フランス料理: Le Taiilevent@パリ
1946年創業の、パリの老舗フランス料理店。
フランス料理のレジェンドであるシェフ「タイユヴァン」の名前を店名としているだけあって、伝統的で本格的なフランス料理を出す店で有名である。
専属のドアマンに扉を開けられ店内に入ると、高い天井、豪華な照明,調度品、壁に掛けられた数々の大きな名画、そして優雅にして品のあるスタッフたち、その高尚たる雰囲気にまずは圧倒され、わが身の場違い感に戸惑いを覚えてしまう。
ほんと、入るなり回れ右をして帰りたくなるほどの圧倒感。まあ帰るわけにはいかないので、席に案内され、着席。ちなみにこの店は、1~2人までのゲストは壁サイドの椅子に案内され、その椅子は固定されているので、案内するスタッフは重たいテーブルを動かして、それからゲストが着席するというおもしろい形式。そしてゲストはたいてい壁サイドにいるので、食事中ず~と、店のなかで他の客がほぼ全員、互いに素通しで目に入るという、ややシュールな状況となる。
メニューが運ばれると、フランス語のみであった。
国際観光都市パリでは、有名レストランに行くと、外国人に対してはたいてい英語のメニューが持ってこられるので、少々珍しい経験。(スタッフとはもちろん英語で会話できます)
ディナーにコースはないので、前菜、メインはアラカルトで頼む方式。
まずは前菜を2種類。キャビアを使ったものと、それからタイユヴァンのスペシャリテである蛙のリゾットを頼んだ。
「Boeuf de Salers Préparé en Tartare Caviar et Condiments」。
フランスの銘牛「サレール牛」のタルタルをオシェトラキャビアで包んだもの。
一見、鉄火巻にいろいろ乗せたような料理に見えるが、鉄火の中身は牛のタルタルであり、海苔にあたるのはキャビア。キャビアをふんだんに使った、ゴージャスな料理。キャビアって、とにかく量を使うことが必要だと思うが、理想に近い使い方。サレール牛もまたキャビアの強い味に拮抗する旨味を持ち、見事なバランス。
「Epeautre du Pays de Sault en Risotto.Cuisses de Grenouilles Dorées」
黄金カエルの脚と、それにフランス産の特殊な小麦を使ったリゾット。
とにかく濃厚な味。チーズ、クリーム、香草、それに小麦にカエルと個性的な食材をいくつも使い、積み上げていく足し算の料理。
これが下手な調理法だと、いろいろな色を混ぜて結局は鈍重な色になってしまう駄絵画みたいなものになりがちだけど、ここではそれぞれの色が、それぞれ引き立てあって印象鮮やかな絵になっている、そういうふうな色彩感のある料理であった。
「Turbot Sauvage en Tronçon. Marinière de Coquillages」
メインは魚料理から。
ヒラメの厚切りと、貝のワイン蒸し。これもまた濃厚系の料理。やはりそれぞれの個性が強く、ソースがまた美味。
ただ、どうもヒラメそのものの味がピンと来なく、これはメインの魚よりも、ソースのほうを味わうべき料理と、どうも日本の魚に慣れた身としては思ってしまった。
「Homard Bleu en Cocotte Lutée . Artichaut Poivrade, Basilic et Tomate Mi-Séchée」
メインのもう一つは肉料理ではなく、海老料理を選んだ。
この料理を注文したとき、「これは海老ですけど、アレルギーはありませんか?」と聞かれた。レストランで海老料理を注文して、海老アレルギーがあるかどうかを尋ねられたのは初めての経験である。頭に?マークが浮かんだが、もしかして私がフランス語を読めず、これを海老料理と知らずに適当に選んでいるのでは、と思われているのかなあとか思い、いや、そんな注文するやついないだろうとも思い、とりあえず軽く「Je sais que c’est un homard. merci. (私はこれが海老であることは知ってますよ。どうも。)」と返そうとしたが、「homard」の発音って日本人には難しく、こう返答したところで、はあ?という表情をされそうな予感がして、余計な恥をかくのもいやなので、「I have no allergy. Thank you」と簡潔に答えておきました。
この料理はぷりぷりのオマール海老に、やや辛目のアーティチョークとバジル、トマトを添えたもの。これも多層的、多重的な料理であり、本日の料理全体を通して、いかにも典型的フランス料理という一貫した芯の通った品々を経験することができた。
料理の非日常感に加えて、店内の雰囲気もまた非日常的であり、店内にはフランス語は聞こえず、英語・中国語ばかりであった。
前日訪れた「114フォーブル」はフランス語ばかりが聞こえる地元の人によく使われている店であったが、この店は「パリならではの特殊な食体験をしたい」という人が集う店らしく、そしてその価値が十分ある名店であった。
本場そのものフランス料理に満足して、タクシーを頼んでホテルへと。
タクシーに乗って行先を告げたら、フランス語でホテル名を言ったせいか、運転手がフランス語で「料理の印象はどうだった?」と聞いてきたので、「力強く、個性的で、素晴らしく、なんとかかんとか」と答えると、運転手はパリのレストランを自慢、そのまま会話が続き、愉快に時を過ごせた。酔っぱらってると、異国語の会話ってけっこうできるものである。まあ、もっとも冠詞、文法、適当だったので、もしかしたらお互い相手の言い分がよくわからず、自分の言いたいことを勝手に言い合っていただけなのかもしれないが。
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Comments
貴殿のフランス語も着実に上達されておられるようですな。
今度土産話でも。
Venez faire la fête avec des sushis et du champagne est vendredi prochain!
Posted by: 天ちゃん | August 15, 2017 09:56 PM
いちおう2級は持ってますが、しかし宮崎じゃフランス語使う機会がないから、まったく上達しませんねえ。フランスもそうたびたび行くものでもないし。
・・・というか、次回のla fêteってそういう趣向だったんですかあ。シャンパンばっかりだと飽きるかも。(苦笑)
Posted by: 湯平 | August 16, 2017 07:33 PM