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January 2014の記事

January 31, 2014

映画:キックアス

Movie

 B級映画の傑作キックアスは、続編がすぐにもつくられるという話だったのに、なかなか撮影スタートという話を聞かないまま、時が流れていた。続編は第一作同様にヒットガールをクロエ・モレッツが演じるであろうけど、あんまり時間がたつと「凶暴な美少女 ヒットガール」を演じるには、薹が立ち過ぎ、撮影不可能となってしまうだろうから、もう続編はつくられないのだろうな、と漠然と思っていたら、いつの間にか続編が出来ており、来月に封切られるそうだ。
 一作目は本邦ではコケたけど、たいへん出来のよい映画であったし、続編もあのレベルなら今度こそヒットしてもらいたいものだが、さていかに。

【凡人青年 キックアス】
Kickass

 一作目のキックアスの話。
 映画冒頭は主人公のモノローグから始まる。
 誰もがヒーローに憧れるのに、じっさいにヒーローになろうとする者はいない。世の中には悪が満ちあふれているのに、現実の世界にヒーローはいない。なぜか? その理由を良く分からないまま、主人公は自分がヒーローになることを決意する。彼は通販で買った安っぽいヒーローコスチュームを身にまとい、ヒーロー「キックアス」と名のり、街の治安活動に乗りだす。が、キックアスは常人なので、何の武術も武器ももってなく、悪人を懲らしめようとしても、反撃されて大怪我をする羽目になるのみである。それでもこりずにヒーロー活動を続ける彼は、次第に町の有名人になる。
 そういうキックアスにある親子コンビが興味を持つ。ある時、キックアスが麻薬中毒者たちの溜まり場に乗り込んで、絶体絶命の危機に陥ったとき、彼ら親子コンビは圧倒的な戦闘力を発揮して、ジャンキーどもを片づける。この親子コンビ、ビックダディとヒットガールは、バットマンとロビンのパロディみたいなコスチュームであって、いかにもヒーローっぽい。

【ビックダディ&ヒットガール】
Hero

 この流れからして、ヒーローに憧れた凡人青年が真のヒーローと出会い、ヒーローに成長していく物語なのかなと思いきや、じつはそうではない。

 ビックダディは彼の一生を台無しにしたマフィア組織への復讐のために、己の高潔な精神を変容させ、さらに肉体的鍛錬を重ねて超人的能力を得た、悲劇的人物である。さらには自分の娘を幼い時から殺人術を教え込み、殺人マシーンとして育てあげた、狂気の男でもある。この狂気の男と殺人マシーン娘は、その私怨の対象者にたいしては、なんの躊躇も逡巡もなく、バッタバッタと殺していく。
 まったくその殺戮は、そこになんの感情も入らず、まるでゲームのように行われる。

【殺人マシーン ヒットーガール】
Hitgirl

 例えば、ヒットガールの最初の出現シーン。麻薬ジャンキー達を前に、ヒットガールは「OK you cunts, Let’s see what you can do !」と言い放ち、それから薙刀をぶんぶん振り回し、部屋中を血で染めあげる勢いで、全員を切り捨ててしまう。このヒットガールの動きの機敏さと、それにそこで流れる乗りの良い音楽で、本来陰惨な殺戮劇であるこの場面が、妙にポップで陽気なものに感じられ、爽快感まで感じさせてしまう。


 このいかれた親子の怪進撃はずっと続き、非情の攻撃でマフィアを追いつめていく。
 しかし反社会行為に対して、それを上回る反社会行為で対抗していくという行為は、自身の破滅にしかつながっていかない。
 ビックダディは斃れ、かろうじて逃れたヒットガールは、それでも復讐を止めようとはしない。最後の決戦に行くヒットガールにキックアスは「独りでは無理だよ」と言うと、彼女は「Exactly」と答え、彼の支援を求める。

 ここでキックアスは覚醒する。武装をして復讐に行ったヒットガールを援護するため、キックアスはヒットガール所有の30万ドルのヒーローアイテム(?)を使いこなすよう、マニュアルを必死で勉強する。

 キックアスの勉強中、敵方の本拠地ビルに乗り込んでいったヒットガールは、凄腕マフィアたちを相手に、卓越した体術と射撃術を使って、大量の殺戮劇を繰り広げる。
 しかし多勢に無勢はいかんともしがたく、敵の反撃に追い詰められたヒットーガールのもと、ついに我らがキックアスの登場!

 といった感じで、映画は大団円へなだれ込んでいく。

【夜明けのヒーロー】
Dawn

 この映画、題名がキックアスなので、彼のヒーローへの成長物語と思いきや、じつはそれは脇筋であった。
 主筋はダークヒーロー、ヒットガールの物語である。
 人間の感情を持たぬ殺人マシーンとして育てられた少女アンディが、人間に興味を持ち、好意を抱き、そして信頼するようになる過程が映画のテーマであった。この映画はヒットガールが人間に成長していく、そういう物語なのである。

 まあ、そういう小難しいことを言わずとも、この映画ではヒットガールの存在感は他を圧している。
 下品な俗語を連発して放ちながら、超人的な体術を駆使して、悪人どもを何のためらいもなく殺戮していく。そして、マスクを脱げば見た目は無邪気な美少女なので、そのギャップも相まって、ヒットガールはヒーローの歴史のなかでも特異な存在となっている。
 この映画は興行的にはこけたけど、ヒットガールを世に生み出しただけでも、十分映画史に残れる傑作となっている。

 クロエ・モレッツはこの映画が出世作であり、人気俳優となった。けれど、ヒットガールの印象があまりにも強かったため、その後「美少女だけど変な少女」が彼女の指定席のようになり、その手の役はたいてい彼女が演じている。クロエは正党派美少女なので、本人としてはあんまり納得いってないのでは。


 さて、続編の作成が危ぶまれていたキックアスであるが、なんとか完成し、2月に上映とのことである。
 主役はヒットガールであろうが、いったんヒーローを引退した彼女が、いかなる成長を遂げ、いかなる活躍をするのか。そして一夜限りのヒーローであったキックアスはいかなる役回りとなるのか。
 ポスター見ると、B級映画のにおいがプンプンするので、前作に似た路線で行くみたいだけど、なにはともあれ封切を楽しみにしておこう。

【キックアス2】
Kickass2

 ………
 キックアス2 公式サイト


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January 29, 2014

東京都知事選で脱原発が争点になっているそうだ。なら、そうしてみれば?

