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August 2016 posts

August 27, 2016

和食:きじの松田屋@菊池市

 暑いなか不動岩を登り、下山後は菊池温泉に泊まり、気持ちのよい風呂に入って登山(というか暑さ)の疲れを癒す。
 夕食はどうするかといえば、菊池には「きじの松田屋」という雉料理の名店があることが知られており、今まで訪れる機会がなかったので、行ってみることにした。

 「きじの松田屋」は、雉を育てながら料理店を経営しているので、山のなかにあり、菊池市から阿蘇外輪山方向に向かい7kmほどをタクシーで行く必要がある。
 そして着いてみれば、菊池川源流に近き地ゆえ、自然豊かなところにあり、その高台にあるので、周囲の雑木林や田圃を一望することができる。

【店からの風景】
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 料理は雉をいろいろな調理法で楽しめるフルコースを頼んでみた。

【料理】
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 雉という食材、私は今までジビエでしか食ったことはないのでその印象が強く、この店の雉はあの独特のクセのあるものかと思ったら、とても素直で上品な味のものであった。
 それゆえジビエ料理的なもの、あるいは地鶏的なもの-宮崎の地頭鶏や熊本の天草大王みたいな濃厚系な味を持つものを期待しておくと、ちょいと肩すかしを食うと思うけど、(私がくらったのだけど)、これが食べ進むうち、だんだんとその旨みの深みが分かってきて、雉という食材の素晴らしさをおおいに知ることができた。
 雉のタタキはまずは雉という食材をストレートに味わせてくれる。そしてそれを溶岩焼きにすると(いわゆる焼鳥)、雉の脂がとてもすっきりした純粋なものなので、これを合わせて肉を焼きあげると、雉肉の澄んだ旨みがよく分かり、それでいくらでも食える気になる。
 鍋は雉の骨をしっかりと煮込んだ出汁で食う。溶岩焼き同様に、その美味い出汁に包まれたあっさりした味の雉がさらに旨みを深め、これもいくらでも食べる気になれる。

 フルコース、大満足の料理であった。
 この店はかなり不便なところにあるので、訪れるのが大変なのであるが、それでも遠方から客がよく訪れる、その理由がよく分かりました。

 もっとも、「雉はあっさり系統の肉なので、いくらで食べられる」とは書いたが、この店では写真に示すように肉は最初から多量に出すし、それに追加もあるので、全部食べるのはかなり困難ではある。
 それゆえ私は残念ながら少量を残してしまったのだが、でも、その余りは新鮮なまま、この店の番をしている名犬ルパンの餌となり、それを食しているルパン号の嬉しそうな鳴き声を聞くことができ、・・・なんかうれしかった。

【名犬 ルパン@店主ブログより】
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 「きじの松田屋」店主は熊本で大企業に勤めていたのであるが、田舎で自由きままに農業をやりたいという希望強く、その夢を実現するために早期退職をして、それから熊本中探して、この菊池の水源近き地を理想の地として見出し、今までの資産をこれに費やして購入した。
 そして雑木林を開拓して、男手一本で田圃、柿林を造り、さらには雉の養雉も行い、雉を全国に配送するかたわら、ついには雉料理店も開店し、そのレベルの高さから、食べ物好きな人たちが遠方から訪れるという、サクセスストーリーを築きあげた。
 そのテンション、エネルギーに高さにはほとほと感心するしかなく、食事をしながら店主の話を聞くと、それだけで元気をもらった気分になれます。

 このようなエネルギー、そういう力は遺伝するらしく、店主の息子が阿蘇の産山で熊本赤牛を出す民宿を経営してるそうで紹介を受けた。そこもまたぜひ訪れてみたい。

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 きじの松田屋→HP
 産山の赤牛の店:「山の里」→HP

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登山:不動岩(蒲生山)@山鹿市

 暑いので山に登るのはきついけど、それでもやっぱり山には登りたい。なら低山なら登れるだろう、ということで今年の夏から唐突に始めている低山シリーズ。今回は山鹿市の不動岩である。
 この山(or岩)、私は「季刊のぼる」を読むまでその存在を知らなかったのだが、写真を見ると、これは一度は実物を見ねば、という気を起こさせる特徴ある奇岩であり、そしてこの岩の近くには良い温泉がいくらでもあることから、登山+温泉のパターンで夏の山行を楽しむことにした。

【不動岩 遠景(一本松公園より)】
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 不動岩を一本松公園@山鹿市より望む。
 写真中央に、にょっきりと立っている岩がそれであり、これは近づくにつれ、いろいろと姿を変える。

【蒲生池】
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 不動岩には直下まで舗装路があるけど、蒲生池からの登山道を使うと、周回ルートで登れるので、ここからスタート。

【不動岩】
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 蒲生池からはしばらく舗装路を歩く。
 不動岩はまだ小さく見えるが、それでも存在感あります。

【不動岩】
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 不動岩を正面から見た姿。
 上部でかなりのオーバーハングを見せており、これはロッククライミングすると大変そう。

