サイクリング:延岡~北浦~蒲江~佐伯~臼杵~大分市
5月になって急に暑くなってきて、30度を超える夏日が続くようになってきた。となるとサイクリングの時期がもう終わろうとしていることになる。あわてて、ロングライドの予定を立てることにした。
週末はうまい具合に土日とも好天のようなので、荷物担いでの一泊行程にした。
そして走るところは、以前から走りたかった宮崎県北から大分に至る、国道388号線をメインとした海岸線ルートとした。
国道388号線は、リアス海岸となっているこの地形に無理やり道路を通した形となっていて、変化に富んだ風景と道を楽しめるはずだからである。ただ、このルートは所々道幅が狭くなっていて、また整備も良くないところがあり、車でのドライブには向いていない。あくまで、自転車で楽しむべきルートであるとは思う。
距離は大分市まで160km。ちょうどセンチュリーランの長さである。また獲得標高は1800mくらいであり、走り甲斐登り甲斐もある道だ。
国道10号線から国道388号線に入り、最初の峠がここである。
採石場によって独特の形に抉られた山の横を通り、次のトンネルを抜けると下りとなる。
トンネルからずっと下って海岸へと出る。
このまま388号線を行ってもよいが、海岸線沿いの日豊リアスラインを行けば、少々の登りはあるものの、七つ島展望所からいい景色が見られるので、そちらへ寄ってみよう。
日豊リアスラインは国道388号線を離れると、このような狭い道となるが、自転車ではまったく問題ない。
それに車も滅多に通っていない。
宮崎県北の有数の展望所「七つ島展望所」。
ここから眺める須美江湾のエメラルドグリーンの海は、九州とは思えない亜熱帯的な美しさを持とう。
七つ島展望所から須美江に下りてからは、しばらくは海岸線を離れ、山間の平たい道を行く。
この区間の国道388号線は、併走している東九州道が無料ということもあり、車の交通量がとても少なく、自転車で気持ちよく走れる道である。
道の駅北浦。
少々時期外れの鯉のぼりが、風に吹かれている。
リアスラインは海岸線を離れてからは、山間部を走ることになり、いくつものトンネルを穿った道となる。
これらのトンネルは、自転車用の道が片側に設置されており、危険なく走ることができる。そしてそれぞれのトンネルには、鳥や魚の絵の看板がつけられている。
ハイトンネルには「リュウグウノツカイ」の絵がつけられているが、それよりその手前のイルカの看板のほうが目立つ。
トンネルをあらかた超えると平坦な道に出て、そして10号線と388号線の分岐に出る。
ここには、「388号線は難路であり、大型車では無理です」とかの標識が出ているけど、軽車両の自転車には無用の注意だ。
北浦から蒲江に行くには、海沿いの平坦な県道122号線と、山越えのハードルート388号線があり、ここはその分岐点。「離合困難」との注意書きがある。
この山越えの道、基本的には山間部に人家があるわけでないので、普通なら山越えを選ぶ理由は何もないのであり、そしてほとんどの車は県道を行くので、388号線は国道といえどほとんど廃路に近い道である。こういう難路は、よほどの廃道マニアあるいは、酷道マニアしか通らない道だ。
しかし自転車なら、離合を気にせず行けるので、いかに狭くとも、また道が荒れていようが気にする必要はない。で、そのまま進んでいくと、農作業をしていた地元の人が、大声で「あっち~! あっち~!」と言って、元の分岐点へ腕を向ける。もしかして、この道、なんかの事故で交通止め?と思い、自転車を止めて、その地元の人に聞いてみた。
すると、この道は急傾斜なので自転車では無理だから海側の道を行ったほうがいいとのアドバイスであった。
ロードバイクの登攀力をなめてはいけません、とかは勿論言わなかったが、こっちのほうが近道だからなんとか行ってみます、とか言って、礼をしてから進んでいった。
進むにつれ、国道388号線は幅を狭めていき、山間の林道みたいな道と化していく。
しかしながら、ちゃんと「国道388号線」の標識があるのは、国道のプライドなのであろう。
この道、地元民の言うとおりに確かに急傾斜であった。
10%を超える坂が連続し、特に傾斜がきつくなるコーナーインは立ち漕ぎしながら凌いでいくうち、なんとか県境の峠に到着。
この標識の汚れっぷあいとかで、いかにこの道が使われていない道ということが分かる。じっさい、車なんか一台も走ってないし。
県境からはずっと下りとなる。路面は荒れ、日陰のところは苔も生えている。
今日は晴れで道路が乾燥していたからよかったけど、雨の日は自転車には危険な道だなと思った。
下りきって海岸まで出ると、海沿いルートの122号線と合流する。
山あり、海ありの388号線は、この区間は海沿いで平坦な気持ちのよい道だ。
海の幸豊富な地の利を生かして、生鮮魚介類をたっぷり扱っていることで有名な道の駅蒲江。ここで、しばし休憩。
さて、佐伯に向かおう。
蒲江から佐伯に行くにはどこをどう通っても大きな峠があるのだが、なにはともあれ愚直に388号線を使って北上。
しばらくは海沿いの快適な道であるが、ここを離れてから山に入り、峠越えとなる。
今の時点でほぼ80km。本日の目的地の大分市までほぼ半分を走ったところ。残り半分には、あと峠が4つある。
蒲江から佐伯に出るには、3つのルートがあるけど、全て大きな峠がある。
国道388号線にも当然その峠があり、向こうに見える坂道に向かって自転車を進めていく。
高さを増していくと、展望もよい。
山間の蒲江の町を眺めながらゆっくりと自転車を進めていく。
この名もなきトンネルが峠となる。
国道388号線は、トンネルに関しては整備もよい道であるが、このトンネルは暗くて、自転車道もない走りにくい道である。
ただ、交通量が少ないので、さほどストレスなく進行できた。
佐伯市に入ると、延岡から続いてきた国道388号線は終了となる。
今回の目的、国道388号線踏破は完了である。
こののち、道なりに海岸線沿いに大分市に進むと、センチュリーよりも余分に20kmほど走ることになるので、距離短縮を目当てに山間部に向かうことにする。
佐伯から津久見までは、東九州道に並走している県道36号線が距離が短くて済む。
峠は二つあるが、景色もよい道である。
県道36号線は、東九州道に並走してるので、高速道路を眺めながらの走行となる。
ときおりあの高さまで登ることになるので、ペースの配分はしやすい。
傾斜を登って行くと、末広ダムのところで傾斜は楽になる。
この傾斜を進むと、いったん峠に出る。
「こっそり堂」なる怪しげな店が、峠の目印みたいな存在となっていた。
とりあえず自転車を止め写真を撮ったが、営業している気配はない。しかし廃墟という雰囲気でもない。
夜とかに賑わっている店なのかなあ?
