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February 2018の記事

February 25, 2018

平昌オリンピック雑感:「兄より優れた弟など存在しない」& 高木姉妹の話 

Brothe


 冒頭の句、「兄より優れた弟など存在しない」は、コミック「北斗の拳」からのものであり、この台詞を放った人物ジャギの悪辣なキャラのインパクトもあって、名言・名言の宝庫である当作中でも、もっとも有名なものの一つである。
 この台詞、客観的には「人それぞれだろう」の一言で済ませばいいだけのことにも思えるが、しかし、当事者、すなわち優秀な弟(妹)をもってしまった兄(姉)にとってはなかなか深刻であり、奥が深い、そういう台詞とも言える。

 話は本題に移る。
 8年前のバンクーバーオリンピック、その時スピードスケートの選手のメンバーに15歳の高木美帆が選ばれた。当時のスピードスケートにおける有名な選手は、橋本聖子、岡崎朋美といったところであり、失礼ながらこの種目は、年配の女性が活躍する分野と一般的に認識されていたところ、突如一世代以上違う若い中学生が登場したわけで、それは鮮やかな印象を与えた。
 もちろん彼女はオリンピック選手に選ばれるだけあって、抜群の実績もその若さで築いており、当時は「スケート界の宝」、「日本一有名な中学生」などと称された。今でいえば、将棋の藤井六段みたいなものであり、それほどセンセーショナルなものであった。

 彼女がスケートを始めたのは、兄、そして姉がスケートを行っていたからである。両者とも優秀なスケーターで、特に姉の菜那は小学生、中学生の全国大会で優勝するほどの実力者であった。
 この優秀なる姉に憧れ、その背中を追いかけていた、妹美帆は、じつは天才であった。リンクに上がるたびに速度を速めて行き、その勢いで中学生の新記録を連発して、あれよあれよといううちに実力者の姉を追い抜いてしまった。そして、スピードスケート史上最年少でオリンピック選手に選ばれた。

 姉、高木菜那にとっては、これは面白くないに決まっている。自分のマネをして競技に入った妹が、じつは天才であって、自分が努力のすえに築いてきた地位をあっさりと追い越してしまったのだ。あまつさえ彼女は有名人となり、自分はどこにいっても「高木美帆の姉」と認識されるようになってしまったのだから。
 妹が幼いころは、当然はるかに自分に劣っていたわけで、それを教え鍛えていたら、いつしか自分を凌駕する存在になってしまい、あの台詞じゃないが、「姉より優れた妹がいるなんて・・・」と、忸怩たる、あるいは憤怒の思いはずっとあったであろう。

 とまれ、ここで終われば、「優れた妹が、あっさり姉を追い抜いた」、ありふれた話に過ぎなかった。けれど高木姉妹の物語はこの後二転三転する。

 新星のごとく現れ、将来を嘱望された高木美帆は、しかし、バンクーバーののち失速し、その恵まれた才能を花開かせることはなく、低迷することになった。
 それを横目に台頭したのが姉の菜那である。彼女は妹に強いライバル意識を持ち、不屈の努力を重ね、次のソチオリンピックの代表選手に選ばれるまでに己を鍛え上げた。

 これに衝撃を受けたのが、高木美帆である。一時ははるかに追い抜いたはずの姉が、追い抜き返してしまった。口惜しくないはずがない。
 これからまた姉妹のバトルが始まる。姉妹の専門は中長距離だったので、分野が重なる。オリンピックに出場できる選手には枠があるので、姉妹はその狭い枠を目指して努力するわけだが、とにかく相手に抜きんでねば、出場できるチャンスが大きく減ることになる。
 そのバトルについては、姉妹愛など全くない、とにかく相手に勝たねばの意識の強い、修羅の世界であった。高木姉妹は、両者正直な人であり、そのあたりの事情を赤裸々に語っていて、読んでてたいへん面白いのだが、当事者にとっては面白いどころの話ではなかったであろう。


 そして話はようやく現在、平昌にたどりつく。
 彼女らの切磋琢磨たる努力は、二人を同時に平昌オリンピックに導いた。
 ただし、その実績ははるかに妹美帆が上であった。彼女はその天賦の才能を花開かせ、世界における中長距離の第一人者となり、ワールドカップでは何度も優勝もはたしていた。
 そして高木美帆は平昌でも活躍し、個人種目で銀・銅のメダルを獲得した。残るは金である。

