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March 2018の記事

March 09, 2018

潮福蒸気石鍋@尖沙咀

 香港食べ歩きツアーは、「確実に美味しいものが食べられる定番の店」と「珍しい料理を求めての新規開拓店」の組み合わせで構成されている。
 今回の新規開拓店の第一は、尖沙咀の「潮福蒸気石鍋店」。

 料理は海鮮蒸し+雑炊であって、いかなるものかの説明が少々しいのであるが、写真を使って説明。

【素材】
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 蒸しものは、これらの海鮮ものから選ぶ。タラバガニやロブスターのような高級海鮮もあり、貝類、魚類、種類はさまざまである。

【薬味】
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 蒸し上げられた素材は、好みの薬味で味をつけて食べる。
 四川の名物火鍋料理と同じような方式である。

【石鍋】
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 これがこの料理の肝要なところである。
 蒸し鍋に水のみを張るのでなく、米やホタテなどを入れて加熱する。ここから蒸気を出すと同時に、上で蒸された素材のエッセンスが下に零れ落ちて来ることから、それらば混ざり、複雑にして濃厚な味の雑炊がのちに誕生する仕組みである。

【蒸したもの】
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 浅蜊、ホタテ、ハタ、海老、鶏肉、野菜、等々が蒸されて、各人の好みのたれをつけて食される。
 ただ蒸すものはおもに海鮮のものなので、もとより塩味がついており、素材がいいものを使っているので、タレなしで十分に美味しかった。

【雑炊】
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 海鮮蒸しを存分に食べたところで、〆はこの雑炊。
 各素材の良いところがミックスされた豊穣な味の雑炊であり、みごとに〆ることができた。
 日本ではみかけないユニークな料理であり、おもしろい食体験をあじわえた。

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ラフマニノフピアノ協奏曲第3番@ ピアノ:マツーエフ

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 近頃毎年訪れている、春の香港芸術祭。
 今回のメインの目的は、マツーエフのピアノ演奏によるラフマニノフ協奏曲。
 超絶的なテクニックの持ち主で有名なマツーエフの得意とする曲であり、期待大である。

 舞台にマツーエフが現れると、熊なような立派な体格であり、まずそれに驚かされる。
 そして演奏が始まると、いきなり音量がでかい。まるでピアノに何か仕掛けがあるかのごとく、通常のピアニストの音をはるかに越える音が鳴り響き、鍵盤の端から端までの全領域から豪快な音が立ち上がり、音楽は迫力満点で進んでいく。
 まるで、シベリアの原野を、重たい客車を引きずりながら、ありったけの石炭を燃やしながら疾走する、巨大機関車のようなイメージが浮かんでくる。
 この曲の特性として、ピアノは始終鳴りまくっているのであるが、マツーエフは常に全開で音を鳴らし、そこには繊細さや玄妙さといった芸術性にはなきに等しいが、しかしこの曲にはそんなもの無用とばかりに、楽譜が持っているパワーを、限界まで、いや限界を超えてまで解放し、やりたい放題で、輝ききらめく音をホール中に駆け巡らす。そのテンションは、エンディングに向けて、加速、増幅していき、最後は観客をぶん殴るかのごとき、和音の巨大な柱が群れをなしてステージから飛んできて、観客は圧倒されて、幕となる。しばしの沈黙ののち、観客からは大歓声、それから大拍手。

 いやはや、凄いものを見せてもらい、聴かせてもらった。
 まさに名人芸、ヴィルティオーソとはこの人のことを言うのだと思った。

 CDで聴くだけでは分からない、生のコンサートの真の魅力を久々に経験できた。

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香港100万ドルの夜景

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 香港といえば、その美しさから「100万ドルの夜景」と称される、香港一帯を見下ろすヴィクトリア・ピークからの夜の眺めが、一番の名物である。
 しかし近年は中国大陸からの大気汚染物質により、空気がよどんでいるために、夜景はその美しさを減じてしまって、100万ドルは、今では「50万ドル」あるいは「10万ドル」なみにデフレを起こしてしまっていた。
 私も4年前に初めて香港を訪れた時に、初日真っ先に観に行ったのが夜のヴィクトリア・ピークであったが、残念ながら天気は晴れなのに、あたりはガスに覆われ、靄った空気を通してのぼんやりした香港の夜の眺めは、たいして興あるものではなかった。

 その後香港をいくど訪れても、空気のよどみは変わらず、そのうちこの100万ドルの夜景に関して興味を失っていたのだが、……今回香港を訪れたところ、終日空は澄んでおり、いつもたちこめていたスモッグのごときものは消散していた。

 これは、香港訪問5回目にして初めて100万ドルの夜景を見るチャンスだと、夜にヴィクトリア・ピークを訪れてみた。 
 そしてそこから観る、香港の夜景。 
 じつに素晴らしいものであった。

