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March 2014の記事

March 30, 2014

桜源郷、花立公園

 花立公園を訪れたのちは、近くの温泉旅館で一泊し、その翌朝は好天であった。
 桜が満開である週末は土日とも雨の予報であったが、うまく外れて日曜は晴れである。
 そうなると、昨日小雨のなか、その本来の魅力を楽しめなかった花立公園には是非とも行かねばならない。

【最初の景色】
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 花立公園は、花立山の南斜面にある。
 山道をいくつものカーブを越えていくと、あるところで一気に視界が開け、桜色に染まった山肌が姿を現す。けっこう感動的な瞬間。

【桜道】
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 車を一番下の駐車場に止め、ここから散策。
 車の整理の人から「山頂まであと1.8km」ありますよ」と言われたが、この桜色の景色は歩いて楽しむべきであろう。

【花立公園】
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 舗装路を歩いて行き、花立公園へ。
 昨日と比べ、光あふれるなかでは桜の花の鮮やかさがまったく違う。
 ここからは、画面中央の遊歩道を歩いて行こう。

【遊歩道】
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 桜は満開の時期を過ぎ、花は散りだしていた。
 それで遊歩道は桜の花びらが敷き詰められ、桜の絨毯のようである。
 風が吹けば、花はとどめなく降りしきり、まさに桜吹雪であった。

【展望】
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 高度を徐々に上げていけば、視界も広がる。
 周囲の山々や、ゴルフ場、遠くには日向灘。

【山頂公園】
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 桜の花を楽しみながら、山頂公園へと到着。
 ここには色々な花が植えられており、様々な色に満ちている。

【桜の花びら】
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 それでも今一番美しいのは桜であり、花が散り、緑の葉の上に落ちたさまも、また美しいものであった。

 山肌一面に一万本もの桜が植えられた花立公園は、花の盛りの時期、桃源郷ならぬ桜源郷となる。あやしいまでに美しい、桜の魅力を存分に楽しめた花立公園であった。

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March 29, 2014

旅館:合歓のはな@北郷温泉郷

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 桜の名所、花立公園から県道429号線に戻り、これをさらに山の方向に向かっていって車を走らせると、人家はなくなり、道も狭くなって、この道で大丈夫かなと不安に感じだす頃、旅館「合歓のはな」が見えて来る。

 「合歓のはな」は、渓流沿いの自然林のなか、宮崎の大自然の魅力を満喫してもらおうという意図で、この地に建てられた旅館である。
 周囲に人の住んでいない、僻地そのものの地にあるのだが、ただ交通はそんなに不便ではない。宮崎空港から車を走らせて、1時間くらいの距離である。
 宮崎県は、都市部から30分ほど車を走らせれば、人跡未踏の秘境みたいなところに容易にたどり着けるところであり、そういうのも宮崎の魅力の一つであるので、この旅館はその宮崎の利点を生かしているわけだ。

【フロント】
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 雑木林風の庭の道から、旅館のフロントに入れば、このようにモダンな造りのバーを併せ持つ広い空間が広がる。
 窓の外には渓流が流れており、雨が降って水量の多いときには、流れの途中に小さな滝が見られる。

【部屋と部屋露天】
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 この旅館は大浴場はなく、離れ形式の各部屋に露天と内風呂がついている。
 露天は渓流を眺め、川の流れる音や、野鳥やカジカガエルの鳴き声を聞きながら、ゆったりとした気分で楽しむことができる。

 夕食は食事処にて。

【小鉢】
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 最初は青えんどう豆の団子。柚子の香りで。
 素朴な感じの、宿の雰囲気にあった料理から。

【前菜】
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 前菜は地元のものばかりで、ツクシ、タラのお浸し、桜餅、サザエ、山菜佃煮、山葵の茎、百合根と貝の白和え、等々。
 春の季節を、控えめに演出した料理である。

【椀物】
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 椀物は日向鶏のツミレ。
 味付けは九州風の甘めのものである。

【料理長スペシャル】
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 この宿では、コースメニューとは別に、料理長がその日の気分次第でスペシャルメニューを一品加えるそうで、この日は野菜の浅漬けであった。酢が洋風なのか、ピクルス風の味付けとなっていた。

【お造り】
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 造りは、鯛、平目、アオリイカ、カツオ。
 こんな山奥の旅館で海の刺身を出さなくともとは思うものの、じつは北郷は日南の良港の近くにあるので、新鮮な魚は容易に手に入れることができる。
 今回の魚は、目井津港からあがったもの。

【旬菜】
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 蒸し物は、朝掘り筍。
 周りでいくらでも筍は掘れそうだけど、これは宮崎県北の延岡のもの。
 ほくほくとした食感と、上品な甘さがよろしい。
 そのままでも十分に美味しいが、好みによって塩や梅ダレ等を使って食べても、また美味しい。

【焼き物】
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 A5の宮崎牛を石焼きで。
 タレは自家製で、味は濃い目。

【御凌ぎ】
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 御飯の前の御凌ぎは、山かけ梅ソーメン。

【御飯】
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 御飯は海鮮チラシ。日南の道の駅なんかの定番メニューである。

【デザート】
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 デザートは抹茶ケーキ。けっこう気合いの入ったデザートであった。


 料理は全体を通して、宮崎の山のもの、海のもの、野のものをバランス良く取り入れて、うまい具合に料理を組立ている。「宮崎に行ったら、こういうものが出るんだろうな」というイメージが、そのまま料理になった感じでもある。この宿は遠方から宮崎を訪れた観光客が多いそうなので、そういう路線になっているのであろう。
 ただ、こういう極端なロケーションの宿なので、もう少しは破格さもあっていいのではとも思う。このような料理だと、表現が難しいのだが、「身体で考えずに、頭で考えました」という感が強すぎ、食べていて面白さが足りない。
 まあ、料理長がサプライズでわざわざ一品出しているのも、料理長自体にいろいろと思うものがあるからなのだろうけど。

【合歓の木】
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 「合歓のはな」と旅館の名前は、宿周囲にたくさん自生している合歓の木に由来している。
 今はまだ葉が芽吹きだしたころで、葉もつけていなかったが、初夏には淡紅色の花が咲き誇り、さぞかし美しい風景となるであろう。
 桜の時期もよいが、また初夏の合歓の花の時期もまたお勧めである。

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宮崎の桜@平成26年春

 今年の春は寒い日が続いていたせいで、桜の開花が遅れていたのだが、三月下旬に暖かくなった頃から開花しだし、あっという間の勢いで花が開いている。この勢いでは、週末には満開になりそうだ。
 週末は土日も雨という予報であり、花見には適していないが、この週末を逃すと桜は散ってしまうだろうから、雨の降るなかドライブがてら桜の名所を訪ねてみることにした。

【愛宕山参道】
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 延岡の桜の名所、愛宕山。
 愛宕山の麓の参道は満開の桜並木で、華やかな色どりである。

【愛宕山】
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 神話の山愛宕山は桜の名所でもある。
 展望所までの道も桜は満開で、展望所から山頂にかけての桜もちょうど時期であった。

【ループ公園】
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 愛宕山からは日豊グリーンランドを走行し、途中の休憩所のループ公園。
 ここも隠れた桜の名所であり、晴れていたら遠くに日向灘を望むことができて、空の青と海の青と、桜の花がいいコントラストになっていたはず。

【西都原公園】
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 宮崎県の有数の桜の名所である西都原古墳群。
 ここは菜の花も一面に植えられており、春は桜と菜の花の饗宴が見られる。
 黄と緑と桜色が互いに色を競い合う、美しき風景。
 これで天気が良ければ、もっと色が鮮やかだったのだろうけど。

【大坪の一本桜】
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 ソメイヨシノは集団で咲いてなんぼ、という面があるが、樹が大きくなれるヤマザクラは一本でも十分に景色の主人公になれる。
 宮崎の一本桜は、この国富町の「大坪の一本桜」が有名。
 …しかし、ヤマザクラはソメイヨシノよりも開花の時期が早い桜であり、ソメイヨシノが満開の今、すでに花は散っていて、葉桜になっているのであった。
 残念。

【堀切峠】
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 鬼の洗濯岩で有名な堀切峠は、桜の名所でもある。
 ただし、ここの桜も大坪の一本桜と同様にヤマザクラなのであり、すでに散っていた。
 宮崎で桜見物の日程を組むなら、ソメイヨシノ用とヤマザクラ用に、二つの日程を組まないと本当の魅力は味わえないと実感。

【花立公園】
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 今回の花見ドライブの真打ち、北郷の花立公園。
 山の斜面一面に一万本の桜が植えられている、という西日本一の規模を誇る桜の園。
くねくねした山道を走るうちこの斜面が見えると、風景は桜色に染まり感激ものであるが、本日は小雨のせいで風景が霞んでおり、イマイチの風景。
 それでも近寄れば、桜・桜・桜の世界に圧倒される。しばし歩けば、桜に酔ってしまいそうな、そういう桜だらけの別世界であった。

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March 23, 2014

最後の最後まで香港を味わいつくそう Tapagria(スペイン料理店)@香港尖沙咀

 香港最終日は、15時15分発の福岡行きの飛行機で帰国である。
 チェックインは済ませたものの、国際便ゆえセキュリティーが厳重だろうから、時間的に余裕を持って飛行場には行きたい。
 しかし、ツアーメンバーは最後のギリギリまで香港の食を味わいたいとの希望が強く、最終日の12時から尖沙咀の料理店で食事をして、それから飛行場に行くとの日程が組まれた。

