旅館:たから湯@西人吉
山間の温泉地人吉の、明治創業の老舗旅館「たから湯」。
もとは豊富な温泉をいかしての湯治宿だったのだが、今のオーナーが、温泉に加え宿泊そのものが旅の目的となるような魅力的な宿にしようという思いでリフォームを行い、それからは人吉では異質の、独自の個性を持つ宿となっている。
旅館はなかに入ると、大まかな造りは古民家のようであるが、調度品はどれでも一流の洋風のものであり、その対比がおもしろい。
そして部屋に案内され、庭を見ると、紅梅が満開であった。
和と洋の調和が、この宿のコンセプトらしい。
部屋は二部屋からなり、和室と洋室である。
洋室のほうは、ソファ、椅子、それにベッドの質がすばらしい。
現代風な趣が強いロビー、部屋とはことなり、大浴場は昔からのものが保存されており、湯治の雰囲気を残したままのレトロなものである。
源泉掛け流しの湯は、とてもきもちがよい。
「たから湯」の夕食は、ダイニングにて。このスペースもまたテーブル、椅子、すべて一流のものが揃えられており、美しい空間であった。
そして食事は、球磨川流れる山深き地人吉、という場所からは、ジビエや山菜などをふんだんに使うようなものを予想していたら、まったくちがって本格的な会席料理であった。
まず前菜から、その繊細で丁寧な仕事に印象を受ける。
椀物は蛤真丈で、蛤の濃厚な味がうまく描出されている。
造りは赤貝とサヨリで、山のなかで食べるようなものでもないのだが、とても良い素材である。焼物は鰆で、炊きものは甘鯛であり、これもまた同様にいい素材であり、そして調理もそれを生かす技術の高いものである。
見てわかるように華やかな演出を行った料理の数々であるが、それを盛る器がまたどれも質の高いものばかりであった。
全体として、一流の和食店に引けをとらない、旅館の枠を超えたような、見事な料理であったと思う。
朝食は、夕食とは変わって、地元の野菜や、名物を使った、田舎風の素朴なもの。
これもまた美味しいものであり、この宿では、二通りの料理に味わいかたをできる。
宿のつくりも、温泉も、接客も、そして料理もどれも高レベルのものであった。
だいぶと前に、旅慣れた人から、人吉の「たから湯」はいいよと教えられ、ずっと気にはなっていたが、いざ訪れてみると、たしかに素晴らしい宿であった。
そして、人吉といえば、やはり鮎が食の名物なので、いつか鮎の時期にまた来たいと思った。
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