Ceremony

 そして、迎えた団体パシュート。3人のメンバーのうち、2名は高木姉妹であり、彼らは、見事な滑りをみせて圧勝して金を獲得した。そしてこの金を得たのは高木美帆の力に多くかかっていた、というのは衆目の一致するところである。彼女が強大な動力源となり、チームを引っ張ったことによって、あのオリンピックレコードとなる速度を出せたのである。
 もっともパシュートはチームの統一も重要な勝ちの要素であり、日本がそれに最も長じていたのは事実であって、それには高木姉妹の、姉妹ならではのコンビネーションも大いに預かっていたであろう。

 高木菜那は、フィジカルには及ばず、とうてい勝てなかった妹に、それを戦術的にサポートすることにより、お互いを高めて、世界のトップに上り詰めることができたのだ。妹よりも優れていなかった姉は、しかしそれを自覚して、サポートすることにより、己も高めることができたのだ。

 姉妹の厳しき葛藤の物語は、平昌で美しく結実したのである。


 ・・・というふうに、話をしめるはずだったが、この姉妹の物語には次の章があった。

 女子スピードスケートの最終種目「マススタート」の選手に高木菜那は選ばれていた。この種目は競輪みたいなものであって、肉体的な力とともに、智略も要され、全体を通して優れた戦略をめぐらす必要がある。
 彼女は完璧といってよいレース運びで、なんと優勝を果たした。
 妹が個人種目で果たしていなかった金を獲得したのである。

Gold

 天才の姉も、じつは天才であったのだ。今までそれに人が気付かなかったのは、才能の方向が違っていたからであって、姉はきちんとその方向の才能を伸ばしていたのである。

 高木菜那は、これからは「高木美帆の姉」扱いはされることなく、ピンで主役を張れる、本来もっていた実力にふさわしい扱いを受けることになるであろう。そしてそれはさらに高木姉妹の力を向上させていくであろう。

 最初のほうで、スピードスケート界の年齢の話をしたけど、今回500mで31歳で金メダルをとった小平選手の例をみてもわかるとおり、この競技は息の長いものであり、この姉妹の物語はまだ続いて行くに違いない。

 4年後、北京での彼女らの活躍が今から楽しみである。

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February 24, 2018

登山:雪の向坂山@五ヶ瀬

 2月も終わりに近づき、そろそろ九州の雪山シーズンは終わりそうである。
 雪山シーズンが終わる前に、ひとつやらないといけないことがあった。
 先日、広島の吉和冠山に登ったとき、大量に積もった雪に私は難儀したけど、ワカンとスノーシューを装着した山岳会のパーティは、ブルドーザーのごとく、雪を踏み固めてぐんぐんと進んでいき、私は感心したのであった。
 それで、その感覚を味わいたく、とりあえずはスノーシューを通販で購入した。

 スノーシューは手にいれたが、どこの山で使うべきか?
 九州の山で、アプローチが良くて、スノーシューを使うほどの雪の量がある山って、私には五ヶ瀬の向坂山近辺しか思いつかなかったので、晴天の土曜日、向坂山にでかけることにした。

【五ヶ瀬スキー場】
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 2月の第四週はあまり雪が降ってなかったらしく、標高1300mの五ヶ瀬スキー場は、雪はとぼしい。
 でも標高1500mを越えたあたりの山肌には、雪は豊富にありそうなので、それを期待して登っていこう。

【林道入り口】
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 向坂山の登山口は、スキー場ゲレンデの一番上にあるので、リフトを使っていけばいちばん手っ取り早い。
 しかし、山登りに来ているのに、そういうわけにもいかないので、リフト乗り場横の林道から登っていく。

【白岩林道】
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 林道は傾斜も緩く、雪もたいして積もっていないので、アイゼンなしでいいだろうと思っていたけど、日の当たり具合で、ツルツルに凍っており、結局アイゼン歩行。

【林道】
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 リフトの下をくぐると、そろそろゲレンデが近い。

