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May 2016 posts

May 28, 2016

料亭旅館竹千代霧島別邸@霧島

 霧島は泉源の異なる温泉が豊富な地ゆえ、それを生かしたたくさんの温泉宿がある。
 それらの温泉宿はそれぞれ個性が豊かで、いずれも面白い。
 今回は、霧島神宮前の料理旅館系の温泉宿「竹千代霧島別邸」という宿を選択してみた。
 この宿は、料理旅館と銘打っていて、鹿児島市内に本店の料亭があり、そこの支店系統の旅館という位置づけにあるみたいだ。

【部屋】
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 旅館は部屋数が少なく、静かな滞在を楽しめる。
 部屋は純和風のクラシカルなスタイルで、しかし天井は三種類の造りで組わせており、造り手の趣味を感じさせる。

【風呂】
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 部屋付き露天風呂は、けっこう広くて、5人くらいがいっぺんに入れる広さ。
 湯は当然、豊富な湯量を生かして、硫黄泉の源泉掛け流し。身体が芯から温まるいい湯である。
 ただし今回は雨がずっと降っていたので、こちらにあまり入る気はせず、旅館の大風呂のほうを主に使ったけど、あとで写真に写っている大傘を露天風呂に入れれば、まったく雨を気にせず入れることを発見した。

【前菜】
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 料亭旅館ということで、料理に期待。
 前菜は新緑豆腐、蕗味噌漬け、海老チーズ、苦瓜白和え、穴子寿司、鮎甘露煮、青梅蜜煮と、色どり鮮やかで、また香りもそれぞれ高い、華やかな盛り合わせ。

【吸い物】
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 玉蜀黍と蛤の真丈は、ユニークな食感。椎茸の香りと山椒の香りが豊かである。

【造り】
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 造りは海老、マグロ、キビナゴ。
 鹿児島ではキビナゴははずせない。

【焼物】
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 大きめの伊勢海老は味噌焼きで。

【鍋もの】
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 鹿児島名物は、やはり黒豚。
 これをしゃぶしゃぶで、温泉玉子といっしょにいただく。

【替わり鉢】
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 黒毛和牛である鹿児島牛のステーキとフォアグラ。

【食事】
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 〆はこれも鹿児島名物の鶏飯。

 鹿児島の食材と名物をふんだんに使った、ゴージャス系の料理であった。
 どれもなかなかの美味で、霧島という有名観光地を訪れたときのハレの気分にうまくマッチするような料理だと思う。

 温泉は文句なしに良く、旅館の雰囲気も味があり、料理もなかなか。
 田舎ならではの素朴感とか、質素感とかはまったくないが、雅びな人の山のなかの別荘的華やぎを感じられるおもしろい宿であった。

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雨の週末 ミヤマキリシマと滝

 霧島のえびの高原のミヤマキリシマが満開とのことで、とりあえず霧島の宿をとって、霧島に行くことにした。
 しかしながら、5月最後の週末は土日とも雨マークがついていて、終日雨が降るとの予報であった。
 この手の悪い予報はまず外れることはなく、結局二日とも、南九州はそれこそ天の底が抜けたかと思うくらいに、大粒の雨が途切れることなく降り、残念な天気の週末となった。

【硫黄山】
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 えびの高原に着いたときは、スコールかと思うくらいの激しい雨であり、しばし雨宿りをしていたが、やや小降りになった隙をついて、硫黄山へと行ってみた。
 えびの高原からは韓国岳どころか硫黄山もよく見えない。それでも近づくにつれ、霧を透かしてなんとか満開のミヤマキリシマを見ることができた。
 硫黄山のミヤマキリシマを見たあとは、この天気のなかまさか韓国岳に登る気もせず、池をめぐって散策して、とりあえず今年初のミヤマキリシマ見物のミッションは終了。

【丸尾の滝】
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 土曜に引き続き、日曜も大雨である。
 ミヤマキリシマなど見ている天候ではない。
 そして本来ならこのシーズンの日曜は、ミヤマキリシマ目当ての人で、えびの高原は大賑わいになるはずだが、まったく閑散としていた。

 そういうわけで、目的をミヤマキリシマから変更。
 雨のときその姿が映えるものは、やはり滝である。それでこの界隈の名瀑を訪れることにした。
 最初は霧島の丸尾の滝。
 温泉が混じった暖かい水で有名なこの滝も、今日ばかりは成分は雨が大半であり、普通の温度であったであろう。
 ちなみに展望所へは立ち入り禁止となっていた。滝なみの大きさで近くの崖が崩れており、それで行けなくなったようだ。
 自然の猛威は、いずこにもその跡を残している。

【曽木の滝】
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 次の滝は、伊佐市の曽木の滝。
 幅が210mと広く、東洋のナイアガラと称される名瀑である。
 土日と降り続いた大雨を集めて、滝と川は轟々と濁流を流し、大迫力である。
 この手の迫力系の滝は流量が大事なのであり、水量が少ないと物足りなく感じるものであるが、さすがにここまで水量があると、本来の魅力を発揮し、自然の大いなる力を見せつけている。

 大雨の週末、この曽木の滝を見られたことに満足した。

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May 27, 2016

金寿司@熊本震災後

 4月14・16日の大地震のあとも強い揺れが続いていた熊本市であるが、1ヶ月以上もたてばさすがに落ち着いてきたので、熊本市にでかけてみた。
 噂では観光客が激減して、街の活気が失われているとのことであったが、いざ訪れてみると、中心地の新しいビル通りなどは建物の損壊はさしてなく、下通り上通りのアーケード街も人の往来は多く、地元の人たちの日常は、だいぶと取り戻しつつある雰囲気を感じた。

 とはいえ、熊本市では宿泊施設の復旧がまだまだであり、宿泊する場所をとるのも難儀なので、観光都市熊本の再建は道遠しというところでもある。

【金寿司】
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 夕食は金寿司で。
 頑丈なビルの地階の店なので、店そのものはほとんど地震の被害はなかったそうだ。しかしカウンターのガラスケースに並べられていた薩摩切子は、さすがに震度6強の縦揺れ横揺れには耐えられず、残念ながら全滅となり、かわりに江戸時代の様々な職業の人形が飾られていた。
 そして長年にわたって店主が集めて、店の倉庫に収蔵されていた数々の器や杯の名品は、管理がよかったせいで、すべて無事だったそうで、たしかにいつもながらの器が出されていた。

