく。
 その傾斜がゆるんだころから、登山道は沢筋みたいなところに入り、苔むした岩の転がる道を行く。なかなか風情がある。

【展望台?】
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 南尾根ルートは展望台ルートとも称されおり、どこかに展望台があるはずである。
 この登山道はずっと視界が開けないけど、そのなか、尾根筋にいったん出たとき、ちょっとした高台があり、そこは視界も開けていたので、ここが展望台かな?と思った。そこから大船山を樹の間から望む。
 まだ距離があるな。

【怪岩】
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 さらに登って行くと、だんだんと樹木の背が低くなり、山頂に近づいているのが分かる。
 そして景色が開けると、この奇怪な形をした岩がいきなり登場。
 急傾斜に、無茶なバランスで屹立しており、どう考えてもその存在に無理がある。だいたい2年前の大地震で九重の山麓はいたるところ崩壊したわけだが、なぜこの岩が崩落せずに、ここに踏みとどまっているのか、一種の奇跡である。

 そしてここは標高も高く、視界を邪魔するものもないので、もしかしたらこの岩こそ、「展望台」ではないかという気もした。
 しかしながら、これに登るには、技術とかより、蛮勇とか、無思慮とか、そういう登山とあまり関係ない、どころか無駄な要素が必要になり、つまりは「展望台」ではないと私は結論づけた。

 ちなみに南尾根登山道は、このいかにも落ちてきそうな岩の前を通って、裏側に回り込むので、そこが一番心臓に悪かった。

【展望】
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 展望台ではないと結論はつけたが、この近傍からは坊がつる方面への展望が開けており、素晴らしい景色を楽しめる。
 そして本日の目的地の立中山は、みごとにミヤマキリシマに染まっている。

【登山道 山頂手前】
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 やがて登山道は、山頂手前のミヤマキリシマの群落のなかに出る。
 残念ながら、ミヤマキリシマのほとんどの株は、まだ蕾であり、旬であれば赤紫に染まる絶景は見ることはできなかった。

【大船山山頂から】
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 山頂直下で岳麓寺からの登山道と合流し、それから山頂へ。
 ここから観る、北大船から平治岳までのミヤマキリシマの咲き具合は見事なものであった。
 今がちょうど旬となっていた。

【段原】
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 段原から北大船を観ると、あらためて見事なミヤマキリシマを近くで楽しむことができる。

【段原】
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 大船方向を振り返ると、見ての通り、ミヤマキリシマはまだ早い。
 太陽の当たりかたと、標高によって、開花の時期はずいぶんと異なることが分かる。

【立中山分岐】
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 段原から下山し、立中山分岐から立中山へ向かう。
 しかし歩くうち、まったく方向が違う道に入っていることに気づき、あわてて戻って正規の道へ。
 分岐部の標識には親切に「分岐から20~30mの位置で左方向に行きなさい」と示されているのだが、ついつい見逃してしまった。

【立中山】
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 そして立中山へ。
 山頂は満開のミヤマキリシマに満たされており、非現実的な、幻想的、夢幻郷的雰囲気に満たされている。
 この風景には一度見るとはまってしまう中毒的な魅力があり、だからこそこの時期、九重には何万人もの人が訪れるのである。

【鉾峠】
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 立中山から鉾峠へと下山。
 鉾峠もミヤマキリシマが咲いている。

【佐渡窪】
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 鉾峠からは、ミヤマキリシマと別れて、佐渡窪へと下って行く。
 ここの道も、陽光のもと、新緑が見事であり、今日は一日中自然美にあふれた景色を楽しむことができた。


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May 26, 2018

登山:久住山@ミヤマキリシマ

 5月下旬、九重のミヤマキリシマの季節。
 九重にはいくつもミヤマキリシマの名所があるけれど、今回は扇ヶ鼻を目指す。

 26日土曜日、天気予報によれば、午前中は雨だけど、午後には回復するとのこと。
 牧ノ戸峠に向けて車を走らせると、予報とおりにずっと雨。牧ノ戸峠の駐車場で雨が止むまで待機。10時半過ぎると、雨脚が弱まり、雲の位置も高くなったので、それから準備を整えて出発。