【スキー場ゲレンデ】
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 スキーヤー、ボーダーの集うゲレンデに到着。
 登山口はこのゲレンデの上にあるので、ひとの邪魔にならないように、ゲレンデの左端を登って行く。

【スキー場ゲレンデ】
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 リフトから下りて、滑る順番を待つ人達。
 今日は天気がよく、楽しい滑りが楽しめそうである。

【登山口】
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 私は滑るわけにはいかないので、登山口から雪道に入って行く。
 予想通りのいい雪の積もり具合であり、ここからスノーシューを装着。

【登山道】
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 向坂山までの登山道には、昨日歩いたものらしい、スノーシューによるトレースがあった。

【向坂山山頂】
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 登山口からはあっさりと山頂に到着。
 先行者のトレースはここまでであった。

【登山道】
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 向坂山山頂からは、扇山へつながる霧立越というなだらかな稜線ルートが始まる。
 誰も通ったあとのない、白い雪の上を歩いていく。

【登山道】
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 人は誰も歩いていないが、獣の足跡は残っている。
 餌を求めての稜線歩きなのだろうけど、たぶんこの雪の稜線に餌はない。

【白岩峠】
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 向坂山から白岩峠までは、途中にけっこう急峻な下りがあった。
 スノーシューは登るには便利だけど、下りは踵の踏ん張りが効かない構造になっており、さほど雪にスノーシューが沈まないと制動が難しい。
 慣れていないものだから、スキーの横滑りの要領で降りていったら、足が微妙にねじれるので、踵付近がだんだんと痛くなってきた。

【登山道】
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 白岩峠からは、白岩山に向けてしばし登ったが、最初の小ピークでそこからのアップダウンをスノーシューで進むのが億劫になり、そこで引き返して下山することにした。

 白岩峠からの下りの道は、雪が稜線よりも豊富でかつ、まだ固くなっていなかったので、スノーシューの本領を発揮しての快適な雪道歩きとなった。

 スノーシュー、使いこなすにはまだまだ山行の数が必要だろうけど、もうそろそろ雪山シーズンは終了なのが今となっては残念。

Kousakayama


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February 18, 2018

第一回ディスカバリーグルメライド in 児湯

 宮崎は地形の変化に富んでいるし、そして国道10号線を除いては、たいていの道路は車の交通量が少ないので、自転車を走らせるのにいい環境の地である。
 それで各地でいろいろとサイクルイベントが開かれているのだが、今回は児湯郡が第一回のサイクリング大会を催すことになった。自然の豊かさを生かしてのコース取りと、そして児湯は5つの町から成っているのだが、その町の名物をエイドで供するという、グルメプランもつけた魅力的な大会である。

 当日は好天で、そして気温もさして低くなく、よいサイクリング日和となった。

【川南町役場】
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 開会式のあと、午後8時半に数十人ずつでスタート。
 400人近く参加していたので、なかなかのにぎわいである。

【都農ワイナリーへの坂】
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 ロングコースは、走行距離100km 獲得標高1265mという、けっこう坂の多いコース取りである。
 まず最初の坂は綾ワイナリーに到る、100mほどの坂。ここは序盤なので、みな元気である。

【都農ワイナリー】
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 一番目のエイドは都農ワイナリー。
 都農町を見下ろす高台にあり、見晴らしがよい。

【トマト鍋】
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 都農はワインとともに、トマトも名物である。それを使った、甘酸っぱいトマト鍋。
 それに、都農産キャンベルジュースも。

【高鍋大師前】
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 ワイナリーからは都農神社に下って、海岸線に沿って高鍋方向へと走る。
 途中で横をエイル宮崎の高速列車が追い抜いていったので、それに便乗して、高鍋までついていかせてもらい、ずいぶんと楽をさせてもらった。

【高鍋】
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 2番目のエイドは高鍋中央公園。
 高鍋は、餃子が有名で、老舗の店もある。その一つの「たかなべギョーザ」。
 ただ、今回は初回ということもあり、段どりが悪く、参加者の到着時刻を読み違っていたようで、餃子を料理するのが間に合わなく、餃子の焼き上がりを待つ長蛇の列ができてしまった。
 まあ、最初はこんなものでしょう。