 店は大丈夫だったのだが、しかし流通はさすがに大変なことになっていて、地震後は田崎市場が閉っていて現地の食材は入らず、また築地からの空輸も空港閉鎖でできず、GWの前にようやくそれらが回復したので、2週間の休業ののち、店を開けられるようになったとのことである。
 あと、問題はやはり宿泊施設であり、こういう県外の客も多い店では、店の予約をとったのち、改めて「宿が取れなかったので、残念ながらキャンセルさせてください」という連絡がきたりするそうだ。

 今回の熊本震災では、各種交通網の復活は、今までの大震災に比べ抜群に早く、日本の震災対応力も上がって来たなあと感心はしたのであるが、次はその力を宿泊施設の復旧に注ぎ、一日でも早く、また元の熊本市に戻ってもらいたいものである。

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May 21, 2016

サイクリング:国道10号線で県境越え

 宮崎大分を結ぶ幹線道路10号線の県境部は、道の規格が古くて路側帯が狭く、かつ車の交通量が多いことから、自転車で走るのに適していない道であった。しかし昨年の3月に延岡~佐伯間に東九州道が通り、この区間が無料なため、県境越えの自動車はほとんどがそちらを使うようになったので、国道10号線は車の交通量が格段に減って、今では自転車が通りやすい道になっているはずである。

 ロングライドに適した季節、この道を使って大分市まで行くことにした。

【南延岡】
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 延岡は旭化成の大煙突が名物。
 国道10号線を走っていて、この煙突が目に入ると、「延岡に来た」と実感する。

【和田越トンネル】
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 延岡市街地は和田越トンネルで終了。自転車は傍の小さなほうのトンネルと使って行く。

【北川】
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 国道10号線は、この北川の「道の駅はゆま」から東九州道に入ることができる。
 ここで10号線を走る車の量がぐっと減る。

【国道326号線分岐】
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 国道10号線が北川を越える橋の手前で、国道326号線への分岐がある。今日は当然このまま真っ直ぐ進んでいく。

【北浦分岐】
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 やがて北浦への分岐へ。このあたりになると、上下とも、もう車はほとんど走ってなく、無人の荒野を行くがごとき感覚になってしまう。

【国道10号線】
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 国道10号線は北九州と宮崎を結ぶ、東九州の幹線道路であるからして、このように所々に門司への距離が書かれた標識が一里塚のように設置されている。

【県境】
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 北浦からのゆるい登り坂を行くうち県境に到着。
 ふつう県境は峠となっていることが多いが、この県境は坂の途中であり、まだまだ登らねばならない。

【重岡駅】
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 あきれるほど車が通らない10号線を登っていき、いちおうの峠に位置するのが重岡駅。ここを少し過ぎると、それからずっと続く長い下り坂となる。

【直川】
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 国道10号線沿いにあるもので、最も目立つオブジェがこの直川の巨大カブトムシ。
 このあたりまで来ると、それなりの人口があるため、車が増えて来る。

【佐伯IC入り口】
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 直川から佐伯市街地に入る。ここで10号線を離れ、高速道路に沿って走っている36号線を使い、津久見に行くことにする。

【彦岳トンネル】
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 36号線はこの彦岳トンネルが峠となる。ここから津久見までずっと下りだ。

【津久見】
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 鉱業都市である津久見は、太平洋セメントの大きな煙突がシンボル。
 工場のなかを通るような道を使い、県道217号線に入る。

【県道217号線】
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 津久見から臼杵までは国道217号線を使うとまっすぐ行けるが、それには新臼津トンネルを使う必要がある。あれは暗くて長くて狭くて、自転車で通ると恐怖の道なので、二度と使う気はしない。
 それで県道217号線(旧国道217号線)を使ったのである。

【臼津隧道】
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 今では新道が出来たため、使われること少なき県道217号線。車は工事車両らしきダンプカーを除いては、ほとんど通っていなかった。
 200mほど登って、峠は臼津隧道。明かりもなにもなく、天井からは水が滴ってくる、古いトンネルである。

【津久見湾】
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 トンネルを越えて下りきってからは、臼杵湾を眺めながらの海沿いの道を行く。

【臼杵】
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 道は臼杵市に入り、造船場には巨大な船が建造中。

【臼杵駅】
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 臼杵はなんといっても臼杵石仏が名物。寄って行く時間はないが、駅前にそのレプリカがあるので、駅に行って記念写真。

【佐賀関】
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臼杵市で県道217号線から国道217号線に入り、佐賀関半島に沿って走行。

【佐賀関】
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 佐賀関は関アジ、関サバばかりだけの所ではなく、巨大な工場を持つ工業都市でもある。
 日本鉱業の200mに及ぶ大煙突も、だから名物。

【道の駅】
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 道の駅さがのせきまで行くと、ようやく本日の目的地大分市が見えて来る。

【大分市】
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 大分市に入ると、さすがに車の量が非常に増えて来る。
 歩道を使って安全運転。

【寿司処 ちはる】
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 そして本日の夕食の店、寿司処ちはるへと。
 ここでSNS用に店主と記念撮影した。店主は私がロードバイクでなくクロスバイクでロングライドして来たことに感心していたが、市街地を多く走るルートでは、クロスのほうが楽なのである。

【オアシスタワーホテル】
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 本日のサイクリングの終点地は、ちはるの近くのオアシスタワーホテル。
 大分一ののっぽビルであり、ここからの眺めは良好。
 ちなみに走行距離は161kmであり、事前の計算通りほぼ100マイルのセンチュリーライドであった。

【ホテルからの眺め】
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 大分市、別府湾、高崎山、鶴見岳と見渡せ、なかなかの絶景である。

【寿司処 ちはる】
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 風呂入って、着替えて、それからちはるへと。
 まずは生ビールで一杯。それから白を一本空けて、日本酒も一合。
 美味いツマミと、鮨、それからサイクリングの満足感もあり、酒が進むのであった。

【ワインバー】
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 鮨を食い終わったのち、まだ赤ワインを飲みたい気分だったので、ワインバーへと。ここでピノノワールを楽しんで、それからホテルへと戻る。

【夜景】
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 高層ホテルからの大分の夜景。
 微妙にもの哀しさを感じさせる夜景を眺めながら、さすがにそれ以上飲む気もせず、爆睡。

