フィレンツェ5日目→羽田
フィレンツェ滞在5日目。本日午後に飛行機に乗るので、観光は午前中のみである。
「天使の画家」フラ・アンジェリコの作品が多く納められていることで名高い、聖マルコ修道院。修道僧の暮らすたくさんの部屋ごとに彼の絵が飾られており、それらはどれも優しさと慈しみに満ちたものであり、いかにもこの静謐な修道院にふさわしいものばかりであった。
その多くの絵のなかで最も有名なものが「受胎告知」である。ダ・ヴィンチのような迫真性や迫力はないけれど、穏やかで、暖かな雰囲気を持つ独特の名画である。敬虔な修道僧でもあった、フラ・アンジェリコの人柄を偲ばせてくれる。
聖マルコ修道院から、次は大聖堂近くの大聖堂付属美術館へ。
以前大聖堂に置かれていた美術品が置かれている美術館。この美術館も観るべきものが多く、けっこうな時間がかかった。
最も印象的だったのは、やはりミケランジェロの「フィレンツェのピエタ」。
ミケランジェロが自身の墓に飾るために作成された像であるが、途中で製作は放棄され未完となった。
全体像はともかくとして、彫られた部分だけでも傑作であることは間違いないけど、若い頃のピエタとは違い、この像には観るものをして、心を沈ませる、悲劇性や懊悩といった苦々しいものがどうしても感じさせられる。そしてそれは大理石から深い精神劇を抉りだす、芸術家の大変な苦心をもどうしても思い知らさせるものでもあった。
数ある彫刻群のうち、もっとも個性的なものがドナテッロ作のマグダラのマリア像。
やつれ果てた、みすぼらしい装いのマグダラのマリアは、しかし、その真摯な祈りの姿から、崇高な精神性を放っている。
初期ルネッサンスの巨匠ドナテッロは、私は今まで美術書でしかその作品を観たことはなかったけど、フィレンツェに多く置かれている彼の彫刻をオリジナルでみると、どれも感銘を受けるものばかりで、その実力の高さをよく知ることができた。
フィレンツェの空路の入り口、ペレートラ空港。この空港、フィレンツェに近いので、便利なのではあるが、滑走路が短く大型の旅客機が利用できないのが難である。
そして今回使用のエア・ドロミティは来るときも1時間くらい出発が遅れたが、帰りもまた1時間遅れるとのことである。ラテン系の航空会社はどうも信用できないなあ。まあ、親会社はルフトハンザなのだが。
フランクフルトでの乗継ぎは、タイトな時間割りで大丈夫かなあと危惧していたが、イミグレがほとんど素通り状態だったのが幸いして、ギリギリで乗ることができた。エア・ドロミティからの乗り継ぎ組以外はみな既に着席して、我々をただ待っている状況のようであった。
ただし、エア・ドロミティからの荷物搬入とかあるので、結局は出発は定刻よりも遅れるだろうと思っていたら、定刻通りに出発。エア・ドロミティやるじゃん、とか感心してしまった。
そうして着いた羽田空港。天気良好である。
ルフトハンザの飛行機は、日本でも滅多に見なくなったジャンボであった。あんまり乗り心地のいい飛行機でもなかったので、これが廃れた理由はよく分かった。
さて、降りてみると、なんと私の荷物がLOSTになっていることが判明。乗り継ぎのさい積みそこねたそうで、・・・エア・ドロミティ、やっぱりできんやつだったか。感心して損した。
Lost baggageについては、3時間後に飛んでくるANA機が運んでくれるとのことであった。自宅に郵送でもよいのだが、それもあとが面倒なので、今日のうちに手にいれるべく、空港で時間をつぶすことにした。
そういうわけで、第一ターミナルの寿司店で、酒を飲みながらだらだらと過ごした。
平成30年の寿司の食べ初めは、「羽田 寿司幸」であった。
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