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October 2017の記事

October 28, 2017

霧島登山@台風接近中

Typhoon22

 10月、九州の山はせっかくの紅葉シーズンなのであるが、週末に天候が悪化するということが続き、そして最後の週は先週に引き続き台風が接近中ということである。
 先週は台風21号を甘く見ていて、登山口から撤退ということになった。
 それで今回はその反省を生かして、きちんと台風22号の勢力と進路を調べてみる。前回の超弩級の大きさであった台風21号とは違い、今回のはコンパクトであり、強風圏もそんなに大きくない。そして九州に最接近するのは土曜の夜であり、翌日の午後には遠くへ過ぎ去っている。ならば、土曜日の昼のうちにさっさと登ってしまえば、台風の影響はさほど受けないことになる。

 ということで、土曜日に紅葉目当てで登山に行くことにした。

 先週は九重に行ったので、今回は霧島に行こう。
 まずは金曜日に鹿児島市に泊まり、「鮨匠のむら」で美味しい料理を食って、モチベーションを高める。それから翌日霧島に行こう。
 霧島は新燃岳の噴火のせいで、韓国岳周囲が立ち入り禁止となっている。しかし、紅葉の名所である、えびのの池巡りコースは規制域に入っていないので、池巡りとそれから白鳥山にでも登り、軽く汗をかいて、その後霧島温泉郷の温泉宿で一泊するという、お気楽プランを立てた。このコースなら、もし風が強くとも、おもに林のなかの道なので、問題はないだろう。

 けれども、えびの高原に着いたら、池方面への道路が通行禁止になっていた。ならば遊歩道を使えばいいと思い、念のため駐車場の係りの人に聞いてみたら、なんと遊歩道も立ち入り禁止とのこと。それでは、池まで行くすべがない。
 それで計画を変更する。
 霧島で、立ち入り規制がされていないのは高千穂峰だけである。そこに向かうしかない。また、神社周囲の林はたぶん紅葉を楽しめるであろうと予測した。

【高千穂河原】
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 えびの高原からの直通道路は新燃岳のせいで通行止めとなっていたので、大回りして高千穂河原へ。
 雨は小雨程度の降り方だが、けっこう風が強い。

【登山道】
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 期待していた紅葉であるが、赤く染まる前に、前回の台風と今回の強風で、葉は散ってしまっていた。

【登山道】
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 やがて登山道は、林間を抜け、溶岩でつくられた岩稜帯に出る。さすがにここからは風が強くなる。

【登山道】
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 一面ガスが立ち込めているので、視界のわるいなか、このペンキマークを確認しながら登ることになる。

【登山道】
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 高度が1300mを超えると、さすがに風は強度を増し、ときおり吹く突風に幾度もよろめき、そのときはまったく行動できなくなった。吹きっさらしなのに加え、前に風の滑り台のような高千穂峰があるため、予想していた以上の風の強さである。
 姿勢を低く保ち、常に岩に手をかけながら、用心して登って行く。

【御鉢へ】
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 御鉢への傾斜を上り詰めると、ようやく御鉢の高さにたどりつく。高度は1500mくらい。御鉢に上がると、傾斜はほとんどなくなり、水平の道をしばし歩くことになるが、そういう地形のせいで、風はさらに強さを増した。
 台風ははるか彼方で、鹿児島は強風域に入っていないはずなのだが、標高の高いところはもはや強風域の支配下にある雰囲気であった。

【御鉢】
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 御鉢に出たのちは、しばし御鉢の縁を進むことになる。
 しかし御鉢の縁の登山道は、「馬の背」と称される、両側が崖の狭い道であり、そして東側は鋭く深い噴火口である。もし暴風域なみの強風が突然吹いて、それに煽られて滑落したら、まず命はない。
 さすがにこれ以上進むのは危険すぎたので、ここで撤退することにした。
 中高年登山は安全第一なのである。だいたいこんな日に高千穂峰の山頂まで登らねばならない理由はなにもないのだし。

 下山は体重が下方向にかかるせいか、意外と風にあおられずに、無事に下山。
 当たり前のことながら、誰一人とも会うことない登山であった。そういう場合、「静かな登山を楽しめた」というのが常套句となるのであるが、今回ばかりは、風が常に轟々と唸り、ときおり砂礫が火口を流れる不気味な音が響く、騒がしい登山であった。