 本日の走行距離:161.09km

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 本日の走行ルート

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May 15, 2016

トスカそれから鮨 @宮崎国際音楽祭&光洋

 5月の連休を主として開かれる宮崎の国際音楽祭。
 その名の通り、実力ある国際的音楽家が招かれ、様々な演奏会を催してくれる、宮崎の年に一度の音楽の祝祭である。

 この音楽祭、けっこうマニアックであり、一般受けするような演目は案外少なく、演奏家のこの曲をやりたいという意気込みが伝わるプログラムが多くて、新しい時代を築こうとする意思が満ちている、そういう音楽祭である。
 というわけで、音楽好きの他県のかたも、どんどん来て頂きたいなあ、とも思う。

【トスカ】
Tosca

 今回、そのプログラムのなかで私が選んだのが、最終日の「トスカ」。
 ・・・じつは、私はあんまり尖鋭的なプログラムは好きでなく、古典的な曲目を選んでしまった。
 演奏は、指揮:広上淳一、ソプラノ:シューイン・リー、テノール:福井敬と、昨年の「トゥーランドット」とメインは同じメンバー。
 あの「トゥーランドット」は熱演であったから、今回も同じような熱演が期待できると思ったら、その通りであり、宮崎でこのような全身の力を振り絞った、ホール中を沸かせる、素晴らしい熱演が今年も聞けたことに感謝。
 来年もまた同じメンバーが来てほしいものだ。

【寿司】
Sushi

 オペラ演奏会のあとは、光洋で夕食。
 いつもながらの美味い鮨とツマミ、それからそれに合わせたワイン・酒をおおいに楽しむ。
 宮崎国際音楽祭は2週間あったのだが、この店もその間、関係者たちで賑わっていただろうと尋ねたら、やはりそうとのことであった。
 そして、彼ら超一流の音楽家は、命なみに大事な楽器を常に持参しているそうで、この時期、光洋以外にも、宮崎の名だたる料理店は、一個何億円もするような楽器が、ゴロゴロと店に置かれており、芸術家の存在に加え、それらの歴史的楽器があるので、店は一種独特な雰囲気になるそうである。

 地方はどうしても外来の文化が弱いのであるが、こういう芸術祭が、いろいろな形で刺戟を与えてくれて、そしてそれから新たなものが築きあげてくれることにおおいに期待。そしてそれは十分、種は播かれていると思う。

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May 14, 2016

アケボノツツジ&シャクナゲ@祖母山

 5月は中旬となり、アケノボツツジはもう最終盤。標高の高いところにしか花は咲いていないだろうけど、そのかわり今からはシャクナゲのシーズンである。祖母山には山頂近くの縦走路わきにシャクナゲの群落があり、この二つの花を目当てに祖母山に登ることにした。

【尾平から】
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 尾平から見る祖母山の峨々として連なる稜線。素晴らしい好天のもと、鮮やかに空を切り取っている。

【川上渓谷】
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 今日は暑く、標高の低いところの登りはきつかったので、こういう渓流釣りをしている人は涼しそうでうらやましい。
 これからの季節の山は登山より渓流釣りのほうがむいているみたい。

【黒金尾根へ】
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 渓流の分岐をいくつか越えて、黒金尾根へ取り着いてから、ずっと急登が続く。

【縦走路へ】
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 黒金尾根のほぼ1000mの高さを登りきると、縦走路へと出る。
 ここの分岐路はアケボノツツジの林となっており、花の時期はここで満開の花が迎えて来るのであるが、残念ながらほとんど散っていた。

【シャクナゲ園】
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 縦走路のアップダウンを行き、山頂への登りで標高1600mの標識のあるところに、シャクナゲ園の入り口がある。ここから入って行ったが、九合目管理人さんによって整備されたこの道も近頃はあまり使われなくなったようで、スズタケが生い茂り、半ばケモノ道化していた。
 そのスズタケの道を抜けると、シャクナゲ園。
 シャクナゲはいたるところ満開の花を咲かせていた。

【アケノボツツジ】
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 縦走路では標高1600mの高さではアケボノツツジはほぼ終わっていたけど、シャクナゲ園は日の当たりのぐあいからか、いくつもの株のアケボノツツジが満開であった。
 大きな樹に、ピンクの花を満載に載せて、まるでシャンデリアのような、とても華やかな風景である。

【祖母山】
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 ここはアケボノツツジとシャクナゲが同時に咲いている。
 その樹々のあいまから祖母山がのぞく。

【祖母山山頂】
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 アケノボツツジとシャクナゲの競演を堪能して、それから祖母山山頂へ。
 山頂にはアケノボツツジはまだ残っていた。

【九合目小屋】
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 山頂からは、九合目小屋のミヤマキリシマの咲き具合を見に、寄ってみた。
 当然ながらまだ蕾もなかった。やはり6月くらいからか。
 このあとは馬の背を通り、宮原経由で下山。
 予想したとおりこちらはアケボノツツジはほとんどなかったが、シャクナゲはところどころ咲いており、登山道に彩りを加えていた。


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 本日の登山コース
Mtsobo


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May 08, 2016

映画:レヴェナント

Revenant


 あらゆる栄光を獲得した大スターが、ただ一つ手に入れていないものーアカデミー主演男優賞を獲るために、過酷な撮影状況のもと、おのれの身体をはって命がけの演技をする、ド根性映画。ここまでやってオスカー獲れなかったら、あとはどうすりゃいいんだ、と誰にも思わせる説得力に満ちている。

 この映画は、「レヴェナント」という優れた映画を観ると同時に、「ディカプリオを題材としたディカプリオ主演のオスカー獲得劇」という映画も楽しめる、二層構造をもったユニークなものである。

 もっともディカプリオがオスカーのために悪目立ちしているかといえば、そういうことはなく、もちろん目立つことは大変目だっているのだが、あの鬼気迫る演技の数々は、極限状態に陥り、そこから奇跡的な復活を果たすという、「極端な男」を演じるには不可欠のものであり、ディカプリオの演技力なくしては、この主人公は造形できなかったであろう。