 小心者の私としては、外国の飛行場には2時間くらい前に着いておきたいのだが、…旅行慣れてしたメンバー達がこれで間にあうと判断しているのだから、その計画に乗ってもよかろうと思い、参加することにした。

 昼食はTapagriaというスペイン料理店にて。
 なぜスペイン料理かといえば、中華料理ばかり食べていたので、少しは趣向を変えてとのことらしかった。
 そして本日の会食は香港の有名中華料理店のオーナーの御招待によるもので、オーナー氏には今回のツアーに於いてもいろいろとアドバイスを頂けたとのことであった。

 …じつは今回の食ツアーではそのオーナーの店も入っており、他の人たちはその店に夕食に行ってたのだが、あいにくその日はオペラの日であったため、私としては3時間以上かかるオペラの前にがっつり食事をする気にはなれず、そこだけパスしていた。それで私だけがNice to meet you.の挨拶となった。ついでながら、メンバーのY部長はオーナー氏の店での夕食の際、挨拶に現れたオーナー氏をギャルソンと勘違いしていたそうである。この店でオーナー氏が自己紹介したとき、Y部長は仰天していたが、まあ、そういう勘違いがあってもおかしくないほど、オーナー氏は若く見える人であった。

【料理&サングリア】
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 料理は、タパス、パエリア、ハムと帆立のソテー、アサリスープ、イベリコ豚のロースト、ハンバーガーなどなど。オリーブオイルとガーリックやスパイスの利いた、いかにもといった感じのスペイン料理の数々であった。
 新鮮な魚介類と、油、スパイスの多用というところで、スペイン料理は潮州料理と似たところがあるなとも思った。
 飲み物はサングリアというスペイン名物のワインカクテル。軽い味わいの飲み物で、昼でもサクサクと飲めます。
 オーナー氏はじめ地元の人たちと歓談しながら、デザートまでしっかり食って、終わったのは午後1時40分。

 それからタクシーに乗って九龍駅まで行き、特急で空港駅へと着。
 セキュリティーチェックはスムーズに行きほっとしたもの、香港国際空港は広く、構内を列車で移動する必要があったりして時間がかかり、搭乗ゲートに着いたのは、チケットにこの時間までに来てくださいと書かれていた14:50分ちょうどであった。まさにギリギリ。
 しかし空港駅から一直線に登場口まで来た私と違って、他の人達は、香港空港には美味しいサンドイッチの店があるとか、面白い土産を売っているとかで、それらの買い物に行ってしまっている。
 搭乗が始まっても姿を見せない彼らを、間にあうのかねと心配しながら私は待っていたが、彼らは搭乗する人の列がそろそろなくなり、乗務員たちが「福岡行きのお客さんは残っていませんか」とロビーの人たちに声をかける頃にようやく姿を現し、悠々と飛行機に乗った。
 食べ物に留まらず、買い物などでも、最後の最後まで香港を楽しみ尽くす。旅の達人とは、こういう人たちのことを言うんだろうなと私は思った。見習いたいものだが、チキンハートな私には、いつまでたってもこの域には達せられない、とも思った。

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謎の九龍駅

 香港最終日は尖沙咀で12時から昼食、その後に15 :15分発の飛行機に乗って帰国するという慌ただしい日程。ギリギリの日程ゆえ、出国の手続きに手間取ると飛行機に乗れない可能性もあるので、時間節約のために市内で飛行機のチェックインをすることにする。
 香港では飛行場への特急が停車する駅の、香港駅と九龍駅でチェックインが出来るので、ホテルに近い九龍駅で行うことにした。

【九龍駅+ユニオンスクエア】
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 地図でみると、尖沙咀のホテルから九龍駅までは歩いて15分くらいの距離なので、散歩がてら歩いていってみた。
 九龍駅は香港の駅のなかでも重要な駅なので、その規模も大きい。
 ショッピングモールや高層ビル、高層マンションを一体化させた巨大施設であり、遠目にもとても目立つ。この施設のどこからか入れば、九龍駅には容易にはたどり着けるはずである。

【エレメンツ】
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 建築群の東~南側は工事の最中であり、どうにも歩きにくい。
 そして駅施設の一部であるエレメンツが見えてきて、ここから入れば駅に行けるだろう。

【エレメンツ入り口】
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 標識もこの方向に行けば九龍駅となっているが、玄関から入るのか、さらに右に進むのか分かりにくい。
 そしてエレメンツ入り口であるが、これほどの規模の駅の玄関にしては、人の行き来が全くなく、玄関として機能しているかどうか不安になってしまった。
 とりあえず中に入ってみたら、スケートリンクのようなものがあり、その奥をさらに進むと「To CINEMA」という標識があった。なるほど映画上映前の時間だったから、こんなに人がいないのか、とそれには納得。しかし映画館というのは行き止まりの形態になっているから、この道は間違いだと判断。
 いったん、外に出て、先の標識に従い、右方向に歩くことにした。

【九龍駅】
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 しかしいかに歩きに歩けども、九龍駅どころか付属の施設の入り口さえ見つからない。九龍駅は地下鉄もあるので、地下鉄入口くらいはどこかにあるだろうと思ったが、それもない。
 そのまま歩くうち、この巨大施設の周囲を4分の3周ほど歩いたところで九龍駅本体を発見。
 だがここは車の入り口なのであって、人間が歩いて入れるようにはなっていなかった。

 まったくもっていったいどこに入り口があるのだろう?
 施設は目の前にはっきりと見えているのに、入り口がなく、そこにたどりつけない不条理さ。ついついカフカの小説「城」を思い出してしまったわい。

 そのまま歩くうち、元のエレメンツの入り口まで行ってしまって、全周制覇となる。これで、この駅にはまともな入り口がないことは分かった。
 そうなると、さっきの九龍駅車の入り口しか九龍駅に入る手段はないわけで、しょうがないのでそこに戻り、走行する車に注意しながら車線を渡って行き、なんとか九龍駅に入ることができた。
 そして九龍駅でチェックインを済ませたのち、内部からまともな出入り口を探そうと努力した結果、じつは一回入ったエレメンツの玄関がそれであったことが判明。

【九龍駅+施設図】
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 図で言えば、色付きの施設が九龍駅およびその周辺施設なのであるが、驚くべきことにこれほどの巨大な施設なのに、地上においてはまともな入り口は一つしかなかった。
 総体で、一日数万規模の人が利用し、住み、働いている巨大施設なのに、いったいどういうことなのだろう。

 大部分の人は地下鉄や車を利用して移動しているのだろうか? 
 しかし、人間にとって歩行は重要な移動手段であり、そして香港の他の駅では人は地上をぞろぞろとたくさん歩いて駅に出入りしており、この施設だけ特別にする意味がよく分からない。
 ただ、九龍駅周囲は、人はほとんど歩いていなかったので、(どの写真にも人が写っていないことで分かると思うが)、この駅に歩いてやってくる人はマレというのは間違いなく、なにか意味があることは確かではあろう。

 歩いて入るのが困難な駅、九龍駅。
 私にとってはまったく謎の施設であった。

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March 22, 2014

ガラコンサート@香港芸術節

Gala

 Savolinna Opera Festivalの楽員と歌手によるガラコンサート。
 前3分の1ほどは、ヴァグナーの楽曲で、残りはイタリアオペラなどからの抜粋。
 ヴァグナーでは、Kirsten Chambersをソロに招いての「イゾルデ愛の死」が圧巻であった。
 果てしなく流れるような旋律のなかで官能と聖性が奇跡的な融合を果たし、やがて大きなうねりのなかで、宗教的な法悦に到る、音楽史上の大傑作。その美しく不思議で感動的な調べを十分に表現した演奏であった。
 そしてオーケストラの響きに乗っての歌唱、「Wonne klagent, alles sagend mild versoehnend aus ihm toenend in mich dringet, auf sich schwinget, hold erhallend um mich klinget?」 のところ、klagent, sagend, versoehnend, toenendと韻を踏み重ねて徐々に盛り上がって行く部分は、この音楽はいったいどこまでの高みに達していくのであろうと、戦慄を感じるまでの、大迫力のステージであった。
 レコード、CDでは相当な数を聴いた曲ではあるけれど、このような演奏家、聴衆が一体化した、音楽をダイレクトに五感全体で感じる感覚は、生演奏でないと経験できないものであろう。

 ヴァグナーのあとは、賑やかで明るいイタリアオペラからの抜粋曲が続く。
 …イタリアオペラって、どうも苦手だなあ。イタリアオペラは名作が多いこともあり、食わず嫌いではいかんだろうと思い、けっこういろいろな曲を我慢して聴いた経験はあるけど、どうやっても途中で飽きる。
 だいたい、今回の生演奏を聴いていても、演奏家は一所懸命にやっているのは分かるが、あんなに大声で朗々と歌っていればそれでいいというもんでもないだろう、とどうにも突っ込んでしまい、結局は退屈であった。
 イタリアオペラを聴いていると、音楽にあまり興味のない人たちのオペラに対する一般的感想「オペラって馬鹿らしい」というのが、ついつい理解できてしまったりする。

 と、イタリアオペラに対してひどいことを書いてしまったが、あくまでもこれは私の好みの問題であり、また偏見でもあります。

 とりあえず、今回のガラコンサートはヴァグナーを聞けただけでも、聴く価値はありました。


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 Savolinna Opera Festival 2014年香港ガラコンサートのプログラム

