耐暑登山:田原山(鋸山)@国東半島
国東半島には低山ながら面白い山がたくさんあることは知っていたが、いままで行く機会がなかった。
今回英彦山登山のついでに国東半島の基部にある中津市に泊まったので、国東半島の山にのぼってみることにした。まずは、形が独特であり、個性の強い山である田原山へと。
登山口は鋸トンネル前にあり、よく整備されている。
登山案内図もあり、それによると順路は、大観峰→見晴らし岩となっている。
ただこの方向だと下りが急傾斜になるので、見晴らし岩側から登ることにした。
見晴らし岩へは、日当たりのよい、草の生い茂る坂を登って行く。
本日は、「梅雨明け!」といいたくなるぐらいに好天であり、空は真夏の青さであり、雲もにょきにょきと入道雲が湧いている。
で、当然のことながら暑い。
汗はふきでるし、心拍数はあがるし、登っていてまったく楽しくない。
もう途中でやめて帰ろうと思ったのだが、しかしここは国東半島の山。宇佐八幡宮を総本山として、奈良時代の昔から山伏たちが修験の場として山々を駆け巡ってきた由緒ある地である。日本の登山の歴史は修験道から始まり今に続くわけで、登山愛好者としては、その偉大なる先達である山伏たちの心に近づくためにも、もうひと頑張りしてみよう。
・・・って、近頃同じようなことを考えて、無理やり登ったことがあったような気がする。
見晴らし岩へ近づくと、登山道は岩稜地帯となり、ようやく風があたってくる。
そうなると体感体温もぐっと下がり、なんとか一息つける。
それでも、風が止まると、これがまた暑いのだ。
見晴らし岩から、登山道は稜線に入る。
ここからは田原山の別名の「鋸山」が示すように、鋸歯上の凸凹した鋭い山稜を歩くことになる。
当然展望はよく、南方向には由布岳、鶴見岳が見える。
見えるが、雲が山頂近くかかっており、どうやら昨日同様に、高度の高いところは雲の通り道となっており、天気は悪いようだ。
稜線は、鋭いナイフリッジ的登山道が続いて、注意が必要である。
この稜線にはいくつも岩塔があり、それぞれ名前がついている。
その一つで休憩していた人と挨拶。まずは開口一番「暑いですねえ~」と互いに言う。
その人は本当は九重に登る予定だったのだが、朝九重の登山口に行くと、雨が降っており止む気配もないので、標高の高い山は今日は無理だと思って、低い山のこちらまで来たとのことであった。
梅雨の期間は、梅雨前線という壁に向かって、太平洋から湿った空気が流れて来ているので、高所では天候が読みにくいということを実感。
岩塔をいくつも越える道を行くと、5人グループとすれ違った。一人ずつと、「暑いですねえ」と挨拶をする。
最終ピーク手前の「八方岳」に近づくと、「危険」の標識があった。八方岳方面からは、ここから岩場になるので、その注意の喚起のようである。
八方岳に到着。
へんぽんと破れ筵みたいな旗が翻っているが、半旗みたいな揚げ方になっているのは何故?
それはともかくここからは名前の通り、360度、八方の風景が眺められ、東は豊後湾、南は由布岳と、ぐるりと大分のほとんどの地形を見ることができる。
八方岳はこの稜線のピークではなく、その向うの大観峰が最高峰である。
いったん岩場を下っていく。ここはちょっとした難所となっており、登りのほうが楽であろう。田原山の稜線のルートは、登山口の案内図に載っていたように、反時計回りが全体的にルートが分かりやすく、そして登りやすいので、そちらがお勧め。
八方岳から、大観峰へ到着。
ここから見る、先ほど通って来た稜線の姿は、鋭い岩壁であり、迫力ある。
ここから先はもう基本下るだけなので、ここでのんびり休憩したいところであるが、太陽の高度が上がるにつれどんどん気温が上がり、痛いような日光が照りつけるなか、一秒たりとも長居する気はおきず、林のなかの道を目指し、さっさと下山にとりかかる。
帰りの道は、八方岳から伸びている尾根と、大観峰から伸びている稜線のあいまの谷を行く。
普段ならなんとも思わぬ道であるが、4月からの地震のせいであちこちの山が崩れているせいで、「もしまた大きな地震が起きたら、ここは土石流の通り道だな」とか考え、一抹の不安を感じながらの下山。
ある程度下れば、地形は平たく、また広くなり、いちおうの安全地帯。
そしてこのあたり一帯は、タラがたくさん生えていた。春には山菜とりの人でにぎわうんだろうな。
暑い、暑いと嘆きながらの山行であったが、それも道理で、本日は今年一番の猛暑日であり、九州各地で気温は35℃を越えていた。山登りするような気候ではなかったのである。
そういうわけで、通常の倍以上の汗をかいて下山したあと、登山口からすぐ近くにある温泉施設「風の郷」でさっぱりと汗をながす。
こういう日の登山は、温泉とセットで完結するのである。
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