双石山は主尾根を使って山頂に登り、そのまま尾根を進んで下山すると、違う登山口に下りることになり、国道22号線を2kmほど歩いて戻らねばならない。舗装路を2km歩くのはおもしろくないし、疲れる。これば双石山登山のウィークポイントだなと思いながら前回舗装路を歩いていたのだが、その途中でもう一つ登山口を見つけ、それについて調べてみると、双石山には「行者コース」という主尾根に並行している登山道があることを知った。
今回はそれを使って、双石山に登ってみた。
行者コースは正式な地図はないようなので、双石山登山によく使われている「双石山鳥瞰図」をガイドに使ってみた。
【ルンゼ登山口】

行者コースの入り口は、小谷登山口よりもさらに県道を進んだところ。道路から沢が見え、そして「ルンゼ登山口」という名前の小さな標識がある。
【分岐部】

登山口から10分ほど登って、岩壁が前に見えだす頃、この妙なオブジェがあり、ここから右が行者コースである。
【遭難碑】

分岐部よりすぐ垂直の岩壁があり、そこにここで遭難死した宮崎大学学生の遭難碑がある。
【岩の合間を行く】

行者コースの名所の一つ。2枚の岩がトンネルをつくっている。ここをくぐって進む。
【登山道】

行者コースはあまり整備はされてなく、道の崩れたところや、倒木が多く、ところどころ道を見失うところがある。
前方に見えて3人組のパーティも、よく道を間違えていた。
このコース、いちおうは要所要所には赤テープがあるので、それが見つかれば、道をはずしていないことになる。
【登山道】

行者コースは、いったん沢を少し下り、そこから杉林と岩壁の合間の道を進むルートとなる。
ここからは赤テープのついた道が崖側に無理に寄ったような感じでつくられており、どうにも不自然でルートファインディングがしにくい。
とにかく赤テープを目印に行くうち、林業用の赤テープが混在しだし、妙な方向に導かれたりする羽目になり、正規の赤テープを探すのに苦労するところもあった。
【奥の院へ】

行者コースを進むうちようやく双石山への支尾根に近づいてきたので、向きを山側に変えて沢筋を登って行く。ただ、この道は赤テープがまったく無かったので、これはたぶん向かう尾根を一つか二つ間違えたなと思ったけど、方向的には間違ってないはずだし、それに先ほど追い抜いた夫婦二人組も下のほうからついてきたので、まあいいかと思い、そのまま進んだ。
【奥の院】

沢をある程度登ると、奥の院への分岐に到達。
となると、「双石山鳥瞰図」に載っていた「岩のトンネル」をパスしたわけで、やっぱり尾根を一つ間違えていた。本来の行者コースはもう一つ沢を越えて、その尾根から登るルートだったようだ。
とりあえずは奥の院へ参拝。奥の院から尾根に入れるかなと思って、さらに登ったが行き止まりになっていたので、元の分岐に戻る。この分岐から沢筋を登っていってどこかで尾根に這い上がろうと思ったが、私が奥の院に行っているあいだに分岐を通り過ぎた夫婦組はいったん右に回っている。それでそっちをついて行ったら、赤テープ豊富な正規の行者コースが現れた。
【登山道】

【大奥の院】

奥の院から左手の尾根に乗り上げたあとは、いったん下り次の尾根を登る。この尾根の基部みたいなところに「大奥の院」があり、そしてその上部の岩壁には磨崖仏が彫られており、ここが「行者コース」と名付けられた理由がよく分かる。
【登山道】

大奥の院から尾根に乗り上げ、そのまま尾根を登って行く。
【登山道分岐】

行者コースのいったんの終了点。山頂よりすぐ下の正規登山道に合流する。
【双石山山頂】

双石山山頂。標高509mの低山であるけど、なかなか手ごわい山であった。
【登山道】

山頂から次は「象の墓場」へと向かう。
主尾根の正規登山道は、よく整備されており、快適そのものの道である。
【第二展望台】

双石山主尾根の東側の端になる第二展望台。
宮崎平野と日向灘を一望できる。
本日は宮崎県最大級のイベントである青島太平洋マラソンが開催されており、あの風景のなかで1万人を超えるランナーが走っているはず。
ただ、12月も中旬というに、今年は暖冬で登山して暑いほどであったが、マラソン走っている人はもっと暑かっただろうな。
【象の墓場へ】

第二展望台から引き返し、下山のルートへ。
三段梯子を下ったところに、「象の墓場」への標識があり、それに従って進む。
【象の墓場】

山道を登って行くと、やがて大きな二枚の垂直の巨岩にはさまれた空間が出現する。
ここが双石山の名所「象の墓場」。
左手の岩が象の正面像のように見えるから名付けられたそうだ。
なんとも神秘的な荘厳な雰囲気を持つ、特異な空間である。
こういう空間はそう滅多にあるものではなく、宮崎県でもっと有名になってよいとは思う。もっともそれで人が訪ねすぎると、ここの静謐な空間が損なわれてしまうので、それはそれで困るのだが。
【ルンゼ】

「象の墓場」からは、「ルンゼコース」となる。
踏み跡、赤テープにしたがい下って行くと、このルートの名前のモトになったルンゼ(岩溝)があり、そこをくぐりぬけると、もう分岐部は近く、元の登山口もすぐである。
双石山は標高は低いものの、巨岩、奇石が多く、また変化にも富んでいて、たいへんおもしろい山である。
そして鳥瞰図にもあるように、道が複雑に入り乱れており、それぞれの道を使って様々なコースを組み立てることのできる、楽しみがいのある山でもある。
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【鳥瞰図(双石山の各所に貼られている)】

【本日の登山ルート】