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徳記潮州菜館@香港西環

【二階建トラム】
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 香港3日目の夕食は西環の「徳記潮州菜館」にて。
 香港というところは地下鉄が縦横に張り巡らされていて、たいていのところは地下鉄の駅から徒歩圏内にあるのであるが、西環には地下鉄駅がないので、上環駅から何らかの交通手段を使う必要がある。
 とりあえず上環駅まで行って地上に出ると、駅前に路面電車(トラム)が走っていた。路線図を見ると店の近くまで行くようなので、これを利用。香港は公共交通機関が発達していて、便利である。また殆どの交通機関は共通のプリペイドカード(オクトパスカード)が使えるので、小銭を持ち歩く必要もなく、これもまた便利だ。さすが、国際観光都市。

【徳記潮州菜館】
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 徳記潮州菜館は潮州料理の店である。
 潮州料理というのは福建省の海沿いの地域の郷土料理である。新鮮な魚が手に入ることから、それらを使った蒸し料理や煮物がメインで、店頭に並んだ食材を客が選んで、それを客の好みに料理させるのが代表的形式だそう。

【メニュー表】
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 潮州料理は基本的にはアラカルトで頼むのがいいようであるが、今回我々は選択する時間があまりなかったことから、コース料理を選んでみた。
 8人前で、計1488香港ドル(約2万円)。これなら店の名物がそれなりに網羅されているであろう。

【前菜】
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 前菜は、イカや海老、蟹、白身魚のすり身を揚げたもの。それに野菜サラダに、中国クラゲ。
 この時点でコース料理にしたことの失敗を悟る。
 これは量多すぎ。そしてこのあと、7品も来る。
 この量は、普段でも多すぎと思うに違いないのに、我々は2時間半前に龍景軒でけっこう食っており、いくら胃袋の強い人たちの集団とはいえ、完食は無理であろう。
 …もっとも、その状況でも最後まで完食を目指した者が、約一名いたことはきちんと書いておこう。

【帆立と海老とブロッコリー炒め】
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【豚肉、ハムの盛り合わせ】
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 豚肉は八角と中華スパイスで香りつけされ、漢方薬っぽい、いかにも中国の下町的な香りがあった。

【清蒸魚】
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 中華料理では、清蒸魚はいろいろなヴァリエーションがあるようで、これは潮州料理的な調理が為された清蒸魚だったようだ。どちらかといえばあっさり目の味付けである。
 魚はハタで、新鮮なたいへん質のよいもの。

【フカヒレスープ】
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 場末っぽい雰囲気の店であったが、高級食材も使っており、フカヒレスープがコースに入っていた。

【八宝菜】
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 魚の浮き袋の干物、海老、貝、サヤインゲン、コーン等の炒め物の餡かけ。
 浮き袋の食感が面白い。味付けの処理も丁寧である。

【アワビの餡かけ】
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 アワビと中国野菜の炒め物に、濃厚な味の餡をかけたもの。
 この料理も高級食材を使ったものである。

 このあと、鶏料理が出る予定であったが、8時からのガラコンサートの時間が迫って来たので、テイクアウトにした。

 慌ただしい食事だったゆえ、どうも印象が散漫になっているのだが、どれも個性的で面白い料理であった。
 次回来るならば、潮州料理風に食材を選ぶところから始めたいものだ。

【店外】
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 この店はコストパフォーマンスの良いこともあり、地元民に人気のある店のようで、我午後6時を過ぎる頃から店は満席となり、外にもずらりと行列ができていた。
 地元民に愛され、そして時にマニアックな観光客も来る、そういう店であった。

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ベルルッティ(Belruti)香港店@中環

 龍景軒でたらふくランチを食べて、終わったのが午後3時であった。
 そして夕食は午後5時半から西環のローカルな中華料理店にて、というハードな計画。
 今夜の文化センターでのガラコンサートが午後8時からなので、そういう慌ただしい日程となっているのだが、…あれだけ食ったのちの2時間半後にまた中華というのもなんともはや。まあ、食べることにかけては激しい情熱を持った人ばかりなので、そういうハードな日程が組まれるのは、当然なのではあるが。

 夕食までの時間つぶしに、中環を散策することにした。
 香港中韓は名前の通り香港の中心地であって、巨大な商業施設があり、有名ブランドショップも密集している。
 中国本土からの買い物客も大変多い地である。

 それで、ブランドショップを覗いてみようと思った。
 ブランド品では私はベルルッティくらいしか興味はないので、(パリでも同じことを書いていたけど)、香港に一軒だけあるベルルッティへと行ってみた。

【ベルルッティ香港店】
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 で、着いた店だが、なんか雰囲気違いますね。
 ベルルッティといえば、靴をメインに、鞄、ベルト、財布等ベネチアレザーを使った商品を主に売っているはずだが、服なんかも売っていた。

 中に入ると、…客は一組だけであった。
 日本ではどの店も客がいないし、パリ本店でも全く人がいなかったが、香港でもそうであったか。ベルルッティって、こんなに客少なくて、どうやって商売成り立っているんだろ、とか思うけど、結局はヘヴィユーザーが支えているんでしょうね。

 ベルルッティの靴の値段はいくらくらいなのだろうと靴のショーケースを見てみたが、値段が書いていない。
 それで店員に、「私は日本からの旅行客で、今回は靴は買わないけど、ベルルッティのユーザーとしてここの靴の値段を知りたい」と尋ねたら、「そこの靴はオーダーで売り物ではない」と言われた。
 え? 香港ではオーダーが主体なの? ベルルッティのビスポって、とても高価なはずだが、さすが今や世界一の金満家、中国人は違うなあ~と感心しきり。

 そして他の棚の靴が既製品と分かり、そちらの値段を尋ねたら19000香港ドルとのこと。日本円にして、24万円。日本とほとんど変わらないではないか。店員にも「日本と比べて値段はどうですか?」と聞かれたので、similarと答えておいた。
 ちなみにオーダー靴の値段は64500香港ドル、約85万円である。日本ではオーダーが主体の店なんて見たことないけど、どうやら香港(中国)のほうが、靴への情熱が高いようだ。

 親切な店員から「See you again」と言われ、店を出たけど、値段のこと考えると、靴目当てに香港に来るメリットは乏しいようである。
 香港は買い物でも有名で、それを主な目的にしている観光客も多いのだが、近頃の円安もあり、あんまり値段では得しない印象だな。
 ま、ベルルッティ一店だけの印象なのではあるが。

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広東料理:龍景軒@香港中環

【フォーシーズンホテル】
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 フォーシーズンホテル内にある「龍景軒」は広東料理の店であるが、広東料理にとどまらず、全中華料理店のなかで、香港のトップクラスの店とのことである。

 フォーシーズンホテルはショッピングセンターも併設している巨大な施設であり、ちょっとした町レベルの規模がある。景龍軒はホテルの4Fなので、玄関からまずはエスカレーターに乗って4Fを目指すが、エスカレーターはあちこちに分散しており、それらを使いながら4Fに着いたけど、そこには広大な庭園が広がっており、どこに龍景軒があるのか探すもさっぱり分からず。どうも知らぬ間にホテルを出て、ショッピングセンターに迷い込んだようであった。初心に戻りいったん元の玄関に引き返して、今度はエレベーターを使ったら、それが龍景軒直通であってようやく店に到着。
 私のように、エレベーターを待つのが苦手で、エスカレーターを使いたがる人間は、龍景軒にはたどり着けません。「龍景軒」の情報収集目的で、私のブログにたどり着いた人に情報提供。

【店からの眺め】
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 そういうわけで遅刻して店にたどりついた私であったが、メンバーはメニュー選びに没頭している最中で、食事スタートが遅れてはいなかったので、迷惑をかけたようでなかったのはラッキー。

 頼んだメニューは、こういうものであった。

【小龍包】
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 今まで味わった小龍包とは違って、ずいぶんと優しく繊細な味付けである。

【ワンタン】
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 皮の滑らかさからして違う。中の具も当然よい。

【海老焼売】
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 これは「龍太子蒸餃」といって、この店のスペシャリテ。
 これを食べると、中華料理の概念が全く変わってしまうほどの料理であった。
 まず、素材の海老と、ホタテの素材が抜群に良い。その素材が、一番美味しく食べられるように味付けし、蒸されている。餡に含まれる軽めのスパイスが中華風なので、中華料理かな、とは思えるが、ほとんど和の世界に近い、繊細にして複雑なる見事な料理であった。

【アワビのパイ】
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 これもスペシャリテ。見ていてなにやら楽しくなる料理。
 これは柔らかに煮られたアワビと鶏肉をパイ生地に包んで焼きあげたものである。
 パイのサクッとした食感と、もっちりしたアワビの食感、それに上品な餡の味が特徴的。

【揚げ春巻き】
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【焼き豚】
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【ローストチキン】
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【蛙の唐揚げ】
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【酢豚】
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【魚のボタージュ】
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【麺】
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【炒飯】
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 どれもこれも、素材の良さを上手に引き出し、上品に味を整えた料理の数々。
 私は今まで中華料理って、油や香辛料や辛子をギトギトに使って、なんでもかんでも中華風の味に塗りつぶすようなものと思っていたけど、龍景軒の料理はそういう偏見を吹き飛ばす料理であった。
 …ただし、今回の旅行で色々訪れた店のなかでは、やはりこの店だけが極端に違っており、こういう料理は中華のなかでは相当に異色であることは間違いないとは思う。

【デザート】
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 デザートはゴマ団子に、雪蛤ゼリー。
 これも上品な甘さである。