Lection_du_tokyo

 猪瀬都知事の突然の知事辞任により、都知事選が行われている。
 大都市東京には解決すべき様々な問題がある。それらの問題に順位をつけ、対応すべき手法を考えて行く、それがトップの仕事であり、選挙の争点にもなる。
 当然、候補者たちはそのことについて己の考えを述べ、選挙公約にもしているわけだが、…有力候補の一人細川氏は「脱原発」を主な争点としている。さらに細川氏応援団の小泉元首相はそれをワンイシューの大問題として、都知事戦の最大のテーマとして持ちだしている。そして一部のマスコミも、都知事戦で脱原発が争点になるのを当然のこととして報道している。


 しかしながら、例えば福島県知事選なら脱原発がテーマになるのは分かるけど、東京都が脱原発をテーマにしてどうするのであろうか?
 東京には原発は一基もないし、地理的条件からこれからも造るはずもなかろうから、自身の原発設置については問題になりようもない。
 それで、あくまでも東京都が脱原発を叫ぶなら、それは他県の原発の停止の要求ということになる。現在日本では原発は全部運転停止しているが、今年夏以後は順次再稼働する予定になっている。東京と関係するところでは、新潟の柏崎原発がそれであり、政府の東電再建計画でも柏崎原発の再稼働は前提条件となっていた。

 柏崎原発は新潟県知事がトンデモ系の人なので、ゴタゴタはするだろうけど、法律に基づいて柏崎原発は再稼働をするであろう。
 そして、もしその時脱原発派が東京都知事になっていたとする。脱原発が公約だったのだから、都知事は原発停止を新潟に要求するのだろうが、…どういう理由で停止を要求するのであろうか? 「原発は危ないから」くらいしか理由は思いつかないが、規制委員会で厳重にチェックされたあと政府が責任もって再稼働させた原発に、他所者が難癖付けてきても、新潟県は大きなお世話と言うしかないだろうし、だいたい原発の電力の最大の恩恵を受けている東京都が何を文句言ってくるのだろうと、普通は怒るであろう。
 あるいは新潟県に文句を言うのでなく、東京電力の大株主である権利を利用して、東京電力に直接ねじこみ、原発を再稼働させないという荒技は出来るかもしれない。しかしそれをやると、今でも高くなっている電気代はさらに大幅値上げとなり、さらには計画停電なども必要になりかねず、無理を強いられた都民から直ちにリコールされるのは必定であろう。
 どうやったって、都知事に脱原発など無理なのである。

 と書いたものの、今脱原発を主張している候補者も、じつのところ自分が都知事になったところで脱原発が出来るなど思ってもいないだろう。いくらなんでも彼らはそこまで馬鹿ではない。
 要は、脱原発を主張し、その支持を集めることによって、原発稼働の権限を持つ政府に脱原発をアピールする。そのことが目的であろう。すなわち都知事選を、自らの脱原発主張の道具としているのだ。

 彼らにとっては、都知事戦は「脱原発を問うアンケート調査」であり、彼らの脳内では、脱原発賛成票が過半数を占めたアンケート集計があり、それを武器に政府に脱原発を迫る予定なのだろう。


 よろしい。
 アンケート調査おおいに結構。
 日本の選挙は透明性が高いから、そこに不正ははさまれる余地はない。脱原発イエスかノーかは、都知事戦の票数ではっきりと示されるであろう。
 そしてその結果が出たあとは、もうゴタゴタ言わないでほしい。負けたときは、自分の主張に民意はなかった、自分の主張に道理はなかったときちんと認め、何が間違っていたか、しっかりと考えてほしい。それが真っ当な政治家の務めだと思う。

 原発事故以来、原発の再稼働を争点として、国政選挙、あるいは原発立地県の地方選挙はいくつも行われたが、いわゆる脱原発派は全て惨敗している。それでもゾンビのように幾度も蘇って来る彼らに対し、今回の都知事選が止めの一撃となってもらいたいものだ。


 …………………………………

【Résumé(まとめ)】

 Élection du Tokyo gouverneur est en cours.
 Arrêtez l'énergie nucléaire est devenue un problèmes impotante dans l'élection au poste de gouverneur pour le moment
 La phrase « Arrêtez l'énergie nucléaire » signifie de stopper les tous la production d'énergie nucléaire.
 Ils réclament que par elle Japonaise purrent échapper à la peurt de l’accident nucléaire.
 Mais centrale nucléaire est la course s'il ya un sens imoportant.
 Le Japon est un besoin de grandes quantités d'énergie, la centrale nucléaire a produit de l'électricité de 30%.
 Maintenant ils sont arrêté, l'énergie thermique est produite électrique plutôt. Comme le frais de carburant, le Japon a versé ¥ 3 billion supplémentaire par an. De plus l'essence de l'énergie et du pétrole lampant sont également en flèche.
 En ignorant ce fait, ils ont juste crier arrêt principal sans les mesures à cette probléme.
 Pour leur réclamation stupide, le jugement est faite en le 9 Février.