 あらすじ。
 1800年代の北米。ロッキーの山中で動物を狩り毛皮を集めていた毛皮商人一行が、原住民に襲われ逃避行に入る。そのとき灰色熊に襲われ瀕死の重傷を被った猟師グラスは、一行の足手まといになることから、死の看取りおよび埋葬用に3人をつけてそこに残される。グラスは高熱を出しており、もう間もない命と思われ、原住民が近くに迫っているであろうこともあり、3人のうちの一人ジョンが、てっとり早くグラスを殺そうとしたが、それを見たグラスの息子が反対し、グラスの息子はグラスの目の前で殺されてしまう。そしてグラスはそこに半ば埋葬されたようなかたち、極寒の荒野に一人残されてしまった。
 すぐにでも死ぬと思われていたグラスであるが、そういう目にあったために、強靭な精神力を発揮し、折れた足を引きずりながら、ジョンへの復讐のため生還の地を目指す。

 ……………

 灰色熊に無数の傷をつけられ、さらには咽も裂かれているので飲水もまたできない、しかも足は解放骨折しているのでまともに歩くこともできない。こんなもの、感染症ですぐ敗血症起こして死んでしまうわいとか思ってしまうのであるが、でもこの映画は実話を元にしているのであり、だからこそ、実在のグラスは「レヴェナント(revenant)蘇りし者」と呼ばれたわけで、世の中、信じられぬほど逞しい生命力を持っている人がいるのである。

 ともかく、グラスの壮絶なるサバイバル劇は、まあやりたい放題であって、たいへん迫力ある。そこまでやるか、という場面もいくつもあり、究極の努力をなさねば生き残ることは出来ない、その厳しさが迫って来る。

 そしてグラスの生きるための努力を主筋に、そのグラスを脅かす過酷なロッキーの自然。これが、もうじつにじつに美しい。
 鋭い針葉樹の森、白く広がる大雪原、雪をまとった峻厳たる岩山、凍れる河、これこそ映像美という光景がふんだんに現れ、映画館でみる映画の醍醐味を存分に教えてくれる。


 ディカプリオのオスカー獲得がまずは有名な映画であるが、筋もよいし、脇役の出来も非常によく、そして抜群の映像美。
 見事な名作であった。


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 レヴェナント →公式サイト

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May 07, 2016

だき山@大崩山山系

 「だき山」は大崩山を中心として、それから派生する数々の尾根上にある山の一つであり、アケボノツツジの名所として知られている。
 GWがアケボノツツジの盛りの時期なので、私は毎年その開花を見に宮崎の山に登っていたけど、今回はGWが長かったので山陰に遠征に行ったので、アケボノツツジをまだ見ていない。
 それでGWの最後の休日、アケボノツツジを見るためにどこに行こうかと思って、いろいろ思案したが、先日に大雨が降っていずこも荒れて渡渉も大変であろうから、以前から気になっていて、そして渡渉の心配のない、だき山に登ってみることにした。

【上鹿川 神楽館】
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 槙峰から入る県道214号線を行き、廃校がずらずら並ぶ寂しい風景を過ぎたのち、上鹿川の神楽館がある。このすぐ近くに、だき山の登山口がある。

【だき山登山口】
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 登山口からは、しばし荒れた林道が続く。本来の登山道の入り口までたいした距離はないので、無理に林道を車で行く必要はない。
 ここから見える、尖った形のいい山は、たぶん人形岳。今回の行程では登らない。

【登山道】
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 登山口に入ってからは杉林のなかを行く。

【登山道】
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 登山道はしばらくすると勾配を増し、山頂近くまではずっと急傾斜である。

【登山道】
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 やがて、この山系の名物のアケボノツツジの群落にたどり着くが、残念ながら既に旬は過ぎ、このあたりではもう花は散っていた。

【登山道】
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 だき山は山頂までは険しい道が続くけど、このように難所では、ロープあるいは梯子が掛けられているので、それほど心配なく登ることができる。

【登山道】
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 アケボノツツジは旬は過ぎていたけど、ミツバツツジは咲き頃が各々違い、また花がもつので、いたるところでその美しい姿を楽しめた。

【登山道】
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 尾根を過ぎ、稜線を歩くと、双耳峰であるだき山の二つの峰の分岐点に達する。
 このあたりはアケボノツツジの群落地帯であり、そしてまだ散っていないアケボノツツジを見ることができた。

【アケボノツツジ】
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 だき山登山道では、道に落ちたアケボノツツジの花びらを見ることはあったが、きちんと咲いているものは、ここで初めて見た。
 満開の時期は去っているけど、とにかく今年のアケボノツツジ見物のミッションは達成することができた。

【だき山山頂】
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 そしてだき山本峰に到着。
 それなりに行程は厳しい山なのであるが、山頂の展望はきかず、あまり登頂の達成感がないのが、少々残念。

【登山道:だき山から国見山への縦走路】
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 だき山からは、国見山経由で鹿川キャンプ場へ下山することにする。
 だき山から国見山への縦走路は、以前はスズタケが生い茂る道であり、藪こぎ必至の難路だったそうだが、今はスズタケは枯れ果て、そして樹木も枯れて白骨樹林と化した、やけに見晴らしのよい稜線になっている。
 これはもちろん鹿の食害以外考えられないわけだが、祖母傾から大崩にかけて、本当に野生動物の食害が深刻な状況になっていることが実感できる。
 ただ、こういう状況でも、ヒメシャラやアセビは、元気そのものに茂っており、・・・強い、というか逞しいというか、たぶん鹿も食わないような、不味い樹なんでしょうな。
 この稜線の登山道はあまり使われてないらしく、踏み跡がはっきりしないところもあるが、何しろ樹も草も枯れていて見晴らしがよいので、前方に見える鬼の目山を目指して歩いていけば道に迷うことはない。

【分岐路】
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 そうやっていくつものピークのアップダウンを行くうち、この標識に到達。
 え? 国見山過ぎたの? 
 国見山はそれなりに有名な山なので、この縦走路中に、そこへの標識があったはずなのだが、見落としていた。
 地図で確認すると、この写真の左端に写っている山がどうやら国見山らしいということが分かった。引き返せば20分くらいで登れそうだ。
 もっとも今回の登山の目的は国見山に登ることでもなく、そして、頂上まで樹が生い茂っているあの山に登っても、展望が効いているわけもなく、もうそのまま下山することにした。

【鬼の目杉】
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 下山コースの名物は、天然杉である「鬼の目杉」。
 ここに寄ろうと近づいたが、植生保護のため周囲に柵がめぐらされており、立ち入り禁止であった。

【登山道】
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 鬼の目杉の分岐からは、登山道は鹿川に沿っての道。ときおり広い一枚のナメ岩があったりして、渓流の美しさを楽しめる。