【霧島ホテル】
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 本日の宿、霧島ホテルへと到着。登山で、普通の汗と、それに冷や汗をかいたので、このホテルの名物の特大庭園風呂で、ゆったりとくつろごう。

【硫黄谷庭園大浴場:ホテル公式ページより】
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 霧島は、川が温泉と化し、温泉の滝もあるという、莫大な湯量を持つ地なので、このように巨大な掛け流しの温泉浴場を築くことができる。
 何度来ても、この大浴場には圧倒される。

【夕食】
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 夕食は広大な食事処で。
 台風の近づいている本日、客は少ないだろうと思ったら、人はいっぱいであった。
 駐車場の車のナンバー見ると、あんまり遠方の人はいないようであったし、南九州人はさすがに台風に慣れている。

【外の眺め@翌朝】
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 夜には鹿児島に台風最接近ということで、外は嵐のごとき状況であったが、窓さえ閉めておけば、部屋のなかはまったく平穏無事で過ごす。
 そして翌朝には、台風は離れ、風は強いものの、雨はあがり、晴れ間も見えた。
 だいたい予想どおりの天気の変化であり、安心して帰れることになる。

【高千穂峰】
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 帰路での霧島神話の里公園から見る高千穂峰。
 昨日と違って、山頂まで見ることができる。この姿を見て、今日登りかえしてみようかなとちらりとは考えたが、どう考えても気象条件は今日のほうが悪く、吹き返しの風が昨日よりもずっと強く吹いているに決まっているので、そういうことはしないことにした。


 紅葉の季節の10月は、どの週末も天気が悪く、まったく九州の山の紅葉が楽しめなかった。平成29年の10月は、悪い意味で記憶に残る月であった。


Takachihomine

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October 27, 2017

鮨匠のむら@平成29年秋

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 私の定期訪問寿司店の一つ、鮨匠のむら。
 いつもは、のむらスペシャルの極上雲丹が味わえる夏に訪れていたのだが、今年は機会がなく、それでもう雲丹の終わった季節に訪れることとなった。

 いつもながら、地元主体の産地直送のものに加え、店主が遠方から取り寄せる逸品が並ぶ料理を堪能する。

 そして晩秋の時期は、「いくら」が自慢。
 醤油漬けしたものでなく、質のよいイクラを仕入れ、それをそのまま出していて、イクラの真の魅力を味わえる。
じつに濃厚で豊かな味である。

 肴から、鮨、そして日本酒の銘酒の数々、すべて美味しかった。


 ところで、本日は明日から台風が近づいている日だったのであるが、こういう県外の客の多い店はキャンセルが大変だろうなあと思い、尋ねてみるとやはりそうであった。
 遠方から来る客は、飛行機を使うことが多いので、最初から来ることができないとか、あるいは来ることはできても帰れないとかにどうしてもなるので、泣く泣くキャンセルする客が多く、そして仕入れた素材をどうしたものかと店主は苦笑していた。

 ・・・10月になって、台風が週末に襲来し、私としては山に登れないとか、紅葉が散ってしまうとか不平を言っていたのであるが、それどころではないダメージを受けている人たちが数多くいることが分かり、そんなことで文句を言ってはいかんなあ、と反省いたしました。

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October 21, 2017

秋の登山:長者原→行縢山

【長者原@早朝】
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【天気図】
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 秋も深まり、九州の紅葉の季節。
 紅葉においては、私が九州の山で最も美しいと思う、九重の大船山山頂の御池を染める紅葉の姿を今年も旬の時期に見に行こうと思った。
 例年10月の3~4週が旬である。それで弟3週に訪れようと企画したが、台風が近づいているとの予報。ただ、21日(土)には、台風ははるか彼方の大東島あたりにあり、九州大分には秋雨前線に刺戟を与える程度で、たいした影響はないものと判断。
 それで、土曜日の前夜に長者原で車中泊して、翌日の登山に備えた。