【不動岩】
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 不動岩を横から見る。
 どうしてこんなものが普通の山のなかにあるんだろうという不思議感満載の、印象的な岩である。
 これ、彫りを加えたら、円空仏みたいな、迫力ある仏像になるのではとも思う。

【不動岩展望所】
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 不動岩からは山鹿の広大な風景を望むことができる。
 このあたりの土地は見ての通り肥沃な土地であり、飛鳥から奈良時代にかけては、大陸からの侵略に備えての兵站基地として重要な役割を果たした地である。
 それゆえ貴重な史跡がたくさん残っている。

【登山道】
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 不動岩までは蜜柑畑のなかの舗装路であったが、不動岩からは登山道になる。

【不動岩】
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 登山道を登って行くと、展望所への分岐があり、そこを登ると不動岩を眼下に望むことができる。左が前不動で、右が中不動。不動岩は3つあり、残りの後不動は標識によればいったん引き返して自然歩道を行くとなっていたので、その道を行った。

【蒲生山】
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 自然歩道を標識に従って進むと、後不動はすっ飛ばして、蒲生山山頂に着いてしまった。後不動はここからピストンしないといけないようだが、暑いなかそういうことをする気もせず、下山することにした。

【登山道】
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 蒲生池からは雑木林のなかの登山道を行く。

【蜜柑畑と不動岩】
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 蜜柑畑の九十九折りの道を下って行き、登山口に戻る。
 遠く見える不動岩の形はやはり面白い。

 不動岩は熊本市から登山口まで半時間ほどで着ける便利な位置にある。
 このような、山水画の題材になるような岩山が近くにあるわけで、熊本市民にはもっと知られていい所だと思った。

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August 24, 2016

読書:コンビニ人間 (著)村田 沙耶香

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 月刊誌「文芸春秋」は毎月読んでいるので、年に2回発表される芥川賞作品もそのついでにだらだらと読んでいるが、今回の受賞作「コンビニ人間」は、久方ぶりにとんでもなく面白いと思った作品。たぶん川上弘美の「蛇を踏む」以来だから、かれこれ20年ぶり。

 主人公は、「変人」である。
 彼女は小学生の頃から他人と変わっていた。あるとき公園に小鳥が死んで落ちているのを見つけ母のところに持っていき「これを持ち帰って、焼き鳥にしよう」と言った。なぜなら家族はみな焼鳥が大好きだったからである。しかし母は愕然として、こんな可哀相な小鳥に対して何を言うのかと責めた。
 小学校のクラスで、授業中に男子生徒が喧嘩で殴りあいをしたとき、みんなが「止めて、止めて」と騒いだことがあった。主人公は掃除箱からスコップを持ちだし、一人の頭をぶん殴って戦意を喪失させ、残る一人にも殴りかかったところで周囲に必死に制止される。
 ある時は、ヒステリー持ちの女教師が感情の制御が効かなくなり、教壇でパニック状態になって怒りまくり、みんながおろおろしたとき、彼女は女教師に近づき、スカートとパンツを一挙におろし、そこで女教師を一瞬にして静かにさせ事態を収めた。もっともそのかわりに女教師は泣きだしたわけだが。主人公がそういう行動をとった理由は、「家でみた映画で、服を脱がされた女性がすぐに静かになったシーンがあったから」であった。
 主人公の行動は、彼女なりの体系だった論理に基づき、またその論理はそれなりに正しいのだが、周囲はまったく理解できず、彼女はしょっちゅう親とともに職員室に呼び出され、親はいつも「なんでこの子は普通のことができないんだろう」と嘆く。

 こういう人物がやがて36歳になるまでの人生を題材としたこの小説は、ミステリ系あるいは社会派の作家が書いたなら、やがて社会を震撼させるサイコパスの一代記とかになりそうだが、しかし本小説の主人公は心の優しい人物だったので、そうはならない。

 主人公は自分の論理に基づいた行動により、家族が迷惑を受け悲しむのを知り、そういうことが起きないように努力する。自分を抑え、自分の論理でなく、他人の論理で行動する、すなわち他人の真似をして生きるようにして、無用なトラブルを避けながら人生を送った。

 しかし学生時代まではそれでよいとして、やがては社会に出て自活しなければならない。彼女には、社会のなかで「自分のやりたいようにして生きる」という選択は最初からないので、「社会人」として生きるには何らかの規範が必要になる。
 ここで主人公が見つけたのがコンビニストアのバイトである。
 コンビニでは全てがマニュアル化されている。挨拶のしかた、客への対応、同遼とのつきあい、仕入れ、展示、発注などの業務全般等々。彼女はそれらを完璧に己がものものとした。彼女は思考・行動をコンビニと一体化させ、まさに「コンビニ人間」と化す。
 彼女は「コンビニ人間」となったことで、社会のなかのパーツにぴったりとはまり、それからは順調な人生を送る。そして、その生活は16年続いた。
 さすがに同じコンビニ一店でのバイト生活が16年間も続くと、周囲から奇異の目で見られてくる。何故この人は正社員にもならずにずっとバイト生活を続けているのだろう? そもそも仕事以外ではまったく他人とつきあっていないが、人間的にひどい欠陥があるのだろうか? 等々、主人公にとってはお節介でしかない周囲からの干渉が増え、彼女の「コンビニ人間」としての生活が脅かされてくる。
 その頃、コンビニに生活能力ゼロの全くの駄目男が入社し、主人公が「とりあえず男とつきあえば、社会からまともだと扱われるらしい」と思い、彼がコンビニをクビになったあと、共同生活を始めて、物語は新たな方向に展開する。