 海に陸の建物の明かりが映える、港町はどこも夜景が名物となるけど、香港の場合は、その光源である陸の建物群が複雑であり、それでここに独特の趣を与えている。
 海に近き商業地区にある現代的ビルディング群は、LEDならではの鮮やかな明かりを放ち、かつスタリリッシュであるけど、そこから離れた居住地区の高層ビル群は、数十年も前に建てられたものであり、落ちついた人の生活を示すようなあたたかな橙色の明かりを灯し、これらの長い歴史が混ざった混淆の夜景が、香港というカオスな都市の魅力を一目みれば納得させる説得力をもっていた。

 5回訪れて初めて経験することのできた、香港随一の名物「100万ドルの夜景」。
 ようやく、その名前の通りの景色を観ることができた。

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March 05, 2018

The last dinner at 光洋

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 宮崎市の寿司の名店「一心鮨光洋」は、元は一心鮨という店を経営していた先代が、新たに光洋の名を冠した分店を開き、そこで先代の4人の息子たちが各々の力を合わせて、時代の先端を行くような味をつくりあげてきた店なのであるが、そのうち次男・三男が独立して鹿児島に店を開き、今は長男・四男が店のコンセプトをつくっている形式となっている。
 長男の名が一洋で、四男の名が一光なので、「光洋」という店の名が、これでぴったりということにはなっていた。

 光洋を私が初めて訪れたのは、もう10年以上も前のことである。……月日の経つのは早いものだ。私も年取るわけだ。そして大将も前は新進気鋭の若者鮨職人というイメージだったのだが、今はもう確固たる地位ある中堅どころ、といった感じになっている。
 その円熟の時期を迎えてきた大将率いる光洋であるが、なんと3月15日で大将は光洋を辞めて、それから海を渡って、海外で鮨を握ることを決めたそうだ。

 人生は一度しかないのだから、なにかをやる気力、体力のあるうちに、新たなことにチャレンジして人生の幅を広げて行く、という心意気はよく分かるし、応援もしたいけれど、この報を知りまず思ったのは、「あれ、じゃあ光洋って名前はどうなるのだろう?」ということであった。

 それを調べるために、さらに締切迫った大将の鮨を食すために、光洋へとGo。

 光洋の鮨ほど、変化というか進化してきた鮨もないのではあるが、この店での最終形態としては、ネタもシャリも旨さを重視して、華やかな、色気ある鮨、というものに行き着いたようである。
 そして、ソムリエ一光氏によるワインのペアリングは、見事にその系統の鮨に決まっており、特に鮨に赤ワインをあわせるという、一見無謀な技が、破綻なくうまく決まとまっていたのはたいしたものだと思う。

 鮨とワインに舌鼓をうちつつ、この店は次は「一心鮨一光」か「一心鮨光」に変わるのかい?と聞いてみたら、「みなさん、そういうことを言いますが、んなことはありません」とのことであった。
 それでも、これからは一光氏が店をひっぱっていくことになるのであり、中身としては光洋からは変容していかざるを得ないであろう。まあ、一光氏は料理・酒の造詣深い、発想力豊かなアイディアマンであり、チャレンジ精神旺盛な人なので、ユニークでいい方向に変容していくのはまちがいない。

 光洋のいったんの時代は終わり、そしてまた新しい光洋を、これからも楽しませてもらおう。

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March 04, 2018

春の人吉散策

 土曜は3月3日であり、また今は梅の季節でもあるので、人吉では「ひなまつり」と「梅まつり」の二つを行っている、と宿にあった観光パンフレットに載っていた。
 それで、それを見に人吉を散策。

【青井阿蘇神社】  
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 人吉、といえばまずは熊本唯一の国宝である青井阿蘇神社を訪ねよう。
 国宝だけあって、重厚な茅葺の楼門が、圧倒的な存在感を示している。この楼門をくぐったあとの神社も、厳かな気配に満ちている。

【ひなまつり】   
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 青井神社の前の人吉のメインロードが、ひなまつりの会場となっている。
 各商店には雛人形が飾られ、華やかな雰囲気である。

【よさこい祭り】 
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 この祭りのイベントとして、各所でよさこい祭りが行われていた。
 好天のもと、若者たちが楽しそうに踊っている。

【石野公園】 
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 続いて、ひなまつりの催しものをやっているとのことで石野公園へ。
 しかし、まだ準備中であって、出店もでていなかった。
 それでも展示されていた雛人形はどれも立派なもので、見ごたえがあった。

【人吉梅園】
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 人吉の梅の名所、「人吉梅園」。
 例年なら今くらいが旬のはずだが、今年は2月が幾度も寒波が訪れたせいか、ほとんどが蕾であって、ときおり花をつけている梅も、せいぜい3分咲といったところであった。
 あと1~2週間後が見頃のようであった。

 そういうわけで、春の本格的な訪れはまだまだだなと思いながら歩いた、梅園であった。

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March 03, 2018

旅館:たから湯@西人吉

 山間の温泉地人吉の、明治創業の老舗旅館「たから湯」。
 もとは豊富な温泉をいかしての湯治宿だったのだが、今のオーナーが、温泉に加え宿泊そのものが旅の目的となるような魅力的な宿にしようという思いでリフォームを行い、それからは人吉では異質の、独自の個性を持つ宿となっている。