 しかし、夜が明けて、長者原から三俣山方面を見ると、小雨が降っているのはいいとして、雲の流れが早い。いやな予感がして、気象庁の天気図を確認すると、台風21号の大きさにたまげる。こんなにでかい台風を見るのも久しぶりだが、この等圧線みると、九重の1700mを越えた稜線での風の強さはそうとうに強烈なものと判断できる。
 若いころには、台風が近づいている時でも、強風の吹き荒れるなか、吹き飛ばされないように這いつくばって久住山に登った経験はあるが、もうそんな元気はない。
 で、せっかく長者原に来たのに残念ではあるが、さっさと撤退を決定。
 (・・・というか、前日には台風の中心と進路の予報円しか確認していなかった。そのときちゃんと天気図見てれば、台風の極端なでかさに気付いて、長者原に来ることもなかったわけであり、反省しきりである。)

【行縢山】
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 というわけで、雨がどんどん強く降るなか、車を走らせたが、宮崎に入ると雨足が弱くなり、そして雲も薄くなり雨が止んだ。
 そして、東九州道からは、行縢山がくっきりとその姿を現した。
 せっかく登山道具を整えているんだから、登れる山があるなら登らないと損である。
 それで、今回を予定を思いっきり変更して、行縢山に登ることにした。

【行縢の滝】
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 行縢山は標高が低いので、紅葉はまだ期待できないけど、雨が降ったなか、名所の滝は見ごたえがあるだろうと思った。それで滝見橋から見ると、滝はなかなかの水量である。それで、行縢の滝へ行き、滝を見物。

【行縢山雄岳遠景】
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 登山道の急登を越え、行縢神社の祠の傍の展望所から、行縢山雄岳を見る。
 紅葉は、まだ1分程度。

【登山道】
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 この悪天が予想されるなか、登山者は誰もいないだろう思っていたら、前日からのテント泊らしき大荷物を担いだ若者のグループ一組とだけ会った。10数年ほど前までは山で会うのは中高年者ばかりであったが、このような元気な若者に山で会えるようになってきたのは、日本の登山文化にとって、とても頼もしく感じる。

【行縢山山頂】
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 だんだんと雲が下りて来て、視界の利かなくなるなか、山頂到着。
 展望は良くないし、近くの山肌の紅葉も、まだ始まっていない。
 とりあえず、大雨とかに会わずに山頂に来られたことに満足して、それから下山。

【登山道】
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 紅葉の時期にはまだ早かったが、それでも気の早い樹々が落とした、紅葉が登山道に散らばっており、これはこれで美しいものであった。

【登山道】
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 登山道を歩いていると、近くの林で、鹿が二匹走ってきて止まり、こちらをゆったりと観察していた。
 行縢山は、鳥獣保護区域なので、鹿もおっとりしている。

【行縢山】
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 下山して、行縢山を振り返る。
 既に行縢山は雲にすっぽりと包まれている。
 最初にこの姿を見ると登るはずもなかったので、なんとか登山タイムに間にあえて、よかった。

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October 08, 2017

オーベルジュゆらぎ@新居浜市別子山

【オーベルジュゆらぎ】
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 四国は、島そのものが山、という地形なので、海岸沿いにある都市から山のほうへ車を走らせると、たいていは30分くらいで閑散な山奥のなかに到達することができる。
 人里離れた静かな山麓にある「オーベルジュゆらぎ」もその地形の利を生かして、新居浜市から車で30分ほどの位置にある、自然豊かな料理宿だ。

 季節により、咲き乱れる花々や、一面の紅葉を楽しめるし、近くには観光名所である「別子銅山跡」もあり、様々な楽しみ方ができる宿である。

 今回は登山を終え、松山自動車道から目指した。カーナビに従い、「いよ西条IC」から下りて県道47号線を走ったが、それは「最短距離を選ぶ」というカーナビの特性によって選ばれた道であり、900mの高さの峠を越えるくねくねの山道を走らされ、ひどい目にあってしまった。こういう道を通る前に、まじめに地図を見て検討すれば、少々遠回りであるが「新居浜IC」から県道9号線を行ったほうがはるかに楽なのは一目瞭然なのであり、帰りは当然それを使った。

【藤のドーム】
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 宿を訪ねると、まず目に入るのが、直径45mの巨大なドーム型の藤棚。
 これ、藤の花の時期はドーム全体が紫色に染まり、壮観だろうなあ。