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January 19, 2014

宮崎キャビア1983

【宮崎キャビア1983】
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 世界三大珍味の一つ、キャビアは原材料のチョウザメの個体数が激減したことから、値段が高騰し、希少価値も高まっている。そのため、各国でチョウザメの養殖が行われるようになり、今では養殖物も多く出回るようになりだした。

 我が国でもチョウザメの養殖が各地で試みられていたが、宮崎県の水産試験場がチョウザメの完全養殖に成功し、平成25年からキャビアの商品化が始まった。
 この国産キャビア、うまく販売が軌道に乗れば、宮崎県の特産品となれる可能性がある。はたして宮崎キャビアの実力はいかなるものか。
 今回レストラン ベル・エポックでこの「宮崎キャビア1983」を楽しむワイン会があったので、さっそく味わせてもらうこととした。

【MIYAZAKI CAVIAR 1983 Premium】
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 宮崎キャビア1983はラインナップが二つ。MIYAZAKI CAVIAR 1983 Premium」は3.5mm以上の大粒のもの。一瓶20gで12000円。

【MIYAZAKI CAVIAR 1983】
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 卵が普通サイズの「MIYAZAKI CAVIAR 1983」。一瓶20gで10000円。

【ブリニと】
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 キャビアはそのままで食べたり、ロシア風に蕎麦粉パンケーキとサワークリームで食べたり。

【ワイン】
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 キャビアに合わせたワインは、シャンパンがVilmart & Cie Coeur de Cuvee 2003、白ワインがLe Montrachet Grand Cru Marquis de Laguiche 2002。
 どちらも良いワインであるが、…あんまりキャビアには合わなかった感じ。というより、キャビア自体がワインに合わない種類の食物に思える。思いっきりsecな白なら、なんとか合うかな。

 キャビアそのものは、なかなかの美味。キャビア独特の複雑にして濃厚な旨みを持っている。食感も滑らかでデリケート。
 ただし、値段が20gで12000円というのはCPに問題があるでしょう。さすがにベルーガとかよりは安いけれど、それでも海外の通常レベルのキャビアに比べると高く感じられる。
 キャビアはべつに国産だからといって有難みが生じるようなものでもないし、付加価値がない以上、この値段では通常のレストランの料理に用いるには難しいと思われる。
 宮崎キャビア、最初のうちはもの珍しさで売れるであろうけど、さて県の名物として根付くかどうか。味は問題ないので、あとはいかにコスト管理するかにかかっているであろう。

【魚料理】
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 ワイン会、キャビアのみというわけでなく、コース料理も堪能。
 魚料理では、キャビアついでに、親のチョウザメの料理。
 チョウザメのフリット、マッシュポテトのキャビア仕立て、ピーツのソース。
 こちらは白ワインによく合う料理。

【肉料理】
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【ワイン】
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 メインの二品目は、山鳩のロティとジロール茸。
 合わせたワインは、今回のワイン会の赤の主役、DRC Vosne-Romanée 1er cru Cuvée Duvault-Blochet 2002。
 DRCなのに1er cru?と私が不思議がったら、ヴォーヌ・ロマネ村のワイン畑の話やら葡萄の樹の若木の話などが延々と出て、いろいろと複雑な事情があるらしいことは分かったが、結局のところ何が何やらよく分からなかった。
 …ワインはやっぱり難しい。

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January 13, 2014

眺めの良い寿司店 吉凰@名古屋市

 ミッドランドスクエアで映画を観たあと、飛行機の時間まで時間をつぶす必要がある。寒いのであんまり外を歩きたい気分になれず、同じビル内に寿司店があったのを見つけ、41階にある「吉凰」へと行ってみた。

 店内を覗くとカウンターに空きがあったので、予約なしに席を取れた。
 着物姿の仲居さんの給仕、それに店内の造りからして、この店は高級店っぽい雰囲気がある。・・・というか、どう見ても明らかに名古屋を代表するような高級寿司店である。
 昼は3種類のお任せメニューしかないらしく、そのなかから注文。前菜、椀物、なかなか丁寧な料理である。それから鮨となる。

【コハダ】
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 平目、春子、烏賊、赤身、コハダ、中トロ、車海老、…などなど。
 コハダは浅めの〆方で、コハダ自体の味がよくわかる鮨。
 全体として、普通に美味しい鮨であった。
 店主も愛想のよい人で、鮨追加の際など、いろいろと鮨談義を楽しめた。

【景色】
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 41階という高層階にある寿司店ゆえ、ここからの眺めは抜群である。
 名古屋市全体と、それから伊勢湾まで眺めることができ、この素晴らしい風景をツマミに、鮨と日本酒で時間を過ごせば、とても優雅な気分にひたれるのであった。

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映画:大脱出

Escape

 スターロンとシュワルツネッガー、ハリウッドを代表する2大アクションスターの共演する映画「大脱出」。
 題名を見たとき「大脱走」と読んでしまい、往年の名画「大脱走」のリメイク版かと勘違いしてしまった。それでスターロンはマックイーン役だろうけど、シュワルツネッガーがやるような役あったっけ? 大佐? ビッグX? でもそれは明らかに役不足だし、収容所内にカリスマ捕虜みたいな新キャラつくるのだろうか、などと思っていたが、…映画を観ると、全然別のオリジナルストーリーであることがすぐに判明。ただしシュワルツネッガーはやはり監獄のカリスマ囚人であって、やはりこのような役しかピッタリこない役者ですな。

 主人公のスターロンは脱獄請負人という妙な職業の役。政府筋からの要請により、監獄に囚人として入り込み、綿密な調査を行いセキュリティの弱点をついて脱獄することによって、その監獄の脱獄防止を強化改善させるというコンサルト業者である。
 彼は凄腕であり、脱獄成功力はほぼ100%であり、その経験からセキュリティの高い監獄を造るための専門書まで書いている。