 とにかくおもしろい小説である。
 主人公の思考が相当にぶっ飛んでいるわりには、論理としては一貫していて揺るがないので、主人公の存在感がとてもしっかりしている。そしてそういった「自分が確立し過ぎている」人はどうしても社会と齟齬を来し、その社会生活は軋轢を生みがちになる。そういった人がなんとか社会に参加するには、往々にして宗教とかににすがって、そのコミュニティの一員になったりしがちだが、主人公は「コンビニ」という、現代社会の最も機能的で合理的なものを発見し、社会参加へのてがかりとすることができた。
 ただし宗教の信者とかと違って、「コンビニ人間」の存在はまだまだ世間には認知されていないので、周囲には理解されがたい。
 この小説では、「コンビニ人間」として生きて行くことに困難を感じた主人公が、それに対処するため新たな試みを行い、紆余曲折があって、やがていかなる人生を選択するに到ったかまでをきちんと書いている。


 この小説の作者村田沙耶香氏は三十七歳独身女性、大学卒業後からずっとコンビニのアルバイトをやりながら作家稼業を行っていたという。
 それで誰しもこれは自身をモデルにした小説だと思うだろうけど、文芸春秋に載っていたインタヴュー記事によると、「主人公と私はまったく違う」とのことである。ただしコンビニへの愛情は本物であり、自分はコンビニにより救われたとまで言い切る。
 現代社会では不可欠の存在となっているコンビニ。物流以外でも、それは精神社会にも影響を及ぼしている。その目でコンビニを見直すと、いろいろとまた違うものが見えてきそうだ。

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 村田沙耶香著 コンビニ人間

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August 22, 2016

2016リオオリンピック雑感

【鷲巣巌@「アカギ」第28巻より】
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 まずはギャンブル漫画「アカギ」の登場人物鷲巣巌の台詞から。
 鷲巣巌は卓越した頭脳と精神力の持ち主で、その能力を最大限生かして巨万の富を得て、戦後の日本の政財界の裏の帝王として君臨していた。彼は75年の生涯の全ての勝負に勝ち続けた、ギャンブル漫画史における最強の人物である。
 しかし彼は人生の最終盤に、悪魔のごとき賭博の天才(=アカギ)に出会ってしまい、自分の血液を賭けの対象とした、文字通り生命をかけての勝負をすることになる。白熱の勝負が繰り広げられ、両者とも血を限界ぎりぎりまで抜かれて、お互いあと一回勝てば、相手の命を奪い、そして最終的に勝てるという状況になる。
 ここで、ついに勝利を確信した鷲巣巌が発した言葉が冒頭。

 「勝つには、勝ち切るには、何と多くの辛抱が必要なことか

 人生の全てで勝ち続け、勝ちを積み上げて人生を築き上げて来た男の述懐だけあって、とても説得力がある。
 そう、まったく、勝つとは辛抱のいるものなのである。途方もなく。


 今回のリオオリンピックは地球の裏で開催されていることから、放送の時間が早朝に偏り、出勤前の時間が利用できて、多くの競技をライブでじっくりと見ることができた。
 放送はもっぱら日本選手が出場しているものになり、それで柔道、卓球、レスリング、体操、バトミントン等々、オリンピックのときしか見ないような競技をふんだんに見ることになる。これらが、見ていて非常に心臓に悪い。どの競技も瞬間々々で勝負が動き、ほんのわずかな油断も許されないものばかり。棒から手が離れるなり、着地が乱れるなり、相手に後ろをとられるなり、投げられるなり、あっという間の出来ごとで勝負がひっくり返る、そういう瞬間が競技中ずっと続いているわけで、まったく見ていてたまらない。
 今回日本勢は金メダルを量産したけど、それには安心して見ていられるものは殆どなかった。王者と言われた体操の内村選手も薄氷を踏むような勝利だったし、伊調選手も最後の3秒での奇跡的逆転勝利であった。バトミントンダブルは絶望的状況からの挽回であり、どれも勝者と敗者の差は紙一重であった。

