カレー:スパイスハウス サリー@久留米市
このブログでは、カレーの項はマニアックな店を主に取り上げているのであるが、今回は極めて真っ当なカレー料理店を紹介する。
久留米市の老舗カレー店サリーである。
インドカレーはスパイスの用い方で、様々な趣きを持つ料理になる。
サリーの店主は本場インドや東京のカレーの名店で修業した経験があり、スパイスの使い方は当然熟知している。その熟練の技で、各種スパイスをふんだんに使っているけど、それらが見事に調和して、洗練極まりないカレーとなっている。
インドカレーにおいては、スパイスという調味料がそれぞれ個性が強いことから、無理に調和させずに、それぞれとんがったところを残した、不調和なカレーにしたほうが、かえって各種のスパイスの個性が際立つことがあり、それがいかにもインドカレー、という感じになり、個性的なカレーになっていることが多い。
というか、たいてのインドカレーはそういう料理という印象を私は持っている。
しかしサリーのカレーは、スパイスのバランスが見事であり、スパイスがそれぞれの良いところを引き出して、かつ全体として高めあう、総合スパイスとでもいうべきカレー料理を作っている、そういう完成度の高さを持っている。
このカレーを食べると、繊細さとか、洗練とか、そういう印象をまずは受け、優雅さとか、上品さとか、あるいは高級感を感じる。
このような印象は、じっくりと煮込んで作る欧州系のカレーには、時に感じるけど、スパイス主体のインドカレーでそういう印象を受けるカレーは、私はじつはこの店のカレーしか知らない。
福岡に行ったついでに、久しぶりにサリーに寄り、カシミルールカレーとインドカレーのダブルで、カレーを堪能したけど、やはりじつに完成度の高いカレーだと感心し、カレーの名店だと改めて認識した。
…ところが、4月になって、福岡の人たちから、サリー閉店の知らせを聞いた。
店の閉店云々については店主の意向でどうしょうもないとはいえ、こういうオンリーワンの店が無くなってしまうのは、カレーファンとしてじつに残念である。
美味しい店は、いつまであるかは誰にも分からないので、あるあいだ、懸命に食いに行かねばと、あらためて思い知った次第。
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Comments
こちらのお店全然知りませんでした。今日買った雑誌、福岡の美味しいカレーにて、こちらのお店を初めて知り、久留米まで食べに行ってくれば良かったと後悔。
そして、病気療養のため閉店となったこちらのお店のご主人5月にお亡くなりにったということです。
ご冥福をお祈りします。
Posted by: しゅうしゅう | July 13, 2015 03:01 PM
20年以上前から知っている店ですので、店主の訃報を聞いたときは私もショックでした。訪れたとき、レジから挨拶していただいた店主は、普通の様子だったのですが、今から思えば体調を無理して頑張っていたのでしょう。限界ぎりぎりまで店を開いていた、その職人魂に感嘆します。
美味しい店、美味しい料理が、いつまでもあると思うな、というのは食べ歩きの大原則でありまして、だからこそ美味しい店、料理は本当にかけがえのないものだと思い、その出会いを今以上に大切にしたいと思います。
Posted by: 湯平 | July 14, 2015 09:20 PM