【扇ヶ鼻】
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 標高1700mに2m足りないせいか、普段はあまり見向きもされない扇ヶ鼻も、この時期は人でにぎわう。しかしながら、花の咲き具合はよくて3分といったところで、1週間~10日ほど来るのが早すぎたようだ。株ごとに蕾はたくさんついていたので、その時期はピンクに染まる山肌が楽しめるであろう。

【星生山へ】
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 扇ヶ鼻からは星生山へ。
 こちらも花の咲き具合は3分といったところ。

【星生山山頂】
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 星生山山頂からは、九重全体の360度の展望を楽しめるのだが、本日はガスの流れが急であり、久住山にはずっとガスがふき付けられて姿がよく見えない。

【イワカガミ】
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 本日はイワカガミがちょうど咲き頃だったみたいで、いずこでも満開のイワカガミを見ることができた。
 特に星生山にあったこのイワカガミ、これほどの群生は見たことがなく、この豪華な咲具合を見られて得をした気分。

【久住わかれ】
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 星生山から見えていたとおり、久住わかれからはガスの通り道になっていて、展望がよくない。
 それでもガスの流れが早いことから、もしかしたら久住山山頂に着くころには、ガスが晴れているかもしれないと、それを期待して登ってみた。

【久住山山頂】
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 ガスがひっきりなしに吹き荒れる登山道を登っていく。この時期なのに、ヤッケがないととても寒くて登れなかった。
 それでたどりついた山頂。残念ながらガスのなかで、まったく展望はきかなかった。
 ここでガスが晴れるのを待つのも寒いだけだから、写真を撮ったのちさっさと下山。

【西千里浜から】
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 西千里浜を歩くころ空が明るくなったので、うしろを振り返ると、見事にガスは払われ、星生崎と久住山のツーショットが鮮やかに見えた。
 あと30分くらいずれていたら、山頂での展望を楽しめたのだが、まあしょうがない。

【長湯温泉:翡翠之庄】
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 下山したのちは、明日大船山を南側から登る予定なので、そちらに便利な長湯温泉の宿に宿泊。
 この宿の露天風呂は、眺め、雰囲気、湯質、湯音、全てが好みであり、登山後の疲れを癒すには最適の温泉である。


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May 20, 2018

登山:高千穂峰(2) 皇子原~高千穂峰

 高千穂峰下山後は、高千穂温泉郷で一泊。
 曇りの土曜日と異なり、日曜は好天の予報。当然、登山をしよう。
 昨日は高千穂峰だったので、本日は霧島のもう一つの主峰韓国岳に登りたい感じではあるが、霧島は現在新燃岳の噴火のせいで、登られる山は高千穂峰のみとなっており、ならば登山口を変えて高千穂峰に登ってみよう。

【皇子原登山口】
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 登山口より高千穂峰を望む。見事な好天である。

【登山道】
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 陽光が降り注ぐ自然林のなかの快適な登山。

【登山道】
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 高度を増していくうちに、稜線の登山道に近づく。そうすると、昨日ミヤマキリシマが見事であった二子石が視界に入って来る。

【登山道】
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 稜線に出ての二子石方面と、高千穂峰方面の写真。
 昨日と異なり天気がよいので、ミヤマキリシマの花の色も、いっそう映えている。

【登山道】
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 高千穂峰へ登って行くと、御神体である高千穂峰を祀る、〆縄が現れる。
 ここで外国人カップルが休憩しており、しばし会話。ベルギー人とフランス人のカップルであった。なんかちかごろフランス人とよく遭遇するなあ、とちょいと不思議に思った。
 どうしてこんな辺鄙なところの山へ?と尋ねると、活火山が好きなので、わざわざ日本の九州まで来たとのこと。ヨーロッパには火山が少ないので、日本がうらやましいと言っていた。
 私のような九州人にとっては、噴煙噴き上げる火山は珍しくともなんともないものであるが、ただたしかに火山って、地球が生きていることをじかに感じさせる、迫力ある存在であり、貴重なものではあるなあ。九州にはいっぱいあるけど。

【高千穂の峰へ】
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 木段を登りおえると高千穂峰頂上である。

【高千穂峰山頂】
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 山頂は、ミヤマキリシマ目当ての人でにぎわっていた。