【新富町へ】
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 高鍋からは新富町へは、大崩チームと合流してサイクリング。
 このあたりは基地があるので、ときおり戦闘機が上空を飛ばないかなあとか思いながら走ったが、結局飛来せず。
 それにしても、本日の空は美しかった。

【新富町新緑園】
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 3番目のエイドは昼飯時であり、カロリー高めの鶏炊き込み御飯の御握り。それに、この地の名物のきんかん「たまたま」、それにイチゴ。たまたまもイチゴもたいへん糖度が高く、いいカロリー補給となる。

【木城町 鹿遊茶屋】
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 新富からは小丸川沿いの道を木城まで走り、鹿遊茶屋に到着。
 
【蕎麦】
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 木城町の名物、地元産の蕎麦粉を使った、温かい蕎麦。
 このエイドのあとに、200mの坂が待っているので、しっかりと栄養をつけておこう。

【大崩チーム】
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 高鍋から木城までは、大崩チームと一緒に走行した。
 本日がロードバイクデビューというN氏が参加していたので、チームの速度は遅めかと思っていたら、N氏は山で鍛えているだけあって、相当に早い。それで、途中で写真を撮ったり、ウインドブレーカーの脱着などしていたら、その都度追いつくのが大変だったので、ここでチームを見送り、あとはのんびりとゴールへ向けて走ることにした。

【木城の坂】
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 木城から高鍋までは、標高200mを越える九十九折りの坂を登っていく。
 本来ならさほどたいしたものではないのだが、サイクリングの終盤の坂なので、けっこう脚にこたえた。

【川南へ】
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 峠を越えたあとは、尾鈴山を見ながら平坦な道を行く快適サイクリング。

【川南町役場】
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 そうして100kmのサイクリングを終え、ゴールの川南町役場へ。
 ここでも名物料理は用意されていて、あら汁、魚寿司、ぴんちゃんコロッケ。
 川南は漁港のある地で、魚も有名なのである。


 この大会、ボランティアの数が多く、コースの案内が丁寧であり、道を間違えたりするような心配はまったくなかった。
 地元の人がつくりあげた、手作り感ただよう大会であり、今後人気がでてくるであろうと思われた。


Koyu_cycling

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February 17, 2018

雪の久住登山

 オリンピックが始まり、金曜日はフィギアスケートSPで羽生選手の渾身の演技を見て感嘆し、翌土曜日はフィギア本番のFPを見ながらゆったり過ごそうと思った。その次の日には、100km走るサイクリング大会にエントリしていることもあるし。

 しかし天気予報によると九重方面は土曜日は快晴とのこと。金曜日にこの山域は雪が降ったので、雪山登山としてはベストコンディションである。これは登らないわけにはいかないので、オリンピック観戦は断念して、久住へ登山することにした。

【牧ノ戸登山口】
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 標高1330mの牧ノ戸登山口。予想に反して、雪の量は少なく、あまり降らなかったようだ。そしてその雪のすぐ下には固まった氷があり、登山口からアイゼンを装着して登山開始。

【登山道】
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 予報通りに、空は晴れ渡っている。

【西千里浜】
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 西千里浜に出ると、久住山と星生崎の並び立つツーショットが見られる。

【星生山】
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 西千里浜からはまずは星生山に登ってみた。
 稜線上に出ると、風はとても強い。
 本日は、冬型の気圧配置で、北海道から東北にかけて台風なみの暴風が吹き荒れていたとのことであったが、この高さだと、九州でもたいへんな強風が吹いていた。
 おかげで気温は高めだったのに、体感温度が低くなり、岩陰に退散してダウンを着こむことになった。

【西千里浜】
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 星生山からみおろす西千里浜。雪と氷の混じった風景である。
 遠くには祖母山が見える。

【登山道】
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 星生山を下りて、それから久住分れへ向かう。凍った雪道で、アイゼンを利かして登って行く。

【久住分れ】
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 この登山道では、高度をあげていくうち久住分れの標識が見えてくるはずなので、いつまでたっても見えないので変に思っていたが、着いてみると、標識が倒れていた。
 初めて見る光景。
 なにが原因だったのだろう?