 ある時、スターロンの事務所に最新鋭のセキュリティシステムを持つ民営監獄の脱獄依頼が入った。高額の報酬もあり、スターロンはその仕事を請け負うが、その監獄はスターロンの著書を参考に造られたものであり、まさに難攻不落であった。
 そしてその監獄はスターロンが脱出できないことがすなわち最強の監獄という評価が得られ信用を得られることから、スターロンは自力で脱出しないといつまでたっても囚人の身分のままとなる。
 いろいろと試行した結果、独力では脱獄が無理と悟ったスターロンは、獄内で協力者を探す。そして、いかにも大物然としたシュワルツネッガーが相棒となり、脱獄計画は進んでいった。


 この二人が組めば、映画的には脱獄は成功するのは間違いないので、ある意味結末は見えてはいる。
 しかしこの脱獄劇、映画の前半では、頭脳を振り絞って弱点を探し、秒単位の緻密な計画を立てて脱獄計画を実行する知能戦だったはずだが、後半になると、体力、腕力、度胸で強引に押し切ってしまう、荒っぽい肉弾戦になってしまったのは、なんか変ではある。けれども、この二大アクションスターが主役である以上、結局は頼れるのは自分の肉体のみと暴れまわるシーンがないと不完全燃焼に終わってしまうのも事実であり、これはこれでよく出来た脚本ということにしておこう。

 映画の歴史のなかで、アクション俳優が大スターとなったのは、80年代のスターロンやシュワルツネッガーくらいからだろうが、彼らは今も一線級の現役であり、彼らが画面に出れば、それだけで主役のオーラーを放っている。
 アクションスターは、体力の衰えとともに出番がなくなくっていくはずであるが、この両巨頭が、いまだ現役バリバリで頑張っている姿を観ることができた。あの時代から映画を観てきた者にとっては、とても興深い映画であった。


 …………………………………
 (なお映画の記事は、いつもは公式サイトをリンクしているけど、よくもこんなアホなネタバレ画面をトップに置けるなあ、と呆れたので今回はリンクせず。)

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January 12, 2014

柳家@岐阜瑞浪でジビエ尽くし

 ここ数年ジビエシーズンの恒例行事となっている柳家ツアーへと行ってきた。
 名古屋市から岐阜瑞浪の柳家まではタクシーで1時間ほど。その間は、車中でシャンパンを飲みながら歓談し、時間を過ごすのもいつものことである。

【柳家】
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 山のなか、周囲に雪がうっすら積もっている柳家の玄関には注連飾り。

【鴨】
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 1月からは鴨がメインとなってくる。
 ハツ、砂肝、レバー、それにセセリ。
 焼鳥屋と同じメニューであるが、もちろん焼鳥屋のものとは比較にならぬ、味の濃厚さ。

【葱間】
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 焼鳥屋メニューの定番、葱間。
 鴨と葱とは相性が良いのであり、いっしょに炭火で焼かれた葱間は、まさに「究極の葱間」とでも呼ぶべく、通常の葱間とは次元の異なる美味さである。

【鴨】
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 炭火で皮はパリっと焼かれ、それと脂のよく乗った鴨肉と食えば、口のなかに幸福感があふれる。

【猪】
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 猪は極上の脂の乗り方。
 野生のものなのに、まったく臭みやクセはなく、上品といってよいほどの質のよい脂である。

【蝦夷鹿】
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 鹿もまた脂がよく乗っている。したたり落ちる脂をさらに炭火にかけて、その煙で肉を燻して、さらに香りを強くする。見事な技である。

【熊】
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 珍しい熊肉も用意されていた。
 これも豊かに脂が乗っており、今までの猪や鹿と違った、魅力ある味である。

【子鴨】
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 子鴨は一羽ごとの丸焼きである。
 これもまた丁寧に脂を焦しながら、上手に焼きあげられる。
 親鴨にもまったく引けをとらない、豊かにして繊細な味。

【鴨鍋】
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 葱たっぷりの鴨鍋は、その香りからして悶絶もの。そして、スープを飲めば、豊穣たる自然の味が伝わって来る。圧倒的存在感のある鍋。

【自然薯御飯】
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 〆は冬定番の自然薯御飯。
 自然薯は、ジビエに負けずおとらず香りと味の豊かな食材であり、この冬のジビエシリーズを締めくくるにふさわしい逸品である。


 ジビエ料理の名店柳家、全ての料理を通して、ジビエの魅力を存分に味わうことができた。
 もちろん、ジビエはそれだけで美味しいというわけではなく、産地・時期により味のレベルは変わるだろうけど、その産地・時期を選べば、それは極上の料理の素材となる。そして柳家はそれを常に準備している店である。さらにその極上の素材が、代々伝えられてきた見事な技法で、目の前で焼き上げられるわけで、これが美味しくならないはずはないわけであり、柳家での囲炉裏を囲む数時間は、食の収穫祭とでも称すべく、小さなお祭り騒ぎとなる。
 今回のメンバーも、食事の間、美味さに感心するとともに、自然のエネルギーが今伝わって来た、これは元気が出る出る、と騒いだりしていて、…じつに効果的な新年からの活気づけとなったのであった。

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長野の車窓

 軽井沢で一泊したのちは、名古屋に行く必要がある。
 松本経由の鉄路を検索したところ、けっこう面倒なルートとなっていたが、時刻表では列車の乗り継ぎがスムーズに設定されていたので、これを使うことにした。

【軽井沢駅】
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 夏には避暑地としてにぎわう軽井沢は、冬には閑散としてしていると思いきや、冬のリゾート地としても開発されており、ウインタースポーツ目的の人たちが集っていた。

【列車扉】
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 軽井沢駅で、しなの鉄道線の列車に乗ろうとしたら、この扉で戸惑ってしまった。
 「この扉は手であけてください」とのことなのだが、完全手動式の列車の扉なんて初めて見る。両手でこじ開けるようにしたら普通に開いたけど、なんか変。