【韓国岳方面】
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 山頂から韓国岳方面を望む。
 新燃岳は、相変わらず噴煙をのぼらせ、そして韓国岳、大幡山の山麓には、満開らしいミヤマキリシマ。
 新燃岳の斜面の一番下の平地には、これもミヤマキリシマの大群落がちょうど満開の鹿ヶ原。
 これらのミヤマキリシマの花園は、今年は誰も近寄ることができない。

【登山道】
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 山頂からは元来た道を下山。昨日とちがって、今日は登山道もよく見える。


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May 19, 2018

登山:高千穂峰(1) 高千穂河原~二子石

 今年は気象の関係から、ミヤマキリシマの開花が早くなっている。
 5月中旬にして霧島はミヤマキリシマが満開、とのことで霧島へ行くことにした。
 しかしながら、霧島は以前からの新燃岳の噴火と、それに加えて硫黄山の噴火によって登山できる山が限られており、今のところは高千穂峰しか登ることができない。

 高千穂峰でミヤマキリシマを観賞するには、高千穂河原~高千穂峰~皇子原~鹿ヶ原~高千穂河原という、まさに王道ともいえる周回ルートがあるが、新燃岳がレベル3になったせいで皇子原から高千穂河原へのルートは立ち入り禁止となっており、周回はできないので、高千穂河原からのピストンで登ることにした。

 本日は曇りであり、陽光のもとでのミヤマキリシマは期待できないものの、雨よりはましなので、気にせず登って行く。

【高千穂河原奥】
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 高千穂河原から高千穂河原奥の斎場にかけてのミヤマキリシマは、盛りを越えて、枯れている花もあり、たしかに今年は花の時期が早い。

【登山道】
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 雑木林を抜けて、御鉢への瓦礫の道となる。
 ガスがたちこめ視界は悪い。

【御鉢】
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 ミヤマキリシマは酸化土壌が必要で、厳しい自然の地に咲く特徴を持つ。それは知っているが、しかし岩と砂礫と それに硫黄のガスのたちこめる荒涼たる地に、こういう美しい花が咲いているのは、やはり不思議な光景に思える

【登山道】
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 御鉢を過ぎていったん鞍部に下り、それから高千穂峰への登りになる。

【高千穂峰山頂】
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 山頂到着。
 ミヤマキリシマの奥に見えるは、名物の天の坂鉾。

【登山道】
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 高千穂の峰は、西方向の御池まで稜線を伸ばして、その稜線にもミヤマキリシマは咲き誇っている。
 御池まで行ってしまうと戻ってくるのが大変なので、途中のピークである双子石まで足を延ばすことにしよう。

【ミヤマキリシマ】
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 登山道沿いのミヤマキリシマはほぼ満開。
 それぞれの株で色あいが違っており、趣深い。

【二子石】
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 霧島は、九重とは異なり、ミヤマキリシマの密度が低いのが鑑賞するさいの難点ではあるが、それでも二子石付近はミヤマキリシマがぎっしりとつまっていて、山一面がその色に染まっており、見事なものであった。

【登山道】
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 二子石に着いたのち、元来た道を引き返す。
 天気は回復傾向にあり、来たときと比べ、雲が高くなっており、視界が開けてきて、遠くのミヤマキリシマもその美しさをめでることができた。


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May 13, 2018

宮崎国際音楽祭:蝶々夫人

Buterfly

 
 春の宮崎の音楽一大イベント、宮崎国際音楽祭。最終日は、プッチーニの「蝶々夫人」。
 タイトルロールは、世界で活躍している中村恵里さん。
 私は、新国立劇場でのスザンナを観て以来の、中村さんのファンなので、彼女の歌を聞くのを楽しみにしていた。

 1904年に作曲された「蝶々夫人」は、日本が自身で文化を発信できる力を持つようになるまで、欧米で日本を紹介する有名な文化作品はこれしかなく、「蝶々夫人」で日本を初めて知った、あるいはそれのみでしか日本を知らないという欧米人がたくさんいた、そういう文化史的に重要な作品である。
 しかしながら、いざ日本人がこのオペラを観ると、ヤマほど突っ込みどころがあり、それらの場面では「ひょっとしてこれはギャクなのか?」という思いにどうしてもかられ、せっかくの美しい音楽に集中できない、という困った現象も生じがちな問題作品である。

