寿司:八左ェ門@銀座
東京に出たからにはやはり鮨を食おうということで、「八左ェ門」へ。
銀座の飲食店の名店ばかりが一軒ずつワンフロアにあるビルの7階にある。
入ってみると、清潔感と高級感あふれる空間が広がっており、いかにも銀座の高級寿司店という感じである。
メニューはおまかせのみ。
つまみは、ネタを切ったものが供される。平目、エンガワ、蒸しアワビ、ヤリイカ。
平目は目の前でサク取りされるときから、そのツヤツヤした見た目と大きさで、とても良い素材であることが分かるが、食べてみればその予想以上の美味さ。アワビ、ヤリイカもまた同様に美味い。
この時点で、この店が素材にとんでもなく力を入れていることが分かる。
ツマミはお造りのみで、それから握りへ。
平目昆布締め、赤貝、車海老、ヤリイカ、〆鯵、バフンウニ2貫、コハダ2貫、赤身2貫、中トロ、カマトロ、大トロ、穴子2貫、玉子、カマ下のマグロ細巻き(鉄火巻)というふうな流れで出された。
赤貝は分厚く、また香りも濃厚である。
こういうスーパー赤貝は閖上産と決まっているものであるが、たずねてみるとやはりそうであった。
江戸前鮨の華コハダは、東京ならではの、酢と塩がきっちりと利いているもの。さらにコハダ自体の旨みがまた強く、非常にパワフルな鮨となっており、これは本場でしか食べられぬ正統的江戸前の仕事とネタであった。
ジャンボ車海老。握られる前に皮を外され、海老の香りが濃厚に漂う。
ほんのりした甘さもまた印象的。
この店の素材はどれも抜群であったが、とくに感嘆したのがマグロ。
赤身は凝集されたように密度の濃い味で、しかも身はきめ細かい、滑らかな食感であり、とんでもなく高いレベルのものである。
中トロはしっとりととろける脂身の甘さと旨みが素晴らしく、まさに官能的な食感を楽しめる。
鮪の脂をもっと楽しむための、カマトロと大トロ。
脂はのりのりであるが、けっしてくどくなく、脂本体の美味さを十分に楽しめる。
この鮪シリーズ、たまげるくらいに美味かった。
流通の進歩により九州ではも美味い本マグロが食べられるようになったとは思っていたが、本格的に美味しいマグロは、やはりまずは銀座で消費されているんだなあ、と思った。
店主は仕入れにはとても力を入れており、マグロは有名卸店「石宮」とつきあい長く、最もいいマグロを仕入れるようにずっと努力してきたそうで、その結実がここにあるのである。
穴子は折りたたまれ、ボリュームたっぷり。
ふわふわの柔らかい、とろける穴子である。
〆は自慢のマグロを使った鉄火。
このマグロ、けっこう歯ごたえがよく、今までのマグロとはちがった食感である。これはカマの下のところの中トロを使ったもので、そこは少々固めの身だそうだ。
この食感が細巻きになると、かえって個性がいいほうに出て、たしかに美味い。
マグロを知り尽くした店主ならではの鉄火であった。
午後5時半からスタートという時間もあったのか、客はずっと私一人だけであった。
それでいろいろと店主から江戸前鮨への思い入れや、築地での仕入れの話を聞くことができ、長年鮨一筋で働き続けた職人の、逞しさ、奥深さを知ることができ、ずいぶんとためになり、また私自身の寿司の認識の世界を広めることもできた。
銀座には、やはり素晴らしい店がある。
地方にも今はいい店が増えて来たので、往時の寿司店東京一極現象は薄れてきてとは思っていたが、こういう店を経験すると、やはり東京おそるべし、という気もしてしまう。
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