 この乗客が閉めるタイプの列車ドアは、寒冷地ではよくある仕様ではある。開けっ放しにしておくと列車内が寒くなるからであるが、それでも普通は押しボタン式だよなあ。
 そして調べてみると、確かにこの手動式タイプは全国的にも珍しく、しなの鉄道の旧式の列車にしかないものらしい。しかも、そのうちなくなってしまうものとのことで、そうとう珍しいものを見てしまったわけだ。

【浅間山】
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 軽井沢界隈の象徴的存在である浅間山。
 現役の活火山であり、山頂にはうっすらと煙が出ているのが見えた。

【浅間連峰】
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 列車は小諸、千曲と、日本文学に馴染深い地名の駅を過ぎて行く。
 窓には浅間山から続く、浅間連峰。

【善光寺平】
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 篠ノ井駅からは篠ノ井線に乗り換え、しばらく行くと姥捨駅。
 ここからの眺めは日本三大車窓の一つで、広々とした長野盆地を見渡すことができる。

【棚田】
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 姥捨駅からはこの棚田の風景も有名。
 西行法師命名の伝説を持つ、「四十八枚田」もあり、遠景の山々とともに美しい景観をつくっている。

【後立山連峰】
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 列車が安曇野に近づくと、屏風のごとく立ち並ぶ、後立山連峰が見えて来る。
 連休中日の本日、好天のもと、どの峰も白い雪をまとい、スキーヤーや登山者がさぞかし楽しんでいることであろう。

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January 11, 2014

イタリア料理:フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ/Fogliolina della Porta Fortuna@軽井沢

 イタリア料理が好きな人なら、誰でもその名前を知っており、伝説的な存在となっているレストランが軽井沢にある。レストランは上記の長い名前の店で、シェフはイタリア料理界の鬼才として知られる小林幸司氏である。

 この店が伝説的存在になっているのには、いろいろな理由があるのであるが、その一つは予約がとても困難なことである。
 小林シェフは創作系イタリア料理の名人で、その料理は独創的、芸術的なものであり、ゆえに調理に手間がかかりすぎ、一回に対応できる客の数が限られてしまうため、一日に昼・夜各一組ずつしか予約が取れない。そのため需要に対して、供給がまったく追い付かないので、予約がたいへん困難となっている。
 それで私もこの店については、名前はよく知ってるが、結局行かないまま終わる店だなくらいに思っていた。ところが、マリーエ時代からの常連氏が予約が取れたとのことで、参加のお誘いがあり、ありがたくそれに便乗し、はるか軽井沢まで遠征。

【店の前】
1

 この店、軽井沢でも辺鄙なところにあり、位置は分かりにくいはずだが、有名店であるため地元のタクシーの運転手はだいたい知っており、軽井沢駅で「小林さんの店」といえば通じる。
 軽井沢、雪道を走って行き、このイタリア国旗があるところが店の入り口である。

【メニュー表】
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 ダイニングに入れば、窓から見える庭には、白い雪が積もっている。暖炉には火がくべられ、外とは隔絶した心地よい空間。デーブルにはメニューが並べられており、本日のコース料理とワインの内容が詳しく書かれているが、それがずいぶんと達筆である。最初のほうは、Proposta di Fogliolina e Fortuna / Vino Rosso alla Bagne Maria profumo di gingaroとなんとか読めるけど(正確な綴りは自信ない)、後のほうになると、筆に勢いがついてきたらしく綴りが絵画的になってきて、よほどイタリア語に慣れた人でないとたぶん読解不能。このメニュー表だけで、「この店は尋常な店ではない」と分からせてくれる。

 それはそうと 、迂闊な私は、上の 一行≪Proposta di Fogliolina e Fortuna ≫を見て、「最初から自分の店の名前を間違っているけど、これはなんなんだ? なにかのギャグか?」と思ってしまっていた。
 今、blogを書くにあたってメニュー表を見直したところ、あっさりと疑問解決。というか、店の中での会話で「店名のうち、Fogliolina(葉)は小林シェフの奥さん葉子さんから取られている」との知識を得たことから気付かねばならなかったのだ。あとのFogliolina の次のFortuna(幸運)は当然小林幸司シェフのことだろうから、これは「葉子と幸司の提案」、すなわち「今日のメニューは小林シェフ夫婦の二人でつくり上げたものです」との意味だったのである。
 …しかし、普通はやっぱり分からないよなあ。

 そして、食前酒ののち、料理が運ばれてくる。

【前菜1】
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 鹿肉のローストに、シチリアのチーズと黒胡椒、蕪の薄切りを乗せ、それにニンニク、アンチョビ、野菜のスープをかけたもの。
 味が豊かで強い食材の、多重奏のような料理。
 主役は鹿肉なのだろうけど、どれもが主役のようでもあり、なんとも賑やかな料理である。

【前菜2】
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 ヒメジのムニエルに野菜とアーティチョークオリーブ等でつくられたスープに赤ワインビネガーで味を整えたもの。
 白身魚にしては味の強いヒメジに、これも個性の強いソースがからみ、豊かな香りと味を楽しめる。

【スープ】
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 白インゲン豆と、茸、ニンニクなどのスープと、黒キャベツ、ドライトマトのピュレ。これにフォアグラのロースト。

 …と、今までメニューを簡潔に並べてみたけど、この店では一品ごとにシェフが運んできて、そこで料理の説明がある。
 これがまたやたらに詳しくて、聞いているうちに唖然呆然とする内容の濃さ。
 このスープでいえば、
 (1) まずトスカーナ産の小粒の白インゲン豆を使う。これを茹でる。
 (2) 合わせるのはまず茸である。この時期が旬のイタリアの野生のオルモ茸(フランスではシャントレル茸)、これをオーブンでロースト。これに薄切りしたエシュロット、ニンニク、ローストしたハムを加え、香りを立てる。それに白インゲン豆を加えてから、野菜のスープを入れて煮込む。それをミキサーで濾してスープの出来あがり。
 (3) 緑色のピュレは、イタリア産の黒キャベツに、ニンニク、エシュロットを加え、それに半分のドライトマトを加えて酸味をつけて、さらに野菜のスープを加えて煮込んだあとミキサーにかけて濾したもの。
 (4)なかに入っているのは鴨のフォアグラ。紙で包んで焼き、香りを高くして、それから表面を強く焼き、オーブンに入れてローストして切り分けたもの。