 さらには音楽的にも問題がある。主役蝶々さんの歌は、「太めの力強い」声質を持つソプラノ、リリコスピントが要される。その手の歌手は大柄で、体重も多めのことが多い。
 そして蝶々さんは、数あまたあるオペラのなかで、一流劇場で主役を普通に日本人歌手が歌うことができる唯一の役であるが、体型的に華奢な日本人がこの役を歌うにはいろいろと無理があり、作曲家プッチーニには、日本人に対してなんらかの誤解があったとしか思えない。

 中村さんは典型的なリリックソプラノなので声質は合ってはいないだろうから、さて蝶々夫人にはどのようなアプローチをするのだろうと思っていたのだが、いざ始まってみると、なにしろ表現力の豊かな人なので、自己のものに完全に取り込んだ、とても説得力がある歌であった。
 そして、よくよく考えれば蝶々さんって、15歳の愛らしい乙女なんだから、ああいう澄んだ、爽やかな声のほうがかえっていいのでは、とか思ってしまった。
 蝶々さんは舞台にでずっぱりで、声に負担の大きい役なのだけど、第一幕、第二幕、第三幕と進むにつれ、歌のテンションはギアをあげていき、見事な盛り上がりをみせて幕となった。
 素晴らしい声、素晴らしい歌であった。

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May 05, 2018

タイ料理:Nahm@バンコク

 タイといえば当然タイ料理。
 当地で評判の高い、タイ料理店「Nahm」でdinner。

 基本的にはアラカルト方式だけど、コース料理ふうにもできるということで、前菜、スープ、メインといった感じでオーダー。
 猛暑のなかの観光で疲れていたので、シンハビールをまずは頼んでから料理を待つ。
 しかし、いつまでたっても料理が出てこない。
 まあ、バンコクでは列車の運行もいいかげんだったし、昨日行ったレストランも、「6時集合厳守」とかメールで連絡してきたわりには、6時からは目の前で調理をするばかりで、最初の料理が来たのは6時半であり、タイの時間概念のアバウトさは理解していたけど、このレストラン、1時間たってようやく注文した料理が出てきたのには、やはりため息がでてしまった。

【コース料理】
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 そして1時間待ったのち、ようやく料理が出たら、コース料理の全て、前菜、サラダ、スープ、メイン(タイカレー)が一挙に出てくるという豪快さ。

 それぞれの料理は、どれも精度ある完成感あるもので、この店の料理人のレベルの高さを示していたと思う。じっさい美味しかった。

 それにしても、いつまでたっても出ない料理、私は途中でイライラしてしまったのだが、周囲の人たちは、のんびりと談笑しながら待っていた。
 これがタイ流なんでしょうね。
 「郷に入りては郷に従え」という格言。ひさしぶりに思い知った。

 海外旅行は異文化を知ることにも醍醐味はあるのだから、それを改めて知られたわけだ。

 ……そして予定よりも長引いたdinnerののち、空港にドタバタしながら向かったけど、無事に飛行機に間に合ったので、いちおう良き思い出、ということにしておこう。

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バンコク(2) ワット・プラケオ

 バンコク2日目はワット・プラケオへ。
 タイを象徴する写真といえば、まず最初に出て来る黄金の仏舎利塔のあるところである。

【ルムビニー駅】
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 昨日はモノレールを使ったので今回は地下鉄を利用しよう。
 バンコクの交通機関、地上の道路は車・バス・バイク等でいつも混雑しているけど、鉄路はあまり人気がないようで、どこも閑散としていた。
 ちなみに、バンコクは暑いので、人々は暑さに慣れていると思いきや、鉄路の列車内はどこも寒いくらいにキンキンに冷房が効いており、やっぱりこの暑さにはうんざんりしている模様。

【TukTuk (Wikipediaより)】
Tuktuk

 地下鉄は王宮地区まで建築中であり、完成したら相当便利になるだろうけど、現在はその途中まで。最終駅のプアラムポーン駅から王宮までは3kmほど残っている。
 その区間は、タイ名物の3輪タクシーTukTuk(トゥク トゥク)を使ってみることにした。

