ガラコンサート@香港芸術節
Savolinna Opera Festivalの楽員と歌手によるガラコンサート。
前3分の1ほどは、ヴァグナーの楽曲で、残りはイタリアオペラなどからの抜粋。
ヴァグナーでは、Kirsten Chambersをソロに招いての「イゾルデ愛の死」が圧巻であった。
果てしなく流れるような旋律のなかで官能と聖性が奇跡的な融合を果たし、やがて大きなうねりのなかで、宗教的な法悦に到る、音楽史上の大傑作。その美しく不思議で感動的な調べを十分に表現した演奏であった。
そしてオーケストラの響きに乗っての歌唱、「Wonne klagent, alles sagend mild versoehnend aus ihm toenend in mich dringet, auf sich schwinget, hold erhallend um mich klinget?」 のところ、klagent, sagend, versoehnend, toenendと韻を踏み重ねて徐々に盛り上がって行く部分は、この音楽はいったいどこまでの高みに達していくのであろうと、戦慄を感じるまでの、大迫力のステージであった。
レコード、CDでは相当な数を聴いた曲ではあるけれど、このような演奏家、聴衆が一体化した、音楽をダイレクトに五感全体で感じる感覚は、生演奏でないと経験できないものであろう。
ヴァグナーのあとは、賑やかで明るいイタリアオペラからの抜粋曲が続く。
…イタリアオペラって、どうも苦手だなあ。イタリアオペラは名作が多いこともあり、食わず嫌いではいかんだろうと思い、けっこういろいろな曲を我慢して聴いた経験はあるけど、どうやっても途中で飽きる。
だいたい、今回の生演奏を聴いていても、演奏家は一所懸命にやっているのは分かるが、あんなに大声で朗々と歌っていればそれでいいというもんでもないだろう、とどうにも突っ込んでしまい、結局は退屈であった。
イタリアオペラを聴いていると、音楽にあまり興味のない人たちのオペラに対する一般的感想「オペラって馬鹿らしい」というのが、ついつい理解できてしまったりする。
と、イタリアオペラに対してひどいことを書いてしまったが、あくまでもこれは私の好みの問題であり、また偏見でもあります。
とりあえず、今回のガラコンサートはヴァグナーを聞けただけでも、聴く価値はありました。
…………………………………
Savolinna Opera Festival 2014年香港ガラコンサートのプログラム
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