広東料理: 唐閣@尖沙咀
香港第一日。空港に着いてからairport expressで九龍に行って、シャトルバスを使って尖沙咀のホテルのチェックインを済ませると、それで五時半。ほとんど時間の余裕のないままランガムホテルに急いで行き、午後6時から始まる「唐閣」のディナーになんとか間に合った。
今回は初日がタイトな日程であり、いつもなら参加者の数をいかして、アラカルトを頼みまくるスタイルが使えず、「唐閣」ではあらかじめ予約しておいたコースメニューである。
品味唐閣精選客餐 T’ANG COURT TASTING MENU
―蟹の甲羅に蟹の身と玉葱を乗せてコロッケ風に揚げたものー
最初の一品。
見た目は全然中華料理っぽくなく、雰囲気は洋食であったが、食べてみてもやっぱり中華料理っぽくない。たぶんこの店の個性を最初から出す演出と思われる。
料理は単純明快に、蟹の甲羅に、蟹の身と玉葱をぎっしりと詰めて揚げたものであるが、とにかく蟹の香りと旨みが濃厚。
―魚の浮袋と衣笠茸と白采のスープ ―
次の品は、最初のものとは全く違って、中華料理の精髄のようなもの。
まずは上湯の出汁が、じつに繊細であり、この諸食材の良いところのみを抽出した、澄みきった味が素晴らしい。
京料理の出汁も素晴らしいけど、それとはまったく違う、でも根本のところは似通った、とにかく食べていて陶然となる逸品。
―蒸した鶏身に、鶏と金華ハムと干貝のスープをかけたものー
先の料理に引き続き、これも中華料理の精髄。
材料の鶏がまずとんでもなく美味いのに加え、金華ハムと干貝、鶏のスープがまた美味く、美味いものに美味いものを重ねて行く、足し算の美学が、食べていて箸を止めさせない。
みな、無言でひたすら食い進めるのみ。
―牡蠣のポートワイン焼きー
唐閣では、これは絶対に食わねばならないとのお勧め品だそうだ。
濃厚な牡蠣の味に更に濃厚な味付けを加え、食感は粘調であり、いわゆる「濃い」料理。これは紹興酒に合うであろう。まあ、我々は赤ワインで食ったが、それもけっこう合った。
―あわびの蒸し焼きそばー
鮑の豊かな香りが漂う、鮑が主人公の料理。
無理に麺料理にしなくてもよいような気はするのだが、〆の炭水化物モノとしてはこうなるのか。
―果物と中国菓子―
見た目美しく、食べても美味しいデザート。
世界でも数少ない中華料理の三つ星店、その実力をじゅうぶんに楽しめたディナーであった。
そして、さらに唐閣の調理力にも感心した。
今回は我々は参加者総勢18人。6時スタートで、そして8時から近くのコンサートホールで演奏会に行かねばならない。それゆえ時間に追われた食事会であったのだが、最初のペースがゆったりしていたため、幹事氏が「時間がないので、7時半までに終わらせてほしい」と言うと、それからスピードアップし、料理が次々に出て、このコースが1時間で終わることが出来た。
出来あいのものを出すような店では当然ないので、厨房がフル稼働して、18人分の料理を、焼いて、蒸して、揚げていたのであろうけど、我々の過酷な注文を見事に成し遂げてくれたことに、とても感謝。
まあ、むこうのほうには、「せっかくの三つ星レストランのディナーなのに、疾風のように現れて疾風のように去って行く、日本人とはずいぶんとせっかちな風情のない人達だ」とか思わせてしまったとは思われるけど、今回は、コンサートの日程の都合上ということでご勘弁を。
料理はとても良かったので、次の機会があれば、今度はじっくりと余裕をもって食したいものだ。
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唐閣 → メニュー表
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