 TukTukは有名なのだが、調べてみると値段はタクシーよりずっと高いし、しかも値段は交渉性で外国人はふっかけられる、という使い勝手の悪い乗り物なのだけど、一度くらいは話のネタに乗ってみようと思ったのである。

 それで駅前にたむろしているTukTukに交渉すると、「ワット・プラケオは今日は12時から開館なのでまだあいていない。それまでボートで名所巡りをするとよいから、近くの船着き場まで格安で連れて行ってあげるよ」とか言う。ワット・プラケオに定期的に休館日があるのは知っているが、今の世の中Google Mapというものがあり、それで開館か休館は容易に分かり、それによればちゃんと開いている。
 「休館でいいから、ワット・プラケオに連れていってくれ」と私は答えるも、なぜかワット・プラケオには行きたがらない。縄張りでもあるのだろうか?
 これではらちがあかないので、通りの向こうに移動し、そこでTukTukと交渉。いきなりワット・プラケオには500バーツとかふっかけられ、結局200バーツで行くことに。(それでも高いけど、これ以上の交渉が面倒であった)

【TukTuk走行中】
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 それで乗ってみたTukTuk。openだから排気ガスはふきこんでくるし、うるさいし、振動は激しいし、暑いし、どーもこーもならん乗り物であった。もう乗らん。

【ワット・プラケオ前】
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 疲れる乗車を経て、ようやくワット・プラケオ前に。
 しばし歩くと、たむろしているTukTukの運転手から「コンニチワー」と話しかけられ、「ワット・プラケオは12時からしか開いていない。それまでボートで名所巡りをするとよい。船着き場まで20バーツで案内しますよ」と、どこかで聞いたようなことを言ってくる。いや、目の前のワット・プラケオ、観光客がぞろぞろ歩いているんですけど。
 こういうのって、ボート巡りの業者と結託しているんだろうけど、数やってるうちにひっかかる人が出てくるんでしょうねえ。

【仏舎利塔】
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 ワット・プラケオは非常に広く、観るものはあまりに多い。
 いちいち写真で紹介するのも大変なので、代表的なものをいくつか。
 ワット・プラケオで最も存在感ある、黄金に輝く仏舎利塔。

【本堂】
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 タイで最も重要な仏像、エメラルド仏をおさめる本堂。
 仏像に加え、壁画も見事なものであった。

【アンコールワットの模型】
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 世界遺産アンコールワットの模型。19世紀末に造られたものであるが、よく出来ている。損傷の激しい本家より、こちらのほうが「オリジナルに近い」とされている。

【宮殿】
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 王宮にはいくつもの華麗な宮殿。これらは現役の施設であり、軍隊が警備していた。
 建物は、きらびやかで、屋根には角に鋭く立つ装飾があり、寺院と意匠が同じであった。

【チャオプラヤー川】
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 ワット・プラケオ見物のち、バスを使って戻ろうと思ったが、路線図を見ると、いくつも乗り換えをしないといけないみたいで、外国人には難易度高すぎる。
 それでひとまずはフェリーを使って、交通の要所タークシンへ。

 タークシンからはホテルまで道が単純だから、バスは乗り継ぎなしで行けるだろうと思い、いくつかバス停に行くが、どこにも路線図がなくお手上げ状態に。
 暑い中、あまり外も歩きたくないので、ここでバス使用は断念し、結局タクシーを使って戻った。
 バンコクはタクシーはいくらでも走っているし、メータータクシーなら運賃の交渉もいらないし、値段も安いし、空調も利いているしで、交通手段としてはタクシーが第一選択間違いなしではある。
 ただ、タクシーはdoor to doorなので、旅の手段としては少々味気ない。だから基本的には公共交通機関をうまく使って、徒歩を加えるのが一番いいのだろうけど、問題は暑さですな。
 見処多き、魅力満載の観光都市バンコクでは、暑さ対策が常に問題になります。

 というわけでの、今回の結論

 (1)バンコクは暑い。
 (2)TukTukはまったくお勧めできません。

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May 04, 2018

創作系インド料理: Gaggan@バンコク 

 バンコクで一番有名なレストランは、タイ料理店ではなく、インド料理店の「Gaggan」である。
 タイでわざわざインド料理を食わなくとも、とちらりとは思ったが、「バンコクを訪れたならここは是非訪れるべき」という店であるので、やはりバンコクを訪れてみたからには行ってみることにした。

