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September 19, 2017

映画 エイリアン:コヴェナント@プロメテウス続編

Aliencovenant

 地球上の古代遺跡にかつて異星人が地球を訪問して、人類を創造し、かつ文化を指導したことを示す壁画が発見された。それには異星人の居住している星の位置が描かれており、大企業が神を探すために一兆ドルの予算をかけて最新鋭宇宙船プロメテウス号を造り、星間飛行にてその星を訪れた、というのが前作の「プロメテウス」。

 「我々はどこから来たのか? 我々は何か? 我々はどこに行くのか?」という、人類にとっての最大にして深刻なる難問への解答を、大画面を使った映画による映像美で描出しようという野心作であったが、たしかに映像そのものは素晴らしいものの、脚本に穴がありすぎた問題作であった。
 多大な犠牲を払ってたどりついた星は、目標としていた異星人の母星ではなく、一種の軍事実験基地であり、そしてそこには「神」と目されるエンジニアは一体しか居なくて、しかもそれは高い知性を有する存在とはとても思えない怒りっぽい短慮男でしかなく、人類の歴史初の異星人とのファーストコンタクトはただの諍いになり、その諍いはさらにはエンジニアの船とプロメテウス号の戦闘まで発展し、なにがなにやらわからぬうちにプロメテウス号は破壊され、この人類の英知をかけた「神探索プロジェクト」は、ただの喧嘩っぱやい異星人とのバトルに終わってしまった。

 壮大なる宇宙を舞台とした、哲学的、思索的な劇を見るつもりが、不機嫌な宇宙人との単なる喧嘩をみさせられ閉口した観客には、しかしまだ希望が残されていた。
 プロメテウス号はダメになったが、エンジニアの船は機能しており、それを使って生き残ったプロメテウスのクルーが、そもそもの命題であった謎を解きに、エンジニアの母星に旅立ったのが、「プロメテウス」の幕であった。
 続編では、母星にとどりつくだろうから、そこで本来の劇が見られるであろう。

 さて今回公開された続編の「コヴェナント」は、プロメテウスから約20年後が舞台。コヴェナント号は、2000人の選ばれた人類を乗せて新天地の惑星「オリガ6」へ恒星間宇宙飛行を行っていた。ところがコヴェナント号は途中で故障し、その修理のため乗組員は冷凍睡眠から起こされた。そのさいに近くの惑星から、人類の発したと思われる信号を受信し、その惑星の環境が「オリガ6」よりも人類の生息に適していることも判明。コヴェナント号はその惑星の探査を行う。
 この惑星こそが、前作でプロメテウス号スタッフが向かった「エンジニアの母星」であり、そこで前作で謎のまま終わっていたものが、ここで謎解きされるはずである。

 この謎解きを、前作で欲求不満をかかえたままの観客は、5年かけて待っていたのだから、わくわくしながら観たわけだが、・・・しかし観終わっての感想といえば、「それはないよ、スコット監督」というものであった。

 以下、ネタバレ感想。
     
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 コヴェナント号のクルーが降り立った星は、「植物は生い茂っているが、動物はいっさいいない」死の雰囲気濃厚な星であった。そして話が進むうち、この星にいた知的生命体は全て滅びさっていることが分かる。しかもその知的生命体は、プロメテウス号スタッフが会合することを熱望していた「エンジニア」ではなく、人類同様にエンジニアの造ったらしいものであることも分かる。つまりはここは母星ではなかったのだ。
 こうして前作のテーマであった、「遥かなる空間を旅しての、人類の創造主との会合」、という深遠なる劇は、今回もスルーされ、観客はべつに見たくもないエイリアンと人類のバトルをえんえんと見させられることになる。いやこの映画、題名にエイリアンってついているのだから、エイリアンが出ることに不平を言ってはいかんのだろうが、しかし前作じゃついてなかったし、もとよりエイリアンが主題の映画でもなかったし、なんか納得いかん

 まあそんなわけで、このシリーズ、当初の人類創造のミステリというテーマはもう離れて、エイリアン誕生の謎解きが主体になっているようだ。
 しかしそうだとすると、書けば長くなるので端折るが、エイリアン1とプロメテウスシリーズでは、様々なことで齟齬が生じて、映画全体でまったく整合性がとれなくなるけど、それでいいんだろうか。まさかパラレルワールドということで済ませてしまうつもりなのか。


 ところで、前作の舞台の星から今回の星までのプロメテウス号スタッフ、ショウ博士とアンドロイド デヴィッドの旅は、この映画ではいっさい省かれている。デヴィッドはこの映画での重要人物でもあり、省いていいようなものでもないはずだが、スコット監督も悪いとは思ったようで、そこの部分を描いた特別編が公開されている。

【特別映像】

 この短編、とてもいい、すばらしくよい。
 それこそずらずら並ぶコメント欄にある、「本編より、こっちのほうがずっと出来がよい」というのにいたく同感してしまうほど。

 エンジニアの母星へ向かう旅で、デヴィッドはショウ博士からの、優しい思いやりを受ける。前作では周りの者からモノ扱いされて、根性がねじまがり、性悪アンドロイドとなっていたデヴィッドが、“ I’ve never experienced such compassion. ”とつぶやき、母星で出会うエンジニアがショウ博士のような人だったらよいねと言って、こういう人に会いたいと博士の似顔絵を見せる。そういう「回心」したデヴィッドが、長旅を終えて目的の星に着いたとき、“ Look on my works, ye mighty, and despair! 神よ、私のやったことを見よ、そして絶望せよ!”と言い放って、生物にとっての超毒素である「黒い液体」を上空から撒き散らし、惑星に住む者を全滅させる。まさに悪魔のごとき存在と化している。
 この天使から悪魔への変貌、宇宙船のなかでいったい何があったのか。くわしく描写すればシェイクスピアの悲劇のような絶望に満ちた愛憎劇があったと想定はされるが、それは観客の想像しだいということか。

【「神」を滅ぼすデヴィッド】
Scene1


 
 コヴェナント、前作に引き続き、絵はたいへん美しいものであり、さらなる続編が作成されればぜひ見たいものではあるが、あいかわらず脚本がなあ。
 ハリウッドシステムでは、なにより「売れる脚本」が求められるから、こういう脚本になってしまうのはしかたないのかしれないが、しかしほんとうにこういうのがより支持される脚本なのかねえ? どうにも疑問である。


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 映画 エイリアン:コヴェナント 公式サイト

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