先のこっそり堂峠から少し下って、それからまた坂を登って行く。
今回の峠は彦岳トンネル。ツールド佐伯で、よく知っているトンネルである。このトンネル、自転車用の道はあるのだけど、照明が暗いので走りにくい。
今回はきちんと高輝度ライトを用意していたので、難なく走ることができた。
津久見から臼杵へは国道217号線を使っていく。
津久見と臼杵の境は新臼津トンネル。
このトンネルが、今回のサイクリングで最悪のトンネルであった。
造られたの40年前という古いトンネルであり、照明は暗く、当然自転車用の通路はなく、さらに路側帯は無きに等しい狭さであった。路面も荒れており、走りにくい。
しかし幹線道路なので車の通行量は多く、狭い車線のなかで次々に車に追い越されることになる。
1.7kmの暗いトンネル内の、ストレスフルな走行を強いられることになり、津久見臼杵の国道217号線は、サイクリングにはまったく勧められないルートであった。
臼杵に着いたら、217号線から離れ、県道25号線を行き大分市まで行けばあと30kmの距離である。
ただし、東九州道に並走している、九六位峠越えの道を行くと20kmくらいで済むので、こっちも魅力的だ。ただし、ルートラボで調べるとどうにも走りにくそうな道であり、とにかくいったん偵察に行ってみた。
この道、極端な坂が続き、あとの見当がつかないので、無難に引き返し、予定通りに25号線を行くことにした。
県道25線に至る国道502号線は川沿いの走りやすい道である。
502号線から、県道25線に入り、いくつかのゴルフ場を横目に見ながら坂を登って行くと、やがて大分市との境に出て、ここを下っていけば、大分市に入り、そして10号線に入る。
国道10号線は幹線道路なので、いろいろと複雑な構成になっており、少々走りにくい。
標識をしっかり確認しながら進んでいく。
東九州の幹線道路、国道10号線はさすがに交通量が多い。今回のサイクリングで初めて見た渋滞。
そして、このあたりの道路はたいては、歩道が自転車通行可となっており、それを使ってゆっくりと安全運転。
そうして大分市の、本日の目的地「寿司処ちはる」へと着いた。
160km走って汗を流し、腹をすかし、そして存分に酒を飲み、鮨を食うのである。
ゴールの、大分市繁華街のホテルに到着。
ここはそのままの自転車の部屋持ち込み不可の宿だったので、(駐輪場はあるとのことだったけど、さすがにコルナゴEPSを駐輪場に一晩とめる度胸はない。)、輪行袋に収納。
駐車場の管理人さんが、「へ~、自転車って分解できるんですかあ」と驚いていたけど、これって意外と知られてませんね。
ホテルで風呂に入って、着替えて、寿司処ちはるへと。
160km自転車で走って鮨を食いに行くなど、一般人からは変人扱いされる行為であるが、ここの店主は本格的なサイクリストであり、そのようなことはサイクリストにとっては普通の行為とよく理解している。
美味い鮨を堪能し、それから胃に染み渡るスパークリングワインを飲みつつ、店主と、それにこれもサイクリストのお弟子さんと、自転車談義に花が咲くのであった。
……………………………………
本日の走行距離:161.6km
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Comments
こんにちは!
このコースは結構ハードですね。
数年前走りましたが、国道388号かなりの酷道でした。。
しかし、時折見える海と山のコントラストは最高ですね。
一日であの160kmルートを走る湯平様の体力には脱帽です!
Posted by: Take | May 28, 2014 10:36 AM
宮崎県北は自転車向きの良いルートが多いですけど、国道388号線は並走する東九州道が開通したことにより、車の交通量が激減しましたから、自転車天国みたいな道になってみますので、全国のサイクリストにアピールしたい道であります。Takeさん指摘のように、眺めも素晴らしく、魅力的な道ですし。
Updownの多い160kmのタフな道であり、きつい道でしたが、でも県北のサイクリストとしては、六峰街道よりは楽だろうとの思いが常にあり、なんとか踏ん張れました。
「寿司処ちはる」での店主との雑談では、当日は丁度高千穂ヒルクライムレースの日でしたので、大分組が遠征している話が出てましたけど、Takeさんのレポートとリザルトを見ると、大分組速いですねえ…
感心することしきりです。
Posted by: 湯平 | May 29, 2014 12:55 AM