【Gaggan】
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 Gagganはルンビイニー公園から住宅街に入ったところにある。
 周囲は雑多な雰囲気であるが、この店は高級感あるたたずまいである。

【キッチン】
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 予約したのちの、店からの確認のメールには「6時きっかりに来てください。15分以上遅れたら、キャンセルにします」とか書いていたので、時間丁度に訪れたのであるが、コの字型になったカウンターには、6時には全ゲストがそろった。
 タイ人というのは、時間に関してそうとうにアバウトなのに、これはたいしたものだと思ったものの、……じつはゲストは皆外国人なのであった。

 カウンターはオープンキッチンであり、料理の行程が見られる、よいロケーションだ。。
 そして奥にはなぜか「神田明神」の御札が。

 この店は、コース一種類のみであり、25品の料理がずらずらと出て来る方式。
 そのメニューについては、料理の「絵文字」を記したメニュー表があらかじめ置かれている。
 そしてその料理が供されるときに、料理人チーフから料理の説明が、あるのであるが、それがユーモアあふれるものが多く、店内なごやかな雰囲気で、食が進んだ。

【Youguri Explosion】
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 これはガガンのスペシャリテ。風船状のゼラチンン膜を噛んでやぶると、スパイスのきいたヨーグルトが飛び出て来て、口のなかで「爆発」を感じる。

【Lick it up】
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 店内にキッスの名曲「lick it up」が大音量でかかると、この皿が出てきます。
 料理の名前「舐めろ!」の通り、ゲストはこの皿をそのまま舐めて味わう。羊の脳味噌を使った濃厚な味わいの料理。

【Caviar Horseradishegg】
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 卵クッキーの上に大粒のキャビアを載せて、それに山葵を添えたもの。
 キャビアだけでも相当に立派なものだったので、上下別々に食べたい気分であったが、料理チーフがカウンターを回りながら、ゲストにそれぞれsimultaneously!(一口で!)と何度も釘をさして言うものだから、いっぺんに食べました。

【Tom Yum Kung】
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 北海道産の甘エビに薄皮を巻いて、そこにトムヤンクンソースを入れたもの。
 海老が主役のトムヤムクンの変化球技。

【Eggplant cookie】
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 炙った茄子をフリーズドライでカラカラにして粉状にして、クッキーに仕立てたもの。なかは玉葱ペースト。
 とんでもなく手間暇かかった料理である。

【茄子:前後】
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 料理の説明として提示された茄子。
 フリーズドライにする前と後のもの。ここまで水分が抜けます。

【Chiiy bonbon】
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 デザートっぽいが、そうではなく、名前の通りチリソースが入っていて、ぴりりと辛い。

【Keema Pao】
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 点心風料理。山羊を使った肉まん。中華料理と違って、やはりスパイシー。

【Turnip Uni taco】
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 「雲丹のタコス」ということだが、トルティーヤは使わず、そのかわりに薄切り蕪を。
 この下の雲丹の殻には、南瓜と魚と海葡萄。
 雲丹は北海道産のバフンウニだそうだ。

【Chutoro Sushi】
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 「中トロ寿司」とのことだが、寿司とは似て非なるもの。和風スパイスを利かした中トロのマリネに、その下はメレンゲ。味わい、食感、全てはこの店独自のもの。
 私が日本人なので、「本場の中トロ鮨と比べてどうですか」聞かれたけど、「中トロは江戸前鮨にして最も完成度が高くなる素材です。普通の料理人はそこで留まるのですが、それをここまで踏み越える、そのチャレンジ精神に感心しました」と、大人の回答をしておいた。

【Foie Gras Yuzu chewa】
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 フォアグラと柚子のタルト。クリームたっぷり。
 これは手に載せて食べるのだけど、その前に香りつけに、柑橘系のリキッドを手にスプレーされ、より重層的な香りを楽しめる。

【Anago Mole】
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 穴子のチョコーレートモーレ巻き。これを燻して、燻製風。
 メキシコ料理を応用した一品とのことであるが、元のメキシコ料理に知識がないので、よく分からなかった。

