映画:ゴーンガール
周囲からは仲の良い夫婦と思われていたニック夫婦に、5回目の結婚記念日、突如妻のエイミーが失踪するという事件が起きた。エイミーは全米で人気の童話のモデルである有名人であった。この事件はマスコミに取り上げられ、大事件となる。
そして妻を懸命に探そうとする夫のニックは、しかし浮気、浪費、DV等の裏の姿があることが分かり、誰もが「ニックがエイミーを殺したのではないか?」と疑い、マスコミレベルで糾弾されることになり、窮地に追い込まれる。
エイミーは本当に殺されたのか? そして殺されたのなら、動機と、それに犯人は誰なのか?
物語はミステリ仕立で進まれる。
この手の夫婦の失踪事件ミステリは、
(1)妻は死んでいて、懸命に探していた夫がじつは犯人であった。
(2)妻は生きていて、夫と完全に別れるため、あるいは夫を陥れるために、死んだふりをして失踪した。
(3)事件は夫と妻の共謀で、それによりなにかの利益を得る計画であった。
(4)その他。
のどれかに決まっているので、どれかなあと、いろいろと注意しながら観ていた。なにしろフィンチャー監督は、一筋縄ではいかない内容の映画が得意なので、どこかにワナがあるに決まっている。
そして妻のモノローグが怪しいなあとは思い、ここに仕掛けがあると思っているうち、前半であっさりとミステリは解答が出され、謎は解ける。
しかしここからが、映画の本筋になる。
ミステリ映画が、コミックホラーになり、恐ろしいけど、可笑しい、笑ってしまうけど、背筋がぞっとする、そういう場面がずっと続き、で、やっぱり怖い。
とどめの部分は、終末部のせりふ。
あまりに無茶苦茶なことがありすぎ、結婚生活というものについて、互いに不満と恐怖を感じながら男女が暮すことになんの意味があるのかという主人公の問いに、あっさりと返される「That’s marriage. (それが結婚というものよ)」との返答。
う~む、やっぱり怖い。
フィンチャー監督は、込入った筋をうまく場面をつないで、全体として分かりやすく演出する、いつもながらキレのよい映画をつくっている。
そして出演の役者もまた見事な演技をみせている。
特にヒロインを演じるロザムンド・パイクは、この人こんなに上手い役者だったんだと驚いた。
でもやはりベン・アフレックは、じつに上手い。
物語を転換する最も重要な場面のインタビューのところ。あれは脚本には、台詞とともに、ト書きに「このインタビューで、ニックは心からの反省を示し、その真摯で懸命な態度によって、今まで反感しか感じなかった視聴者の心を反転させる」なんてことが書かれていたのだろうけど、なみの役者には到底無理なことを、ベン・アフレックは見事にやり遂げている。さすが名優、と私は感心した。
映画:ゴーンガール 公式サイト
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