 それでもやはり勝者と敗者を分かつものは、じつは歴然とあったのであろう。
 傍から見た一般者でさえ心臓に悪いほどの緊張感を与えるのに、今までとんでもない努力を重ねてきた当の本人たちのプレッシャーがいかなるものかと考えると、それは想像を絶するものには違いなく、それをねじふせて、最後まで己の最高を出すことに尽力できたものに、最終的な勝者の栄光が与えられた。
 その凄まじい精神の劇の「芯」が、まさに鷲巣御大の言う、「辛抱」に違いない。途方もないプレッシャー、緊張感、それらに耐えきった、すなわち辛抱しきった者が最後に勝利を得る。
 オリンピックのように勝利の価値が大きなものは、それだけ辛抱も大きなものが必要となり、今度のオリンピックではそれらの葛藤劇もまた見ることがでた。体力、精神、いずれも超人的な人々たちの4年に一度の祭典。
 そして、それが次は日本にやってくる。

【リオオリンピック 閉会式】
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 次回は東京である。
 ということは、現地開催ゆえライブは基本的には週末しか見られない。それはもったいない。
 それで、4年後はなんとしてもライブそのものを見たいので、いつもはとらぬ夏季休暇を4年後にはしっかりと取って東京でナマで見たいと思う。
 ここで問題はチケットだ。
 リオオリンピックで、本当にもったいないと思ったのは、会場がいくらでも空席があったことである。あれは日本では考えられない。18年前の長野オリンピックでは、鍛え抜かれた超一流のアスリート達の芸に魅せられ、どのマイナー競技でさえすぐに完売になり、「チケットぴあ」のいずれのチケットもソールドアウトになっていたのは記憶に新しい。(って、20年近く経ったのだが)
 東京オリンピックも当然のごとく、チケットの争奪は大変であろう。
 ここはなんとしてもチケットGetの知恵を振り絞らねばならないのだが、・・・まあ、4年あるのでゆっくり考えておこうか。
 私がチケットをGetできたかどうかの解答は、4年後にまた、とのことで。

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August 20, 2016

錦江湾花火大会&「のむら」で鮨@鹿児島市

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 江戸時代から薩摩人は花火が大好きであり、それで鹿児島の花火大会は、他の地の花火大会とはひとあじ違う、迫力のあるものが楽しめる。
 二尺玉がぽんぽんと打ち上がり、夜空に大輪の花火を開かせ、そして鹿児島中に轟音を響かせる。ほとんど騒音なみの音量だが、そこは桜島という大先輩が鎮座している地ゆえ、みな耐性ができており、この光と音のショーを心から楽しんでいる。

 花火を存分に楽しんだのちは、「鮨匠のむら」で夕食。

 いつも満席の「のむら」であるが、今日は席に余裕がある。
というのも、本日は花火大会があったので、昼あるいは夕早めに食事を終わらせ、それから花火大会見物に行く人が多かったからだそうだ。
 だから、私は夕の二回転目、ということになるわけ。

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 8月は唐津の赤ウニの最盛期。
 壱岐の腕きき漁師さんと契約して、そこで獲れた最上質の雲丹のみを仕入れているので、相変わらずすこぶる美味である。
 まずは雲丹のみを食す。このまったく雑味のない、旨みと、甘みがたまらない。
 次は雲丹の茶碗蒸し。ほっこりと温められた雲丹は、少々変わった食感となり、そして甘みが増す。茶碗蒸しは、白身がアコウ、椎茸、山芋、サツマイモ、アオリイカが入った贅沢なもの。
 そして雲丹の握り。甘さ抑えめ、人肌のシャリが、雲丹の旨さをいっそう引き立てる。
 さらには雲丹丼。たっぷり雲丹をとって、口に運び、悶絶級の愉悦を味わう。

 雲丹以外の魚、握りもまた当然美味く、いつもながらの口八丁手八丁の店主のショーを楽しみました。

 錦江湾の花火に、のむらの鮨。
 鹿児島の夏の、極上の一夜であった。

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August 07, 2016

天草を食べ尽くそう 3日目 天草下島観光→たなか畜産

 天草最終日は、昼に「たなか畜産」の焼肉。
 この店は最上質の黒毛和牛が食べ放題という、熊本最強のコストパフォーマンスを誇る有名な焼肉店だそうで、肉好きの人が天草を訪れたときは訪問必須の店だそうだ。

 ホテルのチェックインから「たなか畜産」の昼食までは時間があることから、参加者6名中、3名がイルカウォッチングへ。イルカに興味のない人たちは、私が車で下島の観光名所を案内することにした。なにせ、天草に来たのが人生初、という人ばかりだったので、天草に来て訪れたのは飲食店のみというのも勿体ない話だし。

 天草の下島の名所といえば、本渡から順に、苓北のおっぱい岩 、サンセットライン鬼海ヶ浦展望所、白鶴浜、妙見浦、大江教会、崎津教会、ハイヤ大橋といったところだろうから、それらを目的にGo。

【おっぱい岩】
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【(参考)おっぱい岩 :干潮時】
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 乳房状の岩が磯に転がっている「おっぱい岩」。
 潮汐の力により奇妙な形に刻まれた岩で、このようなものがずっと磯に転がったままでいることが、天草灘という海の穏やかさを知らせてくれる、そういう自然物なのだが、・・・この岩、干潮時にしか姿を見せず、今回は海のなかにほとんどが沈んでいて、わずかに先っぽが見えるだけであった。残念。