【Kintoki carrot Rasam】
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 抹茶椀を使った、金時人参のスープ。とても豊潤な味である。京都からの直輸入であるから、とても高価だとのこと。
 素材が抜群によいのか、あるいは調理法が素晴らしいのが、とにかく絶品であった。

【Pok Vindaloo Blackgarlic momo】
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 一見黒い餃子に見えるが、これはmomoというチベット料理。て、やっぱり餃子なんだけど。

【Prawn Balcho】
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 タンドリーブラウン。このあたりはストレートなインド料理という感じ。

【Edamame Shitake Charcoal】
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 この店のスペシャリテの、枝豆と椎茸のコロッケ。炭まぶし。見た目なんとも印象的な料理である。

【King Crab Curry Rice Patur】
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 キッチンが暗くなり、そしてフャイヤー。
 バナナの皮で炙られた、タラバ蟹のカレーです。これ非常に美味しく、量が少なすぎるのが残念。

【ワイン+日本酒】
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 Gagganには立派なワインリストがあるが、多彩な料理にあわせたペアリングがあるので、それを注文。
 ワイン8種に日本酒1種のラインである。料理2~3品ごとに、グラス一杯をあわせる形であり、日本酒は雲丹と中トロのとき。

 「インド料理」ということであったが、料理は、ベースはスパイスを利かせ、凝った調理法を行った創作的なものばかり。スパイスは和から洋まで様々であり、どれもこれも幅広い範囲に広がっている。
 敢えていうなら後半のいくつかのものはインド料理の傾向が強かったけど、他は和から洋まで扱い、食べていてさながら世界を旅している気分であった。

 どの料理も個性的で、鮮烈で、新鮮である。
 そしてその料理を供される空間が、激しい音楽が鳴り、料理人のパフォーマンスも強烈で、そしてMCも達者であり、まさに食の総合芸術。超一流のGaggan劇場であった。

 こんなにexicitingでentertainingでpleasantな店、私ははじめて経験した。
 いやあ、ほんと面白かった。この店を訪れるためだけでも、バンコクに行く価値がある。まさにアジアの珠玉の名店。


 そして、このメニューから、シェフのガガン氏は、日本料理にずいぶんとインスパイアされていると分かるのだけど、じつはガガン氏は2020年にバンコクの店を閉じて、それから福岡市でフレンチの「Goh」の福山剛氏とともに新たな店を出すそうである。
 となるとバンコクに行かずとも、この素晴らしい料理の体験が福岡市で出来るようになるわけで、「食の都」福岡にさらに食の魅力が増すことになりそうだ。

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バンコク(1) ワット・ポー、ワット・アルン

 バンコクのことをSNSに書くと、「癖になるほどいい国だけど、暑さで萎える」「12月がいいと言われけど、それでも暑かった」「タイならチェンマイがいいですよ」「自転車でまわると面白いです。暑いけど」などとレスポンスをもらった。
 なにはともあれ、バンコクは「暑い」そうだ。

 バンコクの観光名所は、旧市街の一地区にかたまっている。そこはバンコクの一般的ホテル街より6kmくらい離れている。普通に歩いて行ける距離なので、歩いて行くことにした。

【シーロム通り】
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 旧市街にはシーロム通りを一直線に歩けば着くので、まずはシーロム通りへと出る。
 巨大な歩道橋を渡ると、日タイ友好の標識が。おそらく日本の経済援助で建てられた歩道橋と思われる。

【ワット・フアラムポーン】
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 仏教の国、タイにはあらゆるところに寺院がある。そのどれもが派手な外観なので、どれも目立つ。
 ……しかし、歩いていると、ひじょうに暑く、汗が出てたまらない。
 バンコクにはなぜかセブンイレブンが豊富で、冷たい飲料水が容易に手に入るのは幸いであったが、適宜水分補給して歩かないと、熱中症になりそうな厳しい暑さである。

【ワット・ポー】
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 この暑さのなか歩くのもいやになり、途中でタクシーにでも乗ろうとも思ったが、歩いていないとじっくり見られない風景もあるので、とりあえず一度は歩ききることにして、ようやくワット・ポーの前に。

【ワット・ポー】
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 寺院の敷地内に入ると、いくつもの鋭い仏塔が立ち並んでいる。
 日本の仏教文化にはない、エキゾチックな風景。