【デザート(香芒楊枝甘露)】
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 このデザートは龍景軒のスペシャリテで、マンゴー、タピオカ、ザボン、ココナッツミルクを使った手の込んだもの。フレッシュな果実の旨みと、プチプチした食感がたまらない。

【桃饅頭】
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 これは店のバースデーサービス。
 なかなかめでたそうな饅頭である。
 今回、メンバーのなかに丁度本日が誕生日の者がいたので、それを告げるとサービスで出されてきた。
 この店を訪れるときは、たまたま誕生日の人がいたら、是非それを申告いたしましょう。


 龍景軒の料理は、素材の選択、調理の繊細さ、技術の高さ等々、感心するしかないレベルのもので、今まであまり中華料理に興味を持たなかった私にとって、思考のチェンジを強いるものであった。
 これは中華をもっと知るべき、と思い知った。
 というわけで、今回のメンバーは食の造詣の深い人ばかりなので、食事のさいに「日本で、こういった中華料理を出してくれる店を教えてください」とたずねたら、「そんな店はない」と一言で済まされてしまった。

 龍景軒レベルの料理を食べるには、龍景軒に来ねばならないようである。
 そして龍景軒はHPを持っているけど、そのメニューを見ると、たくさんの種類の料理が載っている。
 いつか、これらの料理を食べにまた香港に来てみよっと。

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 龍景軒 メニュー

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黄大仙廟@香港九龍地区

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 香港といえば、風水の地。
 その風水のメッカであり、パワースポットということでも知られる黄大仙廟を訪れてみた。この寺院は、香港で最多の参拝客が訪れる、道教の信仰の対象地でもある。

 風水のエネルギーである気脈は、数本香港を流れていて、そのうちの重要なものがこの黄大仙の地に流れてきているそうだ。そういう知識を得て、この地を眺めれば、たしかになんとなくエネルギーに満ちた地だと思えぬこともない。

【黄大仙廟 本堂、庭園等】
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 この黄大仙廟、「いかにも中国」というデザイン、色彩の建物や設置物に満ちている。
 こういった赤、黄、緑といった鮮やかな原色が派手派手しく塗られ、活気強い雰囲気を全体的にまとっている。
 日本人的感覚から古寺に求められる枯淡の美は全くないが、色褪せればすぐに塗り替えられるのであろう、これらの色彩の群れは、この寺院がずっと新しくあり続けていく、生命感というものを感じさてくれた。
 日本じゃあんまりないたぐいの寺院なので、香港を訪れたときは寄るべきところであろ
う。

【店】
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 黄大仙廟は風水のメッカであるゆえ、占い店や風水グッズを売る店がたくさんあり、廟を取り囲んでいる。
 私の訪れたときはまだ時間が早かったようで、ほとんどの店はまだ閉っていたけど、それでもこの店の多さには驚かされた。

【寺周囲】
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 黄大仙廟の周囲は写真からも分かるように、高層ビルの立ち並ぶ近代都市なのだが、そのなかに時代に取り残されたようなバラック小屋のような建物もあった。
 香港も、まだまだ発展中なのである。

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March 21, 2014

オペラ:ローエングリン@香港芸術節

 「香港・音楽と食いものの旅」の、音楽のほうの主目的であるヴァグナーのオペラ「ローエングリン」の観劇。
 香港は芸術に関心の高い都市であり、音楽祭が定期的に開かれている。このローエングリンは、春の一ヶ月間に及ぶ音楽祭のうちの一演目であり、フィンランドの「Savolinna Opera Festival」を招いての上演である。

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 ローエングリンというオペラは、中世のドイツを舞台とした一種のお伽噺である。
 そこには、ゲルマンの深い森、威厳高きドイツ王、凛々しき騎士ローエングリン、可憐な王女エルザ、悪辣な魔女オルトルート、等々お伽噺らしい背景と人物が満ちているのだけど、今の時代ではそういう台本そのままに演出することは時代遅れと認識されているようで、だいたいは現代風なひねりが加えられている。

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 今回のオペラで一番の特徴は白鳥の騎士ローエングリンが、聖杯の守護者にふさわしい神秘性や英雄性は微塵もなく、奇人変人として登場していたことである。
 ローエングリンはその出現時、国王がその奇跡に対する感謝と感動の言葉を述べ、周囲の者もみなそれに聞きふけっているのに、一人だけ動きまわり、所々で立ち止まって手で構図を取っている。いったい何をしているんだろうと観客は不思議に思うのだが、ローエングリンがビデオカメラを取りだしたり、絵を描いたりすることで、やっと彼が動画撮影や絵のデッサンのためのいい構図を探していた、ということが分かる。

 ローエングリンは、剣の腕はよかったが、その前に(センスのよくない)モダンアーティストであったのである。モダンアーティストというのは、現代でも理解されにくい職業であるが、あの時代ならもっとであろう。

 ローエングリンのアーティストとしての乗りはそのまま続き、第三幕エルザとの最初の夜でも、まずローエングリンは寝室のなかに自分の画いた(下手な)絵をいくつも持ち込み悦にいっている。
 そして現れたエルザに白い服を着せ、そこに置いている絵と同じような色を塗りつける。

 最初のうちは笑っていたエルザも、その執拗なお絵かきにキレて、「いったい、あんたなんなのよ!」と、ローエングリンの正体を問い糺す禁断の問いをしてしまう。さらには、狂乱状態になって、ローエングリンの自慢の絵をビリビリと引き裂く。
 ローエングリは絶望し、エルザと別れることにする。

 こんな変なやつが夫になろうとしているのなら、エルザが怒り、正体を知ろうとするのは当たり前であるので、「Who are you ?」という問いかけをするのはよく理解できるけど、…これは大元の台本とは相当に異なる解釈だとは思うのだが。
 台本にはローエングリンが「人間離れした人物」とは書かれているが、「人間離れした奇人変人」とは書かれていないし。

 まあ、観ているぶんには面白く、時にゲラゲラ笑いながら観ることが出来たのだが、…それって「ローエングリン」というオペラの本筋からとても離れているように思うのは、私が真面目すぎなのか?


 そんな感じで主筋はコメディチックに進行するのだが、副筋のテルラムントとオルトルートの悪党夫婦の物語のほうは、けっこう深くて感動的。

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 魔女オルトルートは、己の野望と欲望のために夫テルラムントを利用し犠牲にしたと普通は解釈されている。
 しかしこの劇では、オルトルートは夫を心から愛し、彼を出世させるために懸命に自分の力を使っていたように演出されていた。夫が亡くなったときの彼女の絶望と悲嘆、そして自殺までのシーンは、悲哀感あふれる感動的な流れであった。
 とくに、オルトルートを演じたJordanka Milkovaは、歌唱力も演技力も優れており、このオペラの一番の見ものであったと思う。

 歌手陣は、オルトルートを筆頭に国王、伝令、エルザ、テルラムント、なかなかの水準だったが、肝心要のタイトルロール、ローエングリンが駄目だったのは残念。
 ローエングリンという役に要される、高音の伸び、声量、声の輝かしさ、そういうものが全くなく、ローエングリンというオペラの魅力を引き出せていなかった。
 オペラ・ローエングリンでは、ローエングリンは聞かせどころがたくさんあり、その歌は観客を陶然とさせるものに満ちている。テノール歌手という職業を選んだとき、ローエングリンが歌えることは最大級の誇りだと思えるのだが、そういう誇りが全く感じられない歌唱であった。

 こういうことを書くと、「ローエングリンをまともに歌えるヘルデンテナーが世界に何人いると思っているのか」という突っ込みが来るんだろうけど、やっぱり他が良かっただけに、愚痴も言いたくなるは仕方なかろう。


 ところで、このオペラ、一階前から3列目という良い場所で、チケット代は980香港ドル(13000円)であった。
 地下鉄代、タクシー代、食事代等で香港のコストパフォーマンスの良さは知っていたが、音楽も同様にコストパフォーマンス抜群。
 香港、いいところだ。

Loe


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飲茶:龍皇酒家@香港銅羅湾

 香港二日目の昼食は、香港島の銅羅湾の世界貿易センタービルの12階にある「龍皇酒家」にて。
 この店、飲茶が美味しい店として有名だそうで、今回の旅行メンバーが香港に来たときには必ず寄る店だそうだ。

【海を望む】
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 テーブルが窓側だったので、海を眺めながらの食事。
 古いビルやら、工事中の湾などで、少々殺風景気味だが、それもまた香港の魅力である。

【点心】
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 蒸し餃子、包子、海老と茸の春巻き、カツレツ、小籠包、野菜とアワビの炒め物、炒飯、子豚焼き、中華スープ、などなど。
 一番上の黄色い藁巻き瓢箪みたいなのは、藕斷絲蓮という料理で、この店の名物らしい。甘い小麦粉の生地に海老や果物を入れて焼きあげたもので、今まで食べたことない独特の味であった。
 点心はいずれも出来たての熱々で運ばれてきて、食感、食味抜群であった。もちろん素材も良く、点心として大変レベルの高いものと思う。

 そしてメニューを見れば、点心の種類は大変多い。これが写真もなしに、見慣れぬ文字の料理がずらずらと並んでいて、初心者には何が何やら分からない。
 それを、ディスカッションしながら、外れのないメニューを選びあげるメンバーたちに、私は感心いたしました。
やはり慣れている人は違う。こういう人たちと一緒だと、食事は外れがないので、楽だし安心であります。


