伯耆大山@夏山登山道
伯耆大山は言うまでもなく西日本有数の名峰であるが、南九州からだと不便なところにあるので今まで訪れたことがなかった。なにしろ鳥取は遠いので、往復だけで2日かかってしまう。さらに伯耆大山は稜線の縦走路が崩壊したため、登るためには東端と西端の峰に登るには一日ずつかかるので、大山登山には計4日間が必要になる。さらに、その登山の2日間が好天でないと面白くないので、時間および気候の条件が整うことはまずなかった。
しかし、今回のGWはその好条件がそろったので、登ってみることにした。
伯耆大山は登山口までのアプローチがとても容易な山であった。米子市から車で30分ほどで着くし、道路も広くて走りやすく、さらに広大な駐車場が用意されている。
九州には、祖母傾大崩山系にしろ、脊梁山地にしろ、登山口までたどりつくのが一苦労という山が多く、これはうらやましかった。
駐車場からは舗装路を5分ほど歩き、モンベルの店の近くに夏山登山道の登山口がある。
登山口からしばらくは、寺社の領域であり、杉の古木が立ち並ぶ石段を登って行く。
道はやがて丸太を並べた登山道になる。このあたりから周囲の樹々はブナ林となり、光を浴びて葉々が美しい。
五合目を過ぎたあたりから植生は灌木に変わり、風景が開けて来る。
そして六合目の避難小屋まで来ると、樹々の丈はさらに低くなり、一挙に見晴らしが良くなる。
左手に大山の全貌が見えて来る。
見晴らしのよい登山道を登って行くと、やがてガレ場を過ぎて、大山名物の木道が現れて来る。
この木道は大山の山頂周囲の植生を保護するために作られたもので、これが作られる以前は山頂周囲は登山者に草木が踏みひしがれ、不毛の荒れ地になっていたのだが、人の立ち入りを制限し、植樹を続けた結果、このダイセンキャラボクの灌木帯が復活したそうだ。
木道を一番高いところまで行けば、山頂である。
もっとも厳密には夏山登山道の山頂である弥山(1709m)は、この「立入禁止」のもう少し先に見えている尖ったピークなのだろうが、道が崩れているため、行ってはいけない。
振り返れば、好天のもと雄大な景色が広がっている。
米子市、島根半島、日本海。
島根半島あたりは非常に複雑な形をしているが、出雲の神話によれば、神様が伯耆大山を杭にして、それを手がかりにして、周囲の国を網で引っ張ってきて、島根半島を造ったとのことで、そういう目で見ると、この山が島根・鳥取の中心軸であるようにたしかに思えて来る。
下山は途中までは登りと同じ道を使う。
伯耆大山は人気のある山で、GW中は大混雑という話を聞いていたので、早めに出発した。それで登りは普通のペースで登れたが、下りは大集団がいくつも登ってきて、離合にずいぶんと時間を使った。
下りは6合目を少し過ぎたところから分岐している行者谷コースを使う。
ここもよく整備された道である。
行者谷コースは、沢筋の大堰堤に出ると、目の前に大山北壁が屏風のように立ち並んでいるのが見える。
じつに雄大な岩壁であり、迫力ある。
九州にはこんな風景はないので、新鮮かつ、驚かされる風景である。
登山道は大神山神社に出て、いちおうの終点。
この夏山登山道はいたるところよく整備されており、とても登りやすかった。
さらに登山口周囲の設備の整備も行き届いており、この山に人気がある理由もよく分かった。
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