【鉾岳】
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 この山域が最も目立つのが、巨大なスラブを天に突き立てた鉾岳。
 登山道からはその雄姿を間近に見ることができる。

【登山道】
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 GW終盤の休日というのに、今日は誰とも出会わない静かな山行であったが、鉾岳の基部あたりで団体さんと遭遇。
 おそらくは今から鉾岳を登るの人達であろうが、もう14時近いのに、ずいぶんと妙な時間に行動している。

【鉾岳】
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 鹿川キャンプ場を通り過ぎ、振り返れば、三角錐の鉾岳の全貌を見ることができる。
 さて、あとはこの舗装路を歩き、神楽館に戻るのみ。


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 本日の登山コース
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May 04, 2016

右田ケ岳@防府市

 高速道路山陽道を走っていると、山口県の防府西ICを過ぎたころから、山側に白い岩肌をみせる山々がいくつも立ち並んでおり、以前から気になっていた。
 今回、中国地方登山シリーズのなかで、そのうちの一つを登ることにし、それらの山群の主峰である、右田ケ岳を選んでみた。

【右田ケ岳】
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 右田ケ岳の全貌は、右田ケ岳小学校横から見る姿が分かりやすい。
 左側から連なる凹凸のスカイラインに沿って歩き、頂上を目指すのである。
 見てわかる通り、花崗岩の巨大な岩塔をいくつも空に突き上げた、険しい形の山だ。

【登山口】
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 右田ケ岳の登山口は、天徳寺から。
 まるでこの寺の御本尊のように、正面に峻厳たる岩山が屹立している。

【登山道】
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 山門をくぐり、石段にしたがって歩くうち展望の開ける場所に出る。
 石灯籠の奥に防府の街並みが広がる。

【登山道】
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 右田ケ岳は花崗岩から成る岩山であり、まともに行っては登ることが困難な山である。
 それで岩を穿って、階段を造ったり、トンネルみたいに岩を掘ったりして、登山道が築きあげられている。

【登山道】
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 この山は岩山であるので、岩稜帯では樹は高くなく、ふり返ればいつでも、防府の街、そして高度を上げれば瀬戸内海まで、一望することができる。

【登山道】
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 この登山道はいくつもピークがあり、最初のピーク、石船山を越えると、右田ケ岳の山頂が見えて来る。

【観音像】
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 登山口にお寺があることから分かるように、この山は信仰の対象なのでもあり、山のいたるところの花崗岩に観音像が彫られている。
 どれも芸術性が高く、見ごたえがある。

【登山道】
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 山頂に近づくにつれ、道の傾斜は険しくなるが、岩そのものはしっかりしているので、岩を踏みしめ登っていこう。

【右田ケ岳山頂】
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 右田ケ岳は双耳峰になっており、いったん西側の峰に登ってそれから少し下って、本峰にいたる。
 風に翻る日章旗がお迎えである。

【山頂から】
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 山頂からは、今までのルートから振りかえって見えて来た市街地と瀬戸内海が見えるが、最高の高さから見る眺めがやはり一番よい。

【登山道】
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 山頂からはそのまま進めば、周回する下山路に入れる。
 下山路は、瀬戸内海側を見ながらの下りで、とても眺めがよい。
 そして、ところどころ、岩と樹々でつくられた庭園のようなスポットがあり、それがとても趣がある。

【登山道】
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 高度を下げると、道は自然林のなかにはいり、このなかをしばし歩くと舗装路に出て、元に登山口に戻った。

 右田ケ岳は、花崗岩の岩を積み重ね、いたるところに巨岩、奇岩がある、見処多き山である。そしてそこに登山道を通しているので、登山全体がアスレチックフィールドみたいになっており、登っていてたいへん楽しい。

 この山は地元に人に愛されており、山道の整備が行き届いていたが、その理由もよく分かる魅力あふれる山であった。

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May 03, 2016

五月の嵐:三朝→防府を移動

【5月3日天気図:低気圧 976hPa(!)】
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 三佛寺を参ったのちは、三朝から山口県の防府へ移動。
 たいした距離でもないから時間はかからないだろうと思っていたら、なんのなんの。
 5月3日は西日本を強烈な低気圧が襲い、各地は台風なみの強風および大雨に襲われていた。
 そして午前中、雨はまだ降っていなかったが、強風のために山陰道は通行止めになっていた。そして下道の9号線はGWが災いして、ずっと渋滞である。

【国道9号線渋滞の図】
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 のろのろと進むうち、松江あたりからようやく高速道路に入ることができ、それから松江自動車道~山陽道と走る。
 高速道路は強風のため、一部で50km制限となっており、じっさい吹き荒れる突風で車が揺れるので、普通に速度は出せない。そして午後になって雨が強く降りだし、視界も悪くなった。非常に条件の悪い道路状況であり、 そして夜のニュースで、私が通ったあとに、この高速道で大規模な事故が起きたことを知った。
 こういう、ろくでもない暴風雨のなかを走り、そして防府へ到着。

【防府のホテルで】
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 防府のホテルでチェックインを済まして部屋に入ると、カーテンを伝わって、ぽたぽたと雨が漏れて来る。天井からではなく、強風のために窓のどこかがずれてそこから雨が漏れて来ているようであった。
 このまま水たまりができても困るので、フロントにバケツか何か持ってくるように頼んだ。まずは現状を見にやってきた係の人は、雨漏りを見てしばし絶句していた。そして、バケツじゃ音がうるさいとでも思ったのか、改めて来たときは何枚もの厚いタオルを持ってきて、これでしのいでくださいとのことであった。
 
 今までいくらでもホテルには泊まったが、雨漏りするホテルは初めての経験である。
 このホテルは造りはまっとうであったからして、今回の暴風雨のひどさを物語る事象なのであろう。


 それにしても、「5月の嵐」はさほど珍しくないものとはいえ、GWのまんなかに来るとは、意地悪な嵐であった。
 この日は各地でいろいろなイベントがあったはずで、観光業界もかきいれどきだったのに、せっかくのチャンスを逃したであろう。そして九州では、九州最大規模のサイクリング大会「ツールド国東」がこの日に行われていたはずだが、このレベルの嵐が大分を襲ったのならたぶん中止になっただろうと思ったが、なんと強行されたそうだ。
 おかげで、完走目的のサイクリング大会が、自転車を走らせることも困難な、生還目的のサバイバル大会に化けたとかの報告があとでなされていた。
 三徳山登れなかったとかで愚痴をこぼしている私など、悲惨さにおいて、ぜんぜんたいしたレベルではなかったということだ。

