フィレンツェ 3日目
ルネッサンスの大天才を幾人も生んだフィレンツェで、その作品が市内に最も残っているのはミケランジェロであり、すでにその作品を各美術館で多く観て来たけど、今回はその本命、彼の大傑作を収める「メディチ家礼拝堂」と「アカデミア美術館」に行くことにする。
サン・ロレンツォ教会に付属したメディチ家礼拝堂は、豪華かつ荘厳な建物であり、往時のメディチ家の勢力を物語っている。
礼拝堂奥、ミケランジェロ製作の霊廟は、礼拝堂とは異なり、静謐なる空間。
そこにミケランジェロ作の彫刻が置かれている。
「曙」「黄昏」「昼」「夜」とそれぞれ名付けられた彫刻は、生命を持たぬ大理石から穿たれたものとは分かってはいるものの、艶めかしい、独自の、永遠の生命を持ったような、生物感に満ちた異様な作品群である。
とにかく、これは何かが違う、何か異次元から来たような、この世にあることが間違いなような、とんでもない傑作の数々である。本来こういうものはギリシャ美術の名作のように、作者不詳、それこそ神みたいな存在がつくったことにしておいたほうが落ち着くようなものだろうけど、造った者の名がきちんと記録に残されている、それが不思議に思える至高の芸術品であった。
次は、アカデミア美術館へ。
フィレンツェで最も有名な彫刻「ダヴィデ像」は世界中から人気があるので、ここも大行列。そしてウッフィツィ美術館同様、フィレンツェカードはパスカードではなく、やはり専用のほうの行列にならぶ必要がある。20分ほど並んで、美術館へ。
美術書とか、あるいは雑誌のフォトページとかで、もう見なれた、円蓋のもとのダヴィデ像。
でも、実物観ると、やはり感動が胸に迫って来る。
ああ、これがあのダヴィデか!という感じで。
そうして、今までフィレンツェでさんざん観て来たダビデ像であるが、やはりオリジナルは一味も二味も違うものがあった。
なにより迫力と躍動感が違う。さらには眼力。ダヴィデが睨む方向の先に行って、ダヴィデ像を観ると、その視線の強さに圧倒されてしまった。
アカデミア美術館には、ミケランジェロによる未完の彫刻がいくつも並べられていた。
本来大理石になかに埋もれていた魂を彫り出すべく、そこに刻まれた鑿跡が生々しい、しかし途中で放擲された、大理石の残骸である。なぜこれらが未完で放置されたかには諸説いろいろあるのだが、まあ普通に、このまま彫っていても、傑作になりそうな雰囲気はなく、あんまりいい作品になりそうになかったので、途中で止めたんだろうな、というのが私の観た率直な感想。これら、苦労してミケランジェロが選んだ大理石のなかに、結局彫刻の魂はなかったのだろう。
と、辛辣なことを言うのは、翌々日観た、ドゥオーモ付属美術館の未完のピエタを観てからのあとの感想。あそこには、本来ある魂を彫り出すのに、苦心惨憺し、結局敗北した、崇高な悲劇性があったけど、この彫刻群にはそういうものはなかった、と思う。
フィレンツェの御土産店には、どこでもこのダヴィデ像が人気。
大から小まで、いっぱいサイズがそろっております。
アケデミア美術館から出たあと、チェントロに寄り、ドゥオーモ付属美術館に入ろうとして、行列に並んだあと、フィレンツェカードをリーダーにかざしたら反応しない。受付に理由を聞いたら、チェントロの洗礼堂前の7番の事務所まで行って、切符をGetしないといけないとか言われたので、そこまで行って手続きを済ませた。そこでは、大聖堂クーポラ、付属美術館、鐘楼のチケットをフィレンツェカードで入手できた。それで、鐘楼に登ってみることにした。
チェントロの施設はすべて大人気であり、この写真に写っている行列は、鐘楼入場の行列。
この行列みると、並ぶ気はしなくなるけど、ここで初めてフィレンツェカードが役に立った。
この行列には、フィレンツェカード専用の入り口があり、そこでカードとさきほど手に入れたチケットを見せると優先的に入れてくれる。それで待つことなく、鐘楼に登ることができた。
フィレンツェの象徴大聖堂がすぐ隣にあるので、それを観ることができるが、あまりに近すぎるので、あんまり全体像が分からない。
やはり、大聖堂の姿を正当的に観るには、私はヴェッキオ宮殿を勧めます。
「イタリア」カテゴリの記事
- ティベリウス帝別荘(Villa Jovis)@カプリ島 探訪記(2019.11.19)
- イタリア料理:Acanto@ミラノ(2019.01.01)
- ミラノ散策(2019.01.01)
- 最後の平成年越しを、Pont de ferr@ミラノにて。(2018.12.31)
- 誰でもたまげるミラノ大聖堂(2018.12.31)
The comments to this entry are closed.
Comments