【鬼海ヶ浦展望所】
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 天草に西海岸は夕日が沈む姿がとても美しいため、サンセットラインと名付けられている。そのなかでもとくに展望の良いのが、鬼海ヶ浦展望所。そして夕日の時でなくとも、青い海にいくつもの奇岩が屹立した姿は、とても見事である。

【妙見浦】
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 妙見浦。道路から撮影したので、なんだかよくわからん風景になっているけど、ここも巨岩が海からいくつも突き出ている名勝。当然海の中も変化に富んでいるので、ダイビングスポットとしても有名であり、他県から毎週ダイビングに通う人もいるほどの人気の地である。
 下のほうからダイバー達らしい、にぎやかな声が響いていたので、今日もにぎわっているようであった。

 ところで苓北から大江あたりに抜けたところで気付いたのだが、天草下島って大きな島であり、こりゃ3時間で全体を観光できるようなところではとてもない。元天草住民として、今更なんなんだ、という話ではあるが。
 博物館とかも寄るなら、二日はかかる広さの島である。

【崎津天主堂】
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 海のそばのこじんまりとした教会。
 禁教時代にも信仰が続いていた長い歴史を持つ天草で、その象徴的存在である。
 街中から見る天主堂も味があるのだが、本日は観光客で駐車場が埋め尽くされており近づけず、それで崎津漁港から遠景を眺めるのみ。

【たなか畜産】
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 結局牛深までは行けずに、河浦から本渡へ戻り、昼食の「たなか畜産」へ。

【焼肉】
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 この店、昼は予約が取れないので、行列に並ぶ必要がある。今回は、イルカ観光組が既に席をとってくれていたので、我々はすぐに店に入ることができた。
 まずはステーキから焼く。シャトーブリオン、サーロイン、イチボ、ランプと高級部位ばかりであり、これらは焼肉奉行のY部長に焼き加減をまかせることに。

【焼肉】
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 最初に運ばれたステーキを片づけたのちは、食い放題の焼肉を獲りに行こう。
 食い放題なのに、これらはA4~5の黒毛和牛が使われており、普通の食い放題焼き肉屋と比べると、とんでもない違いである。
 我々が頼んだ、ステーキ+焼肉食べ放題セットはビール、焼酎、ワインその他飲み放題がついて5500円。(私はノンアルコール組だったので、4500円)
 都市部の鉄板焼き店とかで食べると、この2~3倍は軽くいくだろうから、評判通り素晴らしいコストパフォーマンスを持つ店である。

 さんざん食い、さんざん飲み、こうして3日間の旅は終了。
 天草はやはり美味しいところであった。

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August 06, 2016

天草を食べ尽くそう 2日目(3) 蛇の目寿司@天草市本渡

 天草は漁港がたくさんあり、天草近海、東支那海等のよい魚がたくさん水揚げされるのであるが、一番よいものは天草どころか熊本市も素通りして、福岡、あるいは築地に行ってしまいがちである。
 それでも一部の店は独自に仕入れ先を確保して、高レベルの魚を出すことに尽力してきており、老舗店「蛇の目寿司」はその代表のようなものだ。
 私は天草に住んでいたころ、本渡市の寿司店はだいたい回ってみたが、素材に関してはこの店が図抜けていたので、常連客になっていた。かれこれ10数年以上前の話。

 今回、ひさかたぶりに蛇の目寿司を訪れたが、以前のとおり鮨ダネの質は良く、そして握りのセンスもよくて、やはり天草の寿司の名店だなと認識を新たにした。

【握り】
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 夏河豚は食感がよく、薬味との調和もよい。雲丹はちょうど今が旬であり、そしてこの店は天草で獲れる最上級の雲丹を使うので、旨みと甘みがじつに濃厚。蛇の目寿司の裏メニュー(?)として、雲丹丼があるのだが、これ雲丹丼にするとそれだけで完結するほどのものになるだろうな。蛸は包丁の入れ方でじつに繊細でとろけるような食感を演出。海老は天草でよく獲れるスエビというものですこぶる美味。シャリは甘めは控えめで、鮮度のよいネタをうまく引き立てている。

 この店の鮨は江戸前でなく、海に近い地によくある鮮魚系の鮨であるが、新鮮なネタをただシャリ団子に載せた、地方にありがちな鮮魚鮨ではまったくなく、繊細な仕事と工夫も加えられた、洗練された立派な鮨である。

 天草本渡は、昼に訪れた「奴寿司」と「蛇の目寿司」が有名店であり、また人気店であるが、それぞれ独自の個性がある鮨の名店であり、この両店を食べ歩くと、鮨というものについていろいろと考えるし、また天草の食文化の知識を深めることもでき、天草を訪れたときはぜひとも両店訪れるべきであろう。

【天草本渡市街】
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 蛇の目寿司のあとは、ホテルへはタクシーで2名が帰り、残り4名は徒歩で帰ることにする。もちろんポケモン狩りのためである。
 夜の街を歩くと、今日はちょうど夏祭りの日であって、それが終わったころであった。
 祭りのあとの、火薬のにおいと、喧騒の名残がただよう、なにか虚脱した雰囲気のある街並みを歩いて行く。

