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August 24, 2014

映画:ゴジラ

Godzilla

 昨年のハリウッド製怪獣映画「パシフィック・リム」があまりに面白かったせいか、その後ハリウッド製の怪獣映画がまた製作されることになり、今度は日本怪獣の大スターを使った「ゴジラ」である。

 「ゴジラ」ハリウッド版については、じつは10年以上も前にエメリッヒ監督により撮影されている。
 その上映時は、さんざんに駄作とこきおろされ、現在もエメリッヒの黒歴史的な駄作とみなされているようであるけど、あれはいわゆる「メリケン人の見たガッジーラ」であって、あの映画は、ゴジラをよく知っている日本人を、呆れさせながらも、その文化感の違いに妙な感慨を抱かせる怪作であり、快作でもあり、…私はけっこう好きなのであった。

 まあそういうわけで今回の「ゴジラ」も、アメリカ人の造ったどうせ画像だけ豪華なゴジラ像に突っ込みを入れてやろうという気で観ていたのであるが、なんのなんの、ゴジラに対するリスペクトに満ちた作品であった。

 日本製「ゴジラ」でのゴジラの真の姿は第一作目に尽きる。
 あそこでは、ゴジラは自然の猛威の象徴であり、日本神話における制御不能の神そのものなのであって、人間はただただ畏怖し、恐れおののくのみであった。

 ハリウッド版ゴジラのゴジラは、これにさらなる役割が付けくわえられ、「調停」あるいは「制御」の能力を持つ、西洋的唯一神に近いものになっていた。これは、ゴジラの使用権を米国が得たときにゴジラの名前が「GODZILLA」となった時点で、そうなるべき定めではあったのではあろう。


 それゆえ今回の「ゴジラ」では、威厳に満ちており、神秘的でもある。
 (前作のハリウッド版の、爬虫類王みたいなのとはえらい違いであった。)

 その怪獣王ゴジラの、映画での姿。
 ビキニ島で水爆で破壊しようとするときの巨大な背ビレのみ見せた写真。ハワイに上陸したとき、闇のなか照明弾に照らされて全貌を見せるシーン。ハワイから西海岸まで巨大原子力空母に護衛(?)されて悠々と泳いでいくシーン。人類が絶望的状況になったときに現れる信頼感あふれる雄姿。
 全てが素晴らしい。

 ギャレス監督がいかにゴジラ第一作目の、あの「ゴジラ」をリスペクトし、その真の姿をハリウッドの超一流の技術で画像にしようかと考え尽くしていることがよく分かるシーンの数々であった。


 脚本的には、米軍の作戦が少々杜撰なのでは?とか、主人公ほとんど不死身じゃんとか、この手のパニック映画では家族愛の見せ場がつきものなのは分かるけどどうにもテンポが悪いとか、それよりなにも芹沢博士が重要な人物そうなのに全然役にたってないじゃん、あれってただのゴジラオタクなのでは? とかいろいろと突っ込みどころはあるのだけど、あのゴジラの迫力あふれる神々しい姿が見られるだけで、十分にこの映画は観る価値がありました。


 製作の決定した続編では、キングギドラや、モスラも登場するそうだけど、筋はまあどうでもいいとして、今回見せてくれた技術で、大画面のなかであの怪獣たちを観させてくれることをおおいに期待している。


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 ゴジラ 公式サイト 

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