映画:インターステラー
平成26年度の映画のマイベスト1。
文句なしのハードSFの傑作である。
映画は近未来の地球を舞台としている。
人類は地球の自然環境の劣化により、ここで生命維持ができなくなる日が近づいているという深刻な状況に陥っていた。
文明の力は食物の産生という一次産業に主に費やされ、それ以外の技術は放擲され、その結果皮肉なことに諸国は軍隊を保持する余力を失い、世界は平和を得ることができている。
時間が進むにつれ全世界規模で穀物種は次々に枯れ果て、農場は砂嵐に埋もれていく。食料の喪失と酸素の減少が進むという、類滅亡のカウントダウンが刻まれるなか、しかし人類存続のために懸命の努力を続けている組織があった。
それはNASAであり、元より人類最先端の科学技術と頭脳を持っていた組織ゆえ、彼らは人類存続のためには、寿命の来た地球から人類が脱出して他の惑星に移住する、二つのプランしかないことを結論づけていた。
二つのプランはAとBと名付けられていた。
プランAは人類が重力を制御して新たな動力システムの宇宙船を造り、人類の多くが他星へ移住するもの。
プランBはプランAの補助的なもので、人類が移住可能な星へ、大量の人類の受精卵を運び、そこで人類のコロニーを造るというもの。
プランAは理論の完成に大変な手間がかかることから、プランBが先に実行されることになる。
このプランBも、いろいろと成功するための条件が複雑で、まあその複雑な条件のなかで、凄腕パイロットの主人公が船長として選ばれれ宇宙に旅立つ。
この映画、宣伝文句からすると、宇宙旅行を背景とした家族愛みたいな物語かと思っていたら、なんのなんの、近年まれにみるハードSFの傑作であった。
地球からの出発のアナログな描写もいいし、それから画面全体を占める土星の画像、土星近くのワームホールの不気味な造形、そしてなによりあのブラクホールの禍々しいまでの美しさと、そこへの突入の迫力。
私が見たこともない、そしてこれからも見ることができない、でも宇宙には確かにあるであろう、途方もない世界を、大画面で見る喜び。ハードSF映画を存分に堪能できました。
そして、この映画ではNASAおよび主人公は、人類を助けようとする高次の存在によって、その旅が導かれているのであるが、これってどう考えても「2001年宇宙の旅」のオマージュである。
この「高次の存在」は、主人公の家族にあまりに介在していることから、正体はだいたい分かっており、観客はその「高次の存在」が地球にコンタクトするには、それこそ2001年方式しかないなと思うしかないのだが、…まったくその通りだったには、ある意味驚かされた。
スターゲイトへの突入、そこで繰り広げられる夢幻的光景、それから突然の日常的な空間への回帰。
これって2001年だなあと思いつつ、でもやっぱり圧倒され、感激してしまった。
3時間近い長尺の映画だけど、どのシーンも見応えがあり、ずっと集中して見ることができる、まったく時間を感じさせない映画であった。
また、私がとても気に入ったのは、映画で出てくるAI(人工知能)の魅力である。とくにユーモア感覚たっぷりのTARSという名のAIは映画で重要な役割を果たしており、とても存在感がある。それこそ映画で出ている大名優たちを食うほどの存在感を示している。
そして、冒険を終えた主人公が、TARSとさらに新たな旅に向かうシーン、じつはここが一番感動しました。
インターステラー:映画公式サイト
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