【夜の天草瀬戸大橋】
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 ポケモンは、なかなかヒットしない。
 時々出現するのは、ポッポ、コラッタ等の雑魚モンスターばかりである。
 ポケモンは人の集まるところ、あるいはモニュメント的なところに出がちなので、瀬戸大橋沿いを歩いてみた。海岸に近いから、それなりのポケモンが出るかと期待したが、出て来たのはやはり雑魚モンのコイキングであった。
 「コイキングは100匹集めると、ギャラドスになるんだよ」と、ポケモンに詳しいA氏がコイキングをGetしながら、ずいぶんと遠大なことを述べる。・・・ポケモンGoって大変だなあ。

 それにしても、いい大人たちがこぞってやってるポケモンGo。おそるべしゲームである。


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【(参考) コイキング→ギャラドス】

Garados


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天草を食べ尽くそう 2日目(2) 串焼よみや@天草市本渡

【串焼よみや】
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 天草2日目の夕食は「串焼よみや」にて。
 今回のツアーでの訪れる店は、天草在住の飲食業関係の人がリストアップしたものであり、「どれも天草が誇る店で、県外の人にぜひともその魅力を知ってほしい」との店ばかりとのこと。
 この「串焼よみや」、店を見るだけで、のれんや玄関、植木等で、「お、この店は美味しいに違いない」という雰囲気を感じることができる。

【刺身】
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 メニューを眺めると、居酒屋系の美味しそうな料理がずらずら並んでいるが、その天草の人のお勧めメニューは、まずは刺身と串、とのことであり、それらがあらかじめ注文されていた。
 刺身はいずれも天草で上がった獲れたての新鮮なものばかり。
 そしてこれも天草名物、ウツボは鉢で。ウツボは見た目が悪いためか、他でもあまり料理の材料にならないが、天草では普通に食べられ、そして見た目とちがってじつに上品な白身の味である。

【串焼き】
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 串焼きは、牛、鶏などのスタンダードなものに加え、創作系のものも混じっている。
 肉系の素材はもちろん良かったが、野菜がまた良かった。特にミニトマトの豚バラ巻きは焼かれたトマトの甘さと豚バラの脂がとてもよい調和をみせていた。

 そして料理の良さに加え、この店は器がとても良い。
 それもそのはず、この店は天草の有名な窯、朝虹窯の余宮隆氏の器を使っているのであり、その器の観賞だけでも訪れる価値あり。

【メニュー表の一部】
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 刺身、串焼きに加え、分厚いメニュー表には、美味しそうな料理がたくさん載っており、食指をおおいにそそられるのであるが、今回は、このあと寿司店が控えているので、ここで終了して次の店「蛇の目寿司」へ。


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 朝虹窯

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天草を食べ尽くそう 2日目(1) 奴寿司@天草市本渡

 8月6日土曜日はリオオリンピックの開幕日。
 朝から開会式を観る。ごたごた続きでまともに準備が出来ていないとの噂が高かったリオ五輪であるが、ブラジルの歴史、文化を表すショーはなんの破綻もなく、きちんとした出来。ブラジル、やるときはやるじゃん。それから選手団の入場行進を見て、日本選手団が入場したところで、外にでかけることにした。
 今回は自転車を持参していたので、自転車に乗って少々遠出をしようと思ったが、出発してあまりの暑さにすぐに断念。それで自転車よりはまだましだろうと、徒歩で海岸線をぶらぶらと歩き、それから本日の昼食の奴寿司へ。

【奴寿司カウンター】
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 奴寿司は近年メディアに取り上げられる機会が多くなったことから、県外にも名前の響く有名店となっている。しかし10数年前は普通に地元民がもっぱら通う、いわゆる地元の人気店であって、だから客層が微妙に変わって味も変わったのかなあと予想していが、いざ食してみると以前と同じスタイルの鮨であって、・・・まあ長年の歳月で築きあげてきた職人の鮨がそう変わるわけもないよな、と一人で納得。

【鮨】
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 この店の鮨は、天草の地元の魚をおもに用いて、なるべく新鮮なまま出している。そしてそれに独自に工夫をこらした調味料、胡麻塩、梅塩、雲丹塩、刻み山葵、山葵漬、柚子胡椒、青胡椒等々を加えている。この調味料とネタのバランスは主人の感覚にのみよっているので、人によっては過剰すぎるとかネタ本来の味がぼやけるとかの感想もあるかとは思うが、何はともあれいずれも創作性豊かなものである。
 コハダなどは〆たうえに、白板昆布をのせているので、酢と旨みが重層的になり、「足し算の鮨」というべき面白いものである。また炙りカンパチはニンニクを加えているが、それはガーリックチップを挟んでいるのであって、脂豊かなカンパチの味とあいまい、洋食みたいな料理となっている。
 そういった個性的な鮨が次々に出され、ずっと面白く食事を楽しめる。これらの鮨は、この店でしか食べられないものばかりなので、とにかく鮨好きな者なら一度は体験する価値があります。

