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March 19, 2016

足立美術館@島根県安来市

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 島根の山間地方にある足立美術館は、その素晴らしい庭園で、世界的に有名である。
 足立美術館の創設者足立全康氏は貧困の身から、辛苦の生活を続けながら巨万の富を築いた立志伝中の人物である。彼は若き時代、横山大観の画を観て感動し、その感動を自らの活力の糧として懸命に生き、そうして実業家として大成功を収めた。
 そして成功してから、当然ながら彼はその富を生かして、横山大観を買い集め、最大の募集家となる。

 優れた絵画は財産価値もあるため、ここまでは成功した実業家としてよくある話ではある。
 そしてそういう話は、たいていは初代、あるいは二代目が身を持ち崩し、そのコレクションは四散してしまうというのが大体のオチなのであるが、足立全康氏はそれらのステレオタイプとは全く異なる道へと行った。

 氏は、偉大なる大観の画を納める器を建造することにする。
 その器は、大観の画を収蔵するにふさわしい、最高級の美術品にしなければならない。大観の画を観に訪れた人たちが、まずはその器に魂消るほどのものに。


 足立美術館、私は訪れたのは初めてだけど、足立翁のもくろみ通り、美術館に入ってその庭園を見て魂消てしまった。
 ここの庭園は、日本式定型に乗っ取った、伝統的なものなのであるが、その広大さが素晴らしい。そして、さらに素晴らしいのは、借景としての、背景にある山々が完璧なまでに、庭園の美しさによりそい、それを互いに高めているところである。
 庭園の奥の山々。そこに近代的建築物や、電線や、電波塔などがあれば、すべてがぶちこわしになってしまうのに、それらは全く排除されている。

 日本庭園は、京都には完成度の高いものがいくらでもあるが、残念ながら借景がひどいことになり、庭の周りを壁で囲って、そこでの小宇宙に閉じ込めているものばかりである。すなわち、昔の頃、借景が素晴らしかった時代とは、本来の姿を変えてしまったものになってしまっている。
 ところが足立美術館では、その借景も庭園の一部として最初から設計し、繊細でかつ雄大な、本来の日本庭園の魅力の真髄を存分に示している。

 いやはや、みごとなものでした。

 「世界が選ぶ日本庭園第一の常連の美術館」という評判はともかくとして、庭園好きの人は絶対に訪れる価値ある美術館である。

 ・・・ただ、この庭園の素晴らしさに圧倒され、メインの大観の画の印象が薄れてしまうのは一般的な感想ではなかろうか。それは、足立翁の意思とはちょっと違った方向に、この美術館はいってしまったと思えなくもない。

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