ギエム引退公演@福岡市
ギエムが今年で引退するとの声明を行ったが、その今年いっぱいである2015年の年末に日本で公演を行うとの発表がされ、そのなかに福岡が入っていたので、発売と同時にチケットをゲットし、本日に臨んだ。
公演で踊るギエムの演目はコンテンポラリーの「two」と、それに「ボレロ」。
ボレロに関しては、以前の熊本公演でも福岡公演でも観ており、(地方だとボレロやらないと集客が稼げないという事情があるみたい)、ボレロはもういいやという気もしないでもなかったのだが、なにはともあれギエムの踊りが見られるのなら演目はなんでもいいのではあり、その日はこれで最後に観ることになるギエムの踊りを真摯に観ていた。
とてもよかった。
そしてもういいやと思っていたボレロであるが、それでも闇のなかからギエムの手がスポットライトに浮かび出る最初から、ずっとその世界に没頭させられた。
一人の踊り手が静と闇の世界から現れ、孤独なまま無心に踊るうち、その踊りは徐々に熱を帯びて感情を盛り上げて行き、周りの踊り手を、そして観客をも、その情熱に引き入れて、やがて光と狂乱と歓喜の世界へと巻きこんでいく。圧倒的な踊り手にのみ許された、闇と光の祭典劇。
これを踊るにはまずは卓越した技術がいる。ギエムはもちろんその技術を持っているけれど、ただ、以前に比べると明らかに跳躍力は減じており、あの空中でポーズがコマ送りのような感じで決まる、超人的な芸は今度は見ることができなかった。
それでも、ボレロというダンス、そしてダンスの器の会場を支配するカリスマは圧倒的であり、要所要所のポーズがじつによく決まっている。その踊り、ポーズはギエムそのものであり、そしてギエムの人生そのものなのである。その途方もない芸、一人の超人的ダンサーが、とんでもない努力をして築きあげたダンスが、福岡サンパレスの劇場の空間に、深く強く刻まれていく姿に、今の時代に生でこういうものが見られる幸せがただただ嬉しかった。
ボレロが終わったのちは、会場全体のスタンディングオベーション。そしていつまでも止むことのない拍手の嵐。カーテンコールに幾度も現れる半泣きのギエム。
ギエムの公演でこんなに盛り上がっていたのは初めての経験だけど、盛り上がるのは当たり前の、素晴らしい燃焼度のギエムの踊りであった。
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Comments
こんばんは!
ギエム以外のボレロの白眉
プリセツカヤ
https://www.youtube.com/watch?v=SsSALaDJuN4
ドン
https://www.youtube.com/watch?v=m5CFJlzlGKM
ボレロはベジャールの最高傑作だと思いますが、ベジャールの双璧は、「春の祭典」も。
https://www.youtube.com/watch?v=vNt0mvjoS08
偉大なるギエムの才能を魅せてくれるるのは。
クラシックではライモンダ
https://www.youtube.com/watch?v=2v2Tmc0kG4c
コンテンポラリーではフォーサイス
https://www.youtube.com/watch?v=WLWDtbHNzxw
ベジャールは男性群舞が素晴らしいですね。
ボリショイのグリゴロヴィッチとともに、男性の踊りの魅力を最大限に楽しませてくれる振付師だと思います。
それを観て、ゾクゾクするような快感を覚える私が怖くなることがあります(笑)
独断と偏見で、書きました。
Posted by: あびたろう | January 11, 2016 07:10 PM
素晴らしい舞踊の数々のURLの紹介有難うございます。
今の時代、youtubeでいくらでも容易に最高の芸術が見られるのは、本当にありがたいことと実感します。
ところで音楽は途方もない高みに達したのですが、それを使ってさらなる高みに行こうとした人たちがいました。すなわち極限までに感性を磨いた演出家と、また極限までに肉体を鍛えたダンサーが、ここで紹介された踊りを踊っているわけです。
そういったダンスの、ひとつの究極の姿である、ギエムのボレロを見られてやはりとても感動いたしました。
(ただ、そうはいってもボレロに関しては、紹介されたURLを見てみたのですが、やはりドンが圧巻ですねえ。ああ、ドンをナマで見たかった)
Posted by: 湯平 | January 21, 2016 10:11 PM