 そして店主はギャグが大好きであり、自分とそして客をいじりながら、カウンターを笑いにつつませて、奴寿司劇場を演じている。握る鮨とともに、これも立派な芸である。
 こういうところも、この店にたくさんの常連がつく所以であろう。

 おまかせ4品+鮨おまかせ、および奴寿司劇場を堪能して、昼の部は終了。
 ・・・のはずであったが、

【海老の宮川】
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 奴寿司に行く途中にある、これも海老の有名店「海老の宮川」。
 この店構えに、この店には何かがあると閃いたY部長が、この店によって天丼を食うと宣言。
 あのう、我々このあと4時間後に、串焼き、それに鮨を食いに行くんですけど。
 結局Y部長ともう一名がこの店へと突入。
 残った我々はあきれながらホテルにいったん戻った。
 そしてしばらくしてFBに天丼の写真付きの「1080円で車海老が四匹。なんというコストパフォーマンスの良さ!」と書かれたY部長のレポートがUPされていた。

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August 05, 2016

天草を食べ尽くそう 1日目 :寿司たいと@天草市本渡

 4月下旬の熊本大震災から3ヶ月ほど経ち、交通機関や宿泊施設の復旧は相当進んでいるのだけど、観光客の戻りは悪く、いずこの宿泊施設、そして飲食店が客の減少に困っている状況が続いている。
 これに何らかの応援をしたいと思った熊本在住の者が音頭を取り、県外の美味いもの好きな人たちに連絡をとって、そういうことでもない限り滅多に来ない天草で食べ歩きツアーをしようという企画が持ち上がった。

 天草は私は以前住んでいたことがあり、店の新規開拓という面では興はそそられなかったが、それでも天草を訪れること初めての人ばかりのツアーゆえ、天草観光のガイドの役にでも立つではあろうと思い、それに参加することにした。

 そして企画がまとまって、具体的にどの店に行くかとのプランが送られてきたのだが、

 ・1日目夜 寿司たいと→二次会 鮮魚系居酒屋あるいはバー
 ・2日目昼 奴寿司 夜 串焼よみや→二次会 蛇の目寿司
 ・3日目昼 田中畜産 A5牛食べ放題

 というハードなプラン。
 一日目はともかくとして、メインの二日目は天草を代表する寿司店2店のハシゴに串焼店がはさまるというカオスなプランであり、三日目は昼から焼肉食い放題。
 これは若いものならともかくとして、中年主体の一行にはきついのでは、とは思ったが、今回の参加メンバーを眺めると、いずれも鉄の胃袋を持つ人達ばかりで、・・・とにかく皆さまの健啖ぶりに感心しつつ、こちらはもっぱらお酒を楽しむことで乗り切ろうと思い、天草にGo。

【新天門橋@建設中】
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 熊本にとって天草は観光宝庫のような場所であるが、交通の便が悪すぎるため、集客に限界がある。
 交通難の理由は簡単で、天草の島々にかかっている橋が一本ずつしかないからで、どうやってもここで交通渋滞が起きるからである。
 それを解消するために、まずは天草一号橋の横に、新たなバイパスを設けるべく、新天門橋が建設中だ。これが完成すると、天草の交通の便はぐっとよくなると思う。


 天草の五つの橋を越え、そして本渡への瀬戸大橋を越えて、ホテルにチェックインしたのち、本日の夕食店「寿司たいと」へ。
 この店は、天草本渡の寿司店に勤めていた職人が、自分流の寿司を握ろうと10年ほど前に独立して開業した店である。

【寿司】
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 店主は江戸前指向なのであり、鮨の形はほどよい大きさで、地紙型のシャープな形。
 鮨種は地元の素材にこだわり、鯛、クエ、アワビ、イカ、海老、鰆、雲丹等々、いずれも天草のものである。
 天草は海産物の宝庫であり、良い素材がとれることで有名である。とくにコハダやハモなど。しかしそれらは熊本ではあまり人気がないため、もっぱら福岡や築地に卸され、地元でそれらのネタを食うことができないという、和食好きなものにとっては理不尽な状況になっていたが、それでも少数の店がなんとかそれらの素材をキープし、そして良質な鮨にして供してくれている。
 「寿司たいと」はその代表的な店である。
 鮨全体としては、江戸前直球というわけでもなく、〆方はやや浅目であり、またシャリも酢や塩は柔らかな塩梅。あえて言えば、優しい江戸前流といった感じで、そしてこれは天草の人たちが好む味付けにあっており、天草流ともいえるであろう。
 そして写真でわかるように鰹のユニークな形、鮑の包丁の入れ方、海老の茹で方と切り方、穴子のシャリのゆるやかさとかが示すように、仕事はじつに丁寧であり、たいへん好感のもてる鮨である。
 季節の変わり目ごとに天草を訪れ、この鮨を食いたくなる、そういう魅力あふれる鮨であった。