 という複雑にして大変な手間暇をかけてものである。この長く難解な手順について、それを、料理の温度が適温のうちに一挙に怒涛の早口でシェフが語り、その内容と語り口にテーブル一同圧倒されるということが、料理が運ばれるごとに続く。

 いやはや、料理そのものも一流の芸であるが、このプレゼンもまたシェフの一流の芸となっている。

【パスタ】
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 パスタはフィットチーネのカルボナーラ風。
 ホロホロ鳥の卵黄を使ったパスタに、チンタネーズ豚の頬肉、チコリ、黒トリュフなどを合わせている。

 香り豊かで、それに個性的なパスタ麺と、食材の取り合わせで、いかにも豪華なパスタとなっている。

【メイン】
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 メインは野生の山鳩の胸肉の鉄フライパン焼き。
 サルミソースは山鳩の肉と内臓と骨に人参、白玉葱、生ハム、セージ、白ワインビネガー、赤ワインを加えてオーブンで煮込んだあと、骨を除いて細かく刻んだもの。さらにサフランを使った羊のチーズを熟成させたものをピュレにしてホロホロ鳥の卵を溶いたものをソースにして合わせている。
 野菜は苦みのあるイタリア産のもの。

 このサルミソースが、まさに絶品であり、それぞれの特徴あるソースと素材とぶつかりあって、さらに味を変化させる。

【チーズ】
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 羊と牛を半々つかった白カビチーズの表面を炙ったもの。これにアザミのフリットを添えて。

【デザート】
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 デザートは林檎のコンポートにチョコレートソースをかけたもの。


 フルコースを通し、小林劇場とも称すべく、独自の世界にどっぷりとつかれた。シェフの目指していた「非日常空間の演出」の見事な具現化と思う。
 いやはや、イタリアンレストランは数あれど、これほどまでの個性の強い料理と空間は、まずはないと思う。というより、レストランの範疇を越えたところに、この店は存在しているように思える。

 ただ、この店での料理、美味い不味いでいえば、もちろん不味いわけはなく、美味しいに決まってはいるものの、万人向けの美味しさかといえば、疑問なしとはいえない。目指すものが尖鋭あるいは高すぎ、どうにも私のような一般人にはついていけないところもあった。
 ここでの調理はなにかの化学実験のようでもあり、出された料理は精密にして複雑なる化学実験の成果のようにも思える。それこそ、シェフからは、この世の様々な物質を集め、それに種々の手を加え、ついにはそこから全く別の究極の物質を生み出そうと努力した古の錬金術師のような鬼気迫る熱意、執念が感じられ、そうなるとこの店の料理は美味い、不味いなどを超越した次元でつくられて当然とも思える。
 それで、この店の料理を食べていると、「そもそも料理とはいったい何なのか?」という根源的、哲学的な命題まで頭に浮かび、そうだ、料理とは舌でのみ味わうものではない、頭でも味わうべきものなのだ、などと考えてしまう。

 とにもかくにも、伝説的存在の小林シェフの料理、聞きしに勝る独創的にして個性的なものであった。まさに世界に一軒、オンリーワンの店。イタリア料理好きな者にとっては、必ず経験すべき店。
 予約の超困難なこの店を体験でき、とても幸運であった。このような機会を与えてくれたY部長にひたすら感謝。

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January 05, 2014

今年の初鮨を光洋で

 正月連休最終日は、初詣サイクリングを行ったのちは、鮨を食いに行こう。
 それで宮崎市の光洋へと。

【アワビ】
1

 子アワビにコゴミを添えて。
 皿の梅の花とともに、初春の演出。

【椀物】
2

 椀物は、猪のツミレに、茸、葱、蕎麦。
 これは猪の獲れる諸塚村の郷土料理みたいなものを原型として、より上品に造り上げたもの。
 宮崎ならではの料理。

 各種の肴ののちに、鮨へと。

【鮪】
4

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 鮪は、キハダに、赤身に、中トロ。
 どれもそれぞれ特徴ある美味しさ。

【鰤】
6

 鰤も今の時期は、鮪に劣らぬ魅力がある。

【鯖】
7

 鯖は脂の乗りがたっぷり。この鋭角的な切り方もまたよい。

【コハダ】
8

 コハダはきっちりとした〆方。

【赤貝】
9

 形といい色といい、最も鮨に合う貝、赤貝。立派な姿である。

【車海老】
10

 光洋流の軽くヅケにした車海老。豊潤な味と香り。

【鰯】
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 鰯もまた濃厚な味である。

【太刀魚】
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 ふんわりと炙られた太刀魚は、口に入れればとろける感触。

【穴子】
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 穴子は安定した美味さと柔らかさ。

 このほか、色々と食い、そしてさんざん飲み、いつもながらの大満足で、今年の初鮨を楽しんだのであった。

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宇納間地蔵尊@初詣サイクリング

 年末までは冷え込みが厳しかったけど、年が明けてからは温暖な気候となっており、体感的には11月程度である。
 それで初詣を兼ねて、サイクリングすることにした。

 宮崎県北のサイクリストにとって最も使われる道路国道388号線、その折り返し地点としてよく使われる宇納間地蔵尊へと行くことにする。

【宇納間地蔵尊山門前】
1_5

 サイクリングではこの山門前が終点なのであるが、今回は初詣が目的なので、自転車を止めて、この長い階段を登って行く。

【宇納間地蔵尊】
2_4

 宇納間地蔵尊は、鉄城山山頂にあり、ここまで365段の階段を登る必要がある。
 自転車で来たゆえSPDシューズで登ったので、石段にカツカツと金具が当たる音がして、この静かな空間に余分なものを持ちこんでいるようで、他の参拝客に少々心苦しい思いになる。