【防府の寿司店】
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 今回の低気圧は足が早く、やってくるのも急激であったが、去るのも早く、あれほど荒れ狂った天候は、夕方になるとすっかり回復し、雨もあがり、空が明るくなった。
 それで周囲を散策し、そこで目にとまった寿司店で夕食をとることにした。
 そうとう昔からやっているような、地元に根付いた、落ち着いた雰囲気の寿司店であった。
 防府の地酒の「佐波川」で一杯やりながら、酒肴、鮨、そしてこの店の名物らしい「納豆高菜巻き」などを食す。
 そして、今までの登山よりもよほどハードであった本日のドライブを思い返しながら、無事にたどりつけてよかったと思うのであった。

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三徳山@鳥取県三朝町

 三鈷峰を登ったのちは、米子から三朝温泉に移動。
 翌日三朝温泉の近くにある三徳山に登るためである。

【三徳山投入堂(Wikipediaより)】
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 三徳山は断崖絶壁に建てられた国宝「投入堂」が有名であり、その奇観ぶりは一度は見るべき価値あるであろう。
 私は三朝温泉は幾度も訪れたことがあるが、いずれも松葉蟹が目当てだったため、冬にしか来ていない。冬は投入堂への道は通行止めになっているため、せっかく三朝温泉を訪れても、投入堂へ登る機会がなかったわけであるが、今回は春なのでやっと登れそうである。

【三朝温泉夕食】
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 三朝温泉に着いて、登山の汗を温泉で流し、それから夕食。
 夕食には松葉蟹が出て来たが、この地の名物とはいえ、今の時期に無理に出さんでも、と思わぬこともない。

【三徳山入口】
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 朝起きると、とんでもない強風が吹いていた。
 いわゆる「五月の嵐 メイストーム」であり、春先に低気圧が急に発達することによる生じる台風なみの強風である。
 予報によると、低気圧の移動は早く、午後から大雨になるそうであるが、三徳山は午前中にさっさと登れるであろうから、宿近くの三徳山へと出かけた。

【三佛寺参道】
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 投入堂は三佛寺の奥にあり、まずは三佛寺に参らねばならない。
 急風にあおられながらこの道を歩いていると、いきなり頭に衝撃が走った。
 なにごとかと思ったら、風で桜の枝が折れて、吹き飛んで私の頭を直撃したようで、私の足元にその枝が落ちていた。
 お寺の参道でこのような目にあうとは、いわゆる「バチが当たった」ことなのかもしれないが、つらつらかえりみるに近頃バチが当たる心当たりもなく、これは「たんに運が悪かった」ことなのだろうと結論づけ、足元の桜の枝を片づけ、進んでいく。

【三佛寺】
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 三佛寺にまず参拝。
 ここで400円払って、そしてその奥の投入堂入り口でまた200円参拝料を払うというのが、投入堂へ行き方である。
 しかし、なんと・・・

【本日のお知らせ】
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 受付にはこのように、「本日荒天のため投入堂立入禁止」のお知らせが。
 せっかく九州から鳥取に来たというのに、さっきの桜の枝の件という、どうにも私は投入堂と相性が悪いようだ。

【三佛寺】
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 投入堂に行けないからと引き返すのもなんだから、三佛寺をお参り。
 平安時代からの歴史ある寺なので、趣ある建物が多く建てられている。

【投入堂入り口】
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 ここが投入堂の入り口。
 ここは登山口のようになっており、ちゃんと登山届をここで提出して登るようになっている。
 そして、本日の台風レベルの強風で、樹の枝が折れまくっていて、係の人はその後片付けに奔走していた。
 そんな状態ではやっぱり登山が無理なのは当たり前である。

 ここまで来て、あとは引き返す。
 投入堂はまたのお楽しみということにしておこう。

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 ―追記―

 山渓のガイド本にはそのようなことは載っていなかったのだが、あとで三佛寺のHPを確認すると、投入堂までの道は非常に険しいので、きちんとした格好+装備で、そして二人以上の組じゃないと登山許可はおりないそうだ。
 そうなると、天候がどうであろうが、単独で来た私は最初から登ることは出来なかったわけだ。

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 三佛寺HP

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May 02, 2016

三鈷峰:大山神神社~宝珠尾根~三鈷峰~親指ピーク~野田ケ山~川床

 伯耆大山は縦走路が崩れており、数ある峰のうち、登山が出来るのは西端の弥山と東端の三鈷峰しかない。
 昨日登った弥山はポピュラーであり、普通は「伯耆大山に登る」というときは、こちらのほうをさすことが多いみたい。しかし、三鈷峰もまた素晴らしい峰であり、大山を訪れるときはこちらも登りたい。
 好天が二日続いたGW前半、昨日に引き続き、大山博労駐車場に車を止め、三鈷峰に向かってGo。

【大神山神社へ】
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 駐車場からは参道を歩き、大神山神社へ向かう。

【登山道】
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 大神山神社横の登山口から、宝珠尾根を目指す。
 登山道は、昨日の整備されまくりの夏山登山道とは異なり、いわゆる普通の登山道だ。

【登山道】
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 宝珠尾根の道は、ところどころ崩壊しており、気をつけて登らねばならない。

【登山道】
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 尾根に乗り上げれば、樹々のあいまから大山北壁が見える。

【登山道】
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 宝珠尾根の道は、いくつも難所があり、固定ロープで安全を確保しながら登る必要がある。

【登山道】
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 高度が上がると樹々の丈が低くなり、眺望が開けて来る。
 伯耆大山の第一の魅力は峻厳な北壁だと思うが、夏山登山道と比べ、こちらのほうがより近くを登るので、さらに迫力が増し、じつによい眺めだと思う。

【登山道】
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 宝珠尾根の道は、いたるところかなり崩れており、こういうところはいかにも危なかっかしい。

