名山きみや@鹿児島市
宮崎市の「一心鮨光洋」の木宮四兄弟のうち、和食料理長を勤めていた次男さんと、鮨職人の三男さんが鹿児島市に開いた新店。といっても、一心鮨光洋の鹿児島支店というわけではなく、兄弟独自のやり方で新たなスタイルの和食を出そうと志した店である。
鹿児島市での開店は突然というわけでなく、準備段階でまず鹿児島市内の有名料理店で働き、当地での仕入れのルートを熟知し、そしてまた贔屓の客も得て、準備を整えて開店となった次第。
…とはいえ、店の看板もなく、またビルの表札も間に合わせ感満点で、なんとはなしにおもしろい。
料理は今の所、おまかせの8000円の1コースのみ。
この店は完全なオープンキッチンスタイル。
カウンター目の前で桜海老が揚げられ、それを香立たせるために炭火で炙って、それから供される。丁寧な仕事である。
鮑と野菜の炊き合わせ。
初夏近い野菜の食感が爽やか。
石鯛と赤貝の刺身。
鹿児島はよい漁場があることから魚のレベルが高い。
良い素材をふんだんに用意してくれている漁師さんとのコネもでき、安定してよい魚が入っている。
淡路島の真玉葱と、蓴菜を使った、スッポン椀。
スッポンの出汁は旨みが濃厚でありながら澄み切った感じのたいへんよい出汁である。熟練の技。
そして甘みたっぷりの新玉葱もまたたいへん良い。
鮨は料理のあいまに出され、全体のコースのよいアクセントになっている。
コハダは5日〆たものと2日〆たものが出される。
九州の寿司店でのコハダはあんまり〆ないものが多く見受けられるけど、これは本場なみにしっかりと〆られている。修業先の「海味」の味に近い。
光洋ではこのタイプのコハダは出なかったので、この店で自分のやりたい鮨をのびのびと握っているようだ。
キス昆布〆、赤身、中トロ、大トロ、赤海老等々、どれもなかなかの素材。きちんとした仕事のなされた江戸前鮨である。
焼き物はノドグロで。
焼き加減抜群である。
椀物は、フォアグラと蟹の茶碗蒸し。濃厚な料理のはずであるが、出汁が繊細なのでくどくなく、卵と素材の味を楽しめる。
九州の鮨割烹は、和料理のあと鮨で〆るパターンが多いけど、この店では〆は御飯ものである。
鹿児島牛と高菜とスイートコーンの炊き込みご飯。
鹿児島牛は脂たっぷりだが、これに高菜とスイートコーンがそれにうまく拮抗していて、たいへんバランスのよい料理となっている。
だから、箸が進み、今までけっこうな量を食べているのに、何度もお代わりができる。
デザートは蕨餅と黒蜜糖。これ、グラッパによく合います。
どの料理も質が高くて、それに流れがよいので、コース全体としてもたいへん満足できる。
鹿児島市に新しい和食の名店誕生である。
そして素材の質と、調理の手間暇を考えると、この値段はとてもコストパフォーマンスが良い。
鹿児島市は、家賃のせいなのかどうなのかは知らないが、和食店全体としてコストパフォーマンスがよろしくないという印象を私は持っているけど、この店はその認識を変えさせられた。
月ごとに旬の素材によって、メインの料理を次々に変えていくそうなので、また近いうちに訪れようと思った。
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Comments
8000円でこの内容は素晴らしい!
ただし、限られた予算の中、貝と白身が何処までパフォームするのか?
ソムリエ秋葉とのむらと行ってみたいです。
いつか旅先案内人を、よろしくお願いいたしますm(__)m
Posted by: 天ちゃん | May 27, 2015 11:43 PM
とてもいい店でした。
まあ、宮崎のときから実力は分かっていましたけど。
ワイン会グループで鹿児島遠征プログラム組んでみたいですね。
Posted by: 湯平 | May 28, 2015 08:56 PM