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 龍皇酒家

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March 20, 2014

湖南少奶@香港九龍城

 香港到着初日の夕食は、九龍城地区の「湖南少奶」という店で。
 今回の旅のメンバーは高級系の店を好む人が多いので、この店もそのたぐいの有名な店かと思っていた。そして、最寄りの駅でタクシーに乗り、店の名前を示したら、知らないと言う。有名店ではなかったのかとここで知り、とりあえず近くまで行ってくださいと言って、スマホを見てナビをしながら店のあるあたりに到着。

【九龍城地区】
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 香港は、ヴィクトリア湾周囲は高層ビルの立ち並ぶ近代都市であるが、そういうところから外れると、相当に魔界都市チックな雰囲気となる。
 この店は九龍城地区にあるのだが、この界隈、いかにも怪しげな雰囲気に満ちている。そして湖南少奶は容易に見つかったが、ずいぶんと場末感漂う店である。外見は場末ぽくても中に入るとエレガントという店はけっこう経験しているので、この店もその手の店かなと思いながら中に入ったら、やはり外見そのものの、雑多な安っぽいつくりの店であった。

【湖南少奶】
Konan

 「湖南少奶」は、湖南料理を出す店である。
 湖南料理は日本ではあまり知られていない分野の中華料理であるが、名前の通り湖南省の郷土料理であり、四川料理を更に尖鋭化させた料理だそうだ。

 それにしても初っ端からずいぶんとディープな店である。
 その理由は、「せっかく香港に来たのだから、本場でしか食べられないようなものを食おう」というコンセプトがあったからだそうだ。
 この店は、ほとんど地元民しか使わないような店であるけれど、香港在住の食通の人から、「湖南料理では、この店が一押し」ということで選ばれたそうで、さてどんな料理が出て来ることか。

【ブロッコリーを赤・緑唐辛子で炒めたもの】
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【蛙、赤・緑唐辛子とニンニクの石釜焼き】
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【昆布の細切りを唐辛子と香草で和えたもの】
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【豚足と豚腿肉を燻製にして、葱と唐辛子を煮込んだスープで煮たてたもの】
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【ピーマンを赤・緑唐辛子で炒め、酢をかけたもの】
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【川鱸(たぶん)の頭を赤・緑唐辛子と発酵唐辛子で蒸したもの】
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【麺を唐辛子と酢で和えたもの】
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 と、こういったものをまずは注文したわけだが、それらが短時間のうちにずらずらと運ばれ、テーブルいっぱいに並べられる。本場の中華料理って、調理が早いんだなあ。

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 味についていえば、当たり前だが、辛くて酸っぱい。そしてどれもがベースは似たような味付けであり、湖南の人たちがこういうものを大変好んでいるのがよく分かる。そしてこの味付け、決して大雑把なものではなく、かなり複雑な漢方的なスパイスと、それに発酵食品を使っていて、今まで経験したことない味がどの料理にも満ちていて、食べていて面白かった。

 料理はこれからも続き、蒸しパン、スープ、豚リブと餅米の蒸し物など、どれも個性強い料理であった。

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 これだけ大量の料理を食い、酒を飲んで、さて会計となると、一人250香港ドルほどであった。日本円にして約3300円。驚嘆すべきコストパフォーマンスの良さである。
 まあ、地元民専用みたいな店で、観光客などほとんど来ない店だろうから、値段安めなのは予想していたが、それにしてもこれには驚かされた。


 店を出たあとはデザートということで、地元の人に率いられ、お勧めの甘み処でぜんざいのようなものを食べて御開きとなる。

 ホテルのある香港の中心地、尖沙咀に帰り着いた頃は、とっくに日付が変わっていた。
 そして午前1時過ぎというのに、尖沙咀の街は煌々と明かりが灯され、人通りも多く、香港の別名「眠らない街」が、まさにその通りであることがよく理解できた。

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香港10万ドルの夜景

 香港の名物は数あれど、標高373mのヴィクトリアピークから眺める、「100万ドルの夜景」と称される香港の夜の風景は是非とも経験したい。
 それでホテルのチェックインを済ませたのち、ヴィクトリアピークへと行くことにした。

 ヴィクトリアピークには、「ピークトラム」という山岳列車で登るのが常道であり、この列車から見る風景もまた良いとのことで、それも楽しみにしていたが、駅に着いてみるとメンテナンス中でしばらく休業との看板が出ていた。
 観光客が増えるであろう春の連休中に、ドル箱であるピークトラムの営業を休むとは何たる勿体なさ、と思ったが、ここは香港なので連休は関係ないのであった。

【ピークトラム駅前】
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 列車が使えないので、バスを使って頂上へと行く。奥に見えている山が、ヴィクトリアピークである。
 代表的観光地だけあって、すでに長蛇の列が出来ている。

 満員のバスに乗っての頂上までの道は、くねくねと曲がりくねった山道であり、乗っていて気分のよいものではなかった。これが列車のほうだと、急傾斜を直線で登るので、8分ほどの短時間で済むゆえ楽なのだが、バスだと横方向に揺られながら30分もかけて登ることになり、たいへんであった。

 …このあとの夕食で集った人たちに「夜景みてきましたけど、今はピークトラム使えないので、頂上まで行くのがたいへんでした」と言ったら、「ああ、歩いて登られたんですね。そりゃたいへんだったでしょう」と言われた。まあ、時間があったらそうしたんですけど。あと、やはり私はそういう人物に思われているようであった。

【香港の眺め】
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 手前は香港島の高層ビル群。奥にはヴィクトリア湾が広がっているはずだが、もやっていてよく見えず。
 これは靄とかいうものではなく、どうも大気汚染と言ってよいものに思われた。
 それが証拠に、香港に来てから、目が痛い。

【夜景】
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 なにはともあれ、夜景を観ないといけないので、日が暮れて暗くなるのを待った。
 夕方のもやった風景から、夜になってもその風景はどうせ「1万ドルの夜景」程度だろうなと思っていたが、風が出たせいか靄がある程度は流れたようで、九龍側や湾側の明かりもこちらに届き、けっこうレベルの高い夜景が出現した。
 事前に写真で見て来た「100万ドルの夜景」に比べれば、明かりの強さ多さがまったく足らないけど、これなら「10万ドルの夜景」くらいにはなるのでは。
 いちおう自分としては、それなりの香港の夜景が見られたことに満足して下山した。

【晴れた香港】
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 香港は大気汚染が深刻となっており、そして木曜、金曜と香港はもやっていたので、香港とはこういうところなのだなと思っていたら、土曜日と日曜日は晴れていた。
 これは何故かと言うと、香港の大気汚染の最も深刻な原因である中国本土深圳の工場群が、休日は稼働していないため、汚染物質が飛んで来ず、空気もきれいになるそうだ。
 というわけで、香港の100万ドルの夜景を経験するには、土曜か日曜の夜にヴィクトリピークに行くのがお勧めである。

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March 18, 2014

我が名はローエングリン Ich bin Lohengrin genannt

Lohengrin

 ヴァグナーのオペラ「ローエングリン」のことを調べていて、「ローエングリン」で画像を検索したら、なぜか馬の画像ばかりがずらずらと出て来る。競馬のことなどたいして知らないから、よほど有名な馬なのかと思ってその「ローエングリン」と名付けられた競走馬のWikipediaの記事を読んでみたが、そんなにたいした記録を残した馬というわけでもない。
 ローエングリンって元々はアーサー王の伝説にも登場する、聖杯の加護により超常の力を得た騎士であり、ヨーロッパでは超有名な英雄のことなのだが、本邦ではそういう並み程度の馬にも劣る知名度なのか…

 と妙なことに感心してしまったが、よく考えるとこの知名度も重要なんだなと思い返した。

 ローエングリンというオペラの筋は、「素性を知られると霊性を失ってしまう騎士ローエングリンが、自分の素姓を知らせないことを条件にエルザ姫と結婚したが、超人的存在であるローエングリンの存在に耐えきれず、エルザは騎士に正体を問いただす。騎士は自分の素姓を皆の前で語り、王国を去って行った」というふうなものである。
 「Who are you?」というのは人間の社会生活において、常に根源的な問いというのは分かるにせよ、一国を支える重要人物へ、その国の姫君たるものが、あらかじめ禁じられた問いをするとは何と愚かな、と観客は思ってしまう。

 ただし、それは私たちがその騎士が「ローエングリン」ということを知っているから、とも言える。台本や筋など知らぬ、一番最初に見た観客だって、オペラの題名がローエングリンである以上、正体不明の騎士は英雄ローエングリン以外のなにものでもないと、登場した時点で分かるし。

 けれども、劇のなかの一人物の視点からすると、まったく別のものが見えてこよう。
 エルザ姫にとっては、彼は命の恩人みたいなものなのではあるが、巨大な白鳥の曳く船に乗って後光を背負って突然現れ、無双の剣術を操るわ、超常的な雰囲気を常に身にまとっているわ、自分の正体は絶対に探るななどと要求するわ、で、客観的に考えて、この騎士はどう考えても怪しさ満点の人物である。やることなすこと、ほとんど人間離れしており、もののけのたぐいかもしれない。いずれ王国に害をなしても不思議でない人物でもある。
 そういう怪しい人物と結婚生活を続けるのは、よほど鈍感か、あるいは強靭な精神の人でないと無理であり、エルザ姫の問いは仕方なかったと言える。

  これがもし「ローエングリン」というものの存在が世に知られていたら、エルザ姫は、「もしかしてこの人間離れした人はローエングリンか、その同類みたいなものかもしれない」と思い、多少の我慢は出来ていたかもしれないが、そういう情報がない以上、不安は募るばかりであったろう。