【ディナー】
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 ディナーは地元の素材を使った、けっこう本格的なフランス料理のコース。
 特に派手さや新鮮さはないけれど、スタンダードで、落ち着いて味わえる、丁寧につくられたきちんとした料理の数々。
 そして、フロントの係の人が、ディナーのときは給仕担当になったりと、いかにもオーベルジュ的な家庭っぽさもまたいいと思う。

【赤石山系】
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 ここらへんの標高では、紅葉の時期にはまだ早かったけど、それでも周囲の遊歩道を散策すると、自然豊かな風景を楽しめた。
 そのなかでひときわ目立つのは、ギザギザの稜線を青空に刻んでいる赤石山系。
 標高は1700mを越えており、山の多い四国ではこういう立派な山がそこかしこにあるようであった。
 いつかこの山も縦走してみたいと思った。・・・来るのは大変なんだけど。

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秋の石鎚山

 10月連休、石鎚山が紅葉の旬ということで、石鎚山に登ることにした。
 紅葉は明るい陽の光のもとでないと、その真の魅力を楽しめない。予報では日曜日が終日晴天とのことだったので、日曜日に登ってみよう。

 早朝、石鎚山麓の駐車場に着。連休の好天とあって、朝早いうちから、どんどん駐車場に車が来るなか用意を整え、満員のロープウェイに乗って、降りたロープウェィ駅からスタート。

【成就社から】
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 石鎚山は山全体が聖域。そして成就社の鳥居から、石鎚山を望む。
 見事な晴天であり、紅葉をまとった山のスカイラインが鮮やかに空を切り取っている。

【夜明峠】
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 成就社からの登山道は、いったん山を越えて、それから夜明峠に降りる。
 石鎚山は深い山系にあるため、なかなかその姿を現さないのだが、ここに至れば石鎚山がその姿の全貌を現す。私が初めてここを訪れたとき、その峨々たる山並みの姿に感動した覚えがあり、今回もその感動を期待していた。
 しかし午前10時くらいからこの山域にガスが湧きだし、夜明峠に着いた時点では、山々はガスに包まれ、展望はまったく良くなかった。わざわざ晴天の日をねらって来たのに、残念至極である。
 まあしかし、風の流れは強いので、山頂に着くころにはガスが晴れることを期待して、歩を進める。

【夜明峠】
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 参考までに4年前の春に石鎚山を訪れたときの夜明峠の写真。
 本来ならこのように、眼前に石鎚山の山脈が聳え立っているのが見えるのである。

【登山道】
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 石鎚山は3つの鎖場があり、ここからすぐの2番目の鎖場からが、石鎚山への取付きとなる。
 このあたりの紅葉は見事なものであったが、陽が射していないので、その鮮やかさはいまいちであった。

【二の鎖】
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 紅葉の旬、そして連休中日ということもあり、鎖場は大混雑であった。

【三の鎖】
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 最後の鎖場、三の鎖を越えれば、すぐに山頂である。そこに至れば、「石鎚山」の画像を検索すれば、いくらでも載っている絶景を楽しめる。
 で、なにはともあれ、この大渋滞を進んで行きましょう。

【石鎚山山頂】
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 大渋滞を乗り越え、ようやくたどり着いた山頂。
 風の流れは早く、ガスは石鎚山の北壁にぶつかり、それから上空に流れていく。
 そのガスが時に払われ、石鎚山がその全貌を現す。
 期待していた以上に、見事な紅葉であった。
 今年の気候条件と、そして紅葉の旬が、本日ぴったりとあったみたいで、錦絵のごとく豪華な紅葉の風景を見ることができた。

【石鎚山山頂】
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 そして、アングルを少々奥に戻せば、このような風景。
 たぶん、本日における西日本で最高の絶景は、苦労して登ってきた、山頂広場を埋める多くの人が楽しんでいるのである。

【夜明峠】
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 下りは元来た道を戻る。
 夜明峠にて、行きのときにガスに包まれていた山系は、少しはその姿を見せていた。

【登山道】
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 成就社を過ぎ、ロープウェイ乗り場に近いころ、この看板「ご登拝、ご苦労さまでした」が、登山者を迎えてくれる。
 石鎚山は、古くから信仰の対象となっていた霊山なのである。
 この歴史ある、美しく、峻厳な山で、紅葉が見れらた登山を堪能できたことに感謝。