【登山道】
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 上宝珠山への登り口で、谷への道に「立入禁止」の標識があった。
 ここが大山名物「砂滑り」の入り口であり、ここを下れば、元谷まで一直線の下り道となるわけだ。
 ところで、宝珠尾根を登っていると、元谷のほうからずっとゴゴゴという音が鳴っている。その方向を見ると、無数の大中小の岩がずっと転げ落ちているのであり、伯耆大山は現在進行中で崩壊している山なのである。
 この砂滑りの道、webとか見ると今でも使っている人がけっこういるようだが、ここ行くと、運が悪ければ、土石流レベルの岩の雪崩に遭遇しかねないから、標識通り使わないほうがいいに決まっているルートであろう。

【登山道】
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 上宝珠山を過ぎると、ようやく大山の稜線が見え、そしてユートピア避難小屋も見える。

【稜線から】
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 稜線に乗り上げれば、左手には目ざす三鈷峰、右手には大山の猛々しい稜線が見える。

【三鈷峰】
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 まずは三鈷峰を目指す。
 時系列的に後の写真になるが、稜線のさらに上の位置からだと、こういうふうに見える姿のよい山である。

【三鈷峰】
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 三鈷峰、近づくと、相当に崩れている山ということが分かった。
 ほとんど瓦礫を積み上げたような山であり、登山道も無理やり通しているような感じである。

【三鈷峰山頂】
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 その瓦礫のなかの登山道を通り、山頂へ。
 展望の開けた山頂であり、360度の絶景を楽しめる。
 屏風のように立つ大山もいい姿であるが、こちらは200mほど標高が低いので、なんだか見下ろされているような感じがしてしまうのが、少々残念。

【大山稜線】
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 山頂から山小屋方向に引き返す。
 この稜線じつに景色がよい。
 ただし、途中で稜線が崩壊しているため、通行止めになっている。
 とりあえずは通行止めの所まで行ってみた。

 大山、人気ある山ゆえ登る人は多く、この標識を無視して通って行く人も幾人もいたが、ある人は途中で恐くなり引き返し、ある人は上方でヘリが飛んでいるので「監視かも?」と思い引き返し、ある人はそのまま進んでいた。
 まあ、いろいろな人がいるのです。

【振子山コースと親指ピーク周囲】
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 下山はユートピア小屋から野田ケ山経由川床への道を行くことにする。
 地図ではここから野田ケ山までは破線のヴァリエーション扱いとなっていたので、地図と眼前の地形を見比べてみて検討。ルート自体は迷いようもないし、途中の親指ピークあたりは崩壊がひどいようだが、通れぬこともないみたいだったから、予定通りここを下山。
 なお、人気高い大山の、そしてGWというに、三鈷峰からのこの道を行ったのは、写真に写っている左手の男女二人組(下山中)と、それから右手の男性一人(登山中)、それに私のみであった。
 おもしろい道だったけど、行程が長すぎるせいか、あまり使われてないルートのようである。

【大山南壁】
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 三鈷峰からの下りは、大山の南壁を見ることができるのが魅力である。
 大山は北も南も両側とも切り立っている、ほんとうに一枚の壁のような山であり、ゆえにどちらかみても迫力ある。
 ただし、両側切り立っていることから、縦走路は幅が狭く、しかも現在進行中で崩れているため、非常に危険であり、死亡者も出ていることから通行禁止となっている。
 まったく、こういう崩れっぱなしの支点もないような登山道は、技術・経験があればどうこうなるというものでもなく、度胸と運が全てという、「まともな思考の人は通らない」道となっている。

【縦走路拡大図】
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 それでも、縦走路を数人のグループが通っていた。
 無理矢理のスタカットというわけでもなく、各々別々の行動であり、そして剣ヶ峰直下では、一人ずつ走って渡っていた。なんで走るんだろう?
 このときちょうど私は下山中の男女二人組に追い付いて、その縦走路の光景を眺めながら雑談していたのだが、そのうちの男性は以前崩壊する前の縦走路を知っており、「あそこはナイフリッジになっているので、一挙に行ったほうが安全なんです」と解説してくれた。

【親指ピーク】
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 振子山を過ぎてから次は親指ピークへの登り返しである。
 このピークずいぶんと崩壊している。
 こんなところ無理やり道をつくらんでも、巻き道作ればよいだろうと思ったが、近づくと側面方向は到るところ崩壊しており、とても巻き道など作れるわけないことが分かった。
 ここに限らず三鈷峰のルートは、どこかしこと崩壊しており、登山道として維持できるのはそんなに長くないような気がする。
 いずれ、なにかの天災でダメージがあると通行止めになるのは必至と思われ、三鈷峰~川床を経験したい人は早めに行ったほうがいいと思う。

【登山道】
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 親指ピークを過ぎ、次のピークから、親指ピーク方向を振り返る。
 ここから見ると、振子山もまたずいぶんと崩壊している。
 そして後方の二人組を見ていると、親指ピークの前で女性がそれ以上行くのを拒否したようで、男性だけが鞍部に荷物を置き空身で親指ピークに登り、そしてそこから引き返したみたいであった。

【野田ケ山へ】
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 野田ケ山は、一見なだらかな山に見えたが、ここへの道はけっこう急傾斜であり、楽はさせてくれない。

【野田ケ山】
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 なんとか野田ケ山山頂へ到着。展望はきかない。
 ここに来れば一応の安全地帯であり、ここから先は、踏み外せば落命、というところはない。

【登山道】
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 野田ケ山からの下り道はずっと樹木のなかである。コブシの白い花が、ところどころ咲いている。

【登山道】
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 登山道が平たくなってきたら、そろそろ大休峠である。

【大休峠】
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 樹木帯が切れ、太めのブナの樹が立ち並ぶ広場が大休峠。ここには避難小屋もある。

【石畳の道】
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 大山寺から大休峠にいたる道は、昔は峠越えの重要な道だったようで、石畳の道となっている。歴史ある道なのだ。

【遊歩道】
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 大休峠から川床へは遊歩道扱いとなっており、定期的に標識が設置されている。

【川床へ】
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 ずっと山のなかを歩いて来たが、このあたりまで来ると、水音、そして舗装路を走る車の音が聞こえ出し、人の住む地も近い。

【川床橋】
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 うつくしい清流の阿弥陀川にかかる木橋を渡ると、すぐに川床へ出る。

【川床】
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 遊歩道は、県道158号線の舗装路に出る。いちおうここが川床登山口なのであるが、私は博労駐車場から登ったので、それまで歩いて行かねばならない。
 登り100m、距離3.8kmの舗装路歩きは、けっこうきつい。