 というわけで、以前の考えを変更して、私はエルザ姫に同情することにした。


 ところで、なぜローエングリンを調べていたかといえば、連休を利用して海外にオペラ・ローエングリンを観に行くからである。その準備に、現代ではいかなる演出でやってるのか、現代の演奏形式などについて調べていたのだが、あんまり面白い情報は得られなかった。やはり、台本を読みながら音楽をじっくり聴くのが一番いい事前準備であるように思う。

 それにしても、ヴァグナーの音楽は麻薬じみたところがあり、聴き出すと延々と聴いてしまいがちになる。そして特にローエングリンというオペラは、全幕似たような音楽が鳴り続け、それがゆっくりと情感を高めて行き、巨大なクライマックを形成していく、ということが何度も繰り返され、この長大な音楽にどっぷりと浸ってしまう。
 そのクライマックスでも、最も盛り上がるのは、ローエングリンが自分の名を告げるところ。
 Ich bin Lohengrin genannt!(我が名はローエングリン!)
 ここの誇り高き高揚感と、群衆の驚きとどよめき、エルザの絶望、全てが極めて高度の表現力でなされ、まさに旋律の魔術師ヴァグナーの芸の真骨頂。

 じつに素晴らしい。素晴らしすぎて、ここの部分の音楽が、頭の中で勝手にエンドレスで回っている状態であり、…少々困っている。

 とにかく、あと数日すれば、この至高の音楽が生で聴かれるわけで、とても楽しみである。


【ローエングリン第三幕第三場 In fernem land】

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March 16, 2014

映画:ラッシュ

Rush

 1970年代、モータースポーツの最高峰F1界には二人の天才がいた。
 一人は野生児のごとく本能の命ずるがまま自在な走りをするジェームズ・ハント。もう一人はコンピューター並みの論理的な走りをする冷静な男、ニキ・ラウダ。
 ハントは、生まれながらにして全てのものを持っている、稀に現れるタイプの人間である。彼はそこにいるだけで人を惹きつけ、彼に魅せられた富豪は何の代償もなしに、彼に多額の財産をつぎ込みF1チームを立ち上げる。もちろん女性にはもて放題で、何百人、何千人もの女性と付き合ったのち、スーパーモデルを妻にした。
 これに対してラウダは、その暗い性格もあり、人とのつきあいは苦手で他人とうまくコミュニケーションを取ることができない。F1に参戦するときも、自分で資金を調達してセカンドドライバーとしてチームに入った。しかしラウダは自分でマシンをセッティングすることでマシンの性能を向上させ、かつ誰をも納得させる論理的な走行で自分の実力を認めさ、頭角を現していく。

 この二人の全く対照的な人物は、走りの速さでは互角であり、1976年激しい優勝争いをする。
 シーズン前半はマシンの優秀さもありラウダが有利であったのだが、最も危険なコースのドイツグランプリでラウダは事故を起こし、生死の縁を彷徨う重傷を負う。彼が闘病しているあいだ、ハントはマシンの調子が上がってきたこともあり、ポイントを重ねてラウダを追い越す勢いを見せて来た。
 病床のラウダはそれに闘志を燃やし1ヶ月半でレースに復帰し、観衆を熱狂させる。二人は組んず解れずの死闘を繰り広げ、そして優勝の行方は最終戦の日本グランプリに持ちこまれた。


 この映画は事実そのものなのでありドキュメント手法で造られているのだが、二人の全く正反対のタイプの天才の激闘、天才ドライバーの奇跡の復活劇、最終戦での凄絶な走り等々話が、あまりに出来過ぎており、これが事実と知らずに見たら、ベタな脚本だなあと思ってしまうほど。

 とにかくそういうあまりに出来すぎた流れのため、最終戦のクライマックスへの盛り上がりは素晴らしく、激しい雨のなかのハントの命知らずの爆走は感動的である。

 そして思うのだが、映画の再現劇でも感動ものなので、実物をリアルタイムで見ていたらもっと素晴らしい経験ができたであろう。
 この伝説的な富士グランプリが行われたのは1976年の11月なので、それなら私も生中継を観ていておかしくはなかったはずだが、当時の私はモータースポーツには興味はなく(さすがにニキ・ラウダは知っていたけど)、そんなものが行われていたことさえ知らなかった。あのころスーパーカーブームだったので、モータースポーツに興味を持っていてもよかろうものだが、…もったいないことをした。


 映画はそのクライマックスのあとエピソードに移って行くが、そこでレースを人生のうちの一部と割り切っていた多才な天才ハントと、求道者のごとくレースを突きつめて行く天才ラウダの姿が示され、彼らが対照的な天才であることが、改めて認識させられる。まったく最初から最後までこの二人は、正反対の存在であった。


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 ラッシュ/プライドと友情 公式サイト

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映画:キックアス2

Kickass2poster

 前作キックアスは、タイトルロール駄目ヒーロー「キックアス」のへっぽこ活劇と思いきや、脇役であるはずの美少女殺戮兵器ヒットガールに見せ場を全部とられてしまった、という内容の映画であった。
 続編は、さすがにキックアスも主役らしい活躍はするが、他にも主役級の人物が幾人も登場し、彼も含めての様々なヒーローと悪役達の群像劇であった。

【キックアス@デイヴ】
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 前作ではヒーローを諦めたはずのキックアスではあったが、やはりヒーローは一回やったらやめられないものらしく、ヒットガールを師匠に肉体と体術を鍛えあげ、前作よりもよほどヒーローらしくなっている。
 しかしながら現実社会でのヒーロー活動は、犯罪すれすれみたいなものであり、父親から「ヒーローごっこは麻薬よりタチが悪い」と叱られ、それでもヒーロー活動を進めていったところ、悲劇が彼を襲う。
 そこから、いかに立ち直っていくかが、この映画の重要な筋の一つである。

【大佐@ジム・キャリー】
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 この映画で出て来るヒーロー達は、若手はほとんどコスプレ感覚のごときノリでやっているのに対し、大人のヒーローはそれぞれに深い心の葛藤を抱えている。
 ヒーロー団「Justice forever」のリーダー的存在である大佐は、ギャングの用心棒をやっていたけど、宗教により回心を経験して、正義の活動に人生を捧げているという、きわめて真っ当なヒーローである。
 ただ、誰もが思うことだろうけど、この役をジム・キャリーがやっている理由がさっぱり分からない。この映画では役者の格でいえば、ジム・キャリーが一番格上だろうけど、そのジム・キャリーをわざわざ使っているわりには、役が重厚すぎる。リドラーなみに弾ける必要はないにせよ、どこかでジム・キャリーならでは芸が見たかった。

【マザーファッカー@クリス】
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 前作でギャングのボスであった父親を殺され、復讐の念に燃えるクリスは、しかし周囲の大人たちから相手にされない。「父の死は事故であった。お前は学校に戻り勉強して、まっとうな社会人になりなさい」と皆から諭されるだけである。
 ギャングのボスの一人息子であるクリスがそのように扱われる理由は、彼が凡人であり、悪事をする度胸も度量もないことを誰もが知っているからである。
 しかし、クリス本人だけはそのことを知らないし、認めない。
 クリスは周囲の無理解(?)に煩悶するうち、母の遺品のSM衣装を身に着けたところ、絶対悪の怪物「マザーファッカー」として目覚め、(と本人だけが思い込み)、金にものを言わせて悪の軍団「Toxic Megacunts」を結成し、街に破壊と混沌をもたらす。
 …しかし、その悪の軍団のボスのわりには、クリス本人だけはたいしたことはできず、結局はへっぽこな男のまま、終幕へといってしまう。
 この映画ではクリスの立ち位置だけは異色であり、他のヒーローもヴィランも、それなりに自分流の行動しているのに対し、クリスだけはずっと「その器でもないのに、無理やり自分の器以上のことをやろうとしている」違和感を引きずり続け、妙な悲愴感がある。
 クリスはギャングのボスの息子に生まれなかったら、じつはいいやつだったはず。

【マザーロシア】
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 世界中から悪党を集めたチーム「Toxic Megacunt」、そのなかでも最も凶悪な人物。待遇も特別で、クリスは彼女に週給5万ドルを払っている。
 彼女はクリスとは対極の「生まれながらの悪人」であり、全ての悪事を何の躊躇もなく、その卓越した身体能力を駆使して、ばったばったと遂行していく。
 マザーロシアの身体能力は、まさに「一人軍隊」ともいうべきものであり、警察官が山と来ようが、子猫をひねるように倒していく。
 こんな怪物、どうやったら倒せるのだろうと誰もが思うが、いちおうラストのヒットガールとの対決でその答えが示される。

【ヒットガール@ミンディ】
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 前作の実質上の主人公ヒットガール、ミンディ。
 狂気の父親により殺人兵器として育てられたミンディは、普通の少女時代を知らずに育った。父なきあと、養父はそういう不幸なミンディにまともな少女時代を送らせてあげて、そしてミンディが真っ当な人間に生まれ変わることを望んでいる。
 ミンディもそれなりに努力はして、ハイスクールで学生たちと交友を持とうとはするが、生まれつき人を惹きつける魅力を持つ、少々世間知らずの美少女は、格好の苛めの対象である。
 将来のセレブを目指す学園の女王様一派により、ミンディは苛めを受けることになってしまった。しかし苛めるほうは、この小柄な美少女が、じつは猛獣よりも獰猛なモンスターであることを知らなく、結局本性を現したミンディによって手酷い返り討ちを受ける羽目になる。