【ロボット岩】
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 久住山には久しく登っていなかったので、頂上手前のロボット岩を久々に見る。
 なんだか懐かしい。

【久住山】
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 久住山頂。
 晴天のもと、九重の山々を望む。
 九重の山で最も雪が多く積もるのは、星生山から硫黄山にかけての山麓だけど、本日もそのとおり。
 ここに登山道があれば楽しいのだろうけど、噴火と植生保護のため、ずっと通行禁止が続いている。

【登山道】
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 久住山からは稲星山へと向かった。久住山も風が強かったけど、稲星山の稜線に出ると、台風なみの暴風が吹き荒れていた。
 まともに立って歩けない状況となり、身をかがめて、一歩ずつ慎重に歩を進めて行った。

【稲星山】
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 山頂に近付くと更に風は強くなり、この周囲では風に雪が吹き飛ばされ、まったく積もっていなかった。

【稲星山】
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 たいへんな苦労をして登った稲星山。
 山頂は当然最も風が強く、さっさと退散して、中岳へ向けて下って行った。

【登山道】
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 中岳方面への登りは、中岳が風除けになっているので、風は弱く、そして雪も多く残っていた。

【中岳】
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 中岳、ここからの展望も素晴らしい。
 星生山からと比べ、さらに大船山が近付いて見える。やはり雪、および霧氷はなく、本日大船山でなく、こちらに登って正解であった。

【御池】
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 この時期の久住の名物、凍れる御池を山頂から見下ろす。
 中岳からはここを経由して下山しよう。

【御池】
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 強風の影響からか、御池の上には雪はなく、水平な氷のみが張っている。見事なまでにツルツルであり、ソリやスケートで遊べたなら楽しかったであろう。
 そして本日の青い空を映し、氷も青く染まり、いつになく美しかった。

【西千里浜】
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 午前中は雪と氷が広がっていた西千里浜は、午後には雪は溶けており、本日の暖かさと日光を示していた。

 雪と霧氷に関しては少々期待はずれだったけど、冬特有の空の濃い青さが印象的な登山であった。

 そして帰宅して、テレビを見ると、男子フィギアスケートは日本勢が素晴らしい演技をみせて、ワンツーフィニッシュであった。
 ライブで見たかったけど、まあしょうがない。こういう日はやっぱり山に登らないと。


Kujuu1802

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February 11, 2018

登山:吉和冠山@広島

 寒気団がいったん退いた土曜日と異なり、また戻って来た日曜は、広島市でも朝から小雪が降っている。これは山のほうは、もっと雪が期待できるであろう。
 それで予定通りに吉和冠山に向けて出発。

【県道30号線】
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 広島市から廿日市経由で下道を行く。この時点でいい雪の積もり具合である。

【潮原温泉】
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 吉和冠山の登山口駐車場にあたる潮原温泉に到着。
 雪は順調に降っている。雨だとたまったものではないが、雪ならおおいにけっこうである。
 そして駐車場には宇部市のバスが止まり、そこからぞろぞろと登山者が降りて、そして山へと向かっている。総勢20名は越えている。
 これだけの団体が登るなら、いいトレースが出来ているだろうなと、すこし安心する。

【林道】
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 団体が過ぎたあとの雪道は、高速道路なみの高規格トレースが出来ており、踏み固められた道はとても歩きやすい。

【登山道】
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 林道はやがて川を渡る橋から登山道となる。ここが登山口である。

【登山道】
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 やがてさきほどのグループに追い付いてきた。
 宇部山岳会の人達であって、いくつかのグループに分かれての登山。この先にあった広場で休憩しているところを私が抜いたが、まだトレースは先にあった。
 この登山会の先発隊がラッセルして道を開いているとのことであり、それをつけていけばいいよとのアドバイスをいただいた。

【登山道】
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 吉和冠山までの道は、半分ほどは川沿いの道であり、いくつかの丸太橋を越える。

【登山道】
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 本日の天気予報は、「雪ときどき晴れ」という微妙なものであったが、その予報通りときおり雲の切れ間から太陽がのぞき、そうなると陽光が雪原に射して、きれいであった。

