ラフマニノフピアノ協奏曲第3番@ ピアノ:マツーエフ
近頃毎年訪れている、春の香港芸術祭。
今回のメインの目的は、マツーエフのピアノ演奏によるラフマニノフ協奏曲。
超絶的なテクニックの持ち主で有名なマツーエフの得意とする曲であり、期待大である。
舞台にマツーエフが現れると、熊なような立派な体格であり、まずそれに驚かされる。
そして演奏が始まると、いきなり音量がでかい。まるでピアノに何か仕掛けがあるかのごとく、通常のピアニストの音をはるかに越える音が鳴り響き、鍵盤の端から端までの全領域から豪快な音が立ち上がり、音楽は迫力満点で進んでいく。
まるで、シベリアの原野を、重たい客車を引きずりながら、ありったけの石炭を燃やしながら疾走する、巨大機関車のようなイメージが浮かんでくる。
この曲の特性として、ピアノは始終鳴りまくっているのであるが、マツーエフは常に全開で音を鳴らし、そこには繊細さや玄妙さといった芸術性にはなきに等しいが、しかしこの曲にはそんなもの無用とばかりに、楽譜が持っているパワーを、限界まで、いや限界を超えてまで解放し、やりたい放題で、輝ききらめく音をホール中に駆け巡らす。そのテンションは、エンディングに向けて、加速、増幅していき、最後は観客をぶん殴るかのごとき、和音の巨大な柱が群れをなしてステージから飛んできて、観客は圧倒されて、幕となる。しばしの沈黙ののち、観客からは大歓声、それから大拍手。
いやはや、凄いものを見せてもらい、聴かせてもらった。
まさに名人芸、ヴィルティオーソとはこの人のことを言うのだと思った。
CDで聴くだけでは分からない、生のコンサートの真の魅力を久々に経験できた。
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