【県道158号線】
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 県道158号線は左手に大山と大山スキー場を眺めながら、ゆるい登り坂を歩いて行く。
 この坂を、ロード乗りのグループがずっと登って行った。
 彼らは弱脚気味で、途中でへたって休憩とかしていたので、歩いている私と抜きつ抜かれつ登ることになる。まだ若い人たちだったので、「君たち、それでいいのか」と心で突っ込みながら歩いたが、まあこの舗装路歩き、退屈せずには済んだ。

【博労駐車場】
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 ようやく駐車場に着くと、山から見えていたときより、だいぶ車の数が減っている。
 今回は行程が長く、8時間くらいかかったので、私の下山時刻が遅く、それで弥山に登ったひとたちの多くは既に帰っているようであった。

 伯耆大山、二日かけて、弥山と三鈷峰の二つを登った。
 弥山への一直線の眺めよい登山道と、山頂の庭園。三鈷峰の荒々しい道と、大迫力の大山北壁の眺め。いずれも魅力あふれるものであり、やはり伯耆大山に登るときは、この二峰はかならず登るべきと思った。

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 本日の登山コース
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May 01, 2016

居酒屋:藤吉郎@米子市

 米子に住んでいた者に、米子の美味しい店を尋ねたら、「米子に美味いものなし、美味いもの食いたいなら松江に行け」と失礼なことを言ってきた。松江はたしかに食どころとして有名であるが、大山登山の拠点に松江に泊まる気もしない。
 とりあえず米子については、基本的に素材系の店が多く、あまり手の込んだ料理はポピュラーでないそうで、そして素材ならば居酒屋の「藤吉郎」が一番のお勧めということで、そこで夕食とした。

【おまかせ刺身一人前】
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 ここの一押しメニューという「おまかせ刺身一人前」を頼む。
 この店は魚の仕入れに独自のルートを持っており、この界隈で手に入る一番良いものが、新鮮な状態で供されるとのことであり、だからメニューも一定ではないとのことだ。
 上から順に、ウニ、シロガイ、サヨリ、コチ薄づくり、鯛、メバル。
 それぞれ一皿ずつに載せられ、それから醤油、ポン酢も各々の皿が添えられている。
 白身はどれも弾力あり、また甘く、貝は香り豊か。いずれも質の高いものであった。

【ノドグロ塩焼き】
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 刺身のあとは、焼物でノドグロ塩焼きを。
 けっこうサイズが大きく、脂ものりのりの、立派なノドグロであった。


 どの魚も鮮度が良く、また質も良く、たしかに魚の揃えは見事な店であった。
 山陰を訪れたとき、魚好きの人にとってお勧めの店である。

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伯耆大山@夏山登山道

 伯耆大山は言うまでもなく西日本有数の名峰であるが、南九州からだと不便なところにあるので今まで訪れたことがなかった。なにしろ鳥取は遠いので、往復だけで2日かかってしまう。さらに伯耆大山は稜線の縦走路が崩壊したため、登るためには東端と西端の峰に登るには一日ずつかかるので、大山登山には計4日間が必要になる。さらに、その登山の2日間が好天でないと面白くないので、時間および気候の条件が整うことはまずなかった。
 しかし、今回のGWはその好条件がそろったので、登ってみることにした。

【駐車場から見る大山】
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 伯耆大山は登山口までのアプローチがとても容易な山であった。米子市から車で30分ほどで着くし、道路も広くて走りやすく、さらに広大な駐車場が用意されている。
 九州には、祖母傾大崩山系にしろ、脊梁山地にしろ、登山口までたどりつくのが一苦労という山が多く、これはうらやましかった。

【夏山登山口】
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 駐車場からは舗装路を5分ほど歩き、モンベルの店の近くに夏山登山道の登山口がある。

【登山道】
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 登山口からしばらくは、寺社の領域であり、杉の古木が立ち並ぶ石段を登って行く。

【登山道】
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 道はやがて丸太を並べた登山道になる。このあたりから周囲の樹々はブナ林となり、光を浴びて葉々が美しい。

【六合目】
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 五合目を過ぎたあたりから植生は灌木に変わり、風景が開けて来る。
 そして六合目の避難小屋まで来ると、樹々の丈はさらに低くなり、一挙に見晴らしが良くなる。
 左手に大山の全貌が見えて来る。

【登山道】
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 見晴らしのよい登山道を登って行くと、やがてガレ場を過ぎて、大山名物の木道が現れて来る。

【大山木道】
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 この木道は大山の山頂周囲の植生を保護するために作られたもので、これが作られる以前は山頂周囲は登山者に草木が踏みひしがれ、不毛の荒れ地になっていたのだが、人の立ち入りを制限し、植樹を続けた結果、このダイセンキャラボクの灌木帯が復活したそうだ。

【山頂】
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 木道を一番高いところまで行けば、山頂である。
 もっとも厳密には夏山登山道の山頂である弥山(1709m)は、この「立入禁止」のもう少し先に見えている尖ったピークなのだろうが、道が崩れているため、行ってはいけない。

【山頂から】
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 振り返れば、好天のもと雄大な景色が広がっている。
 米子市、島根半島、日本海。
 島根半島あたりは非常に複雑な形をしているが、出雲の神話によれば、神様が伯耆大山を杭にして、それを手がかりにして、周囲の国を網で引っ張ってきて、島根半島を造ったとのことで、そういう目で見ると、この山が島根・鳥取の中心軸であるようにたしかに思えて来る。

【登山道】
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 下山は途中までは登りと同じ道を使う。
 伯耆大山は人気のある山で、GW中は大混雑という話を聞いていたので、早めに出発した。それで登りは普通のペースで登れたが、下りは大集団がいくつも登ってきて、離合にずいぶんと時間を使った。

【行者谷コース】
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 下りは6合目を少し過ぎたところから分岐している行者谷コースを使う。
 ここもよく整備された道である。

【大山北壁】
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 行者谷コースは、沢筋の大堰堤に出ると、目の前に大山北壁が屏風のように立ち並んでいるのが見える。
じつに雄大な岩壁であり、迫力ある。
 九州にはこんな風景はないので、新鮮かつ、驚かされる風景である。

【大神山神社】
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 登山道は大神山神社に出て、いちおうの終点。
 この夏山登山道はいたるところよく整備されており、とても登りやすかった。
 さらに登山口周囲の設備の整備も行き届いており、この山に人気がある理由もよく分かった。


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 本日の登山コース
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