【登山道】
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 クルソン仏岩出会を越えたあたりの、ゆるやかな尾根筋で、山岳会の先発隊のラッセル部隊に追い付いた。
 すぐ後につくのも妙なので、つかずはなれずの距離でついていった。
 そのうち、先発隊は進むのを止め戻って来た。
 なんでも後続隊が昼食にしたいと言うので、いったん下方の広場に戻ってそこで食事にするとのことであった。

【登山道】
6

 というわけで私の前に、ふかふかの新雪が広がった。
 今まではただトレースを追ってきただけなので、改めて現在地をGPSと地図で確認する。
 そうするとあと200mくらい尾根筋を歩き、そしてそのあたりで吉和冠山の山頂への傾斜にとりついて、あとはひたすら100mほどの高さの急登をのぼっていけばいいということが分かった。
 雪舞うなか樹のあいま、前方にぼんやり見える小高い山が吉和冠山の山頂であろうから、山頂まではさほど時間はかからなそうである。(あとで大間違いと判明)

 とりあえず行程を頭に入れたのち、ラッセルしていく。雪の積もりぐあいは、膝ラッセルというところ。気持ちよくトレースを伸ばしていくうち、後ろからなにやらドタバタといった感じで登山者が現れて来た。それは先の先発隊のうちの2名であり、どうやら予定が変更となって、山頂で昼食をとることにしたようであった。
 2名は私にあっさりと追いついたけど、無理に追い抜くわけにもいかないだろうから、私を先頭にそのまま進んでいった。

 やがてそろそろ取りつき点であろうあたりに来た。いちおうGPSで確認しようと、GPSを出そうとしていたところ、私たちが先に行きましょうかと後続の提案があり、それに私はついていくことにした。先発隊はそのまま直進し、やがて山頂への最短距離の傾斜へと取りついた。

 私もラッセル部隊の一員となり、3人でラッセルを回していったけど、この急登部は雪が深く、私はツボ足だったので、やがては腰の高さまで埋るようになった。そうなると前方の雪を崩しながらそれを踏み固めてのラッセルとなり、時間がかかる。
 先発隊はワカン装着だったので、速度は早く、私がいると足手まといになってしまうので、ここで私はラッセル隊から引退。おとなしく跡をついていくことになった。

【ラッセル隊】
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 ラッセル隊装着のワカン。
 これがあるとないでは、大違いである。
 そして私一人で登ってたら、たぶん100m登るのに2時間はかかっていたであろう。
 同日に山岳会が登っていてラッキーであった。

【登山道】
7

 もっともワカンがあっても、この雪では先頭者たちのスピードは出ないので、そのうち後続の者がぞくぞくと追いついてきた。
 トレースのありなしで、速度はまったく違ってくるのが、雪山である。
 ちなみにここは崖といっていいくらいの急傾斜であったが、写真ではそれがまったく表現されていない。

【吉和冠山山頂】
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 山頂の広場には、はりだした雪庇を突破して、強引に道がつけられていた。
 霧氷がきれいであったが、雪によって展望はきかず、登頂したことのみに満足して、それから元来た道を引き返して下山。

 これだけの大人数が通ったのだから、帰りの道は簡単だろうと思っていたけど、ときおりトレースが完全に雪に埋もれているところがあった。山の各所によって、雪の降る量がずいぶんと違っていたようだ。

 そして駐車場に着くことには、降る雪はどんどん増えて、視界が真っ白になってきた。
 雪は夜もずっと降るとの予報であり、今日造られたトレースも全て夜のうちになくなってしまうであろう。

 この寒波が一日ずれていたら、土曜日も雪山を楽しめたのであるが、まあ一日でも十分に雪山を楽しめたのでよしとしよう。
 それにしても、中国山地の雪の量って、やはり九州とは比べものにならないくらい多い。うまく条件があえば、また来年も来てみたいと思った。

Photo


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February 10, 2018

寿司:吉鮨@広島市

 広島に行ったときには、是非とも行ってみるべき寿司の名店「吉鮨」。この店は、広島、というより中国地方随一の寿司の名店であり、今回の雪山ツアーでも訪れるのを楽しみにしていた。