 学生生活はさっぱりうまく行かず、ヒーロー活動も養父から禁止されており、ミンディは鬱屈した日々を送るのだが、やがてミンディのヒーロー魂に火をつける事件が起きる。でもそのことにより、彼女は自分がアウトサイダーであることを思い知らされた。


 …ヒーロー集団、Justice foreverのメンバーは大佐のように屈強な者もいるが、基本的には一般人の軽武装集団である。だから彼らもやれることは常人の域にとどまり、ヒーロー活動をしても、ただのコスプレ自警団として社会は容認してくれていた。
 しかし、ヒットガールレベルのスーパーヒーローとなると、その活動は社会の枠を突き破ってしまい、現実社会にその居場所はない。その卓越した力がゆえに、彼女の居場所は社会にはなく、スーパーヒーローの彼女はスーパーであるがゆえにアウトサイダーであり、そのことを悟ったミンディは街から去って行き、キックアスの世界から退場する。

 この映画、全体として演出はコメディ調であり、馬鹿らしさは前作同様に随所に満ちているが、前作と違って、ミンディ養父、デイヴ父、クリス叔父、執事等まともな人間もけっこう居たので、暴走する主人公達と彼らまともな人間の対比が、観客に「落ち着いて考える時間」を与え、一方的に馬鹿馬鹿しさを楽しむ、という映画になっていなかったのが特徴ではあった。

 さて、キックアスは三部作なので、三作目は一番の人気者ヒットガール抜きのキックアスの成長と、クリスのリベンジの物語ということになるのだろうが、…たぶんコケるな。
 この映画もどうやらコケているようだし。
 このシリーズの独特の世界観は好きなので、三作目も観たいけど、どうやら九州では一館か二館程度の上映になると予想しておこう。

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 キックアス2  公式サイト 

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March 09, 2014

雪の三俣山

 大船山に登った翌日は、今シーズンまだ登っていなかった三俣山に登ってみることにした。

【大曲】
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 三俣山の代表的登山口である大曲から登ってみる。
 ここの駐車場の雪は全て溶けており、駐車にまったく問題なかった。

【登山道】
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 雪のもう無くなってしまったコンクリの道を、三俣山目指して歩いて行く。

【登山道】
3

 砂防ダムを越えて、黄色ペンキがたくさん塗られた登山道を、すがもり越えに向けて歩く。
 ここで女性登山者とすれ違い挨拶するが、よく見ると昨日坊がつるで会って、会話した山ガールである。朝駆けして大船山に登ったのち、すがもり越え経由で下山している途中とのことであった。
 「今日もまた登るのですか、たいへんですねえ」と言ってきたので、「この寒いなか坊がつるでテント泊するほうが、もっとたいへんでしょう」と返したら、「2週前に雪がたくさん積もったときのテント泊に比べれば、ぜんぜん大したことなかったです」との返事。あの大量降雪のときに、雪に埋もれた坊がつるでテント泊ですかあ。
 さらに歩いているのが一人だったので、他のメンバーは後から来ているのですか、と尋ねたら、みんな個別に来て、坊がつるで集っていただけとのこと。
 昨日のは雪中単独行の山ガールの集団だったのか。今の山ガールって、昔の山岳部なみに鍛えがはいっているようである。おみそれいたしました。

【すがもり越え】
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 すがもり越えの小屋跡。
 数週間前までは雪で満たされていたであろうけど、今はだいぶ溶けている。

【三俣山へ】
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 三俣山への登山道は、雪はなかば溶けていた。

【北千里~久住】
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 三俣山に取り着けば、北千里から久住にかけての雄大な姿を見ることができる。
 こちらは北面になるので、まだまだ雪が残っている。

【三俣山西峰】
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 三俣山は複雑な形をしているが、すがもり越えからはまず西峰へと出る。
 このあたりには雪は乏しかった。

【登山道】
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 標高1600mを越えると、雪も豊富になってくる。
 そして稜線上だと、風も強かった。その風がたいへん冷たく、目が開けられなくなり、ゴーグル装着。それから
アイゼンも装着し、冬山仕様で登って行った。

【登山道】
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 小ピークに出てからは小鉢に沿って歩いて行く。
 まずは本峰に登る予定だったが、途中で立ち入り禁止の看板が出ていた。三俣山は自然保護のため、立ち入り禁止区域がいろいろと指定されているが、本峰が立ち入り禁止になっているとは初めて知った。(あとで勘違いであることが分かった)
 それで、南峰へと向かった。

【南峰へ】
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 南峰への取り着き。
 登山道が雪で底上げされているので、ミヤマキリシマがたいへん邪魔になり、歩きにくかった。

【南峰から】
11_2

 南峰から本峰方向を振り返る。
 …トレースが出来ているので、べつに立ち入り禁止というわけではなかったようである。

【南峰から】
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 南峰から大船山、坊がつる方面を眺めてみる。
 少々霞んでいるが、いい風景だ。
 昨日は向うのてっぺんからこちらの風景を見ていたのである。

【小鉢】
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 南峰から下りて小鉢に入り、ここを横切ることにする。
 小鉢の中心を過ぎたとこからは足跡はなく、ラッセルしながら進むことになる。

【小鉢】
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 小鉢からは、小ピークへのガレ場にいい具合に雪が積もり、登りやすそうになっていたが、最後のところでミヤマキリシマの藪こぎになりそうなので、ここを進むのは止めておいて、正規の登山道を使って登りつめた。

【本峰へ】
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 小ピークからいったん元来た道に戻り、「立ち入り禁止」の看板をよく読んでみたら、この道への立ち入り禁止ではなく、雨ヶ池と指山へのルートが立ち入り禁止とのことであった。
 それで三俣山の最高峰、本峰へと登ることにした。

【本峰】
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 本峰に到着。標高は1744m。
 三俣山の本来の登山ルートは、西峰→本峰→北峰→南峰なのだが、またあらためて北峰に行く気にもならず、このまま下山することにした。

【登山道】
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 西峰を越えたあたりから、天気が崩れ出し、雪が降って来た。
 3月なのにまだまだ雪が降っているのである。

【大曲から】
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 すがもり越えから元来た道をたどり下山。
 振り返れば、三俣山は雲のなかである。
 あそこでは雪が降っているので、また三俣山には雪が積もるであろう。
 九重の雪山シーズンは、まだ終わらないようである。

 (じっさい、翌日は積雪のため、大分道や、やまなみハイウェイは通行止めとなっていた。今年の九州の降雪は、記録的である。)

Mimata


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March 08, 2014

寿司:月の木@大分市

 海の幸が近くの海で豊富に獲れる地大分は、どこもかしこも魚の美味しいところである。そしてその地の利を生かして魚の料理は主に鮮魚を用いたものが好まれるわけだが、「月の木」はそれらに工夫を凝らした江戸前風の鮨を出す寿司店である。

【造り】
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 もっとも、造りはやはり大分地獲れの新鮮なものが主体。
 アオリイカの身とミミ、蒲江のシマアジ、佐賀の関名物関鯖、赤貝、赤貝肝など。
 どれも新鮮なものの特徴の歯ごたえと甘みがある。

【タラコ山葵漬け】
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 これは月の木の名物の塩タラコの山葵漬け。
 修業していた関東の店で出されていた肴を、自分なりの調理法で独自の肴に仕立てあげたもの。酒の肴として、逸品。

【シマアジ】
4

 シマアジは少々寝かせて、ツメで。
 シャリは旨みの強い大分の米である。

【カワハギ】
5

 カワハギは肝を添えて。

【赤身ヅケ】
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 マグロ赤身はヅケでいただく。
 この店の塩と酢の利いたシャリは、特にマグロによく合う。

【茶碗蒸し】
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 箸やすめ、というわけではないが、鮨の途中で茶碗蒸しが出て来るのがこの店の流儀。イカ真丈が具の茶碗蒸しで、あっさり目の出汁と、滑らかな玉子の食感が特徴。

【コノシロ】
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 光モノはいろいろと出て来るが、コノシロが一番個性的。
 大分ではコハダは手に入りにくいらしく、コノシロのほうが出て来る。よく〆られたコノシロは、コハダとはまったく違う食味と食感があり、面白い。

【車海老】
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 国東の車海老は、茹でたてのものに、海老味噌を挟んで。香り、それに甘みが抜群。

【穴子】
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 穴子はふんわりとした食感。それにあわせてシャリもふんわりと握られている。

【厚焼き玉子】
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 白身を練り込んだ厚焼き玉子は、豊かな旨みにあふれている。


 九州では江戸前寿司はどこでも例外的扱いとなっており、大分でも理解されにくいところがあったらしく、開店当時は閑古鳥が鳴いていたそうだが、そのうち段々と理解が進むようになり、今ではいつも客で賑わっている店となっている。

 ただ、まだ九州の寿司の名店と比べると、独自の個性には乏しいと思える。
 若き店主は勉強熱心で、また真面目であるからして、いずれ大分の名店になれる可能性はおおいにあると思う。今後を期待して、通っていきたい店だ。

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雪の大船山

 3月になってようやく暖かくなり、さすがに雪山シーズンも終わりかと思いきや、週の後半にまたも寒波が襲来し、九州の山々にまた雪が積もったとの情報。
 そして、週末土曜日は好天との予報であり、これはやはり登山に出かけねばならないだろう。
 今シーズンは、大船山に登り損ねていたので、大船山へとGo !

