匠の宿@極楽温泉
極楽温泉は霧島山地の東側に位置する。
霧島温泉郷とは離れたところにあり、人の賑わいから外れた地にある。そこに湯治宿風の一軒宿がぽつんぽつんとあり、温泉通の好みそうな温泉地である。
そのなかの一つである、古くから湯治宿であった老舗旅館「匠の宿」が近頃新機軸を打ち出したそうである。なんでも、湯のみならず、料理にも力を入れ、料理目当てでも客の来る宿にしようと、宿泊料金の単価を上げ、料理の水準を一挙にUPしたそうだ。
「あんな辺鄙なところにある宿がそれで大丈夫なんですかねえ」と、「匠の宿」の主人と交流のある某寿司店の店長が心配していたので、物見高い男の私としては、ついどんな宿か見てみたくなり、行ってみることにした。
極楽温泉は、高原から御池に行くまでの道の途中にある。この大きな水車がシンボルマーク。
部屋は奥の離れにて。
寝室、和室、リビングから成っていて、どこでも寛げる。
極楽温泉は地元の人が立ち寄り湯によく使っている温泉で、大浴場は常連の人が多くいるけど、宿泊客者用には貸切風呂が用意されている。
鉄分たっぷりの、いかにも「効く」という温泉だ。
登山後の汗を風呂で流してさっぱりしたのち、食事処で夕食である。
八寸は、サツマイモ唐揚、芹の白和え、鮎なれ寿司、山芋握り寿司、猪西京焼き、さとがら黒胡椒和え、と、どれも地のものにこだわり、かつ随分の手の込んだ料理の数々である。
椀はエンドウのすり流し。
それにヤマメを骨切りにしたもの。蕨に、ゴマ豆腐。
いかにも山の椀物であるが、味付けは繊細ものである。
造りは鯉と鹿。
鯉は十分に泥抜きをされており、くさみの全くないもの。
そういえば、このあたりは鯉の名産地であり、鯉の美味しいところなのであった。
鍋は猪と鴨のどちらからか選べる。
今の時期に猪もなかろうと思い、鴨にしてみた。
これも地元の薩摩鴨で、しゃぶしゃぶ風にして、白髪葱を添えて、鴨葱にして食べれば美味そのものである。
鍋の出汁も、鴨出汁で、豊かな味である。
焼物は、宮崎牛と薩摩の鰻。
素材も良いが、火の入れ加減も上手なもの。
焼物のもう一品は、スッポンの幽庵焼き。
コラーゲンがたっぷりである。
筍と蕨の茶碗蒸し。卵の味が濃厚である。
御飯は炊き込みご飯。
酢のものは、ヤマメの背越しと芹の酢味噌和え。
最初から最後まで地の素材にこだわった料理であった。
こういうものは素材集めて、あとは焼いて煮るだけといった田舎料理になりがちだが、(それはそれでいいけど)、どの料理も良い素材をさらに美味しくするために、手の込んだ調理が加えられた、本格的な会席料理であった。
たしかに料理だけ目的に行っても、十分満足できるレベルのものである。
これに加えて温泉も良質のものであったから、すでに名宿の域に近づいているのでは、と感心いたしました。
朝食も夕食の流れをついで、地の料理にこだわったもの。
そして食事の時間にあわせて炊かれる、炊き立て御飯がまた美味であり、朝から食事が進むのであった。
この宿からは、高千穂の秀峰を望むことができる。
しかし本日は、山頂近傍に雲がかかっており、イマイチの眺め。
予報によればこれから天気は崩れるとのことで、雲の位置はさらに低くなってきそうだ。
それで、宿を出たあとは、あまり標高のない山に登ることにした。
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