Isshi

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October 07, 2017

イタリア料理: ロカンダデルクオーレ@愛媛・東温市

 松山市に一泊。
 松山市の隣の東温市に、美味しいイタリアンレストランがあるとの話を以前から聞いていたので、この機会に訪れてみた。

【ロカンダデルクオーレ】
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 本日は涼しく、美しい月が出た夜空のもと、庭のテーブルでディナー。

【前菜盛合わせ】
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 鯛のカルパッチョ、地元の野菜にイタリア輸入の野菜、猪のサラミ、などなど。
 良い素材を使って、ほどよく火を入れ、丁寧に作られた料理の数々。

【パスタ】
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 パスタはマッケロンチーニを使ってのアマトリチャーナ。
 グアンチャーレもトマトも質の良いものであり、普通のイタリア料理店では出てこないような、本格的なもの。

【メイン】
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 メインは豚肩ロースのグリル。
 これも地元の素材を使ったもので、素材そのものの味に加え、火の通し方もほどよいものである。


 素材はおもに地元のものを使ってはいるものの、料理そのものは見事に本格的なイタリア料理であり、レストランの雰囲気もそうなので、食事中イタリアにいるような気分が味わえた。
 愛媛のなかのイタリア、という感じの店であり、料理の良さもあわせて、貴重な存在であると思う。

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愛媛観光 : 佐田岬→下灘駅→道後温泉

 10月になって涼しくなり、紅葉の季節である。
 ただし九州では、この連休はまだ紅葉には早い。どこの山に登っても、紅葉を楽しむことはできないであろう。
 それで、連休は九州を離れて遠出して、紅葉を見に行くことにした。
 昨年、同様の思いで、鳥取の大山は紅葉の旬だろうと勝手に思って大山に出かけたら、紅葉は1分程度であり、がっかりしたので、今回はきちんと事前情報を得ることにした。
 すると四国の石鎚山が、山頂近傍がちょうど紅葉の旬ということで、石鎚山に行くことにした。

 連休の天気予報では、土曜日は曇り時々雨、日曜は晴れということである。
 そのため、土曜日は登山には使わないことにして、土曜日は四国に渡りはするものの、いったん松山市に泊まり、ゆったりとすることにした。

【佐田岬】
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 四国にフェリーで渡り、まずは佐田岬に寄ってみる。
 愛媛から大分に向かって、細長く突き出ている佐田岬半島は、山の尾根がそのまま海に突っ込んでいるような、面白い地形の地であり、ドライブしていると特異な風景をずっと眺めていることができて楽しい。
 その道をずっと行ったのち、駐車場に車を止め、2km弱の歩道を歩いて佐田岬へと到達する。

【佐田岬】
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 地図で見てわかる通り、ここは狭い海峡になっており、潮の流れが厳しい。
 そしてそのおかげで、良い漁場になっているようで、激しい潮を制御しながら、幾艘もの漁船が漁を行っていた。

【佐田岬 : 燈台と海鳥群】
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 豊富な魚を狙っているのは漁師たちのみでなく、岬に群れる海鳥達も、始終岬を周回して、魚の群れが来たときは海に突っ込んでいた。

【佐田岬 : 大砲】
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 佐田岬は海の交通の要所であり、太平洋から瀬戸内海に入る船は、かならずここの目の前の海峡を通らねばならない。
 先の大戦のとき、本土決戦に備えて、この岬に大砲が設置され、そのレプリカが展示されている。
 ・・・江戸時代ならいざ知らず、二次大戦の時代で、もしこの海峡に異国の軍艦が来るなら、制空権が取られたあとに決まっているので、相当な苦労をして設置したであろう、この対艦武器に、何の意味があるか、私としては考え込んでしまうわけであるが、当時はそのようなことを平気でやってしまう、政治・軍事の思考の貧困さが実在した、そういう事実をこの大砲は示している。
 そして、じつのところ、そういった現実的思考あるいは科学的思考の貧困さは、今なおあらゆる領域で、今の日本に頑として存在しているわけであって、ならばこの大砲は、我々そのものの象徴であるような気もして、いろいろと考えてしまった。

【下灘駅】
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 JR四国予讃線の無人駅である、「下灘駅」。
 一日の利用乗客は60人ほどという、零細駅であるが、海にとても近いロケーションにあることから、「日本一海に近い駅」として、全国的に有名であり、列車は使わないものの、その風景を愛でるために、多くの観光客が立ち寄る、四国きっての名物駅となっている。