 「吉鮨」は、広島では珍しい江戸前寿司店であり、また料理がお任せのみであり、値段もやや高めということから、少々敷居が高い、というふうに思われていたけれど、今回電話予約したさいに、料理が値段によって選べるように変わっており、初めて訪れる客も行きやすいようになっていた。
 それでネットで調べてみると、値段設定が1.5万から始まっているようであった。また以前は写真撮影禁止であったが、現在はそれも許可とのこと。

 というわけで、今回は写真を数枚使っての記事。

【炙り穴子】
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 まずはツマミから一通り。
 酢なまこ、平目と鰯、煮ダコ、炙りミル貝、茶碗蒸し、子持ち昆布みりん漬、炙り穴子、甘鯛塩焼き等々。
 どれも素材が抜群であり、そしてどれにも丁寧な仕事がなされており、和料理としても逸品。なかでも炙り穴子はこの店のスペシャリテ。まず穴子そのものが素晴らしく、それを絶妙に熱を入れており、歯ごたえも香りも見事。これを、そのまま、塩、トリュフ塩と食べ比べると、さらに味の世界が広がる。穴子で有名な広島ならではのもの、と思いきや、じつは近頃瀬戸内海の穴子は質が落ちてきて、今回のは対馬のものだそうだ。
 そして、その他にも瀬戸内海以外のものがけっこう使われるようになってきていた。地元の海が衰えて来ているのは残念であるが、それでも良い素材は広島には集まってきており、それらを厳選しての逸品の数々である。

 つまみ一通りからは、握りへと。
 つまみ同様に、全てのタネは素材が抜群に良く、それに江戸前および店主独自の丁寧にして繊細な仕事が加えられている。
 寿司店はオープンキッチンであるからして、店主の仕事ぶりがライブで見られるわけだが、それを見ていると、まさに熟練の職人芸である。
 鮨はどれも完成度が高く、店主の徹底した完璧主義がうかがえ、緊張感の高いものであり、その結果握られた鮨は形が美しく、そしてただただ美味しい。

【烏賊】
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 この烏賊の包丁の入れ方からして、芸術品のごときもの。食べるのが勿体ないような美しさであるが、食べれば、シャリとともにとろけていく素材の感触がじつに見事である。

【雲丹】
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 雲丹も、この姿だけで、その握りの技術の高さが分かる。シャリとの相性も抜群だ。


 握りは、カスゴ、キス、鯵、甲烏賊、アオリ烏賊、車海老、ホタテ、サヨリ、煮ハマ、トロタク、穴子、等々で、あとはカンピョウ巻きを追加して終了。その後は、抹茶アイスで〆である。

 料理全体、全てがレベルが高く、一貫して感心するものばかりであった。
 これほど満足度の高い寿司店もそうはないのであり、季節ごとに通いたくなる名店なのではるが、広島は遠いからなあ。
 次に来られるのはいつになることやら。

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登山:駒ヶ滝@芸北龍頭山

 2月の連休は広島まで行って、雪山に登ることにした。
 今年は例年にない大雪の年であり、中国山地にはどっさりと雪が積もっているであろうから、それを目当ての登山である。
 ただし、問題は登山口までのアプローチであり、大雪でいずこの道路も通行困難になっていることが予想されるので、なるべく幹線道路に近いところに登山口のある山を目的地に選ぶこととした。

 山渓社の「広島の山」の地図を見て、高速道のICから道路が伸びて、登山口近くに道の駅やドライブインなどの施設のある山を探すと、芸北の龍頭山と、吉和の冠山が見つかったので、まずは龍頭山に行くこととした。

 しかしながら、2月に入って猛威をふるっていたシベリア寒気団は、連休初日の土曜日にはいったん引きあげてしまい、気温は急上昇。そして気温はいいとして、前線が居座っていたので、中国地方はずっと雨の予報。
 そしてじっさいに土曜は朝から雨が降っていた。

 暖かくて、雨も降っていて、とても雪山に登る気分になれなかったが、せっかく遠方に来たので、雨足が弱まって来ることを期待して、午後に龍頭山の登山口近くの「道の駅 豊平どんぐり村」まで行って、ぶらぶらと散策。とかしているうち、本当に小雨になってきたので、とりあえず登山口まで行ってみた。

【龍頭山登山口】
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 雪は豊富であるが、道路はきちんと除雪されていた。
 龍頭山は人気のある山なのであるが、この天気では、駐車場には一台もとまっていなかった。