【展望所】
3_4

 山頂の地蔵尊は木が生い茂っているので眺めはよくない。少々下った展望所からは、北郷の街を見下ろすことができる。こじんまりした、山間の街である。

【和田峠】
4_3

 宇納間地蔵尊からは和田峠を越えるコースが気持ちよい。車も少なく、道も広々している。ここを経由して国道327号線を走り、東郷から山中峠を越えるか、塩見から広域農道を使うかすれば、登高距離もかせげて、いい練習コースとなる。

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January 04, 2014

地鶏:焼肉さかえ@宮崎県門川町

 雪の大崩山、中ワク塚までの往復なので、さほど疲れるはずはないのだが、予想外に雪が重く、進む足一歩一歩が負担が重く、下山した頃には今までにない疲れをずっしり感じた。
 車に乗って、いったん「美人の湯」に寄り、支配人に大崩山の現況などを報告し、それから温泉に入り筋肉の凝りをほぐす。

 こう疲労のたまった身には、元気のつける食事をして、体力を回復せねばならない。

 それで、門川町の名物店「焼肉さかえ」で、良質の蛋白質の補給と、それに生ビールで水分の補給をしに行った。

 ここで、少し宮崎の地鶏の説明を。
 宮崎名物といえば東国原知事のときに話題にもなった「地鶏の炭火焼」であるが、宮崎で地鶏といえば普通は卵を産まなくなった親鳥のことを指す。すなわち一般的に用いられる、名古屋コーチンとか比内鶏のような、特殊な育て方をした「地鶏」ではない。
 もちろん親鳥もしっかりした食材であり、特にそのコリコリした歯ごたえは魅力的である。宮崎では、この親鳥に、旨みと香りを添加すべく、ラードなど油をかけながら盛大に炭火で焼くことにより独自の料理に昇華させている。
 これはこれで立派な郷土料理だ。

 ただし、鶏の飼育に技術を蓄積した宮崎には、当然本格的な地鶏も飼育されていて、たとえば「地鶏頭(じとっこ)」は、全国的なブランド鶏である。この地鶏頭以外にも、美味しい地鶏はいろいろとあり、その一つに門川町の「天下鶏」がある。

【天下鶏】
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 「焼肉さかえ」は「天下鶏」が名物であるが、この天下鶏は「さかえ」が自分たちで育てた地鶏なのである。すなわち、飼育、製造工程、料理まで全て関わっているという、本格的な地鶏料理店なのである。

【地鶏焼き】
2_3

 この店、地鶏が名物といっても、焼肉店だけあって、牛、豚等も当然出る。それらは、評価が高く、それを目的に来る客も多い。
 そういった肉やホルモンは、客各自が自分らの好みで焼くことになるが、この店が育てた「天下鶏」は、店の料理人が自ら、いい具合に焼いてくれる。

【地鶏焼き】
3_3

 そうしてほどよい加減に焼けた地鶏。
 いわゆる宮崎の地鶏の炭火焼と違って、焦げさせるようなことはしない。
 刺身でも食べられる鮮度ゆえ、半生くらいが最も美味しく食べられる。

 宮崎に来たなら、個性豊かな「地鶏の炭火焼」もいいと思うけど、こういうじっくりと育て、旨みの凝集した、それこそ宮崎の自然の豊かさを感じるような地鶏焼きも是非体験してもらいたいものだ。

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 「焼肉さかえ」のHP

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登山:雪の大崩山

 花崗岩の大殿堂大崩山は、雪が積もったときは、その峻厳たる姿の魅力を更に増す。昨年末の寒波により、大崩山は雪山となっているとのことなので、雪が残っているうちに訪れることにしてみた。
 大崩山の冬の最大の難所「象岩のトラバース」は、鎖が凍っていて通行不能との情報だったので、中ワク塚までのピストンの予定にする。

【大崩山】
1_2

 祝子川ダムから見る大崩山。
 さほど雪は積もっていないようだが、昨年、この姿に油断して軽装備で登り、ひどい目にあった経験があるので、今回はきちんとした装備で登ることに。

 登山口に着くと、車の数からして、今日は3組ほどが先行しているようだった。
 登山届によると、ワク塚→坊主尾根の周回ルートを予定している組もいた。


【小積ダキ】
2_2

 三里川渡渉部から眺める、大崩山の岩峰群。
 空に尖塔を突き付けるこの白い岩の群れは、九州の山のなかでも最も優れた風景である。
 川原の岩は凍っていなくて、渡渉は容易であった。

【袖ダキへ】
3_2

 標高1000mを越えたくらいから、雪が出て来る。
 袖ダキへの岩壁は、ロープは凍ってなくて、特に問題なく登れた。

【袖ダキ展望台】
4_2

 袖ダキに登れば、ワク塚の巨大な岩峰が聳える絶景を望める。
 いつ見ても、大迫力の光景だ。

【下ワク塚へ】
5_2

 袖ダキから登山道に入れば、北側の斜面なので雪はたくさん残っている。この雪が水分が多く、重たい雪であって、進むのには力がいった。
 難所の梯子は雪に埋もれてはなく、掘り出す必要がなかったので助かった。

 下ワク塚までの道で、下って来る2組の登山者と会った。
 2組とも周回する予定だったのが、雪が重くて、行動に時間がかかり、タイムアップとなったので、中ワク塚手間で引き返したとのことであった。

【下ワク塚へ】
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 下ワク塚への最後の登り。
 ロープは凍ってなく、また岩には雪がはりついていて、これは登りやすくなっていた。

