雪の由布岳
先週の季節外れの陽気で、九州の山の雪はあらかた溶けてしまい、ひょっとしてこのまま春に突入?とか思っていたら、2月第一週に猛烈な寒気が襲来し、この週末は日本全国「記録的な」ことが頻発する、とんでもないことになっていた。
九州でも山間部のドカ雪の情報が伝えられ、私は先週雪の乏しかった久住山へ、また行くことにした。
国道57号線からミルクロードに入り、久住を目指す。
周りを見れば、ほどよい加減の雪の積もりかたであった。
このぶんならここより標高の高い牧ノ戸は、もっと雪が積もっているはずだろうと思ったが、瀬の本高原あたりから雪が少なくなり、牧ノ戸に着いても雪は乏しく、登山口を見ると、先週よりも雪がなかった。
どういう気象現象でこういうことになったのか分からないが、今回の寒気による積雪は、牧ノ戸周辺のみを避けていたみたい。
それで、予定を変更して、行き先を由布岳とした。
元々、下山後は由布院に行く予定だったので、それほどの大きな変更ではない。
それでやまなみハイウェイをそのまま走っていったのだが、…飯田高原を過ぎたあたりから道路状況がとんでもないことになっていた。
道の周囲の樹の枝が着氷現象によって氷結しており、その重みで垂れ下がって、道をふさぐようになっている。車高の高いバスは、それを避けるのに大変であった。
さらには、その氷の重さに耐えられなくなった木の枝が折れたり、木の幹が避けたりして、道をふさいだりしており、大変な数の樹が損傷を受けていた。あとでニュースを見たら、20キロ以上にわたって100本以上の樹が倒れていたそうだ。
道路管理の人たちも大勢出て、木を片づけたり、また邪魔な倒木をチェンソーで除去したりしていたが、復旧まで相当かかりそうである。
難路と化していたやまなみハイウェイをいつもの倍以上の時間をかけて走り、由布岳正面登山口に到着。
目論見通り、由布岳は雪がたくさん積もっている。
今回は登山口からアイゼンを装着して登山。
雪をサクサク踏みしめながら歩くのは楽しいものだが、すぐに問題点浮上。
やまなみハイウェィ同様に、この登山道でも樹々の枝が氷結しており、それが気温の上昇に枝から外れ、次々に落ちて来るのだ。
それが頭や肩に当たるので、けっこう痛い。氷の大きさは、親指手程度のものばかりだからさほどの衝撃はないのだが、もしかして握りこぶし大のものでも落ちて来たら嫌だなとか思いながら、歩くことになってしまった。
上から落ちて来る雨氷に気をつけながら仰ぎみれば、樹々の雨氷が日差しを浴びてキラキラと輝き、きれいである。
いいものを見られるのはよいが、ここはやはり危険だ。
この強い着氷現象は、樹々に相当に存在を与えていた。
ここでは、樹全体に氷結した氷の重さに耐えきれなくて、樹々がひっくり返ってしまい、登山道が崩壊してしまっている。崩壊部に雪がないことから、少し前に倒れたのであろう。
中腹の登山道では、灌木の氷結はなくなっていた。このあたりは日当たりが良いので、すでに溶けたようである。
中腹の灌木帯に到れば、視界が開け、由布院盆地を一望できるはずだが、今日は雲の位置が低く、由布院盆地は雲の下である。
登山道をのぼりつめて、火口の縁のマタエへと着いた。
ここは風の通り道となっており、いきなり台風なみの強風にあおられる。
上空の雲の動きの速さから、今日は風が強いとは思っていたが、由布岳でのここまでの強風は初めて経験した。
強風にガスが次々に現れては払われ、その合間に西峰が見えた。
全体が白く染まった、峻厳たる姿。
本日は東峰へと登ってみる。
この標高では雪が氷結しており、雪をパリンパリンと割りながらの登山。
そして、風も吹きすさび、その強風に身体を持っていかれそうになるのを、姿勢を低くして防ぎながら、慎重に歩を進め、東峰山頂に到着。
この高さでは、ガスはなくっており、眺めがよかった。
今日は雲が低く、別府湾方向までずっと低い雲が広がっていた。その上には、紺碧の空が広がり、まるで飛行機から見るような素晴らしい光景である。
こういう風景は初めてみた。
今回の登山は気象条件が特異だったため、いつもとは相当に異なる由布岳を経験できた。
下山途中に雲が湧いてきて、視界が悪くなってしまった。
そして登山口近くに戻り、由布岳を振り返れば、由布岳は雲に包まれていた。
由布岳正面登山口は南に向いているので、雪が積もったときでも、午後には雪が溶けていることが多いのだが、今日は雪がたっぷりと残っていた。
午前中、由布岳への行き道でちらりと見た由布院盆地には雪が積もっていたので、狭霧台からは雪の由布院が見られるだろうと期待していたが、こちらのほうは由布岳と違って、午後には雪が溶けていた。
本日は雪の由布院を期待していたのだが、先週に引き続き、雪見温泉Getは失敗となってしまった。
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