【登山口】
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 雨は止む気配もなかったが、登山道の雪道を見ると、やはり山歩きをしたくなり、アイゼンを装着して行けるところまで進んでみることにした。
 道には前日の登山者によるものと思われるトレースがあり、楽に進めた。

【龍頭山】
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 雨は降ってはいるものの、ときおり視界が開け、龍頭山も見ることができた。

【登山道】
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 登山道はいずこも雪がたっぷり。
 そして登山道の上にかかる樹にも雪がどっさり。
 これが落ちて直撃すると大変なので、ここは上をしっかり見ながら通過。

【分岐】
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 やがて道は駒ヶ瀧と山頂への分岐へと出る。

【駒ヶ瀧】
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 まずは駒ヶ滝に寄ってみた。
 気温が暖かいせいもあり、滝はたいして凍ってなく、見ごたえはなかった。

 そして雨足はまた強まってきて、展望は期待できないだろうし、グローブも濡れてしまい、モチベーションは下がる一方であり、龍頭山はここでおしまいにして、引き返すことにした。

 雪が多い月の連休、ウィンタースポーツ場はどこも稼ぎ時であったろうに、この天気ではどこも閑散としていたと思われる。なんともついていない話であるが、シベリア寒気団は今夜からまた南下してきて、日曜月曜はまた雪が降るとの予報。
 それで、明日の吉和冠山は楽しめそうである。

 というわけで、本来なら本日は吉和のどこかに泊まってよかったのだが、せっかく広島に来たからには、広島市の寿司の名店「吉鮨」に行ってみたい。
 それで下山後は広島市へと移動した。

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February 03, 2018

冬の英彦山&四王寺の滝

 英彦山は宮崎から遠いけど、冬のシーズンには一度は訪れたい山である。
 積雪量が多いし、それに冬期には凍ることで有名な四王寺の滝もある。

 1月最後の週の水曜から木曜にかけて、九州北部では大雪が降ったので、英彦山にも大量の雪が積もっているであろうと予想して、週末に英彦山へと出かけた。

【蛇渕キャンプ場】
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 英彦山にはいつもは日田市経由で登るだけど、雪の時期は道路状況が悪いだろうからと、今回は中津経由で496号線経由で登山口を目指す。と、途中の交通案内で、496号線はチェーン規制、はいいとして、その先の500号線は通行止めという情報。
 せっかく中津経由を選んだのに意味なかった。
 とりあえず蛇渕キャンプ場まで行ってから引き返し、少々の遠回りをして418号線を使って別所駐車場へ。

【登山口:別所駐車場】
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 418号線にたいした雪が積もっていなかったので、???と思っていたのだが、登山口に着くと、やはり雪がなかった。
 英彦山方面にはあまり雪が降らなかったのか。

【参道】
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 奉幣殿に到る参道にも雪は乏しい。
 そしてところどころ凍っているので、登りにくかった。

【奉幣殿】
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 奉幣殿の高さでは、さすがに雪が積もっていた。
 本日は神官たちによる節分の議が行われていた。
 そういえば、今日は節分であったのだ。

【四王寺の滝】
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 四王寺への急傾斜の道を登って行くと、急に視界が開けたところがあり、そこに滝が見える。
 今日はあまり寒くなかったので、じつは溶けているかもと思いながらの登山であったが、きちんと凍っていた。

【四王寺の滝】
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 いくつもの無数のツララが連なり、音楽的な律動感を感じさせる。
 まさにこういうのが「凍れる音楽」というものであろう。
 見た目も巨大なパイプオルガンといったところだし。
 本日の天気は曇りであったが、ときおり雲の間から日が射し、それが凍った滝に当たると、輝きにあわせて色調が微妙に変わって行き、その姿もまた美しいものであった。

【英彦山中宮】
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 山頂に近付くと、樹々は霧氷化しており、きれいである。
 寒いなか、時間をかけて登ってきた甲斐ある風景。

【千本杉】
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 山頂からの下山ルートは、北西尾根経由にて。
 この尾根には雪がどっさりと積もっていた。
 枯れた杉の大木が、雪とあいまって、厳しい景色をつくっていた。

Hikosan02

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