Rentier


 鮨を食ったのち、二次会はバー「ランティエ」へ。
 この店には、「寿司たいと」から徒歩で行ったのであるが、途中ラーメン店「鳥骨鶏 龍」があり、福岡から来た者が、「天草にもこの店があるのか。福岡とどう違うか調べてみる」と言い、2名がそこに行ってしまった。
 我々はそのままランティエに行ったのであるが、・・・失礼ながら、天草本渡にこういうエレガントな店があるとは、ぜんぜん思っていなかった。いい店であった。
 そして30分ほどして、先ほどのラーメン組が合流し、さんざん騒いでそれからホテルへ戻る。

 他の者はタクシー使用とのことだったが、ホテルまでは2kmほどの道だったので、私は歩いて帰ることにした。するとそれにつきあう者が一名いて、一緒に歩いて帰ることにした。彼女は食文化に造詣が深い人であり、食について語り合いながらの文化的散歩、ということはまったくなく、互いにスマホをチェックしながらのポケモンGo。
 あの快活な音楽を聞きながらのポケモン探しであったが、・・・天草本渡って、ろくなポケモンいないねえ~とお互い嘆きながらの帰り道であった。

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August 01, 2016

映画:シン・ゴジラ

Sinngojira

 映画館で「シン・ゴジラ」の予告編を観ていて、街を横切る巨大な尻尾で示す不安極まる情景、溶岩が中で煮えたぎっているような禍々しいゴジラの造形、それらの映像を見て、邦画の特撮(or CG)の技術のレベルも素晴らしいものになったなあと感心して、この映画の上映を楽しみにしていた。
 しかし予告編の映像を見、その映像の技術の素晴らしさに惹かれて観に行ったところ、いいのはその場面だけで、あとは退屈極まる駄映画、というのは邦画にありがちではある。例えば「進撃の巨人」とか、あるいは「進撃の巨人」とか、そもそも「進撃の巨人」とか。
 そして「シン・ゴジラ」のキャストは、「進撃の巨人」とけっこうかぶっていることから、少々の懸念を感じながら観にいったもの、この映画、近年まれにみる邦画の傑作であった。

 この映画でのゴジラは、今までのゴジラシリーズ通り人智を超えた圧倒的存在であるが、そこには何かのメッセージ的な役割はなく、それは自然そのものが人智を超えた圧倒的存在であるように、ただただ人類に対して圧倒的破壊力を示す。
 ゴジラは別に人類を滅亡させたいという意思があるわけでもない。気まぐれに海からあがって都市に上陸しまた海に戻るだけである。しかし、あれほどの巨大生物が海から上がって川を遡上して都市を横切るだけで、都市は破壊され尽くし、甚大な被害が生じる。それこそ、台風、地震、津波、竜巻等が、誰もいないところで生じれば単なる自然現象なのに、それが人が密集するところに生ずれば、たいへんな大災害になるがごとく。

 この自然そのもの、あるいは災厄神といってもいい存在であるゴジラに対し、それでも日本政府としては、「自然現象だから」と放置できるわけもなく、懸命の努力をする。

 「シン・ゴジラ」は、ここが最大のキモである。
 ゴジラは映像的に圧倒的存在感があるが、しかしそれはあくまでも脇役であり、「シン・ゴジラ」は、この迷惑極まる「荒ぶる神」に対し、それへのリアルな対処をする群像が主役となっている。

 前代未聞の危機が首都を襲っているわけだから、政府、官僚、民間組織は、市民を都市を組織を守るために、努力の限りを尽くす。これに対応する機関はざっと考えて、国交省、外務省、財務省、防衛省、厚労省、警視庁、環境省、文科省、宮内庁、・・・てか、全部の省庁が関与するわけであり、ともかく会議、会議で、最善の対処法を決めていかねばならない。
 最初は省庁の垣根もあり、ギクシャクしているが、それでも各々の役割がはっきりしだし、サポートする有能な者も集めたりしたことから、なんとか対処法を見出していく。

 都市部の事件を題材とした某ヒット映画に、主人公が激高して叫ぶ「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ」との有名な台詞があるが、会議は大事なのである。ものすごく。

 というわけで、この映画は、ゴジラに対してどう対処するかのシミュレーション映画なのであり、徹底して「会議映画」といえる。そういう意味で、斬新な怪獣映画といえる。

 で、会議が主役のこの映画、しかしゴジラの造形もまた素晴らしい。それこそ予告編以上に。
 ゴジラが追い詰められ、そこで炎を吐き、都市を焼きつくすシーン。東京の終末、この世の終わり示すような、黙示録的描写であり、邦画の歴史に残る名場面であった。

 この映画、語りたいことはヤマほどあるが、あまり語ればネタバレばかりになるゆえ、このへんで評を終える。
 とりあえず言いたいことは、これは上映しているうち観ないと絶対損する映画。
 近頃では「パシフィック・リム」以来、そういう感想をいだいた名作であった。

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 シン・ゴジラ 公式サイト

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