【庭】
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 旅館はなかに入ると、大まかな造りは古民家のようであるが、調度品はどれでも一流の洋風のものであり、その対比がおもしろい。
 そして部屋に案内され、庭を見ると、紅梅が満開であった。

【部屋】
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 和と洋の調和が、この宿のコンセプトらしい。
 部屋は二部屋からなり、和室と洋室である。
 洋室のほうは、ソファ、椅子、それにベッドの質がすばらしい。

【大浴場】
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 現代風な趣が強いロビー、部屋とはことなり、大浴場は昔からのものが保存されており、湯治の雰囲気を残したままのレトロなものである。
 源泉掛け流しの湯は、とてもきもちがよい。

【夕食】
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 「たから湯」の夕食は、ダイニングにて。このスペースもまたテーブル、椅子、すべて一流のものが揃えられており、美しい空間であった。
 そして食事は、球磨川流れる山深き地人吉、という場所からは、ジビエや山菜などをふんだんに使うようなものを予想していたら、まったくちがって本格的な会席料理であった。
 まず前菜から、その繊細で丁寧な仕事に印象を受ける。
 椀物は蛤真丈で、蛤の濃厚な味がうまく描出されている。
 造りは赤貝とサヨリで、山のなかで食べるようなものでもないのだが、とても良い素材である。焼物は鰆で、炊きものは甘鯛であり、これもまた同様にいい素材であり、そして調理もそれを生かす技術の高いものである。

 見てわかるように華やかな演出を行った料理の数々であるが、それを盛る器がまたどれも質の高いものばかりであった。

 全体として、一流の和食店に引けをとらない、旅館の枠を超えたような、見事な料理であったと思う。

【朝食】
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 朝食は、夕食とは変わって、地元の野菜や、名物を使った、田舎風の素朴なもの。
 これもまた美味しいものであり、この宿では、二通りの料理に味わいかたをできる。


 宿のつくりも、温泉も、接客も、そして料理もどれも高レベルのものであった。
 だいぶと前に、旅慣れた人から、人吉の「たから湯」はいいよと教えられ、ずっと気にはなっていたが、いざ訪れてみると、たしかに素晴らしい宿であった。
 そして、人吉といえば、やはり鮎が食の名物なので、いつか鮎の時期にまた来たいと思った。

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登山:仰烏帽子山@五木村

 3月になって気温も高くなり、九州では雪山の季節はほぼ終わりのようである。
 それで春の山を楽しもう、ということで、春を告げる花「福寿草」で有名な仰烏帽子山に登ってみることにした。

【登山道】
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 元井谷第二登山口から、なだらかな稜線を歩いて行く。
 本日は福寿草目当ての登山客が多く、山はにぎわっていた。
 前方に、福寿草の多いエリアである仏岩、それに仰烏帽子山が見えている。

【登山道】
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 仰烏帽子山はよく整備されており、標識に従って歩いて行けば、福寿草を見逃すことはない。

【福寿草】
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 今日は曇りだったので、日光によって花開く福寿草はあまり咲いていないかなあ、と少々心配していたが、この天気でも、福寿草は元気いっぱいに花を咲かせていた。
 この花の色は、艶々とした、輝く黄色であり、その名のとおり、福を発散させているかのような活気がある。
 一輪咲のもの、複数がよりそっているもの、群落のもの、それぞれに味と雰囲気があり、楽しませてもらった。

【仏岩】
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 てっぺんからの展望が良い、仏岩にも登ってみる。
 「登ると危険」と書いているが、登山禁止、というわけではない。
 ルートは険しく、あやしげなロープが垂れているが、それがガイドとなり、登る道ははっきりしている。

【仏岩】
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 仏岩からは周囲の展望が良好。
 そして、頂上には御地蔵さまが祀られている。
 その近くに、福寿草が一本あったけれど、もう花は散っていた。
 これが咲いていたなら、御地蔵さまといいツーショットになったのであるが。

【登山道】
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 仏岩からは山頂へと向かう。
 山頂近傍にはまだ雪が残っていた。
 そして、雨が降りだしてきた。
 天気予報では15時から雨とのことだったのだが、山岳地方はそれよりも早く雨が始まってしまったようだ。
 もう展望はきかないだろうから、山頂に行く意味もないのだが、でも近くまで来たので、ついでに登ってみた。

【仰烏帽子山山頂】
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 何はともあれ山頂到着。
 ここからは脊梁山地の数々の山が見られるはずだったが、雲と霧でよく見えず。
 そしてそれからは強くなる一方の雨のなか下山。

【元井谷登山口】
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 福寿草見物に来ていた人たちの多くは、山頂には寄らずに下山したようで、私が登山開始したときはほぼ満車状態であった駐車場は、すっからかんになっていた。

 午後からの雨は余計であったが、第一目的の福寿草は十分に堪能できた、いい登山であった。


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