【長者原登山口】
1

 長者原の駐車場は2月中旬には雪に埋もれていたけれど、さすがに駐車場周囲の雪は溶けていた。
 しかし登山口近くには、雪が残っていた。

【林道】
2

 登山口からすぐの林道。
 ここに雪が積もっているのは初めて見た。

【登山道】
3

 林間を行く登山道も雪道である。
 枯れ林のあいまに青空がのぞく。

【雨ヶ池】
4

 雨ヶ池に出れば、湿原には雪が積もっている。
 向かいに見える平治岳も、冠雪していた。
 このあたりまで雪道であったが、雪がよく締まっており、トレースもあったのでアイゼンなしで歩いていたけど、下りになったらいきなり転んでしまった。雪道の下りは慎重にならねばと改めて思い知り、ここからアイゼン装着。

【坊がつる】
5

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 坊がつるは、少しばかり雪が積もっているくらい。
 日当たりのよいところなので、雪の溶けるのが早かったようだ。

【大船山】
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 大船山はいい感じの雪の積もり具合。
 澄んだ青空に、大船山の鋭い稜線と並行するように、飛行機雲が流れている。

【大船山登山口】
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 坊がつるから、大船山の登山口に入る。
 長者原から坊がつるまでは雪の上の踏み跡はしっかりしていたが、この登山口からは雪にはツボ足しか残っていない。そしてそれは、どう見ても2人分の足跡しかついていない。
 ということは本日は2人しか大船山に入っていないのか。
 長者原の駐車場の車からすると、本日は長者原から100人くらいの人が山に入っているはずだが、…その人たちはいったいどこの山に登っているんだあ?
 今の時期は平治岳はマイナーな存在だし、三俣山も、久住山も、登るなら他の登山口使うはずだし、どうにも不思議であった。

【登山道】
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 大船山への登山道は、さらに雪が積もっていて、登山道が底上げされている。
 それで木が近くなり、歩きにくい。

【登山道 五合目】
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 五合目にはこんな看板が。
 「やおねえな~ よこいよ!」
 ここが大分の山なので、大分弁である。あえて訳せば、宮崎弁だと「てげひんだり~ よくうこっせん!」、英語だと「It’s so hard. Let’s rest !」といったところ。
 ここは最初の展望台みたいなところなので、言葉通りに休むにいいところである。

【登山道】
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 大船山登山道は、段原の手前の道が荒れており、歩きにくいのだが、本日は雪がどっさり載っているので、かえって歩きやすかった。

【段原】
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 段原から大船山への稜線に出る。
 雪の量も増している。

【登山道】
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 稜線の灌木は、霧氷になっていた。
 霧氷と雪道を窓にして、その奥に大船山が見える。

【登山道】
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 高度を増していき、大船山が近付いて来た。この道も普段は岩場の道だが、今回は雪が多く、歩きやすい。

【大船山山頂】
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 山頂は風が強いこともあり、雪は積もっていなかった。
 でも標識には、このように海老のシッポが。
 大船山山頂からは三俣、久住、中岳等々、九重の主だった山を見ることができる。そのなかで、正面の硫黄岳が一番白く輝いており、雪の量が多いようだ。硫黄岳はいまだに噴煙を上げている活火山であり、地熱も高いからそんなに雪が積もるはずもないのだが、不思議な現象。

【御池】
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 冬の大船山登山の楽しみは、この凍った御池。
 下りて湖面を渡ってみよう。

【御池】
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 御池まで下りてみたら、ここまで足跡はあったもの、湖面へ行く足跡はなかった。
 雪は固く締まっていたので、容易に湖面に乗ることができた。

【御池】
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 御池から大船山を見返してみる。
 このとき、二人の登山者が山頂に着いていた。
 山頂に戻って、その二人に挨拶。沢水から南尾根経由で登って来たそうだ。このあとは立中山に直接ガレ場を下って行き、そこから沢水に戻るそうで、なかなかのツワモノである。…って、そんなルートがあったんだ。
 坊がつるから大船山に登った人は、途中で登山道ですれ違っており、私の予想通り二名であった。
 本日の大船山の登山者は、結局5名だったということになる。
 好天の週末、九重のスター大船山にしては人少なすぎではある。

【坊がつる】
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 下りは元来た道をたどり、坊がつるに出ると、行きは二張りだったテントが、五張りに増えていた。寒波襲来中、夜はたいへん冷えるであろうけど、たいしたものである。
 そして、外に出ていた人3名はみな若い女性であった。

 登山というスポーツが、定年退職後の中高年の御用達みたいなものになって久しいけど、近頃は山ガールという種族が新興勢力になっている。彼女らは、逞しいなあ。


Taisenlog

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March 01, 2014

大雪の祖母山

 今年の大降雪のせいで、祖母山は3つある登山口に行く道路が全て閉鎖されていて、近づくこともできなかったのだが、そのうちの一つ尾平登山口までの道路の除雪が行われて通行可能になったそうなので、尾平から祖母山に登ることにした。

【尾平登山口】
1

 県道7号線を緒方町側から通り、尾平登山口へ。
 登山口駐車場は切り返し用程度しか除雪されておらず、そしてコミュニティバスが一台止まっているのみであった。その周囲にも車は止まっておらず、3月1日の土曜日はどうやら祖母山の登山者は私一人のようである。

【登山口】
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 このように、登山口から雪が積もっている。
 アイゼンを装着して、スタート。

【祖母山】
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 尾平から見る、祖母山稜線の風景。どの峰も、雪が積もっている。

【宮原登山道へ】
4

 宮原分岐までは、旧鉱山の仕事の人のものらしい踏みわけがあったが、宮原登山道入り口からは、まったく人の足跡はなし。
 ということは、これから私は一人で雪道を歩くことになる。トレースのない雪道を、1100mの高さ登るのは、時間的に無理であろうから、この時点で本日の山頂到達は諦め、とりあえず稜線あたりまで行くことを目標にした。

【渡渉部】
5

 渡渉部は、雪解け水のせいか、水量が多めである。
 ここを渡ったら、登山道は倒木や落ちた枝で荒れており、本来の登山道がよく分からなくなっていたので、尾根に直登して本来の登山道と合流した。

【登山道】
6

 いったん尾根に出たら、日当たりのせいか雪がなくなっていた。
 アイゼンを外して登って行く。

【登山道】
7

 雪がないのはやっぱり楽だなあ、と思いながら歩いていると、標高800mあたりから雪が出現し、この後はずっと雪道であった。

【登山道】
8

 標高1100を過ぎ、少し下ったところで、登山道は尾根をトラバースする。
 それは知っているので、ここを右に曲がって行ったら、妙な谷に入っていってしまった。
 トラバースじゃなかったっけ?と不審に思いつつ、もと来た道を戻り、まっすぐ行ったら藪に拒まれた。もう一度引き返し、やっと正規の登山道を見つけ、トラバース。
 …雪が降っていると、元の道が見えなくなるし、全体の感じが変わってしまうので、いくら慣れ親しんだ道とはいえ、慎重に道を探す必要がある。

【水場】
9

 ここはトラバースの道にある水場。
 普段は枯れていることの多い水場であるが、今回は雪解け水が、さらに登山道の雪を溶かしながら流れていた。

【登山道】
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 ラッセルを続けながら、標高1300mを越えると、傾斜も緩やかになり、稜線が近い。

【宮原】
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 そして、稜線の1400m地点、宮原へと。
 ここで縦走路に出るわけで、ひょっとしたらトレースがあるかも?と思っていたが、そういうことはなく、まっさらの雪があるだけであった。
 本日の祖母山は、私の貸し切りであった。

【縦走路】
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 標高が高いのと、縦走路が窪んでいるため、縦走路は今までよりずっと雪の量が多い。膝まで埋るラッセルと黙々と続けて行く。

【縦走路】
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 下を見れば、こんな感じ。
 誰も歩いていない白く深い雪に、自分の足跡を刻んでいく。

【縦走路】
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 膝ラッセルを続けていき、標高1500mくらいの地点に着いたところ。
 このペースだと祖母山山頂にはあと1時間半~2時間くらいで着きそうである。しかし、そうすると下山時には確実に日が暮れ、ヘッドライトでの下山となる。足元の怪しい雪山でそういうことはしたくないので、このあたりで時間切れが妥当な判断であろう。

 ただ、山頂周囲は、今までに見たことのないような大量の雪があるだろうから、それには興味がある。
 だからコンロ、コッヘル、非常食等、装備は一通り揃えているので、山頂に行ったあと、山小屋泊ということもちらりとは考えたが、…山小屋泊するには肝心の酒を持ってきていない。酒なしの小屋泊はきついので、(酒飲みの登山愛好者にしか分からない感覚ではあろうけど)、やはりここで終了ということにした。

 明日の日曜日、もし尾平から祖母山に登る人がいたら、ここで途切れてしまったトレースを見て、「なんでこんなところで引き返しているんだい。ここまで来たなら、山頂まで行けよ」とか思うに違いないが、そういうわけだったのです。

【登山道】
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 下りは自分の足跡に従って、順調に下山。
 今回の大雪は、樹々にも多くのダメージを与えていて、枝や、葉がたくさん落ちていた。
 でも常緑樹の葉が、白い雪に落ちているさまは、蓬餅みたいで、妙な美しさもあった。

【祖母山】
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 尾平に着き、祖母山を振り返る。
 稜線は雲に覆われ、たぶん雨が降っている。
 この雨で雪も相当に溶けるだろうし、祖母山の雪もあと一週間くらいであろうか。


 2014年の2月は、九州の山に大量の雪が降り、どこも素晴らしい雪山となっていた。そして週末の天候も良いことが多く、今年の2月は九州の山好きにとっては忘れらないシーズンとなったことであろう。

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