【下灘駅】
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 駅と海を一緒に撮るアングル。
 じつのところ、地方住まいの身としては、こういう辺鄙な駅と、静かな海は、似たようなものはよく見ているので、あまり新鮮さは感じなかったが、でもその二つを組み合わせると、独特の風情ある風景が生まれるわけで、たしかにこの風景を求めて全国から観光客が来る、その理由がよく分かった。

【道後温泉】
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 松山はいろいろと名物があるけど、その筆頭は道後温泉。
 四国は温泉に乏しい地であるが、この温泉ばかりは、万葉集の昔から名が伝わる名湯である。
 そして道後温泉の象徴である道後温泉本館を見物し、そしてその周囲を散策。
 それから松山市へ行って宿泊。
 明日は石鎚山に登ろう。

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October 01, 2017

不思議物件:高鍋大師@高鍋花守山

【高鍋大師】
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 「何故このようなものが存在しているのか?」と、見たときに人々の心に疑問符を突き立てる不思議物件は、たいていは人里離れた、人訪れること少なき地にひっそりと存在していることが多いのであるが、宮崎の誇る不思議物件「高鍋大師」は、幹線道路である国道10号線を宮崎から大分方面に車で走っているとき、小丸川のあたりで左手の丘陵地に忽然と姿を見せる、堂々たる不思議物件である。

 丘の上に異形の石像が立ち並ぶその姿は、遠目にはあまりに奇矯であり、なんらかの怪しい宗教の建造物にようにも見え、人々はそこに禍々しいものを感じ、見たことがなかったことにして過ぎ去って行く、ということがほとんどである。
 じっさい、高鍋大師、その存在は知っていても、訪れたことはない人が宮崎には多い。

 けれども高鍋大師は、実際のところは、禍々しさなどそんなにはなく、どころかユニークで、個性的で、微笑ましく、愉快であって、しかし馬鹿らしくもあり、頭を抱えたくなるような難解なところもあり、つまりは混沌の極みの場であり、正確な感想は訪れてみないと分からない、・・・というか訪れても、「正確な感想」はまず得られないという、不思議物件の鑑のような、そういう貴重なものなのである。

【持田古墳群:茶畑の中にいくつもの古墳が点在している】
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 この石像群は、持田遺跡の古墳群に建てられている。

 宮崎は国宝を持たない県である。
 国宝を持たない県は他に一つしかなく、これでは日本の歴史発祥の地としてはみっともない、とかの意見が時に出てきたりする。
 日本歴史発祥の地というのはダテではなく、古代におおいに栄えた印として、西都や高鍋にたくさんの古墳がある。それらを片端から掘り起こせば、国宝級の遺物など容易に出てくるだろう、と私とかは思うわけであるが、どうやらそういうわけにもいかないようだ。
 その第一の理由は、この地の古墳の多くは既に盗掘で荒らされており、貴重なものはもう残っていない可能性が高いということである。
 古墳とは、現在では貴重な文化財であるが、元々は墓である。霊の宿る神聖な場であるべき墓々の、その荒れ果てたさまを哀しく思った、岩岡保吉という地元で財をなした実業家が、鎮魂のために、石像をつくって古墳を祀った、というのが高鍋大師の元の始まりであり、とても崇高な志でつくられた施設なのだ。

【持田古墳群49号墳】
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 こういうスタイルがその典型である。
 持田古墳群の一つである49号墳を、様々な意匠の石像が取り囲んでいる。
 ただ、鎮魂というには、これらの石像の姿は少々賑やかすぎるような気もし、もしここに眠る人が感想を述べられたりしたら、どのようなことを言うだろうと、ちょっと気になったりもする。
 まあ、古墳って元々は、いろいろな造形の埴輪で飾られていたので、もしかしたらかえってオリジナルに近いものなのかもしれない。

【高鍋大師本堂】
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 高鍋大師は、本堂もあり、一応はお寺であるみたい。「大師」の名前があるくらいだから、真言宗系なのだろうが、この石像は、神・仏・偉人・有名人・動物等々なんでもあり、神仏習合を越えて混沌のきわみではある。

【持田風景】
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 高鍋大師は小高い丘にあるので、持田の町なみ、そして日向灘を一望できる。
 石像群に加えて、この風景も魅力である。