【ワット・ポー】
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 回廊には、ずらりと黄金色の仏像が並ぶ。表情や、手のしぐさが、やはり日本のものとは異なっている。

【寝釈迦仏】
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 ワット・ポー名物の、巨大寝釈迦仏。この寝姿で、悟りを表しているそうであるが、あまりに大きすぎて全体像がよく分からない。

【ワット・アルン】
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 ワット・ポーをだいたい観たのち、対岸のワット・アルンへ。
 多くの陶器をまとった白く輝く大仏塔は高さ75mという巨大な塔である。

【ワット・アルン】
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 ワット・アルンは細部まで精巧な細工をほどこした、巨大な美術品であり、素晴らしいものであったが、写真で見てのとおり、入道雲まで湧いてくる天気であり、歩いていると暑くて体力が消耗するばかりであった。

 時刻的にはまだ他の名所に行ける余裕があったが、もうこれ以上、この暑さのなかを行動する気にはなれず、空調の利いたホテルに戻ることにした。
 帰りはもちろん歩く気はしない。地図を検討すると、ワット・アルンからはチャオプラヤー川のフェリーでタークシンまで行って、それから駅でモノレールを使うとホテルの近くまで行けるので、そういう交通機関の使いかたで戻った。

 バンコクの、まずはの感想。やっぱり暑い。


Bangkok


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May 03, 2018

タイスキ COCA @バンコク

 GW後半の4連休を利用して、近場のバンコクへと旅行。
 福岡発の直行便は、時間的に使い勝手が悪く、初日はホテルに着いたのが夕方。
 5時間強のフライトはそれなりに疲れるし、そのあたりでさっさと夕食を取って、ビール飲んでホテルで休むことにしよう。

 タイ料理といえば、種類はたいへん多かれど、いちおうは「タイスキ」がガイドブックの最初にあがる名物料理となっている。せっかくタイに来たからには、それを経験してみたい。
 それでタイスキの店を検索してみると、ホテル周囲に何軒があるので、まずは最も有名な老舗店らしい「COCA」へと行くことにした。

【屋台】
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 店までの道は、屋台が多く並び、どれもなかなか食指をそそる料理をつくっている。
 タイとは「信仰」と同時に、「食」の地でもあるのだ。

 そして「COCA」の前へと着いた。
 入ってから、「予約はしてませんけど、空いてる席はあるでしょうか?」と英語で聞くと、「チョット、マッテクダサーイ」と日本語で返ってきた。地元の人も多いけど、日本人もよく使う店のようだ。
 というか、だいたいどこの店の人もそうだったけど、どうして客商売の人たちって、東アジア人の人種を容易に見分けられるのだろう? 私にはチャイニーズもコリアンもジャパニーズも、言葉を発していないかぎり、とても見分けがつかないのだが。

 それはともかく、多くの人でにぎわっている店であったが、席はとれて、目当てのタイスキを頼む。

【タイスキ】
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 「タイスキ」とは「タイ風のすきやき」とのことで、すきやきをタイでアレンジした料理とのことであるが、出てきたものは、日本におけるすきやきの、どのヴァージョンとも異なっている。おそらくはこれを開発したタイ人が「すきやき」と思いこんでいたものが、すきやきとは全く違う別のもの、おそらくは「ちゃんこ鍋」のたぐいであったのだろう。
 ゆえに具材は、だいたい「ちゃんこ系」と同じもの。
 そしてこれらの具材を、慣れた店員のかたが、どんどんと鍋に入れて調理してくれる。

 スープは一種類あるいは二種類から選べ、「トムヤムスープ」と「肉骨系スープ」を選んだ。「トムヤムスープ」はおなじみのトムヤムクンのスープ。とてもスパイシーであり、いかにもタイ料理。肉骨系スープは、けっこうあっさり系。これに辛いタレを加えて味を調節する。

【シンハビール】
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 飲み物は、タイのシンハビール。
 コクはないけどキレはある、あっさりとした味わいのビールである。

 バンコクは熱帯に位置するだけあって、とにかく蒸し暑い国であり、これにスパイシーな料理と、爽やかな味のビールはとてもあい、どちらもその風土から生まれたものだということがよくわかった。

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