【下ワク塚】
7

 下ワク塚へ登り、まわりを見渡す。
 向かいの木内山岳、それに桑原山も、雪山となっていた。

【中ワク塚へ】
8

 下ワク塚から中ワク塚への岩の稜線は、凍っていたなら、大変なハードルートになるのだが、今日は雪が乗っており、普通に歩くことができた。
 もっとも油断してここで足を滑らせると、まず命がないところなので、慎重さは重要である。

【中ワク塚へ】
9

 中ワク塚は高度もあるので、雪の量も多い。
 いつもなら通れるルートが一つしかない中ワク塚手前の岩場も、これだけ雪が乗っていると、どこを通っても登れる。

【中ワク塚】
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 中ワク塚は、岩の鞍部が到着点のようになっているけど、そこまで雪に埋もれていた。ここまで雪がある大崩山も初めて見た。

【上ワク塚】
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 中ワク塚から見る、上ワク塚。
 高さでいえば、上ワク塚がワク塚の終了点なのだろうが、中ワクから上ワクは、アップダウンが面倒だし、それに私もタイムアップとなっていたので、予定通りに中ワク塚までの行程とし、あとは往路を引き返して下山した。

 今日の大崩山は、凍っているところは殆どなく、純粋に雪山登山を楽しめる雪山となっていた。
 結果的には、ザックに担いできた20mロープやら登攀具のたぐいは必要なかったわけだが、それでも冬の大崩山ばかりは、そのたぐいを持っているかないかで安心感は全く違い、そしてやはり安心感のある登山は、それだけでも楽しいものである。

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January 03, 2014

日向市界隈三社参り

 正月なので初詣、三社参りに行こう。
 昨年は延岡で三社参り(春日神社、今宮八幡宮、小山神社)をしたので、本年は日向市界隈を自転車で回ることにする。

 三社を選ぶとすると、大御神社、門川神社は当然として、あと一社は、日向の祭りで全国的知名度を誇る「ひょっとこ踊り」の五十猛神社であろうと思い、それらおよびその周囲の神社を参拝することにした。

【尾末神社】
3

 門川漁港のすぐ横にある、尾末神社。
 菅原道真公を祀る神社である。
 豊漁祈願のため、秋の祭りにはだんじりが町内を活気よく練り歩く。

【門川神社】
1

 門川町の小高い丘に建つ、鎮守の神社。
 この神社から門川湾と門川町を見渡すことができる。

【中山神社】
2

 中山神社は、全国の数多くある大国主命を祀った神社。出雲大社の関連神社である。年末に出雲大社を参拝したので、その流れでこの神社も初詣。

【五十猛神社】
4

 五十猛神は、船と樹木の神であり、林業を盛んとするところによく祀られている。
 日向も、ちょうどそういう土地である。
 日向の五十猛神社は例大祭の「ひょっとこ踊り」で有名。このユーモラスな踊りで、厄を払うという、楽しい祭りである。

【大御神社】
5

 日向のお伊勢さん、大御神社。
 神武天皇東征のさいはこの地を出発したわけで、歴史的にたいへん由緒ある神社であり、境内には「さざれ石」というのもある。
 県北の初詣は、どの神社も閑散としていが、この神社のみは賑わっていた。

【鵜戸神社】
6

 大御神社の境内社である鵜戸神社も参拝。
 潮で穿たれた巨大な洞窟のなかに社がある。
 この洞窟を中から海のほうを眺めると、洞窟の入り口が昇り竜に見えるとのことで、たしかにそう見えぬこともなかった。

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January 01, 2014

平成26年初日の出@祖母山山頂

【山頂へ】
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 元日の早朝、初日の出を見るために小屋から山頂へと登って行く。
 雪で登山道は底上げされており、霧氷のトンネルのなかを進んでいく。

【山頂】
2_2

 急登を抜け、平たく、景色が広がったところが山頂であるが、…その景色、周囲一面ガスがかかっており、これは日の出を見るには微妙な天気だ。
 山頂に出たとたんこの景色を見て、私と、それから一緒に登ってきたトレラン青年の二人から思わず「あちゃ~」という嘆声があがる。

【山頂】
1_2

 山頂には、東方向を向いて待機している人、30名ほど。
 毎年登っている人もいて、近年初日の出を見ることは3年続けて失敗しており、今年も駄目かとの声も出た。

【初日の出】
3_2

 山頂は写真では伝えにくいけど、強風が吹いており、雲の流れは早く、ガスも渦巻いて流れている。
 そしてガスの切れ目から、小さく、太陽が姿をのぞかせた。
 なにはともあれ、平成26年初日の出をGETである。

【初日の出】
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 太陽はいったん雲に隠れたが、高度を上げるとともに明るさを増してくる。
 雲の端が輝き、なにか素晴らしいものを見せてくれる雰囲気となってきた。

【初日の出】
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 ガスが流れ、東方向には、朱に染まった大崩山が、その巨大な山容の姿を現した

【初日の出】
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 太陽はさらに力を増していく。

【初日の出】
7_2

Sunrise1

 そして、ガスと雲にまとわれつつ、その合間から、太陽が炸裂するかのように光を放った。
 神々しくも、荘厳な姿である。
 雲とガスの流れとともに千変万化に姿を変えていた元日の太陽であるが、これがそのクライマックス。

 初日の出のショーをずっと眺めていた登山者たちは、太陽がはっきりと姿を現したところで、万歳三唱をあげ、初日の出が見られたことを祝った。

 山の上という場所はガスがかかる確率が高く、初日の出を見るには条件のよくないところなのであるが、このように条件がうまくあえば、自然のマジックが見られるわけで、今年の祖母山山頂ではそのマジックを幸運にも堪能することができた。
 寒い思いと、きつい思いをしないとたどり着けない場所に来た者たちだけが経験できる絶景であった。

【祖母山縦走路】
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 太陽があがり、ガスも流れ、長々と続く雪の祖母山縦走路が見渡せた。
 今年もまたこの路を何度も通ってみよう。

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