【花守山】
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 ところで今回高鍋大師を訪れたのは、丘一面に植えられた彼岸花が見頃を迎えているという新聞記事を読んだからなのであり、それでサイクリングがてら訪れたのだが、・・・残念ながら、この丘の彼岸花の旬は終わっていた。

【彼岸花】
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 丘の下の道路脇の彼岸花は、しかしまだ咲いていた。
 赤・白・黄とある彼岸花のうち、黄色のものは今が旬のようで、鮮やかな色を楽しめた。

【駐車場】
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 この手の、個人の趣味と情熱のみで造られた、トンデモ系の施設は、たいていはまず家族に理解されず、造り手が亡くなったのちは、後継者を得られず、そのまま放置され廃墟と化し、やがては重機が入って更地化される、という勿体ない経過をたどることが多いのだけど、この高鍋大師は地元のNPOによって適切に管理されているようで、往時の姿が保存されているようだ。

 しょっちゅう台風がやって来る宮崎の地で、背の高い石像の立ち並ぶこの施設の維持管理は大変だろうと思うけど、宮崎の誇る不思議物件、ぜひぜひこれからも後世に伝えていってもらいたいものである。


 ……………………………

 高鍋大師 →高鍋町観光協会


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世界ジュニアサーフィン選手権@日向市お倉ヶ浜

 サーフィンの国際大会が日向市のお倉ヶ浜で9月末から9日間の日程で開かれている。
 宮崎では、日向から日南にかけては、日本有数のサーフィンの名所であって、それ目的に宮崎に移住する人も多いという、波乗りにとっての憧れの地らしい。
 その場で、世界中から人がやってくるビッグイヴェントが開催されたのである。

 マリーンスポーツに興味のない私としては、サーフィンといえば、名画「ビッグウェンズデー」の知識くらいしかないわけだが、(いったい何十年前の映画だよ、という突っ込みはさておき)、プロのトップアスリートの技が間近で生でみられる機会は滅多にないので、行ってみることにした。

【競技風景】
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 サーフィンって、波に乗り、波を飛び、波を切り裂く、波と闘う激しいスポーツなのであった。
 アクロバットな技などなかった「ビッグウェンズデー」のサーフィンとは、相当に違っていた。・・・月日の流れとともに、物事はいろいろと変わるのである。

【競技風景】
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 各国の選手が演技するたび、その国の応援団が旗を振って応援する。
 ブラジル、アルゼンチン等の南米の国が特に乗りが良かった。

 

 サーフィンのルールについては何も知らない私であったが、この競技はルール上、常に選手に指示と経過を伝えねばならないみたいで、ずっとスピーカーで沖の競技者に対して点数とか順番を伝えていたので、競技の流れがわかりやすかった。
 それに選手が繰り出す技の得点については、素晴らしい技が出ると、観衆が歓声を上げるし、それに見ているうちに「これは、いい得点出るな」ということが分かりだし、ルールを知らない者でも存分に楽しめた。

 ただサーフィンって、見ているうちに、結局は乗る波の良し悪しで、そのパフォーマンスも相当に影響されるのも分かり、採点競技としては、少々問題のあるスポーツではないかとの疑問も持ってしまった。
 寄せくる波は、すべてが違う波であり、そのなかにほんの一部ある素晴らしい波をとらえれば、納得の演技ができる可能性が高まるわけだけど、そういう波が制限時間内に来るとも限らぬし、しかも競技は4人一組でするので、せっかく素晴らしい波が来ても、乗れる波には優先順位があるので、個人によって好きな波が自由に選べるというわけではなかったわけだし。

 とはいえ、いい波が来たときのトップアスリート達の演技は、本当に見事なものであった。人間って、鍛えればこんなとんでもないこともできるんだなあ、という感嘆を与えてくれる、最高レベルのスポーツ大会でみられる「人間賛歌」そのものであった。


 日向という地は、全国レベルからすると交通や宿泊の便の悪い、こういう国際大会を開催するには地の利のない地であるが、その問題を克服して、このような大規模な大会を開いてくれて関係者の努力に感謝至極である。
 もちろん、この地で最高のパフォーマンスを演じ、サーフィンの魅力を何万人もの観客に教えてくれた選手たちにも。

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